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ジャンル:ダットサイトマウント

Scalarworks社の軽さが際立つT2及びRMRフットプリント用マウント

検証人数:4人

実弾射撃評価:有り

→Type 89 / 5.56x45mm弾

→HK MP5 / 9x19mm弾

→HK G3 / 7.62x51mm弾

執筆時期:2024年4月

※LEAP/01を提供してくださったI氏に感謝いたします。

SPECS | 性能諸元(公式)

メーカー名(メーカー国・製造国) Scalarworks(アメリカ合衆国)
対応フットプリント LEAP/01:Aimpoint Micro T-2
  LEAP/04:Trijicon RMR
重量 47グラム
ボディ素材 7075-T6アルミニウム
マウント高 LEAP/01:1.42インチ、1.57インチ(本製品)、1.93インチ
  LEAP/04:1.57インチ(本製品)、1.93インチ
価格 159ドル

Pros & Cons | 一長一短

※ここはあくまで、KUSEMONO TACTICALが想定する使い方、視点から見た一長一短です。

※一長一短をわかりやすく表記しているだけであり、項目の数や内容、順番による採点評価ではありません。

優れている点 50グラム以下の軽さと強度の両立
  脱着してもゼロインが狂いにくいClickDriveシステム
改善を要する点 ClickDriveシステムのリューズが素手では素早く着脱しにくい

軽さと強度の両立


昔は競技者や一部のユーザーが好んで載せていたハンドガン向けダットサイトだが、近年その信頼性や強度が高まると同時に有効性が認知され、軍や警察系組織の採用が多く聞かれ流行となっている。魅力的で興味深い商品が日々出てくるため、当研究会としてもそれらを入手し、日々検証に勤しんでいる。だが普段日本国内に住んでいる我々には、拳銃にダットサイトを載せて撃てる環境が国内にはほぼ無い。よく海外訓練で利用している射場でレンタルできるグロックに、一昨年あたりからMOSやRMR規格のスライドを導入してくれたおかげで拳銃での検証が多少やりやすくなったものの、年に数回しか行けないので機会は多くない。そのため、様々な国内訓練や射場で小銃や散弾銃で検証しやすいようにピカティニーレールマウントの購入を決定した。

会議の結果、無数にあるハンドガン用フットプリントの中でも最も採用数が多いと言っても良いTrijicon RMR規格で、軍用小銃で使いやすいハイマウントを買うことに決めた。そして多数のメーカーの中でも軽量で強度も高いScalarworks社のLEAP 04を導入した。

今までOlight – Osight等のRMRフットプリントのダットサイトをピカティニーレール銃に載っけて使う際は、昔検証で購入したSightmarkだのSwampfoxだののハンドガン向けダットサイト(様々な事情でレビュー記事化までは至っていない)に付属していたチープなピカティニーローマウントを使用していた。さすがにこれだけでは本格的な検証には限界を感じていた。

今回、私がこのマウントの記事化をもたもたしているうちに、幸いなことに当研究員のI氏がSIG SAUER – ROMEO4Tに装着していたT2フットプリント用マウントであるLEAP 01もROMEO4T共々売却前に検証用に提供してくれたため、小銃向けダットサイトの大定番フットプリントであるAimpoint T1/T2フットプリント用と、拳銃向けダットサイトの大定番フットプリントであるTrijicon RMRフットプリント用の両LEAPマウントを検証することができた。


まずはAimpoint T1・T2系フットプリント用マウントであるLEAP/01から。

LEAP01のマウントの高さは3種ラインナップされており、レンズ中央部までの高さが1.42インチのSW0100(約3.6cm:通称Absolute Cowitness)、1.57インチのSW0110(約3.9cm:通称Lower 1/3 Cowitness)、そしてCQBや暗視装置併用で人気の1.93インチのSW0120(約4.9cm)の3つがある。今回紹介するものはLower 1/3 CowitnessのSW0110。

Absolute CowitnessはAR-15のアイアンサイトがレンズ中央に来る高さ。Lower 1/3 Cowitnessはレンズ下1/3の高さだ。


M3x4mmネジにはネジロック剤の一種であるNylokが塗布されており、反動による緩みを防いでくれる。Nylokは繰り返しの使用にも性能低下が少ないと評判だ。これら各種ネジやダイヤル類は4140H鋼で作られている。


こちらはTrijicon RMR系フットプリントのLEAP/04

LEAP04はレンズ中央部までの高さが1.42インチのSW0400(約3.6cm:通称Absolute Cowitness)、1.57インチのSW0410(約3.9cm:通称Lower 1/3 Cowitness)の2種類のラインナップ。チョイスしたのは同じくLower 1/3 Cowitness仕様のSW0410。


特筆すべきはその軽さだ。両者共に公式では47グラムであり、実重量は光学照準器を接合させるネジ抜きで45グラムという驚きの軽さ。

著名な他社マウントで重量比較してみようか。T2規格だとド定番LaRue – LT660で80グラム、Aimpoint純正のLRPマウントで85グラム、スタイリッシュなくびれが美しいREPTILIAのT2マウントでも51グラムである。RMR規格で比べてみてもLarue – LT827で68グラム、American DefenceのRMRマウントで99グラムと軽さに関しては他の追随を許さないのが数値を見てもわかる。


この軽さだがLEAP 01及び04は、最大で1500ポンド(680キログラム)の荷重に耐えられるよう設計されている。

軽さと強度を併せ持ったボディ素材は7075-T6アルミニウムであり、公式曰く同じサイズと形状を普及帯の6061-T6アルミニウムで製造した場合と比較して引張強度85%、弾性限度82%、せん断強度60%、ブリネル硬さ(押し込み)58%の性能向上になっているという。


Scalarworksのマウントで軽さ以外に特徴的なのは左側面にある歯車状の脱着用リューズであるClickDriveシステムだろう。

バネで制御された緩み留めストッパーが内部に仕込まれており、手締めのみで脱着を繰り返してもほぼ同じ締付けトルクを得ることができる。例え銃器を替えようが、違う人が締めようがゼロインが狂うことがほぼ無いという触れ込みだ。締め込むトルクがどうのこうのと考えなくて済む。


リューズを含めた側面の出っ張りは両マウント共に最大でも7mm未満となっており、同じく素手のみで脱着ができる一般的なQDマウントよりもはるかに抑えられいることも売りなようだ。

レールと接する底面部は前後にリコイルラグ等が無いため、工作精度が微妙なレールにも装着しやすい。

右側面のアジャスター側とはリューズから繋がるラチェット機構付きのネジのみで繋がっているわけではなく、内部に硬化鋼製の精密研磨ピンが2本挿入されており、締付ける際のズレ防止になっている。


ただしQDレバー式のものと比べると素早く簡単に脱着という点は少し劣る。スコープマウント版のLeap/08でも言ったがここを改善してくれればより完成度の高いマウントとなることだろう。

訓練で光学照準器の検証を行う際、内容や時間によっては頻繁に付け外しを行う事が多い。脱着そのものは数十秒で行えるものの、ClickDriveのリューズは締めていくにつれてクリックのテンションが固くなるため、短時間で繰り返していると指が痛くなったりする。


脱着によるゼロインのズレは非常に少ない。両者共に200メートルでゼロインを行い、その場で外して再度取付けての検証射撃を3回行ったが、平均として最大でも3cm前後の誤差しか無かったのには驚いた。

私が昔から所持しているT1/T2系フットプリントマウントの定番であるLarue LT660もほぼ同じか若干多くなるかのゼロインのズレではあるが、こちらは使用する銃器のマウントベースによってはアジャスター調整を工具を使用して行う必要性があり、その調整を行った場合はゼロインのズレは当然より多くなる。


Scalarworksのマウント類全般に言えることだが、そのデザインは軽量化のためだけでなく、見た目にも特徴的で美しさも兼ね備えている点も良い。

中央部はごらんの通り風通しが良くなっているデザインのため、視界の妨げにならない点も評価したいデザインだ。

LEAP 08と同じく、手で撫で回したくなるサラサラで滑らかな質感はマウントとしては高価な価格設定に納得感と満足感を与えてくれる。

Conclusion | 総評


とりあえず言っておくがダットサイトを載せるマウントとしてはこのLEAPシリーズは高価な部類だ。今回紹介したLEAP01 & 04共に実売価格は150ドル前後であり、国内で購入する場合も2万円後半の出費となることを予算審議委員会にかける必要がある。

ただし総合的なクオリティを考えると安いダットサイトが買えるほどの価格設定がそこまで高いとは思わない。


ClickDrive機構の関係上、泥臭くゴリゴリでガチガチのミリタリー目的としての使用における砂塵がどんな影響を及ぼすかはわからないが、ここまでの軽量さに加え耐久性と信頼性を併せ持っていることがScalarworksの売りだろう。

両者共に多数の訓練や実弾射撃を経験させているが使用上で何か不具合や問題点はない。

何度も言うがClickDriveは素早い脱着ではなく、工具を使わず素手で脱着できるものとして見ることが適切だろう。

軽さに強度や信頼性を両立させたマウントは無いか?と言われた時にだいたい誰もが有力候補に挙げる製品がこのマウントである、実際我々もそう思う。ダットサイト程度を取り付けるマウントの重量が数十グラム増加することなんてどうでもいい、QDマウントのほうが素早く脱着できるじゃねえかという人には刺さらない製品かもしれないが。

その他ダットサイトやプリズムスコープ用フットプリントのLEAPシリーズは現在(2025年5月)下記のラインナップを揃える。

・LEAP/02:01と同じくT2フットプリント用で2.26インチ(約5.7cm)の高いマウント。マグニファイヤーを設置できるハードポイント付き。

・LEAP/03:Aimpoint ACROSteiner MPSフットプリント用。

・LEAP/05:Trijicon MROフットプリント。

・LEAP/10:T2フットプリントだが、Aimpoint Duty RDSCOMP M5sの高さに合わせたモデル。

・LEAP/11:HOLOSUN AEMSフットプリント。

・LEAP/12:EoTech EXPSフットプリント。

・LEAP/13:Aimpoint COMP M4PROフットプリント。

・LEAP/14:Trijicon ACOGフットプリント。

・LEAP/15:EoTech XPSや512、HOLOSUN HS510C、Vortex UH-1の高さに合わせたピカティニーレールライザー。

スコープマウントであるLEAP 08のレビューはこちら ↓ ↓

【レビュー】 Scalarworks – LEAP 08