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ジャンル:ダットサイト、ホログラフィックサイト

ホロサイトへの対抗馬としてボルテックスが世に送り出した「UH-1」の第2世代版

執筆時期:2020年8月

実弾射撃評価:有り(AR-15系)

※1:2024年4月、実弾射撃等の評価を追記。

第1世代版とマイナーチェンジ版の「VORTEX RAZOR AMG UH-1」のレビューは下記へ ↓ ↓

【レビュー】 Vortex – Razor AMG UH-1 HOLOGRAPHIC SIGHT ( Gen1 )

SPECS | 性能諸元

メーカー名(メーカー国・製造国) VORTEX OPTICS (アメリカ合衆国)
全長×全高 9.9×6.9cm
重量 311.8グラム
倍率 1倍
レティクルパターン 赤色レーザー 1MOA & 65MOA
イルミネーター 赤色レーザーダイオード 15段階+NV用4段階
使用電池(電池寿命) CR123Aリチウム電池(中光量で約1500時間)
価格 799.99ドル

商品力を高めた第二世代版


世がコロナ騒動で右往左往しており、その煽りで様々な仕事が滞ったり消滅してしまった私は、時間も空いたことだしマイナーチェンジ化された、「VORTEX RAZOR AMG UH-1のレビュー」でもそろそろ書こうかと重い腰を上げようとしていた。

そこへ、UH-1が第2世代版(Gen2)、言うなればフルモデルチェンジという形で発売されたという知らせが届いた。どうせならコイツのレビューも同時にしてやろうということで、入手を図った。


第2世代(AMG-HS02)になることによって、大きく改良された点は以下の4つだ

暗視装置対応モードの搭載

軽量化を目的とした肉抜きデザイン

接眼レンズの大型化

電池蓋を改良し、充電ポートを除外

あと、名称が「RAZOR AMG UH-1」から「AMG UH-1」へと変わっている。RAZORはどこ行った?


付属の説明書に関しては、かねてから私がボルテックス製品全般にちょくちょく文句を言っていた、「説明書のイメージ写真の解像度が低いよ問題」が少し改善されていた。


正面対物レンズそのものの大きさは変わっていないが、レンズガードを兼ねている全面ハウジングを切り抜いたことで、レンズが大きく見える。

第1世代版でこれまた私が似合わないと文句を言っていた、レンズ下部の文字列は消滅していた。


全周にわたって様々な箇所の贅肉を削ぎ落とし、肉抜き化されているため、第1世代版のストン・ヌルっと言った印象のデザインから、ギア感が伴った印象が出てきた。


ちょっと開けにくかった電池蓋は、折りたたみ式の取っ手が設けられて改善されている。

電池関係の大きな変更点として、LFP123Aリチウムイオン充電池を挿入した際に使用する充電ポートは廃された。やはり、あの機能は需要がなかったのだろう。

充電ポートは廃されたが、LFP123Aリチウムイオン充電池は引き続き使用できるとのこと。


ちょっと殺風景だった上面も、全体的にスリム化が施されている。


かなりの箇所を肉抜きされ、さぞ軽くなったのだろうと思うかもしれないが、重量は311.8グラムと、第1世代版の334.5グラムと比較すると、22.7グラムほど軽量化したに過ぎない。

しかし、全体的な重量バランスも見直されたのか、数字以上に軽く感じる。おかげで、銃をかまえながら激しい動きをした際も、光学照準器に振り回されている感は軽減された。



第2世代版になっても、その強烈なSFチックな外観は健在。どんな銃器に載せても、近未来のエネルギー銃と化す。


ボタン操作、オートシャットオフ機能等は何も変わらず同じだ。ただ違うのは、プラスボタンとマイナスボタンの間に暗視装置対応モードである「NV」ボタンが加わっている。

暗視装置対応モードにするには、「NV」ボタンを長押しする。NVモードでは明るさを4段階で調整可能だ。

→この暗視装置対応モードは肉眼で視認することはできない。


50メートルの距離で青いツナギを180cmの高さになるように設置

接眼レンズを若干サイズアップしたことにより、視界の広さはそこまで変わらないが、覗きやすくなっている。

レンズの透明度に関しては、第1世代マイナーチェンジ版とほぼ変わりなく、レンズ全体に若干の青みがある。レティクルのツブツブ感も同じ。

レンズの歪みは皆無に等しく、違和感を一切感じさせない。

接眼レンズが大型化されたことにより、レンズの縁や鏡筒内部の反射は少し増加傾向にあるが、激しい逆光下においても目障りなレベルではない。また、様々な光源に対して、フレアやゴースト、映り込み等が出にくくなっている点に関してはより改良されているように感じる。正確な比較はしていないが、この点はEOTech ホロサイトよりも優れているのではないかと思う。


第1世代版↑(こちらの方がイルミネーションを暗く設定)


第2世代版(Gen2)↑

パララックステストだが、第1世代で指摘していた、レティクルを左端に持っていくとだんだん消えていく現象に関しては大きく改善していた。

ただ、右に10cmほどズレていたレティクルが、Gen 2は左に10cmほどズレているという結果になっている。

また、上面へのレティクル投影の限界値が少し下がっているのも比較するとわかるだろう。


EOTech ホロサイトとは同じホログラフィックサイトでも構造が違うと言われているので、詳しい技術的なことはわからないが、通常のダットサイトと違い、レティクル発光面が対物レンズ側から見えにくいので、明るさを最大にしても、このように日中であれば対物レンズ側から発光面はもちろん、鏡筒内の反射も見えない。夜間や暗所であっても、常識的な明るさであれば肉眼での視認はまずできない。


15段階の明るさで調整可能なイルミネーションに関しては、最大光量が第1世代版より若干落ちている。だが、それでも日中で十分余裕を持って扱うことができる明るさではある。

最低光量は相変わらず明るい。暗闇はもちろんのこと、少し暗めの室内でももう少し暗くしてほしいと思えるくらいだ。暗所でも、状況によって暗視装置を使えない、使いにくい、そもそも所持してないといった場合も当然ある。同じく最低光量が明るい同社のRAZOR HD Gen2 1-6x24と違い、このようなダットサイトやホログラフィックサイトはイルミネーションを切ると使い物にならなくなる。ならば、NVモードがあったとしても、もう少しイルミネーションのメリハリをつけてほしいところだ。

第1世代版でも言ったが、AimpointやEOTechにはNVモードを使わずとも、暗視装置で使用できるレベルまで光量を抑えられる機種もある。イルミネーションの細やかな作りに関しては、彼らのほうが上手だろう。


UH-1のレンズ中央までの高さはGen2も変わらずLower 1/3 Co-Witness(1.57インチ = 約3.98cm)。AR-15での使用を想定されたアイアンサイトとの併用の場合、レティクル位置をアイアンサイトに重ね合わせるのは少し無理があるが、レンズ視界内にアイアンサイトが邪魔にならず、尚且つ同時使用もできるという点では良いだろう。

海外にてAR-15系のライフルを用いて実弾射撃を行ったが、あくまで個人的にはレンズの見やすさはEoTechのホロサイトの方が良いと感じた。レティクルはUH-1が好みではある。

重量に関してはホロサイト同様に300グラムオーバーなため、ブンブン銃器を振り回していると少し重く感じる。なんちゃってホログラフィックサイトではあるが、レティクルが切り替えできてしかも重量は230グラムであるHOLOSUN – HS512Cの方が私は好きだ。耐久性や信頼性はどれが上かはわからないが、価格も安い。

Conclusion | 総評


UH-1 Gen2の希望小売価格は150ドルほど上がって799.99ドル。実売価格は500ドル前後であり、同じく暗視装置対応モードを搭載したEOTech EXPS3等で比べると安く入手できる。

暗視装置モードが搭載され、重量バランスも改善された。ただ、全体的なコンパクトさや、イルミネーションの柔軟性、レンズの透明度を求めるのであればEOTechホロサイトの方に軍配が上がる。

耐久性や信頼性に関しては、UH-1の方が上という意見やレビューもあるが、これに関してもまだまだ検証が必要だ。暗視装置モードを搭載したことにより、これから法執行機関への採用や試験が行われるかもしれない。

両社とも、商品力が高いことに変わりはない。現時点でボルテックスとイオテックのどちらを選ぶかは、好みや使用スタイルで選んでも良いのではないだろうか?

ただ、100~200グラム前半台の重量が多い通常のダットサイトと比較すると重量は300グラムオーバーと少し重い。ダットサイトもレンズの透明度やパララックスの少なさに関してはかなり技術力が向上しているので、どちらが良いかはよく考えるべきだろう。