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※本製品の購入等に協力してくださいました、デザートカウボーイ様に感謝いたします。本製品はデザートカウボーイ様にて購入可能です。

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Primary Arms – SLx 1X販売ページ(ブラック)

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Primary Arms – SLx 1X販売ページ(FDE)

https://desertcw6.com/products/detail.php?product_id=3485

Pros & Cons | 一長一短

※ここはあくまで、KUSEMONO TACTICALが想定する使い方、視点から見た一長一短です。

※一長一短をわかりやすく表記しているだけであり、項目の数や内容、順番による採点評価ではありません。

優れている点 6cmほどのコンパクトなサイズ
  ACOG(小型モデル)と同じフットプリントであり、多様な高さに調整できる多数のライザーやマウント付き
  省エネ性能を両立させた、暗闇から日中までメリハリのあるイルミネーション
  素早く狙いやすく、距離も計測できるレティクル
  300ドル以下とは思えないクリアで歪みの少ないレンズと高い耐久性
  非常に余裕のあるアイリリーフとアイボックス
改善を要する点 光源を背にした際に目障りなゴーストが出やすい
  イルミネーションが対物レンズからよく見える
  レティクル中央のシェブロンは距離が離れてくると精密な狙いを付けにくい

前編はこちら ↓ ↓

【レビュー】 Primary Arms – SLx 1X MicroPrism (前編)

さて、後編ではダットサイトやACOGの議席を奪えるだけの実力があるのかを、Aimpoint Micro T-1との比較や様々な訓練、実弾射撃に投入して検証していこう。

下の動画も参照しながら見ていただきたい ↓ ↓

 

近距離における照準 │ T-1との比較

まずは各距離にターゲットを配置し、どのような見え方になるのかを検証していきたい。最初は近距離(8、10、14.5、20、30メートル)から見ていこう。(動画は0:15~



※動画からキャプチャした画像を使用しています。

各距離に人間の上半身を模したUSPSAマンターゲット(縦75cm×横45cm)を設置し、ダットサイト代表として連れてきたAimpoint – Micro T1と比較照準してみた。

まず見て取れるのは、SLx 1Xのレンズ内の視野の広さがT1と比べて優れている点にあるだろう。(ただしボディの出っ張りはSLx 1Xのほうが大きいが)

SLx 1Xの視野は76.5ft / 100ヤード:23.3m / 100mであり、コンパクトで低価格ながら、下記に表記している他社等倍スコープと比較しても、同等の視野を確保している。

VORTEX – SPITFIRE AR Prism Scope 1x:79ft / 100ヤード

Vector Optics – Paragon 1×16:76.3ft / 100ヤード

Hawke – PRISM SIGHT 1×15:74.7ft / 100ヤード

とは言え、基本的には光学設計に余裕が持てるLPVO(Low Power Variable Optic:倍率可変可能な低倍率スコープ)のほうが視野は広い。

イルミネーションは共に同等レベルの明るさ(SLx 1X:10/13、T1:10/12)にしているが、ターゲットへの照準は馬蹄型サークルレティクルのあるSLx 1Xが有利だ。それはこのような近くて素早い射撃を求められる射撃距離だと尚更そう感じる。

同じダットサイトでも、SIG SAUER – Romeo 4Mや、ホロサイトのようにサークルレティクルを採用しているダットサイトでも同じ優位性を得られることは可能だ。

ただ、青みがかったレンズのあるAimpoint – Micro T-1のほうが、ギラつく明るさとコントラストを抑えてくれる関係上、場合によってはこちらのほうがターゲットを認識しやすくなっている場面もあるのも事実だ。

動画ではわかりにくいが、レンズを覗いた状態で動かすと、周囲の歪みが少し発生する。ただ、この手のプリズムスコープの中では歪みは少なく優秀だ。これは激しく動き回るCQB戦やクレー射撃等でも期待できそうだ。


次は30メートルに距離を伸ばそう。

この距離だと、馬蹄型サークルレティクルがターゲットと大きさが被り、ターゲットの詳細が少し見えにくくなっている。ターゲットはサークルレティクルで捕捉しやすいかもしれないが、対人や対動物の場合は誤射等に注意が必要だ。

ダットサイトの場合は、ダットの明るさを下げる処置が可能だが、プリズムスコープの場合はイルミネーションを切ってもレティクルはそのまま残っているため、場合によっては捕捉前後にターゲットをレティクルから避けて確認を行う必要性が出てくる。

レンズの明るさに関しては光を多く取り込めるプリズムスコープが強い。これは夕暮れ時や夜間、暗い室内だとより差が出てくる。

00 Backshot Pattern


ここからは青のツナギを180cmの高さに設置して照準。

さて、30メートル距離にて遠回しに邪魔とか何だのと言われた馬蹄型サークルレティクルだが、実はこの大きさには意味がある。このサークルレティクルの内径は、対人用途でよく用いられている12番ゲージショットガン散弾である、ダブルオーバック弾の、25ヤード(22.8メートル)における平均拡散パターンに合わせてデザインされている

25ヤード(22.8メートル)は、平均的な18インチバレルの散弾銃から発射されるダブルオーバック散弾を、対人相手に全弾命中させれる最大距離だと言われている。

バックショットの射撃経験から言うと、まぁ確かにこんな感じの拡散パターンだろうなという印象だ。

ACSS CYCLOPS G2レティクルは、様々な銃器への対応や活用を謳っており、これもそのうちの一環なのだろう。散弾銃にこの照準器を載せ、狩猟や家の守り神として配備したい人には良いだろう。

私を含め、今回この照準器を検証した3人中2人は、そんなことよりもサークルレティクルを拡大してほしいという意見ではあったが。

50メートル照準 │ T-1との比較


それでは、毎度おなじみの50メートル照準に移ろう。

先程から接眼レンズ右下にまばゆいゴーストが2個光輝いているが、これがけっこう目につく。冬の太陽や室内等の低い位置の光源を背にした場合に出やすく、レンズ中央より下の斜めに出る。

レンズ中央等の照準の妨害になるほどの位置には出ないが、室内等光源が多いところではこのゴーストが3個から4個に増えたりもするので、目障りと感じる場合もある。


この条件下に関しては、他のダットサイトやスコープ等でもゴーストやその他反射等が出やすいことは確かだ。上の写真は同条件下で鏡筒内部が対物レンズ内側に反射しているAimpoint – Micro T-1の様子。

ただ、SLx 1Xは他よりもさらに出やすく、眩しく感じる。致命的、もしくは大きなネガとまでは言わないが、邪魔には感じる事は多い。

個人的には、SLx 1Xのゴーストのほうが眩しいが、T-1の反射はレンズが小さい分より邪魔には感じる。


こちらはイルミネーションを灯した状態。

この日は清々しい冬晴れで、イルミネーションは13段階中12段目がちょうどよかった。晴れの日中でも明るく灯るイルミネーションのため、ダットサイトとの挿げ替えをしても通常の使用だと問題ないだろう

ただ、Aimpointのダットサイトや、Vortex Razor HD Gen2等の非常に明るくイルミネーションを灯すことができる機種と比べるとイルミネーションの明るさは劣る。直射日光下の雪原や砂地等では物足りなく感じるだろう。

13段階あるイルミネーションのうち、下から3段階目は暗視装置を使用した場合を想定した非常に暗い設定となっている。ただ、一番暗い設定であっても肉眼でぎりぎり灯っている様子は見れる明るさではある。実際に暗視装置で使用した限りでは、逆V字シェブロンが2MOAのダットサイトと比べて少し大きく明るいため、150メートルくらいの距離なら使えるかなと言った印象だ。

イルミネーションを付ければダットサイトのように使用でき、何らかの理由でイルミネーションが使えなくなってもレティクルは存在し続けるので射撃は可能。終末世界に備える(望む)一部のアメリカ人にはこの点がウケ、この製品は等倍プリズムスコープとしては異例のヒット商品となった。

100メートル照準

 



条件は同じで距離を倍の100メートルに伸ばした。イルミネーションは、この日は夕暮れ前だったので1段下げている。

背景の関係もあるが、距離によってはイルミネーションが少し照準の邪魔に感じることもある。距離が離れていたり、精密射撃を行いたい場合はイルミネーションをオフにしたり暗くしたりするのも手だろう。

斜め下に出やすいゴーストが少し邪魔だが、標準的なダットサイトと比べてやはりレンズの明るさや視野の広さは有利であり、距離が離れても余裕を感じる。

SLx 1Xはマグニファイヤーとの併用を考慮された光学設計にもなっているので、そうすればより精密に、より遠くの射撃でも卒なく使えるLPVOのような使用方法も可能だろう。

前編で行ったレティクルのBDC(距離による弾丸の落下予測)機能の話に戻るが、中央の逆V字型のシェブロンの頂点を、1Ozの12番ゲージライフルスラッグ弾を用いて25ヤードでゼロインを取った場合、内側のシェブロン頂点で75ヤード、シェブロン底辺の平行線上で100ヤードのBDCとなるみたいだ。私の近場でプライベートで25ヤードで射撃できる射撃場が無いため、50メートルでの射撃場を利用してゼロインを行った場合どうなるのか?その場合、50メートルでゼロインしたライフルスラッグ弾は、100メートルの距離では今までの経験上、平均して15cm前後落下して着弾している。それをこのシェブロンに当てはめると、内側のシェブロン頂点より少し下くらいに着弾することとなる。この照準器でスラッグ弾射撃をする人がどれほどいるかはわからないが、自分への備忘録も兼ねて書き記しておく。


ただこの手のプリズムスコープ&レティクルイルミネーションの発光面積が広い機種のお決まりだが、対物レンズ側からイルミネーションが灯っている様子はよく見える。

写真は室内にて最適と判断した、13段階中7段階目の明るさのイルミネーションで点灯し、対物レンズ側から撮影した様子。暗所や閉所での対人使用を考える場合はこの点を考慮して使用した方が良いだろう。

今までレビューしたプリズムスコープでイルミネーションが対物側から圧倒的に見えにくかったのはELCAN – SpecterDRシリーズのみだ

【レビュー】 ELCAN – SpecterDR 1-4x

パララックステスト │ 100メートル


100メートルでのパララックス(視差)によるレティクルのズレは、5cm以上10cm未満といった印象だ。アイボックスが広く、ダットサイトのような運用も可能なためラフな姿勢での射撃を行うこともある本製品。悪くない数値だ。

各種訓練、実弾射撃における使用感等


今回、大規模な演習・訓練シーズンに合わせてSLx 1Xを導入したため、私を含めたクセモノタクティカル研究員3人による様々な状況下での検証ができた。

※チラホラ出てくるクロコちゃんの写真は特に関係ありません。目の保養かお茶濁しとでも思っててください。

山林における陣地防御・偵察 / 襲撃訓練+暗視装置との併用


今回大規模演習では、陣地の防御訓練をメインに行った。まずは当研究員の一人が防御側としてMINIMI軽機関銃にSLx 1Xを搭載し、薄暗い林内の山道を見下ろせる隆起に作られた機関銃陣地にて敵を迎え撃つ。最大見通し距離は110メートルほどで、SLx 1Xの明るいレンズで散兵や軽車両を七面鳥撃ちのように捉えることができた。

MINIMI軽機関銃には空砲とレーザー光線による射撃訓練システムを使用。
また、途中30メートルほどにある脇道から、夕暮れや夜中に斥候員(偵察部隊)がちょっかいを出しに来たが、これも幕府軍官品の微光暗視装置との抱き合わせにより、盛大に歓迎会を開くことができた。

この暗視装置は、「AN/PVS-14」タイプの物で、ヘルメットにマウントして使用。いくらイルミネーションが暗視装置対応とは言え、この手のプリズムスコープだと非常に狙いにくいことが多いが、自由度の高いマウント調整機構と、余裕のあるアイリリーフやアイボックスで、比較的射撃態勢を取りやすかったとのことだ。もちろん、ホロサイト等の大きなダットサイトにはかなわないが。ただ、光の透過率の高い光学設計となっているため、通常のダットサイト越しでターゲットを見るよりも明るく見やすい。

後日、私も同タイプの暗視装置にてSLx 1Xで照準し、暗所にて射撃を行ってみたが、意外と普通のダットサイトを使用するようにすんなりと射撃できた。光透過率が高いので視界も良好だ。もちろん、アイリリーフ等を多少考慮した位置へのセッティングが必要ではあるが。

3段階ある暗視装置用のイルミネーションとレティクルは、思ったよりは綺麗に表示されており、50~100メートルくらいまではマンターゲットへの射撃はさほど難しく感じなかった。明るめの月夜だと暗視装置設定3、月や星も少ない曇った夜だと暗視装置設定2が良い感じだ。

ただ、レティクルの焦点を暗視装置越しの視界とマッチングさせるため、視度調整リングを回さないといけない場合は、このリングの固さが少し仇となる。

さて、機関銃手研究員が撃ちまくって数日が経過。役割交代となり、今度は仮想敵役として私がSLx 1Xを拝借して参戦。防御時、私は対戦車誘導弾射手の警護だか雑用係だかわからないような退屈な役回りを行っており、当研究員が担当していた機関銃手のトリガーハッピーっぷりを羨ましく聞いていた。解放された私は、防御側を驚かせてやろうと、斥候員として死角から回り込むように藪漕ぎと山登りに勤しんだ。T1タイプのダットサイトと比べると少し重いが、コンパクトで丸みを帯びた外観のため、機動性を損なうことなく侵攻することができ、背後から元気よく各陣地への挨拶回りを行うことができた。

→この際、Type89にSLx 1Xを装着。

大規模施設における対ゲリラ警備訓練


また、別研究員が重要防護施設の対ゲリラを想定した警備訓練に参加するとのことで貸し出しを行い、大規模施設におけるCQB(Close Quarters Battle:近接戦闘)を検証してもらった。屋外で300メートル以上離れた場所へ狙いをつけることもあれば、配管や機械類が所狭しと密着し、公衆便所のような隙間や通路を縫ってクリアリングをしなければならないエリアもある施設だったが、LPVOやダットサイトの扱いに慣れていれば何も問題が無かったとのことだ。

薄暗い室内であっても、ダットサイトよりも明るいレンズ+イルミネーション付きのサークルレティクルにより瞬時の射撃にも対応ができた。

もちろん、1倍率ということもあり、300メートルを離れると対人相手だと狙いが困難になる。レティクル面でも、逆V字型のセンターシェブロンもう少し先細りしていくような形状や、センターを小さなドットのようにすると、距離が離れてもより狙いやすくなるのではないだろうか。

敵ゲリラに建物深部まで侵攻され、戦術上室内を暗くして、仲間との連携でフラッシュライトによる撹乱と射撃を行う際には、相手側の暗視装置に発見されることを危惧して、イルミネーションを薄暗く、もしくは切ったとのこと。(対物レンズ側から点灯しているイルミネーションがよく見えるため)

200メートルから近づいてくるターゲットへの実弾戦闘射撃


他にも、戦闘射撃訓練も実施。ターゲットは数秒間現出した後に隠れ、徐々に近づいてくる設定で、200メートルからのスタートとなった。使用した銃器はType89。

素早さが求められる射撃において、やはりサークルレティクルは有効だ。また、馬蹄型によりレティクル下方が切れていることで縦長のターゲットがレティクルに隠れて邪魔になることを軽減してくれる。

最終的には50メートル位置まで近づいてくるが、撃ち漏らすことなく余裕を持っての射撃となった。

12番ゲージスラッグ弾射撃 | 50メートル・イノシシ猟


これは完全プライベートではあるが、私物の散弾銃(Benelli – M2)を用いて、12番ゲージライフルスラグ弾を50メートル先のターゲットに向け、射撃した。写真はゼロイン調整を終え、立ち撃ちで4発撃った結果である。(動画は2:23~

私はあまり射撃が得意なほうでは無いし、サボットスラグほどではないが、3発が3.5cm程度にまとまったこの集弾性能はなかなか良い。サークルレティクルをターゲット用紙の外枠に当てはめ、逆V字型のシェブロンで精密に狙うことを簡単にできる。

よく当たるので、調子に乗ってパンスカ撃っていると、最後の4発目で少し外れた。そういうとこだぞ。

普段使用しているダットサイト(Aimpoint – Micro T-1)と違い、乱視によるダットの滲みやブレが無いのも非常に有利だ。


ちょうど猟期にも入っていたため、同スラッグ弾でイノシシ猟も行った。

斜面から下りてきた個体を20メートルくらいの距離で撃ち抜いた。起伏のある地形を動き回るイノシシに対して、ここでも捕捉追尾しやすいサークルレティクルは役立つ。

この馬蹄型サークルレティクルに関しては、プライマリーアームズのACSSレティクルシリーズの大きな特徴でもあり、近年変更されたメーカーのロゴマークにもデザインされているほどだ。

クレー射撃 │ トラップ


ショットガンを使ったとなると、やはりやりたくなってくるのはクレー射撃だ。銃を振り回す角度は少ないとは言え、距離が遠くなるトラップ種目を行ってみた。

逆V字型シェブロンが空飛ぶお皿を捕捉するのに良く、個人的には点のみのダットサイトで狙うよりも更にやりやすかった。クリアな視界でパカパカ割れる皿を見る快感は、普通のダットサイトでは味わえない。Woohoo!

ただ、イルミネーションを真っ赤にすると蛍光オレンジ色のお皿の色と被りやすいくなるため、イルミネーションは暗めに設定した。

クレー射撃での利用はどう考えてもPrimary Armsが設計した用途とは違うのは百も承知だが、こういう場面でも、もう少し馬蹄型サークルレティクルがもう少し大きくかったらと思ってしまう。

何にせよ、今までの等倍プリズムスコープでクレー射撃なんてやろうとはあまり思わなかったが、SLx 1Xの懐の大きなアイリリーフやアイボックスならば意外とやれてしまうことがわかった。素早く銃を動かした際のレンズに映る歪みが少ないのも良い。

クレー射撃関しては、スキート種目等もっと他の種目や回数を重ねて検証していきたい。

至近距離における勘撃ち │ Point Shooting


※写真はトイガンのM870です。

ダットサイトであれ、スコープであろうと、至近距離での出会い頭や待ち伏せ等では、レンズを覗いている暇を相手は与えてくれない。そうなれば基本的には勘撃ち(俗にPoint ShootingもしくはInstinctive Shootingと呼ばれている)を行わなければならないのだが、CQBに強い光学照準器であれ、あまりにも距離が近い場合は光学照準器そのものが視界の邪魔となり、銃身を利用した指さし要領での勘撃ちが難しくなる。

その場合、光学照準器の一部を用いて簡易的な照準を行う様々な手法がある。Plx 1xは、エレベーションダイヤルの盛り上がりをターゲットに合わせて射撃するAMPUTATIONという手法が使いやすいかもしれないが、ちょうどここに中央縦に分割するようにパーティングラインがある。それをより狙いやすく白い塗料を塗ってみた。上の写真がその様子だ。


さて、これを至近距離戦闘用の照準器と見立てて検証射撃を行うとしよう。10メートル離れた場所に、A4サイズのターゲットを設置。ハイレディで構えた状態で合図の後、1秒以内に1発射撃を行うという状況を2回実施した。使用した銃器はレミントン – M870で、12番ゲージライフルスラグを使用。

ハイレディで構える理由は、使用した銃器がグリップとストックが一体化したオーソドックスな形状の散弾銃だったため(この形状のストックは、ハイレディのほうが素早く構えやすい場合が多い)。

この検証は、海外で行った別訓練の休憩時間を利用して実施した。ほぼ思いつきでやったにも関わらず、協力してくれた方々に感謝する。本当はその訓練でメインとして使用していたMP5やMPX等を使用したかったが、大人の事情でできなかった。

少しハードな条件下での射撃ではあるが、火山のように出っ張った形状と、塗装した白いラインのおかげで自然と無意識に狙いが決まりやすかった。

グルーピングも中心点からは少し外れているものの、2発で12cmにまとまっており、十分に致命打は与えられるだろう。

Conclusion | 総評


私は等倍プリズムスコープが好きだ。視力弱者でもあるため、ダットサイトでは得られない明るくクリアな視界をより享受することができるからだ。しかし、なかなか市場には、実戦で使おうと思える等倍プリズムスコープが無かったことも事実だ。それが、今回出会ったPrimary Arms – SLx 1X MicroPrismに関しては、多くの領域で私が求める物を持っていた。

300ドルを優に下回る269.99ドルという低価格ながら、小さなボディにクリアで見やすいレンズ、広大なアイリリーフとアイボックス、明るいイルミネーションとユニークで使いやすいレティクルを持っており、プリズムスコープに対する固定観念を大きく変えてくれた製品であった。プリズムスコープに対するこの驚きはElcan – SpecterDR以来だ。


もちろん、パーフェクトな製品ではない。致命的ではないが少し目障りなゴーストが出やすい接眼レンズに加え、多くの他社製品も同様とは言え、自慢のイルミネーションは対物レンズ側からよく見える。

レティクルの細部については、ユーザーの使用環境によって意見が変わりそうではあるが、更に煮詰めることのできる余地はあるとは思う。

前編で言った、このプリズムスコープをダットサイトから置き換えることができるのか?に関しては、銃や光学照準器に対する基本的な構えや取り扱いができていれば可能であり、選択肢に入れてもいいだろう。特に乱視等でダットが鮮明に見えない人は一度試してみる価値はある。

今回、3人のシューターによって様々な訓練や射撃に投入し、空砲も含めるが合計700発以上の弾薬をこの製品で消費した。国内外の様々な訓練や射撃業務とうまく被ることができたというのが大きいものの、ここまで様々なことにねじ込んだ大きな理由は、等倍スコープ、もといこのSLx 1Xを皆楽しくて使っていたからでもある。

ハードな訓練や射撃に使用したが、大きな不具合もなく健在だ。そして、まだまだこの等倍スコープのポテンシャルがあるような気さえしてくる。しばらく、私物の散弾銃(ベネリ M2)に載せていたAimpoint – Micro T1を降板させ、載せ替えてコイツの能力をさらに引き出していきたい。

※本製品の購入等に協力してくださいました、デザートカウボーイ様に感謝いたします。本製品はデザートカウボーイ様にて購入可能です。

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