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ジャンル:等倍プリズムスコープ

Primary Arms社のコンパクトな等倍プリズムスコープ。その使い勝手はダットサイトと置き換える事ができるのか?検証していこう。

検証人数:3人

実弾射撃評価:有り(Benelli – M2、Type89、Minimi、Remington – M870)

執筆時期:2023年12月

※本製品の購入等に協力してくださいました、デザートカウボーイ様に感謝いたします。本製品はデザートカウボーイ様にて購入可能です。

デザートカウボーイ様公式サイト

https://desertcw6.com/

Primary Arms – SLx 1X販売ページ(ブラック)

https://desertcw6.com/products/detail.php?product_id=3431

Primary Arms – SLx 1X販売ページ(FDE)

https://desertcw6.com/products/detail.php?product_id=5336

https://desertcw6.com/products/detail.php?product_id=3485

比較に用いたAimpoint – Micro T-1のレビューは下記へ ↓ ↓

Aimpoint Micro T-1 & H-1 レビュー

SPECS | 性能諸元(公式)

メーカー名(メーカー国・製造国) Primary Arms(アメリカ合衆国・中華人民共和国)
サイズ(全長) 63mm
重量 156グラム
倍率 1倍
視野(FOV) 76.5ft / 100ヤード:23.3m / 100m
レティクル ACSS CYCLOPS G2
イルミネーター 赤色LED:13段階調光(内3段階は暗視装置用)
使用電池(電池寿命) CR2032リチウム電池(25,001 ~ 50,000 時間:中設定で45000時間)
防水性能 IP67
耐衝撃性能 .308Winの7000発射撃試験に合格
価格(国内価格) 269.99ドル(2023年、5万円代で販売)

Pros & Cons | 一長一短

※ここはあくまで、KUSEMONO TACTICALが想定する使い方、視点から見た一長一短です。

※一長一短をわかりやすく表記しているだけであり、項目の数や内容、順番による採点評価ではありません。

優れている点 6cmほどのコンパクトなサイズ
  ACOG(小型モデル)と同じフットプリントであり、多様な高さに調整できる多数のライザーやマウント付き
  省エネ性能を両立させた、暗闇から日中までメリハリのあるイルミネーション
  素早く狙いやすく、距離も計測できるレティクル
  300ドル以下とは思えないクリアで歪みの少ないレンズと高い耐久性
  非常に余裕のあるアイリリーフとアイボックス
改善を要する点 光源を背にした際に目障りなゴーストが出やすい
  イルミネーションが対物レンズからよく見える
  レティクル中央のシェブロンは距離が離れてくると精密な狙いを付けにくい

等倍スコープはダットサイトの夢を見るか?


CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によると、アメリカ国民の5割~6割ほどが、乱視持ちだと言う。驚きの数字かもしれないが、自覚症状が無かったり、日常生活にほとんど影響がない人も含まれているとのこと。これは、民族や性別、年齢によって多少違いはあるものの、我々日本人にも概ね当てはまる。どうやら令和最新ヒューマンは、自前のMk-1 Eyeballに乱視や近視等、何らかの不具合を持っている人がほとんどのようだ。
自分が乱視なのか否かをチェックする簡単な方法はいくらかあるが、我々の業界でダットサイトを持っているシューターには、非常に簡単な方法がある。それはただ点灯しているダットサイトを見るだけだ。ここで赤い光点が真ん丸でなく、滲んでいたりぶれているように見えるのであればほぼ乱視であると思えばいい。

→この滲んだりぶれて見えるような現象、米国では「Blooming starbursts」や「Clusters of grapes」等呼称されている。これについては、ダットサイト側に問題がある場合も存在する。ダットサイトをデジタルカメラやスマホのカメラで覗き、同じように滲んだ見え方をするのであればダットサイトの問題だ。


このMk-1 Eyeballに関する不具合は、遺伝や現代生活に原因があるようだが、今のところ神仏による修正パッチや大規模リコールの届け出は無いようだ。我が研究会でも、眼鏡やコンタクトレンズを使用している者は多く、かく言う私も中学時代からメガネっ子であり、多くのダットサイトの点は真円には見えない。上の写真で偉そうな態度でキメている女も同様である。


この問題に対してはいくつかの解決方法や緩和方法があるが、そのうちの一つが視度調整ができるLPVO(Low Power Variable Optic:倍率可変可能な低倍率光学照準器)やプリズムスコープを使用することである。ただLPVOは重量が嵩むし、プリズムスコープは等倍機種(1倍率)が少ない、アイリリーフやアイボックスが狭い、昨今のコンパクトなダットサイトと比べると大きい等の欠点があった。そんな中、世界中がコロナウイルス相手にもがいていた2021年、Primary Arms社が傑作とも言える等倍プリズムスコープを世に放り出した。それが、今回ご紹介する「SLx 1X MicroPrism」である(以降、本製品はSLx 1Xと呼称する)。

→Primary Armsは2008年、米国テキサス州ヒューストンに生まれた新しい光学照準器メーカーでありながら、ユニークでコスパに優れる製品作りで支持を集めている。私も、同社のフラッグシップスコープである「PLx 1-8×24」や、非常にコスパの高いダットサイト「SLx MD-25」を海外で触れたことがあり、いつかこのメーカーの製品レビューをしたいと思っていた。


今まで、等倍プリズムスコープというジャンルは狩猟の世界で極々小さな需要は獲得していたものの、特に戦闘用途としてダットサイトの牙城を崩すようなことは無かった。Aimpoint Micro T-1の誕生以降、小さなダットサイトが市場を埋め尽くしていた事もあり、大きくてアイリリーフの存在する等倍プリズムスコープはあまり大きな支持は得られていなかった。

大きさの点で言えば一部Bushnell – LIL Pという例外はいたものの、いつの間にか消滅していた。

もちろん、この「SLx 1X」が多数派であるダットサイ党の議席の多くを奪ったわけではないが、少なくとも等倍プリズムスコープの地位を上げ、新たな議席を獲得したことは事実である。それどころか、同社他プリズムスコープラインナップと共に、Trijicon ACOGシリーズが持っていた議席すらも狙っている。いったいこの小さな等倍スコープは従来のそれと何が違うのか?そしてダットサイトやACOGの首をすげ替えるような実力があるのか?


まずは外観を見ていこう。

流線型でコロンとしたボディは、トリジコンのACOGと言うよりも、MROのような外観である。

SFちっくな近未来型照準器という感じではなく、どことなく懐かしさを感じ、見ようによっては子供が描くかわいい潜水艦のようにも見えてくる。


それ故か、この光学照準器はM14やM870、FALのような古いタイプの銃器によく合う。


ボディ素材は、ハードコートアルマイト処理のされたアルミニウム合金製。

低~中価格帯の光学照準器に多い、少し光沢のあるサラッとした質感だ。


サイズに関しては、全幅こそSLx 1Xが少し太いものの、全長はコンパクトなT1とほぼ同じ6cmほどの小人である。T1と同等のサイズにしようという意気込みや努力がひしひしと伝わる。

双方とも公式ではSlx 1Xは63mm、T1は62mmと何故か全長がカタログスペック上は1mm長い。製造誤差を最大限に見積もったのか、私とメーカーとでは使用している物差しが違うのか。

重量はさすがに、重いレンズの枚数が違うこともあって117グラムしかないT1と比べると、202グラムと80グラム近く重くなっている(双方ともローマウント込の重量)。

紛らわしい名前だが、以前よりプライマリーアームズは、「SLx Compact 1x20mm」という等倍プリズムスコープを販売している。それと比較すると、全長で4cm短く、重量は40%軽くなってる。


対物レンズは20mmほどのものが入っており、黄緑やクリーム色系統のマルチコートが施されている。接眼レンズはそれらに加えて水色系のコーティングも見える。

対物レンズ周辺には溝や隙間が多いため、ゴミや汚れが溜まりやすい。


この製品、ダットサイトだけでなくTrijicon ACOGシリーズの需要層を狙っていると言ったが、その理由の一つがマウントのフットプリントにある。そう、このフットプリントがACOGの小型モデルと同じなのだ。これにより、ACOGとACOGのサードパーティ製マウントを所持している人は、そのまま首をすげ替えることができますよと言う事だ。

→ACOGの小型モデルはTA44 1.5x16Sや、TA47 2×20TA33 3×30のような小型で低倍率のモデル。

何よりも驚きなのがローマウントだけでなく、ご丁寧にごろごろと多数のライザーを同梱させている。これらを組み合わせることにより、8種類もの高さのマウント高の調整ができる。これだけ詰め込まれた製品は今までほとんど見たことがない。

写真のローマウントの状態ではレール上部からレンズ中心部までの高さが1.1インチ(2.79cm)になるように設定されている。

ネジ類に塗られている水色の着色は、中程度のネジロック剤が塗布されたもの。

スペーサーや本体とを接合するネジは3/32六角ネジ。


付属ライザー3つは、それぞれ1.41インチ(3.58cm)、1.535インチ(3.89cm)、1.64インチ(4.16cm)の高さが付属する。また、ストレートスペーサーを噛ませて組み合わせることで、1.845インチ(4.69cm)、1.97インチ(5.00cm)、2.075インチ(5.27cm)の高さにも調整することが可能だ。

写真はローマウントにストレートスペーサーを噛ませてレンズ中心部までの高さを1.535インチ(3.89cm)にした状態。

さらに、別売りではあるが1.93インチ(4.90cm)のストレートスペーサーを組み込めば、より幅広い高さに調整することも可能だ。


マウントネジにはT25トルクスネジが使用されている。

マウントは単純な構造ではあるがこの価格にしては悪くない。今回のレビューを行うにあたり、様々な銃器へ載せ替えてその都度ゼロも調整したが、元に戻した際のズレも比較的少なかった。


左側面には電池ケース兼イルミネーションの明るさ調整ダイヤルがある。ダイヤルは固め。不意にどこかに接触してダイヤルが動いてしまうことはまず無いだろう。ダイヤルはどの方向にも回転するタイプなので便利だ。

ダイヤルの手前本体に三角形のマークがあり、今どのポジションなのかを示してはいるのだが、写真のように少し見えにくく、側面から見ないとわからない。

電池はお馴染み、CR2032リチウム電池を使用。

接眼レンズ部にはトリジコン ACOGと違い、視度調整ダイヤルがあるため、レティクル表示はより万人の目に合わせやすい。

むしろ、トリジコン以外の多くのプリズムスコープには視度調整ダイヤルがある。ACOGの光学設計は様々な視力の人にも見やすく設計されているため、私も困ったことはないが、乱視や老眼等で人によっては調整がしたいとの要望がある。

この視度調整ダイヤルだが、イルミネーションダイヤルとは比較にならないくらい恐ろしく固い。最初固着しているのかと思ったくらいだが、どれもそうみたいだ。握力の少ない私は、他研究員に貸し出して、戻ってきて再調整する度に、面倒くさくなってゴム手袋をして回している。まぁ、基本的には一人だけで使用する場合、一度合わせてしまえばそうそう再調整することはないため、大きなネガにはならない。


むき出しのダイヤルタイプのウィンデージとエレベーションダイヤル(ダットサイトの上下左右調整)は、工具か薬莢が必要なものの、大きめのダイヤルで動かしやすい。クリック時のフィードバックもカチカチとわかりやすい。

1クリックの移動量は1MOAであり、最大移動量は120MOA。

マグニファイヤとの併用でより精密に調整をしたいシューターからは、1クリック1/2MOAくらいのより細かな調整がしたいとの要望もあるようだ。


その他オプション品の紹介もしていこう。

レンズカバーはビキニタイプのものが付属する。

対物レンズ側の形状から、上から被せるタイプのバトラーキャップやレンズガードは装着しにくい。使用中もレンズを保護したりしたい場合は、別売りオプション品であるARDを装着するのもいいだろう。


工具2種についてだが、左はマウントネジ用のT25トルクスドライバー。単純明快な作りながら、力が入れやすい。右はマウントと本体を接合する用の六角ドライバー。

怪しく鮮やかな蛍光赤色の液体は、Vibra-Titeのネジロック剤。柔軟性があり、振動や強い衝撃が加わる製品に向いている。


説明書は本体とレティクル用途の2種類に別れている。レティクルの説明を細かく丁寧に書いていくれている製品は好きだし、勉強にもなる。

レティクル │ ACSS Cyclops Gen II


世の中には様々な光学照準器メーカーがあり、各社それぞれで持ち味やセールスポイントは違う。Primay Armsの面白いところは、いくつかあるセールスポイントの中でも、「レティクル」を売りにしていることである。そのオリジナルのレティクルが「ACSSAdvanced Combined Sighting System」と言う名のレティクルだ。ACSSレティクル一つで、精密射撃のみならず、近接戦闘で素早くターゲットを補足でき、弾丸の距離による落下補正や、ターゲットまでの距離まで計測することができるというものである。

このACSSレティクルはいくつかのバリエーションがあり、多機能性を重視したものや、シンプルさを重視したものまで様々。人によって好みや使用環境、銃器は違うものの、このACSSレティクルは内外から一定の評価がされており、トリジコンやホロサン等の他光学照準器メーカーがこのACSSレティクルを使用したコラボ商品まであるくらいだ。

さて、このSLx 1XにはACSS Cyclops G2というレティクルが採用されている。近接戦闘が主体の光学照準器に用いられ、余計な表示が少なくシンプルで素早くターゲットへの照準を行えるレティクルながらも、ターゲットまでの簡易的な距離計算や弾道落下予測機能も盛り込んだ少し欲張りなレティクルである。

G2は第2世代目(Generation 2)の略であり、第1世代目と比較して馬蹄型サークルレティクルが拡大したことが大きな変更点だ。これは遠距離や精密射撃において小さなサークルレティクルが照準の邪魔だという苦情を反映したものだと推測される。その効果の検証については、後編の各距離照準で見ていただこう。

Cyclops(サイクロップス)はギリシャ神話に出てくる1つ目の巨人から。

中央部分には逆V字型のセンターシェブロンが採用されている。中央を素早くターゲットに合わせやすく、ある程度の精密射撃も行えるので、この手の低倍率スコープに採用されているのを他社含めてまれに見かける。

そのセンターシェブロンだが、ただ照準を行うだけでなく、BDC(距離による弾丸の落下予測)機能を有している。このBDC機能については、5.56 x45mm弾から7.62mm x 51mm、そして7.62mm x39mmや.300 AAC Blackout、挙げ句には12番ゲージスラッグ弾にまで対応している。

ではどう使うのか?まず逆V字型の頂点で各弾丸に合わせた距離でゼロインを取り、内側の逆V字頂点と、底辺で落下予測を行うというものだ(説明書写真の左側のページを参照)。近距離で使用する12番ゲージスラッグ弾は別として、正直使いやすいかと言われれば微妙である。マグニファイアを用いて拡大したところで、あまり精密なBDC射撃はやりにくい。

5.56x45mm弾は16、14.5、10.5インチの銃身に対応。

スラッグ弾を用いたBDCに関しては後編で供述する。

その多機能センターシェブロンを囲むように、第2世代目となり大きくなった馬蹄型サークルレティクルがある。このサークルレティクルは、とある銃器における、大まかな素早い照準合わせに活用できるサイズにしてある。その詳細は後編でお話しよう。

その下にあるそれぞれ長さの違う4本の横線は、ターゲットまでの距離計測機能を有している。

これは高さ5フィート10インチの成人男性(177.8cm)をの高さのターゲットまでの距離を計測するよう設計されており、まず足元を一番下の横線に合わせ、そこから頭頂部がどの線に近いかによって距離がわかるようになっている。上段が200ヤード(182.88m)、2段目が300ヤード(274.32m)、3段目が400ヤード(365.76m)だ。

また、各横線の長さを人間の肩幅に(18インチ=45.72cmに設定)合わせることでも大まかな距離がわかるようになっている。共に試してみたが、概ね合っており、マグニファイヤーとの併用でより使いやすくなるだろう。

サークルレティクルも含め、レティクルの太さや大きさのサイズをできれば公表してほしいものだ。シンプルながら様々な機能性があるレティクルなので、より一層活用や応用ができるかもしれない。


イルミネーションは中心部の馬蹄型サークルとシェブロンが光るタイプ。レティクル全体が光るわけではなく、近接戦で必要な中央部のみが光るため、メリハリのある輝度調整と合わせて非常に有効だ。イルミネーションは他にもグリーンレティクルモデルがラインナップされている。

このイルミネーションは、CR2032電池一つで、中設定で45000時間とこの手のスコープの中では省エネ設計となっているようだ(ただし、その中設定とやらが、輝度調整13段階中のどれかは不明)。これについては、動作や振動が一定時間無い場合、イルミネーションが一番暗い設定になり(電源が切られるわけではないようだ)、電力の消費を最大限少なくする機能の恩恵も受けているのだろう。

余談だが、拳銃の9mm弾仕様のSMG(サブマシンガン)やカービン銃に特化した「ACSS GEMINI 9mm」というレティクルもある。

光学性能


先程から気になっている人もいるかもしれないが、光源を背にした際、接眼レンズ部にゴーストが出やすい傾向にある。写真は左斜め上からの光源に対して、接眼レンズ左下に複数のゴーストがぼんやりと出ているのが見て取れるだろう。

基本的にはレンズの左右斜め下に出るため、照準への大きな邪魔にはならないが、キラキラと光って目障りに感じることはある。

レンズの色温度は少し強めの暖色傾向に映す。

写している方眼紙までかなり近い距離のため、少し拡大して見えている点は仕方ないが、不自然な歪み等は無く価格(2023年:269ドル)からは想像できないほど優秀であろう。


この等倍プリズムスコープの優秀な特徴の一つが、アイボックスやアイリリーフの大きさにある。この手の等倍プリズムスコープは、このアイリリーフが存在しており、正しい姿勢や構えで覗かないと照準できない関係上、ドットサイトから置き換えるのは難しいと思う人が多かった。だが、この製品はそれらを非常に広く長く取ることに成功しており、ドットサイトほどラフな姿勢とまではいかないが、従来のプリズムスコープよりはるかに覗きやすくなっている。

アイボックスは焦点の合う上下左右のエリア、アイリリーフは焦点の合う前後のエリア。

特にアイリリーフの許容範囲は驚異的であり、公式や説明書によると、アイリリーフ範囲は5.08cm~15.24cm(一番おいしい距離は9.14cm)と広大なエリアを確保しているとのことだ。こちらでも計測したところ、約4.6cm~14.3cmと概ね公式通りの懐の広さを持っていた。等倍とは言え、プリズムスコープでこの範囲は非常に優秀だ

こちらで計測した約4.6cm~14.3cmは、実用性を考えての数値であり、やろうと思えばもっと近くやもっと遠くでも照準することは可能である。

アイボックスについても同様に幅広い範囲を持っており、基本的な銃器の構えや頬付け等ができていれば、ダットサイトに近い感覚で使用することが可能だ。はっきり言ってそこらのLPVOの比ではない広さだ。

目と照準器の距離におけるスイートスポットは、公式では9.14cmと謡っているが、これは各人の目や搭載する銃器によって上下するため、あくまで参考として見るべきだ。

何人かで試してみて、人によって±3cmほど上下した。

かつて私は等倍プリズムスコープとして、VORTEX SPITFIRE AR Prism Scope 1xを所持していたが、このSLx 1Xはアイリリーフやアイボックス等様々な面で性能を凌駕している。光学照準器の進化を感じられる一品だ。

VORTEX SPITFIRE AR Prism Scope 1xのレビューはこちら ↓ ↓

VORTEX SPITFIRE AR Prism Scope 1x(2016年版) レビュー


Trijicon社はプリズムスコープのラインナップであるACOGシリーズとして、1.5倍、2倍、3倍、3.5倍、4倍、5.5倍、6倍率と多数取り揃えているが、1倍率は今だ無い。一方、Primary Arms社は1倍、2倍、2.5倍、3倍、5倍を揃える。しかも価格はACOGの1/4程であり、性能面も勝っていると言っても過言ではない製品もある。そしてプライマリーアームズ同様、低~中価格帯のプリズムスコープを販売している、SIG SAUERやBurris、Vortex等のライバル陣と比較しても非常に高い商品力を持っている。

今回のSLx 1Xについてもプライマリーアームズは非常に力を入れた製品となっており、耐久面も、IP67と高い防水性能だけでなく、様々な過酷なテストにもクリア、.308Win弾の7000発の射撃でも問題は一切見られなかったとのことだ。

では、果たして本当にそこまでの能力があり、ACOGやダットサイトに食って掛かれるほどの実力があるのだろうか?後編は、当研究員達が様々な実弾射撃や訓練等で使用、検証した内容をお伝えしよう。後編は下記へ ↓ ↓

【レビュー】 Primary Arms – SLx 1X MicroPrism (後編)