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前編レビューはこちら ↓ ↓

【レビュー】 Primary Arms – SLx 1-6×24 Gen IV ACSS Nova (前編)

※本製品の購入等に協力してくださいました、デザートカウボーイ様に感謝いたします。本製品はデザートカウボーイ様にて購入可能です。お財布に嬉しい特価販売だけでなく、海外製品で不安になる保証や修理の対応もしてくださります!

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SLx 1-6×24 Gen IV ACSS Nova販売ページ

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Pros & Cons | 一長一短

※ここはあくまで、KUSEMONO TACTICALが想定する使い方、視点から見た一長一短です。

※一長一短をわかりやすく表記しているだけであり、項目の数や内容、順番による採点評価ではありません。

優れている点 この価格帯では素晴らしい光学性能
  非常に明るく、対物側から見えにくいイルミネーション
  シンプルながら多機能なレティクル
改善を要する点 イルミネーションの最低輝度が明るすぎる
  スローレバーの形状
  6倍時のアイボックスとアイリリーフ範囲が狭い

後編では屋外に持ち出し、近距離から100mまでの距離でターゲットを覗きながらレンズやイルミネーションの質を中心に見ていこう。また、実弾を用いた各種訓練で検証レポートも行う。下の動画も一部参照しながら見ていただきたい ↓ ↓

近距離における照準

まずは林内にて人間の上半身を模したUSPSAマンターゲット(縦75cm×横45cm)を5m~30mのCQBを想定した距離で見ていこう。動画は0:17から。




CQBでの使用に関しては、シンプルで情報量の少ないことに加え、クロスヘアは中心部が細くて外側が少し太くなっていることもあり、中央にターゲットを無意識に持っていきやすい。

光源が左斜め上にある場合、左側や左下にフレアが出やすいが、抑えられている部類であり照準の邪魔になるようなことはない。


※上の写真はLeupold –  VX・R 1.25-4x20mmのFiredot SPRレティクル

ただ、Vortex Strike EagleやVenom 1-6×24のAR-BDC3レティクルのように中央に向かって先細っているクロスヘアや、Leupold – VXRのFireDot SPRのように中央部にサークルがあるタイプのものと比べると少し劣る感じはある。そこは情報量を少なくする利点とイルミネーションを使うことによって補うことは十分に可能だし、好みの問題だろう。
個人的にはこのNovaレティクルにFire Dot SPRのようにサークルがあるとより良い(サークル部は逆に目障りとなることもあるのでイルミネーションで灯さなくて良い)。

 




薄暗い林内にて倍率を3倍、6倍と上げてみたが、鼻につくような光量落ちも少なく、潜んだターゲットも捉えやすい。

視野については36.5(1倍)~6.1m(6倍)/100mであり、この手の1-6倍LPVOの中では広い部類なため、CQBでも申し分なく使える。

50メートル照準


次は50m先に180cmの高さに吊るした青のツナギを照準。季節や時間帯の関係でターゲットが木陰内に入り少し見えにくくなっているのは申し訳ない。

1倍時ではレンズ上面で少しだけ像が小さく映り、歪みもほんの少しある。ただこの価格帯のLPVO(Low Power Variable Optic:1倍から10倍程度の可変低倍率スコープ)としては優秀であり、気になるレベルではない。前述した通り、グリグリと動くCQBでも余裕で使えるレンズ品質だ。

同価格帯でよりしっかりとした等倍時のレンズの質を求めるのであれば、Burris -RT-6Vortex – Venom 1-6×24か。

100メートル照準


次は距離を倍に伸ばした100m。こちらは日陰から日向に向かっての照準。

こちらも1倍時だが、周辺部のシャープネスの曖昧さは少ない部類であり良好。

ただ、スコープを中心に持っていき覗かないと、崩れたラフな姿勢から覗いた場合はシャープネスや解像度が大きく破綻するわけではなないが、少し落ちやすい傾向にある。


SFP(Second Focal Plane:第2焦点面、レティクルが倍率の変更に合わせて拡大縮小しないもの)なので、レティクルのフル機能は使用できないものの、3倍時は周辺部、中心部共に鮮明に映るため良好であり、短~中距離でのちょっとした精密射撃をしたい時によく使用した。


最高倍率の6倍率時でも、レンズの質は落ちることなく優秀だ。解像度やシャープネスは非常に良いし、明るさも目立った低下はほとんど見られない。6倍率時のレンズ品質はBurris – RT-6よりも優秀だ。

ただそれはしっかりと構えてレンズを見ていればの話だ。前編で言ったように、6倍率時はアイリリーフ幅(スコープの焦点が合う前後位置)、特にアイボックス(スコープの焦点が合う上下左右位置)が狭く、ケラれやすいためだ。

故に他の1~6倍率のLPVOよりも、SLx 1-6×24 Gen IVは6倍率時の射撃姿勢に少し気を使う。この重量でこのレンズの質を実現することによるトレードオフではあるのだろうが、次世代モデルではここを改良してくれるとより隙の無い低価格LPVOとなるだろう。

新星のイルミネーション │ Nova


Novaのイルミネーションの明るさについてはVortex – Razor HD Gen2-EViper PST Gen2 1-6×24のそれとまったく同じだ。とにかく明るく、最高輝度は太陽光が煮殺すつもりで照り注ぐ砂漠地帯でも使えるくらいだ。


雪原や砂漠地帯、直射日光が眩しいエリアではない限り、日中での使用は11段階中8~10あたりで事足りる。

ただ、最低輝度が明るすぎる点もどういうわけか同じである。最低輝度は場合によって曇りの日中でも使えるような明るさであり、夜間や暗所ではちょっと明るすぎてあまり使いたいとは思わない。

この最低輝度の明るさをあと4~5段階は小さくしてくれたら完璧に近いイルミネーションなのにもったいない。

Novaのイルミネーションは、ファイバーレティクルという構造。通常のレティクルに光透過性の高い光ファイバーを合わせることにより、非常に明るいイルミネーションの実装が可能となる。Leupold – VXRやVortex – Razor HD Gen2、Viper PSTも同様の構造。

 


だがこのイルミネーションについては、Vortex Razor HDやViper PSTと比較して一つ優れている点がある。それは、周囲の環境に対して常識的な明るさなら対物レンズ側からイルミネーションが灯っている様子はまず見えないことだ。

これは実に素晴らしいポイントである。明るいイルミネーションのLPVOは近年増えてきたものの、対物側から見えないように配慮されたものはほんの一握りしかない。しかもこの価格帯でそこまで配慮された製品は、今まで私が知る限りでは無かった

同じく明るいイルミネーションを持つVortex Viper PSTRazor HD Gen2-Eについてはイルミネーションは対物レンズ側からよく見える。これらに配慮しているのはこちらでレビューした中だとLeupold VXRElcan Specterシリーズくらいだ。


他レティクルであるACSS Aurora関しては、NOVAほどイルミネーションが明るいものではなく、Vortex – Strike Eagleと同等(晴天時は明るさが少し足りない)くらいだ。

ACSS Auroraは、各種距離や風速に応じた射撃も可能となったより高度で複雑な射撃が可能なレティクルだ。中央は十字線でもドットでもなくトリジコンACOGのようなシェブロンタイプとなっている。中~遠距離の精密射撃を重視したいのであればこちらがよいだろう。

実弾射撃、各種訓練における使用感等


今回実弾射撃に関してはType89に装着し、200m~5mまでの距離を徐々に縮めながら2つの人型ターゲットを交互に射撃をするドリルを行った。

薄暗さのある屋内射撃場ではあったが、イルミネーションを灯せばダットサイト感覚で簡単に射撃が行うことができた。

イルミネーションは低輝度でも明るいため、11段階中3くらいで余裕だった。2つのターゲットを交互に撃つ目標変換射撃についても、イルミネーションだけでなく、CQBで使いやすいシンプル且つ中央にターゲットを持っていきやすいレティクルが役立ち、リズムよく射撃ができる。


ただ、200mからの射撃で6倍率を使用した場合は、アイボックスの狭さがあるため、防弾衣や各種装備品を装着した上で、練習やセットアップをもっとしておいたほうが良いと感じたのも事実だ。


また、夜間の民間施設内に逃げ込んだならず者を探索する訓練を行ったのだが、このイルミネーションの明るさはやはり夜間はあまり使えない。屋外、施設外周部の探索を中心に行ったが、外灯やライトで照らされたエリアであっても、イルミネーションをもう少し暗くできたらと思うことが幾度かあった。

当然だが、暗視装置との併用は難しい。暗い環境下でも使用したい場合は、暗視装置には対応していないものの、ACSS Aurora版のほうがイルミネーションを暗く設定可能だ(逆にこちらは日中での明るさが足りないと感じるが)。

だが、夜が明けて昼間や明るい室内となればこいつの本領発揮だ。1-6倍LPVOとしては軽量な部類であり、等倍時はダットサイト感覚で使えて複数の脅威者相手にも小気味よく立ち回ることができた。レティクルも余計なノイズが無いシンプルなものなので、使ってて気持ちがいい。

Conclusion | 総評


この4世代目SLx 1-6×24 ACSS NOVAは、そこらに転がっている格安LPVOの検証にそろそろ飽きてきた私の目を覚ましてくれた製品である。クラスを超えたレンズクオリティもさることながら、この価格帯でようやくダットサイト並みに明るいイルミネーションを搭載した製品が出てくれた。

6倍時のアイボックスやアイリリーフ範囲はあまり余裕が無いため、このトーレドオフをどう見るのかで好みが分かれるところではあると思う。

さて、以上を踏まえた上で競合他社製品との比較をまとめてやってみよう。

Burris – RT-6の場合は、SLx Gen IVよりも等倍時のレンズ品質が高く、重量も少し軽いという利点がある。ただ、6倍率時の性能は劣る。

Vortex – Venom 1-6×24は、Strike Eagleの名前と外見を変えただけではなく、レンズ品質はこの価格帯のトップクラスとも言える高いレンズ品質なのが売りだ。全倍率を通して隙が少ないレンズだが、重量が552グラムと重い点が足を引っ張る。価格に関しては希望小売価格は499.99ドルと高いものの、実売価格は250ドル前後であり、日本国内でも5万円台で買えたりする。ただ、RT-6もVenomも本製品のACSS Novaのような日中でも使える明るいイルミネーションは持ち得ていない。

Venomに関しては、詳しくレビューできるほどではないが、海外のショップにて触れて検証を行った。


おい、価格も品質も段違いだろと言われるだろうが、私は名機Razor HD Gen2-Eの弟分である「Vortex Viper PST Gen2 1-6×24」と比較すべきではないかとも思う。ボディやレンズの品質や性能は当然劣るものの、イルミネーションの明るさは同じであり、何ならレティクルの多様性や選択肢はこちらのほうが良い。さらに忘れてはいけないのが、重量は137グラムも軽いし、価格も4割ほど安く買える。そう、SLx 1-6×24 Gen IV ACSS Novaは、ボルテックス Viper PSTの軽量廉価版として見ることもできるポテンシャルのLPVOだ

さて、他社3機種との比較を行ったが、この4代目SLx 1-6×24は、今後のエントリークラスLPVOのベンチマーク(基準)と言っていいほどの製品と言えるかもしれない。この4代目相手に、ボルテックスやシグ等の並み居るライバルメーカー達が次にどんな研ぎ澄まされたニューフェイスを送り込んでくるのか…この製品を通じて格安LPVOに飽きてきた私にとっての新たな楽しみが増えたところで今回のレビューの閉幕としよう。

※本製品の購入等に協力してくださいました、デザートカウボーイ様に感謝いたします。本製品はデザートカウボーイ様にて購入可能です。お財布に嬉しい特価販売だけでなく、海外製品で不安になる保証や修理の対応もしてくださります!

デザートカウボーイ様公式サイト

https://desertcw6.com/

SLx 1-6×24 Gen IV ACSS Nova販売ページ

https://desertcw6.com/products/detail.php?product_id=6180

https://desertcw6.com/products/detail.php?product_id=5109

比較に用いたBurris – RT-6のレビューはこちら ↓ ↓

【レビュー】 Burris – RT-6 1-6x24mm