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前編はこちら ↓ ↓

【レビュー】 Primary Arms – GLx 1x MicroPrism (前編)

※本製品の購入等に協力してくださいました、デザートカウボーイ様に感謝いたします。本製品はデザートカウボーイ様にて購入可能です。お財布に嬉しい特価販売だけでなく、海外製品で不安になる保証や修理の対応もしてくださります!

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Primary Arms – GLx 1x MicroPrism 販売ページ

https://desertcw6.com/products/detail.php?product_id=7311

Primary Arms – GLx 1x MicroPrism(グリーン) 販売ページ

https://desertcw6.com/products/detail.php?product_id=7312


Pros & Cons | 一長一短

※ここはあくまで、KUSEMONO TACTICALが想定する使い方、視点から見た一長一短です。

※一長一短をわかりやすく表記しているだけであり、項目の数や内容、順番による採点評価ではありません。

優れている点 プリズムスコープ離れした広大なアイリリーフ
  暗闇から日中までメリハリのあるイルミネーション
  すっきりとノイズの少ない視界
  多様な高さに調整できる多数のライザーやマウント付き
  光学性能を上げながらも300ドル以下の価格設定
改善を要する点 イルミネーションが対物レンズからよく見える
  レティクル中央のシェブロンは距離が離れてくると精密な狙いを付けにくい

一人称視点の照準動画と共にご覧ください ↓ ↓

近距離における照準

さぁ屋外に出て後半戦と行こう。

いつもの林内にて5~30mのCQBを想定した照準を行う。ターゲットは人間の上半身を模したUSPSAマンターゲット(縦75cm×横45cm)。

(動画は0:14~


短小で余計な凹凸が少ない外観デザインは、このように薄暗いCQB戦においてとても有利に働く。従来の等倍プリズムスコープの中でも群を抜いて余計なノイズが無いデザインであり、緊迫した接近戦において邪魔にならない。


ダットサイトと違い、プリズムスコープはレンズに暗さや余計な色味が無いのも実に良い。GLx 1xはその利点を最大限活かすことができるデザインだ。


さて、この20m地点は前編に引き続き下位モデルである同社 SLx 1xとSWAMPFOX社のRAIDER 1x共比較していこう。

※SLx 1xとRAIDERは別日での撮影であり、撮影地点も若干違います。ご了承ください。

※最適なアイリリーフを得るためにGLx 1xは、SLx 1xやRAIDERよりも少し離して設置しております。



こうして見比べてみると、GLx 1xがいかに視界の妨げとなる凹凸の少ないデザインであるのかがよくわかる。

実は視野に関しては、SLx 1Xが76.5ft / 100ヤード:23.3m / 100mに対し、GLx 1xは74.8ft / 100ヤード:22.79m / 100mと若干狭くなっている。この写真ではGLx 1xの設置位置と撮影位置の違いからよりそう見えるかもしれないが、実際はほぼわからず、ノイズの少ない視界からむしろGLx 1xのほうが広いのではと錯覚すら覚える。

3機種ともサークルレティクルを備えているが、Primary Armsの25ヤードにおける散弾パターンに合わせた小さめのサークルと、SWAMPFOX RAIDERの20~50mで邪魔になりにくい大きめのサークルに関しては好みが分かれるところであろう。

像の映りに関してだが、RAIDERは若干拡大傾向に、SLx及びGLx 1xは若干縮小傾向に映る。

撮影時期が違うので写真ではあまり比較にならないが、この3機種の中ではGLx 1xが他より暖色傾向に映る光学設計となっている。


最後に30mでの照準。

SLx 1x同様、素早く動かした際はレンズ周辺部を中心に少し歪みが出る。ただ大きなネガという程ではない。

レンズの明るさに関しては、日中はもちろんのこと、夕暮れや夜間であれRAIDERやSLx 1xと比較して特段差は見えなず同じレベル。

SLx 1xやRAIDERが等倍プリズムとして優秀なレンズ品質であり、GLx 1xとなって長~~くなったアイリリーフ以外は特段変わりなし。

50メートル照準

50m照準に移ろう。ターゲットは50m先に高さ180cmで吊るした青いツナギ。

動画は3:14~


SLx 1xやRAIDER同様に順光時に接眼レンズ部にゴーストが出現しやすいのも同じ。ただ同時に比較した限りだと、コーティングが違うのかゴーストのギラつきは若干抑えられているように感じた。

同じく逆光時に射手顔の映り込み等が少しあるが、大きな影響は無いレベル。

SLx 1xと同じく、上部エレベーションダイヤルの出っ張り部分を簡易照準器としてのポイントシューティング(勘撃ち)は形状やサイズが同じなため可能だ。10m以下の至近距離で咄嗟に射撃をする場合に使える。中央には製造時のパーティングラインが薄っすらとあるのでそこに目立つ色でマーキングでもすればより狙いやすい。


今度はイルミネーションを点けてみよう。明るさは13段階中12段目で点灯。

イルミネーションの明るさはSLx 1xと同様に晴天時でも必要十分に使える明るさだ。エイムポイントのダットサイトの如く砂漠や雪原でも使える凄まじい明るさではないが、日本の一般的なエリアで使用する以上は暗いと不平を言う人はあまりいないだろう。

このイルミネーションの明るさはそのままに、アイリリーフを大幅に伸ばし、外観デザインをすっきりとさせることにより、GLx 1xはSLx 1x以上にダットサイトの代替としての価値を高めた製品であると言える。

ただこの手のプリズムスコープ&レティクルイルミネーションの発光面積が広い機種のお決まりだが、対物レンズ側からイルミネーションが灯っている様子はSLx 1xやRAIER同様によく見える。暗所や閉所での対人使用を考える場合はこの点を考慮して使用した方が良いだろう。

100m照準


距離を100mに伸ばそう。(動画は3:27~

ACSS Cyclops G2レティクルは、オーソドックスなスコープレティクルのようにレンズを縦断横断するクロスヘアがあるわけでもなく、中央に表示が偏っている。そのため、照準先が薄暗かったり、黒っぽい色合いだと素早く射撃をしたい際に少し見えにくく感じることはある。

写真だとより見えにくく感じるだろうが、実際はもう少しハッキリとレティクルの存在は認識できる。ただ、サッと薄暗いエリアに向けた際は少し迷ったり精密な照準ができるまでの時間がかかりやすくなる。

ただ前述した通りレンズの透明度等はダットサイトはおろか、プリズムスコープの中でも高いレベルにまとまっているので、100~300m程度の距離でマンターゲットを狙うくらいは大きな問題にはならない。


まぁ見えにくいと感じたらイルミネーションを炊けばいい。どうだ明るくなったろう。

このイルミネーションに関してだが、最低輝度に関してもSLx 1xとまったく同じで、肉眼でぎりぎり灯っている様子は見れる明るさ。第3世代+の暗視装置で使用した限りでは、シェブロンが2MOAのダットサイトと比べて少し大きく明るいため、150メートルくらいの距離なら大まかにマンターゲットを狙うのに使えるかなと言った印象だ。光透過性は暗視に強いAimpoint T-2やEoTechのホロサイトには負けるため、月明かりや星あかりすら無い真っ暗なエリアでは使いにくい。

ただ、アイリリーフが非常に長くなっているため物理的な暗視装置との併用能力はより高まっていると言える。

イルミネーションの電池寿命に関してだが、公式では13段階中5段階目の輝度設定で14925時間、「中設定」で9000時間としている。

5段階目は日没直後の林内や街頭のある夜間の屋外で使用できるレベルの明るさだ。また、公式の言う「中設定」とやらがどのくらいの明るさかは知らないが、仮に6段階目や7段階目とすると、明るさは日没後の比較的開けた屋外で使用する程度の明るさとなる。

晴天時の屋外でのイルミネーション使用となると、最低でも10段階目以上の明るさは必要となる。故に夜行性のシューター以外は現実的な電池寿命は公表値の半分以下程度と考えるべきだろう。

100メートル照準 | 3倍マグニファイア

同距離にて3倍率拡大鏡(Holosun – HM3X)を用いて照準をしてみた。(動画は3:57~


アイリリーフが伸びたことにより無理なくマグニファイヤーを付けれるようになった点は大きい。

これもSLx 1xのレビューで指摘したが、一見とんがり帽子の頂点でビシッと精密射撃ができそうな中央のシェブロン(逆V字型の照準点)だが、小さなドットやシンプルなクロスヘアのレティクルと比較すると精密射撃がやりにくく感じる人もおり、好みが分かれている。シェブロンではないちょっとした精密射撃もできるようなレティクルもラインナップに加わればより面白くなるとは思う。

パララックステスト │ 100メートル

(動画は4:06~


100メートルでのパララックス(視差)によるレティクルのズレは、10cm未満で悪くない。ただ5cm~10cm未満だったSLx 1xと比較すると若干ズレは大きく感じる。

各種訓練、実弾射撃における使用感等


今回は屋内射撃のみだが、当研究所研究員2人でType89やType20を用いた5.56x45mm弾を使用した様々な射撃でトータルで700発ほどの射撃を行って検証した。この間不具合等は一切無い。

より目から離しての設置ができるようになったことや、凹凸の少なくなった外観デザインにより、300m射撃から暗視装置を用いたCQB射撃においてSLx 1xよりも更にストレスの少ない射撃ができることが実感できた。それ以外の所感についてはSLx 1xと同じだ。

SLx 1xと比較すると100グラムの重量増は少し感じられる。そこらのLPVOと比べると軽いが、同じような重量のEoTech XPSと比較すると重心が少し上にあるので振り回した際の遠心力は若干多く感じる。


その他今回も私物のベネリ M2を用いてスラッグ弾を用いた標的射撃やクレー射撃を行った。

ベネリ M2のストック長はType89等と比較して長く、私のような小柄な人間だとSLx 1xのアイリリーフは自然に構えた場合は適正アイリリーフ範囲内から外れ、ほんの少しだけケラレてしまう。だがGLx 1xだとまったそんなことは無い。このような長いストックの銃器を使用する場合にもこのGLx 1xはオススメだ。

視界のノイズの少なさは特に素早い射撃が求められるクレー射撃で重宝する。これでサークルレティクルがもう少し大きければ空飛ぶ皿に照準する際に邪魔にならないので完璧だ。

Conclusion | 総評


下位モデルのSLx 1xと比較し、アイリリーフ範囲は大幅に伸び、凹凸が少なくなったビールジョッキのようなボディ、それに加えて明るいイルミネーションや質の良いレンズはそのままなので使ってて爽快感のある照準器だ。これで価格はたった50ドル上がっただけなのだからプライマリーアームズはどうかしてる。もし同等品をトリジコンが作ったらどんな価格になるだろうか?

お世辞抜きで、価格から見たGLx 1xは十二分に満足でき、よりダットサイトの代替としての価値を高めた逸品であると評価できる。

ただ個人的には価格をもう100~200ドル上げてもいいので、イルミネーションを対物レンズ側から見えにくくしたり、レティクルや暗視性能をより洗練してくれたら舞いを披露し歌を詠んでいたことだろう。


だがプライマリーアームズはそうはしなかった。生産コストを上げて重箱の隅まで攻めるのではなく、多くのシューターにわずかな追加出費でより高いレベルの等倍プリズムスコープの世界を体験させることにしたわけだ。

プライマリーアームズのプリズムスコープシリーズは年々数を増やし、プリズムスコープ界の頂点に立つトリジコンを猛追しているように見える。今年(2025年現在)は1倍率と3倍率共にSLxよりもさらに低価格なCLxラインを設け、世界各国の財布の紐が固くなったシューターやプリズムスコープ未体験者への門戸を開く戦略を展開してきた。

このCLxマイクロプリズムはレティクルがより簡素なT字やサークルレティクルのみになっているので、シェブロンレティクルが苦手なユーザーにも良いかもしれない。


ではGLx 1xの出現により、SLx 1xの価値が無くなったかと言えばそうではないと思う。昔ながらのシンプルでわかりやすいロータリースイッチが好きな人もいるし、何よりGLxよりもさらに小さく軽いボディは魅力的だ。私も今回GLx 1xを当研究会から自腹で買い取りたい耐え難き衝動に駆られてはいるものの、今のところは自前の散弾銃専属照準器となっており、他の用途にはあまり使用しない関係上、SLx 1xはその席にまだ居座ってもらうつもりだ。

SWAMPFOX – RAIDERはGLx 1xの登場によりもういいやと思っていた所、6MOAモデルと言う隠れた逸品があったので評価を見直した。

しかし現時点でこれを超えるレベルの等倍プリズムスコープは見たことがない。異世界や異星人の技術を使っているのかと言いたくなるようなアイリリーフの長さを抜きにしてもGLx 1xのコスパと完成度は高い。おかげで、このGLx 1xを当初誰が最初に実弾射撃をするかで取り合いとなり、男気ジャンケンを大騒ぎしながら実施して順番決めを行ったほどだ。SLx 1xを既に持っている人も等倍プリズムスコープの魅力をまだ知らない人にもこの感動は一度体験してもらいたい。

低価格帯~中価格帯の幅を広げることにより、プライマリーアームズによるトリジコン包囲網はより完成度を高めつつある。このGLx 1xの売り上げや反響次第では、さらに完成度を高めたプリズムスコープをひねり出してくれるかもしれない。

※本製品の購入等に協力してくださいました、デザートカウボーイ様に感謝いたします。本製品はデザートカウボーイ様にて購入可能です。お財布に嬉しい特価販売だけでなく、海外製品で不安になる保証や修理の対応もしてくださります!

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Primary Arms – GLx 1x MicroPrism 販売ページ

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Primary Arms – GLx 1x MicroPrism(グリーン) 販売ページ

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下位モデルであるSLx 1x MiciroPrismのレビューはこちら ↓ ↓

【レビュー】 Primary Arms – SLx 1X MicroPrism (後編)

同じく比較に使用したSWAMPFOX – RAIDER 1x Micro Prismのレビューはこちら ↓ ↓

【レビュー】 SWAMPFOX – RAIDER 1×20 Micro Prism (前編)