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ジャンル:ダットサイト

90年台~2000年台初期のダットサイトの代名詞と言えばAimpoint M2・M3であった。その廉価版がこのAimpoint PROである。同社製品の中では安価だが、信頼性や耐久性に妥協は無い。

執筆時期:2017年3月

※1:2024年8月、同社製品であるACOやDuty RDS等に関して加筆。

SPECS | 性能諸元

メーカー名(メーカー国・製造国) Aimpoint (スウェーデン王国)
サイズ(全長×幅×高さ) 130mm×55mm×67mm
重量 330グラム(レンズカバー、スペーサー込み)
倍率 等倍
イルミネーター 赤色 LED 11段階(内1-4は暗視装置用)
使用電池 (電池寿命) 3vリチウム電池 2L76又はDL1/3N(光度7で30000時間)
レティクルパターン 2MOA ドット
対物レンズ径 23mm
耐久温度(保管耐久温度) -45℃~71℃(-51℃~71℃)
耐久湿度 20℃~50℃の間で湿度95%
防水性能 45m(水温10℃)
耐衝撃性能 X軸:500g 0.7-11ms(3回)

Y軸:40g ±4g 11 ±1ms(2回)

Z軸:40g ±4g 11 ±1ms(2回)

耐振動性能 周波数範囲:10-150Hz 正弦波振動

10-30Hz ±1.587mm,30-150Hz,5.75g 1オクターブ/min

平均価格(購入価格) 400ドル前半(2016年海外通販にて422ドル)

Pros & Cons | 一長一短

※ここはあくまで、KUSEMONO TACTICALが想定する使い方、視点から見た一長一短です。

※一長一短をわかりやすく表記しているだけであり、項目の数や内容、順番による採点評価ではありません。

優れている点 廉価モデルとは言えエイムポイントの名に恥じぬ高い信頼性
  暗視装置が必要な暗闇から太陽降り注ぐ雪原や砂漠まで幅広く使えるイルミネーション
  対物レンズ側から見えにくいイルミネーション
改善を要する点 総重量が330グラムとダットサイトとしては重め

廉価版だが実用十分なエントリー向けダットサイト


Aimpoint T-1や、ホロサイトが銃器業界に出る前は、同社のM2M3がアサルトライフルの上に鎮座していた。長きに渡り照準の主役であったアイアンサイトは、予備としての役目に追いやられ、赤い点を相手に合わせてトリガーを引くだけで、下手くそでも実に弾が当たりやすくなった。事実、米陸軍が自前のライフルが当たらない、不良品だと騒いでいたところに、この手の光学照準器を与えたところ、そんな寝言は激減したという。もちろん、それ以前にもダットサイトは存在したが、軍用として使えるほどの品質のダットサイトを普及させたのは紛れもなくAimpoint社である。

Aimpoint PRO(Patrol Rifle Opticの略)は、そんな同社M2やM3の廉価版という立ち位置の製品だ。お値段も400ドル前半と半額程度となっている。

2024年、実売価格は500ドル前後と値上がりしている。


パッケージは簡素でシンプルながらもカラー写真付きのものだ。説明書は白黒だが、一応イラスト付き(英文のみ)。

付属品は、後述するLoマウント用のネジとマウント分解用の六角レンチ付き。


レンズカバー
、しかもフリップアップタイプが付属するのは嬉しい。専用のものは意外と高かったりするし、対物・接眼レンズの径をわざわざ測ってバトラークリークを買うのも面倒なのだ。

T-2同様、軍や警察向けの製品なので、接眼レンズは透明なポリカでそのままでも使用できるが、対物レンズ側は反射防止のため本体と同色の樹脂製だ。ダットが灯っており、両目を開けて照準していれば対物レンズが塞がれていてもある程度の照準が可能である。

この射撃方法は、個々人の視力等により命中精度等の限界が異なってくる。誤射防止の観点からも、この射撃方法をする場合は自分の限界を知っておくべきだ。

当然ながら、カバーは好きな角度に調節できるので、射手個々人の視界を妨げない。


Aimpoint M2とM3の特徴でもあった、エレベーション(照準上下調節)・ウインテージノブ(左右調節)、電池ケースのキャップに跨る脱落防止は無くなっている。とは言え、エレベーション・ウインテージノブのキャップ個々には脱落防止がちゃんと付いているので安心だ。

1クリックの移動量は13mm/100mとなっている。


電池ケースの接眼レンズ側が、ダットの光量調節ダイヤルとなっている。「カチッ」と「クリッ」を合わせたような感触で操作しやすい。

光量は11段階あり、最初の4段階は暗視装置用で肉眼ではほぼ見えない。5~10段階が日中使用となる。

また、最後の11段階目は数段明るい設定となっていて、かなりの直射日光や砂漠・雪原での使用が想定されている。

このダイヤル機構に関しては、故障や不具合が少ない本製品とは言え、破損や不具合報告の中で最も多い部位とのこと。大半がこのダイヤル部に直接大きな衝撃等を与えた場合に生じるようだ。


23mm対物レンズのコーティングは鮮やかな真紅に染まっている。

このレンズのコーティングは、反射を抑える役目の他、暗視装置を使用した際に、より的確に光を取り込めれるような波長が透過できるようにされているとのこと。

鏡筒内にはネジがきられており、オプションであるキルフラッシュやカメラ用のレンズプロテクター等も入れることができるだろう。


電池ケースを開けると、日常生活や買い物でまずお目にかかれ無いであろう3Vリチウム電池の「2L76」が出てくる。

特殊な工業用の電子機器とかに使ってることもあるらしいが、私はこのメーカーの照準器以外で使われてるのをほぼ見たことがない。

同じ型である「DL1/3N」は同等製品なので、互換性がある。

ヘンテコな電池を使おうが、廉価版であろうがAimpointお得意の省エネ設計は健在で、日中で使用できる7段階目の光量で3年間つけっぱなしができるとのこと。とは言え、こんな普及もへったくれもない電池なので、米軍では単4電池を使用するAimpoint M4が現在では多く採用されているようだ。

また、7段階目の光量は曇り空や日陰ならば使えるが日が照っていると暗くて使いにくい微妙な明るさであることも付け加えておく。


レンズカバー同様に嬉しい点が、全高9mmのスペーサー付きのマウントだ。

スペーサーありだと、レンズ中央部がちょうどM4やAR15系のフロントサイトの高さとなるハイマウントに、スペーサーを外すとショットガンやカラシニコフシリーズにも対応できる低さとなる。

また、大きく出っ張ったマウントの着脱ノブは、工具無しで銃器への装着ができる。ラチェット機構も搭載されており、手で締めるものながら、ネジの緩みを防止しし、少ない力で着脱ができる。余計なトルクがかからないようにもなっており、レールを保護する役目もある。

ちなみに、付属のレンチでマウントは取り外しができるので、30mm系のお好きなマウントリングに付け替えることも可能だ。

このAimpoint PROの泣き所の一つとして重量が少し重い点がある。マウント抜きで220グラム、付属マウント込みだと328グラムある。

この重量はホロサイトであるEotech EXPSシリーズと同等なので、そこが気にならないのであれば問題ないが、同じくレンズが大きなダットサイトであるHolosun – HS512C(230グラム)やPrimary Arms – MD25(184グラム)と比較すると重めだ。

重量が気になる場合は、Scalarworks社のLEAP/13のような軽量マウントがサードパーティで各社出ているのでそちらに変えるのも手だろう

 


照準画像。(光量は7段階目)今回は、知人が所持しているAimpoint H-2と比較してみた。50メートル先のシャツだと、2MOAサイズのダットはちょうど顔より少し小さいくらいの大きさになる。

さすがに、レンズの透明度は少し青みがかかっている。Trijicon MROより少し良い感じだが、Aimpoint T-1T-2には透明度は劣る。過去に使用したことがある、Aimpoint M3と比べても、透明度はやはり落ちる。

ダットの鮮明さは、T-1やT-2よりは少し滲むが、実用上そこまで気になるレベルではない。

そして、今回のH-2も相変わらずレンズの傾斜のおかげでレンズ縁が視界を妨げている…Aimpoint T-2やH-2のレンズ縁の反射は後に改善されている。

ダットのパララックス(視差)に関しては、Aimpoint – T-2ほどではないが、Aimpoint T-1のように大きく問題があるわけではなく実用レベルだ。

また、対物レンズ側からのイルミネーションも他社ダットサイトと比較して見えにくく処理されている。こういうところにまで対人用としてこだわるのはさすがエイムポイントだ。

入門用のレンズが大きめの実用ダットサイトが欲しい、お金はあまりかけたくないがちゃんとした信頼性のあるダットサイトが欲しい場合にこのPROはオススメだ。まぁ価格に関しては当初このレビュー記事を書いていた頃よりも値上がりして500ドル前後となっているが、エイムポイントファミリーとしての信頼性や耐久性を考えると高すぎるとは安易には言えない。ただ、機能性や光学性能の面で他社ならもっと低価格の製品が手に入るということに関しては異論は無い。

2MOAよりも大きめのダットがいい場合は、自衛隊でも採用している、サイトロンジャパン製のMD-33(5MOA)も良いし、マルチレティクルでレンズの透明度も高いものが良い場合はHolosun – HS512Cも価格がよりリーズナブルで良い選択肢となる。

追記:同社ACOとDuty RDSとの比較について

Aimpoint PROが同社M2やM3における廉価モデルと冒頭で言ったが、実はこのPROに対して更に価格を抑えた廉価・民間モデルであるAimpoint – ACO(Aimpoint Carbin Opticの略)というPROと瓜二つな製品がある。

価格はPROが2024年現在500ドル前後なのに対して400ドル前半と抑えられているが、その価格差以上に減らされている物も多い。

まず良い話からだ。PROに対して重量はマウント抜きで190グラム、マウント込みで300グラムと30グラム程度減量している。これは悪くない話なのだが、レンズカバーが無い分軽くなっているとも捉えることができ、本体そのものは大きく減量しているわけではないようだ。

では悪い意味で節約のため失ったものを話そう。そのうちの一つが曇り止めコーティングだ。高温多湿の環境下で生きている我々日本人にとっては使用環境下によっては少し欠点となるだろう。

2つ目は電池寿命がPROと比較して1/3に減っている。まぁこれに関してはPROが7段階目の明るさで3万時間というそもそも省エネ設計なのに対し、ACOが1万時間となっているため、致命的な欠点というほどでは無いだろう。

さて3つ目。これは光学照準器を多く取り扱っている北米のガンショップと、ネット上の一部レビューで見聞きした限りではあるが、PROと比較してパララックス(視差)が少し大きいとの指摘がある。Aimpoint T-1のような大きなパララックスでは無いようだが、精密な射撃やラフな姿勢からの射撃を考えている人は留意してもらいたい。

4つ目は防水性能の違いだ。PROが45mまでの潜水に対応していることに対し、ACOは5m程度となっている。水陸機動団に属していたり、密猟素潜り漁の際に海上保安庁や敵対同業組織に対して銃器で対抗したい反社会的なユーザーはPROを選んだほうがいいだろう。

最後に暗視装置を使用する人もACOの購入は避けたほうがいい。ACOには暗視装置モードが無く、レンズの光透過性も低いので使いにくいとのこと。

ただしこれについては暗視装置対応表記が無いだけで、実際はダットの輝度範囲は暗視装置対応モードのあるPROとほぼ変わらないのでは?という話も聞く。

以上、これら価格とのトレードオフで失われたものを気にしない人であるならば問題無いが、ACOは流通量もあまり多くなく、エイムポイントブランドや信頼性にこだわりが無いのであれば他社製品もしくは大人しくPROを購入したほうが良いと私は考える。


そうそう、2022年にAimpointは同じような価格帯でよりコンパクトなT2の廉価版としてDuty RDSという製品をリリースした。軽量コンパクトなボディのほうがいいなという人にはDuty RDSという選択肢はありだが、光学性能はあまり差がなく、暗視性能については同等かPROのほうが少し良いとの指摘もある。そこらを加味するとレンズの大きなPROを取るか、軽量コンパクトなDuty RDSを取るかの個々人の好みで選ぶのが良いだろう。

Aimpoint – Duty RDSのレビューはこちら ↓ ↓

【レビュー】 Aimpoint – Duty RDS