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ジャンル:バックパック

容量に応じて拡張と圧縮が容易なアーバンバイクコミューター向けバックパック。新旧メトロンシリーズを比較レビュー。

検証人数:4人

執筆時期:2023年9月

SPECS | 性能諸元(公式:METRON 24)

メーカー名・国(メーカー国・生産国) OSPREY(アメリカ合衆国・ベトナム社会主義共和国)
サイズ(横×縦×奥行き) 490×330×278mm
重量 1.24kg
容量 24リットル
ボディ素材 500D 高強度ナイロン
カラー TAN CONCRETE(本製品)、BLACK
価格(購入価格) 25000円(2022年、17000円で購入)

Pros & Cons | 一長一短

※ここはあくまで、KUSEMONO TACTICALが想定する使い方、視点から見た一長一短です。

※一長一短をわかりやすく表記しているだけであり、項目の数や内容、順番による採点評価ではありません。

優れている点 容量に合わせて簡単に圧縮や拡張ができる
  フロント部分にあるベルトやハードポイントに別の荷物等を縛って携行が可能
  ジッパーが破損した際もストレイトジャケットコンプレッションやレインカバーにより簡易的なリカバリーが可能
  エアフローを考えたバックパネルにより、背中の蒸れや汗染みが従来のバックパックより軽減される
  各種コンパートメントやポケットの数や使い勝手の良さ
  取り外し可能なレインカバー付き
改善を要する点 ストレイトジャケットコンプレッション以外は遊革が各ハーネス類に無い
  ショルダーハーネスにポーチ等別の物を付けれない

圧縮拡張ができ、背中ムレを防げる快適バックパック


私は基本的に仕事と私事のバッグを一つに統合している。似たような用途の物をあまり数多く持ちたくない性分だからだ。
つまりそのバッグ一つで、近場のイオンへ怪しいトップバリュー食品を買いに行くこともあれば、イラクのカフェで真っ黄色のゼルデ(زرده:中東エリアでよく食べられているライスプディングの一種)を一杯食いに行くことだってある。そのため、快適性や利便性だけでなく、場合によって命を左右することすらあるバッグ選びは、イージス艦のCIC並みに的確な判断が求められる。(私自身はイージス艦の食堂にいるゴキブリ並みの脳みそしか無いかもしれないが)

さて以前紹介した、Mission Work Shop – The Rummyを選んでからは、4年間くらいは安定運用していたように思えた私のバッグだが、ただでさえ多い荷物がさらに多くなる海外へ仕事や研修に行く場合、メッセンジャーバッグでは肩や身体への負担が大きく困ることとなった。その後、大きな荷物と日常的に持ち歩く物品は分けて持つしかない、あと荷物を強制的に減らそう!…と一時Kelty – Spurに移行したものの、ミニマリスト化に失敗。ある程度の荷物量を保持しつつも、もうメッセンジャーバッグをやめて身体への負担が少ないバックパックにするしかない!!とスタイリッシュなカメラ用品でおなじみ、Peak DesignのEveryday Totepackや、Everyday Backpackへとコロコロ移り変わったものの、張り巡らされた保護材のため、入りそうで入らないカメラバッグ系では荷物の増減に対応できないと学習する。この愚かな移り変わりは、「愚者は経験から学ぶ」という言葉を彷彿とさせる。もちろん悪い意味でだ。


さて、例によってここからが大変だった。東西南北様々なメーカーのバックパックから私の面倒くさい要求を満たす一品を見つけなければならない。仕事の合間を利用したり、夜更かしをしながら探索を行った。

私が求める採用条件は以下の通り。

~必須要件~

バックパックとして背負うことができるもの。

両手が空くのは緊急時の対応に支障が出ない上でも大事だし、そもそもバックパックは多くの荷物を持って長距離を移動するのに適している。

20~30Lの容量があり、多くの航空会社で機内持ち込みができること。

普段自分が持ち歩いているEDCアイテムだけなら10Lもあれば十分余裕だが、仕事の状況や、ちょっとした買い物で荷物が増えた際に。

手荷物として持ち込めるか否かは大事だ。海外でバゲージロストをした際でも被害を最小限にできる。

メインコンパートメント以外にも外部からアクセスできる収納があること。

よく使うものをすぐ取り出せるように。

使用している財布を比較的スムーズに取り出せる収納があること。

財布の出し入れにもたつくのは防犯上の観点からもよくない。
何らかの拡張機能があること。

荷物が入りきらない際に役立つ。

重量増加や長距離の移動でも疲れにくい構造をしていること。

私はともかく歩くことが多いため。

~あれば尚可~

メインコンパートメントの開閉機能が破損した際に、リカバリーが容易く、その状態で長距離の移動ができること。

底面の汚れが落ちやすく、できれば鞄本体が地面に接することが無い形状。

衛生環境が悪いエリアにおいてけっこう重要になってくる。

ショルダーストラップに何か引っかけれる機能がある。

荷物が少ない時はコンパクトに圧縮等できる。

あまり目立たない色であること。

治安が悪いエリアにも行くので、歩く的にならないように。

500~1000mlのペットボトルが入るコンパートメントがあること。

水分補給をするのにいちいちバックパックを漁りたくない。

何らかの防水、撥水処置がされているもの。


これら要望の羅列を頭に巡らせながら、バックパック探しを行うこと1ヶ月弱、私はアウトドア向けバッグメーカーとして有名な、Osprey(オスプレー)社のMetronを採用することにした。

米国コロラド州に拠点を持つオスプレー。創業者であるMike Pfotenhauer氏は、16歳の頃に自分のバックパックの装着感の悪さから、母親に裁縫を学んでカスタマイズを行った。そこから発展し、フィット感の良いオーダーメイドのバックパック作りから今日に至る。

Metron(メトロン)は、地下鉄という意味の他に、古代ギリシャ語で「測定」「調和」「節制」等の意味で用いられていた。

包み込まれているような特徴的なデザインであるメトロンだが、実は上の写真は前世代モデルだ。昨年秋、Metronはラインナップにメッセンジャーバッグ(Metron 18 Messenger)が加わり、バックパックモデルはマイナーチェンジを経てMetron 24 Packという名称に変更されている。旧メトロンは想像通りの使い勝手の良さであり、マイナーチェンジしたMetron 24は私が旧メトロンに持っていた不満点を解消したものだったため、Metron 24も販売後すぐに購入した。

同時に、Metron 22 Roll Topというロールトップバックもメトロンシリーズに新しく加わっていたのだが、なぜか現在(2023年9月)、公式サイトからは亡き者にされている。


はい、こちらが新メトロン改め、Metron 24である。その他旧型との違いについては後々後述するが、まずはこのTAN CONCRETEという色が気に入った。旧メトロンは、写真のScarlet Red、Succulent Green、Blackというなんとも言えないカラーラインナップだった。Scarlet Redはそこそこ気に入ってはいたのだが、これを持って治安のよろしく無いエリアに行くこともあるので、少々目立つ色合いなのが同時に気にもなっていた。

両者ともクラシックタイプの外観に、Osprey製品に一部採用されている「ストレートジャケットコンプレッション」システムが採用されている。この両側面から包み込むような構造で、バッグの容量に合わせて拡張や圧縮が可能となっている。

バッグ素材は500デニールの高強度ナイロンを使用。近年健康問題で敵視されているフッ素化合物等はコーティングに用いられていない。バッグ重量は1.24キロ。

サイズは旧型が480 x 350 x 260mm、新型が490×330×278mm(横×縦×奥行き)とほとんど変わらないが、規定容量は旧型が26リットル、新型のMetron 24は24リットルと減少している。理由は後ほど。


東南アジアやアフリカ圏の市場や屋台で見かけるコウモリの干物みたい展開しているこれが、Ospreyご自慢の「ストレートジャケットコンプレッション」システムだ。

バッグ内に物を詰め込んだら、この開きを閉じて、ループに金具を引っ掛け、紐を引っ張るだけで圧縮できる。これが実に便利で、航空機に乗る際に機内持ち込み手荷物のサイズに合わせてギュッと絞るなんていう芸当もできる。現によく使用している。


物をもっと詰め込みたい時は、金具後端を引けば外すことなく拡張できる。

このシステムは、出張や旅行カバンとしてすでに所持している同社の「Sojourn 60」で非常に気に入っていたため、このようなデイバッグにもぜひ欲しかった。

旧型は圧縮した際に、余った紐の端末がピラピラと邪魔だったが、新型はバッグ同色の樹脂製の遊革(さるかわ:ストラップキーパー)が装備された。この遊革もストッパー機構が無いため、するすると動きやすいものの、あるのと無いのとではストレスが違う。端末処置を気にするのは、幕府陸軍出身者の風土病なので覚えておくように。

遊革がなかった旧型では、ゴム紐で自作して装着していた。

ただし、この遊革については、その他ハーネス類には付いていないのが残念だ。そのため、その他については引き続きゴム紐で自作したものを装着して束ねている。

金具部分は、このバッグのおしゃれなアクセントにもなっているため気に入っている。


みんな大好き、イケアのサメ「ブローハイ」が苦しそうな姿で縛られているが、このようにバッグに入り切らない大きなものを縛って可搬できるようになる。

写真のように大きなぬいぐるみを持ち運んだことはないが、コートやジャケット、大きな買い物袋等を今まで縛って運んだことがある。


また、Metron 24のマイナーチェンジ要素の一つとして、バッグの四隅にパラシュートコードのループハードポイントが設けられており、ここに別で紐等を用意して引っ掛けることにより、さらに多くの物を固定したり、ストレートジャケットコンプレッションで固定したものをさらに強固に固定することが可能となる。

写真の紐はPeak DesignのEXTERNAL CARRY STRAP

仕事や旅先で急な荷物が増え、手が塞がって困ったことはないだろうか?また、バッグのジッパーが破損して中身の脱落が危惧される時も、この両機能があるおかげで窮地を脱することができ、余裕が生まれる。私がMetronを選んだ大きな理由の一つがこれだ。


さてこのバックパック、本来は自転車通勤を行う人を対象に作られたバックパックだ。写真のパーツは頭頂部に通気穴が開いているタイプのヘルメットを通して携行するための部品だ。


マイナーチェンジ後、このパーツはオミットされ、伸縮性のある包み(ヘルメットキャリーネット)としてアップグレードされた。これにより、どのタイプのヘルメットでも入れることができるし、ヘルメット以外の物を簡易的に持ち運ぶこともできる。

ただ、このような包みが収納されることとなったおかげで、新型であるMetoron 24は規定容量が旧型と比べて2リットル減少している。できればこの包みは取り外し可能なタイプであれば尚よかった。


この包みは普段写真の取っ手のある裏に収納されている。この取っ手を開くことで、展開できる。

取っ手にはいい感じのループ形状になっているので、私はここにClipa 2をぶら下げている。

Clipa 2バッグハンガーは、受付窓口や外食時のカウンターや机にバッグを引っ掛けることができる。バッグを汚い地面に置くことがなくなるので重宝している。オシャレにもなるしね。


バックパック前面中央部は伸縮性のあるポケットになっており、サッとしまい込む物を入れる際に便利だ。私はよくここに防寒具を入れている。ポケットの寸法は、中央部が180x290mm、開口部は180mmほど。

このポケットの背面は衝撃を吸収できるパッドが入っており、メインコンパートメントの保護にもなっている。


バッグ前面下部には安全用の自転車向け点滅ライトを取り付けれるループがある。

Metron 24と書かれた印刷面や、バッグ上面のメーカーロゴは、旧型だと反射素材でできていたが、新型では反射性は低下している。(一応反射素材ではある)


バッグ底面にはなにやら秘密の収納がある。


実際は秘密の収納ポケットではなく、伸縮式のレインカバーが収納されている。

脱着可能な脱落防止紐が付いており、すぐ取り出せれることが可能だ。

ここにレインカバーがあることにより、メインコンパートメント底部の収納力が若干損なわれてはいるものの、底面のクッション性は向上している。

また、この収納のサイズは235x120mmとまぁまぁの収納力があるので、レインカバーを取り外すことにより、ここを本当に秘密の収納ポケットにすることも可能だ。防犯面で盗られたくない物を入れておくのも手だし、バッグを背負ったままアクセスできるポケットでもあるので、脱落に注意すれば活用方法は広がる。


レインカバーは、視認性の高いHi-Visな色合いだ。旧メトロンが黄緑色、新メトロンがオレンジ色となっている。

一回り大きなサイズのバックパックにも使用できるため、他の製品で使用しても良いだろう。

バックパック本体に施された撥水コーティングは、だいたいどのメーカー品であっても使用しているとその効果が無くなってくる。このように、独立させたレインカバーを装備してくれるのは非常に利便性が高い。さすが、アイデア性のあるアウトドアバックパックメーカーだ。

バッグのメインジッパーが破損してガラ空きとなってしまった場合も、このレインカバーや前述したストレートジャケットコンプレッション等を活用することにより、間に合せの脱落防止にすることが可能だ。このようなリカバリー能力の高いバッグは、修理や補給が見込めないエリアで心強い。


バッグ左側面には、前面中央部と同様の伸縮性のあるポケットが付いている。こちらはジッパー付き。

背負ったまま物を取り出しやすいここに、私は当初財布を入れようと考えた。しかし収納物の姿形がそのまま浮き上がりやすい素材なので、「皆さーん!ここにお財布入ってますよー!!」と宣伝して回るようなものであった。防犯上の観点からそれは諦め、ここには買い物バッグ等を収納している。

サイズは280x120mmほど。


右側面にも、同様のストレッチ性の高いポケットがある。こちらにはジッパーがなく、水筒やペットボトルの収納に適している。


各ジッパーには、開きやすいように樹脂製のフィンガーループが装着されている。これらをまとめることにより、簡易的なスリ対策にもなる。

ただ個体差なのかわからないが、Metron24のメインコンパートメントジッパーは少しオープン時に引っかかりを感じる。


バッグ背面底面にはレインカバー収納に対する水抜き穴がある。

このバッグは背面パッドにオスプレーの工夫が詰まっている。細部紹介をしていこう。


バッグ背面部分には「AIRSCAPE」と表記された、メッシュ素材で覆われた、波状のフォームパッドが2列敷かれている。文字通り空気の通り道となり、嫌な背面蒸れを緩和してくれる。

背面パネルは弧を描く形状になっており、前傾姿勢で自転車に乗った際によりフィットする形状となっている。まさにこの形状が立位時に背面蒸れを素晴らしく軽減してくれるのだ。立位の場合、背中と弧を描く背面パネルの間に適度な隙間ができ、夏場であっても通常のバックパックと比較して背中の蒸れや汗染みが本当に少なく快適である。


そうなると、自転車に乗っていない時はバッグと身体とのフィット感が少なくなり、使いにくいのでは?と思うかもしれないが、ショルダーハーネスや背面パネル下部とのフィット感をスタビライザーストラップで調整することにより、さほど問題にはならなくなる。少なくとも、一眼レフカメラや水筒、その他仕事道具を常にドサドサ入れている状態で1日中歩き回っても、他のフィット感の良いバックパックと比較して特別疲れやすい等はない。そんなことよりも、蒸れが少なくなる快適性が良いため、非常にこの形状はありがたい。(もちろん、本来オスプレーが想定していた設計思想ではないかもしれないが)


ショルダーハーネスも人間工学に基づいたデザインとなっている。また、こちらもメッシュ素材の内部には肉抜きされたフォームパッドがあるので、蒸れの軽減に一役買っている。

上下調整可能なチェストストラップは、旧型と比べて装着が容易となっている。

ひとつ残念な点としては、ショルダーハーネス部に何か別の物やポーチを取り付けられるハードポイントが何も無い点だ。私は、基本的に自分のバッグにスマートフォン用のホルスターを装着するため、これが無いためにCONDOR 221143ショルダーパッドを後付けしてMOLLEパネルを付与している。


よりフィット感や安定性を高めるヒップベルトについては、シンプルな形状だった旧型(写真上)と比べ、Metron 24(写真下)は基部に腰を側面から包み込む羽が付いて改良されている。私はヒップベルトは使用しないため取り外しているが、羽が付いているだけでもバッグの安定感は感じる。

チェストストラップ同様、ここのバックル部分も旧型から変更されている。耐久性もこちらが上だろう。


背面とショルダーハーネスの間にもメッシュ素材が用いられており、AIRSCAPEで流れてきた空気が横だけでなく縦方向にも流れるようになっている。

トップのグラブハンドルは厚めで長く持ちやすい。背面パネルが湾曲していることもあり、後述するノートPC用スリーブに頑丈で薄い板状の物をを入れれば、簡易的な盾としても使えないことはない。


メインコンパートメントは、このようにジッパーをガバっと開くことができ、パッキングが非常に便利である。

内部は鮮やかなザンジバールのような色合いであり、内容物を見分けやすくなっている。

木々のマークのロゴが見えるが、これはサスティナブルデザインを示すもので、本製品は持続可能なサプライチェーン製品を証明するBluesign認証を得ている。

人によってはこれらの単語に嫌悪感すら抱く人がいるかもしれないが、このような認証等を得ることでメーカーは投資や資金調達を得ることができる風潮である。ここは一つご容赦願いたい。

一つ嬉しいのは、ノートパソコンやタブレット用スリーブが2つあることだ。16インチまでの大きさに対応している。私は一つにノートPC、一つにA4ファイルを入れている。それらを別個で収納できるのは便利だ。

コンパートメント内部の素材は、十字模様のテクスチャの入ったサラサラとした素材となっており、汚れやほこりが付着しにくく、取れやすい。


ちなみに旧型のMetronはマジックテープ式の脱落防止があった。正直邪魔だったので、私はこれを封印していた。新型には無いのをみると、おそらく使っていない人が多かったのだろう。


さて、そのメインコンパートメントに荷物をどれほど入れることができるかだが、ストレートジャケットコンプレッションを最大限拡張すると、2リットルのペットボトルが5本に500mlが4本も同時に入る。

メインコンパートメントのサイズは縦500mm×横390mmほど。

荷物にもよるが、1泊2日程度の出張や旅行ならできる。また、急な荷物が増えた場合でも余裕のある対処が可能だ。


フロント部分の裏はシューズを入れるコンパートメントになっている。ミドルカットのトレッキングシューズ(SALOMON – CROSS HIKE MID)も入る。


メインコンパートメントから一つ手前はフロントコンパートメントになっており、細々としたものを入れる収納が多数ある。

上は少し出るが、PMAGが余裕で入るポケットが2つ、その手前にストレッチ性のあるポケットが更に2つある。そして、それらポケットに挟まれるように、ペンを入れるポケットが2つ。あとは鍵をかけれるストラップだ。

もちろん私はここにメモやペン等の細々としたEDCアイテムを収納している。


また、それら収納群の手前はバッグ底部までは伸びていないものの、奥まで収納があり、2リットルのペットボトルが2本は入る。

もちろんこれはメインコンパートメントに何も入れていない状態での話。メインコンパートメントに2リットルのペットボトルを5本入れている際は、ここには500mlのペットボトルが3本くらい入る。ある程度の物が入る容量なので、人によってはこの収納だけでも事足りるだろう。

ごちゃごちゃと仕事で使う小さな物が多いため、私はここに適度な大きさのバッグインバッグを入れて収納数を稼いでいる。

このフロントコンパートメントのサイズは約380mm×280mm、開口部は幅245mmほど。


このコンパートメントについても、旧メトロンとでは収納の数やデザインが異なっている。


最後に、フロントパネル上段は横開きのジッパーがある収納となっている。ここは新旧で内部の素材が違うだけだ。旧メトロンは白いプツプツとした柔らかめの素材となっており、あまり保護性能は高くないものの、アイウェア等を入れることを想定しているようだ。

新型のメトロン24は、その他コンパートメントと同じくサラサラとした素材となっている。このコンパートメントの手前部分には、前述したヘルメットキャリーネットが収納されるため、外部からの保護性能はむしろ上がっているのかもしれない。

ただ、ヘルメットキャリーネットがある関係上、この収納の容量は旧モデルよりも大きな物が入れにくくなっている。新型は容量としては、500mlのペットボトルと350mlのペットボトルがギリギリ入る感じだ。

収納のサイズは225×150mmで、開口部の大きさは180mmほど。


さぁ、外へ出て実際の装着感や使用感を見てみよう。

旧メトロン(左)のモデルの身長は154cm、Metron 24(右)のモデルの身長は165cm。

新型と旧型での装着感の違いは、ヒップベルト基部の羽が新型には付与されている点がやはり大きく違う。ヒップベルトをしていなくても、腰部の安定感が1~2割ほど増した感じだ。

一番の利点は、やはり背中が蒸れにくいことだ。身体に沿った完全なるフィット感を求める場合は気に入らないかもしれないが、アーチを描いたバックパネルのおかげで背中に適度な隙間ができ、他のバックパックと比べて夏場や激動時の汗染みや蒸れが少ない。


本来は自転車通勤を主とする方のバックパックだが、国内外問わず、様々なシチュエーションで使いやすいバックパックだ。レインカバーも付いているため、フィリピンで突然のスコールに見舞われた際も中のカメラを守ることができた。


ショルダーハーネスの片側を外し、写真のように前方に持ってきて内部を探る手法だが、ストレイトジャケットコンプレッションの金具があるため、大きくジッパーを開けようとした場合少し邪魔に感じることはある。まぁ金具はすぐ外せるのだから大きな支障はないが。

Conclusion | 総評


新型のMetron 24が出たと聞き、即購入をしたが、旧型も良いバックパックであることに変わりはない。両者とも基本コンセプトは変わらず、チャリンコ企業戦士用途だけにするにはもったいない万人にとって使いやすい製品だ。そのため、旧型もお蔵入りやドナドナはせず、当研究員が出張や撮影等で自由に使って良い備品として置いている。私は仕事や旅行だけでなく、軽いハイキングや狩猟等でも使用している。

このバッグひとつあれば、様々な状況に対して何とかなると思い込ませてくれる魔術がかかっている。見た目以上に入る容量容量に合わせて圧縮と拡張ができ各種コンパートメントやポケットの数・使い勝手共に悪くない。そして、緊急時にリカバリーや創意工夫がやりやすい設計なのも非常に心強いものだ。これでショルダーハーネスにポーチ等を付けれる設計であってくれれば完璧に近い。

現在(2023年9月)このOsprey Metron 24は、品薄と円安で3万~4万円近い価格となっている。さすがにその価格だと高すぎるが、公式サイト価格である2万5000円ならばその価値はあると思う。