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ジャンル:ダットサイト
ボルテックス社のエントリーモデルの安価なコンパクトダットサイト。改良されてより良いクオリティに。
執筆時期:2019年12月
※本製品を提供してくださったY氏に感謝いたします。
SPECS | 性能諸元
メーカー名(メーカー国・製造国) | VORTEX OPTICS (アメリカ合衆国・中華人民共和国) |
全長 | 6.35cm |
重量(ハイマウント&電池込) | 150グラム |
倍率 | 1倍 |
レティクルパターン | 赤色ダット 2MOA |
イルミネーター | 赤色LED11段階(内2段階は暗視装置用) |
使用電池(電池寿命) | CR2032リチウム電池(ミドル設定で50000時間) |
価格 | 219.99ドル |
改良によりレンズの質が向上
今回紹介するボルテックス クロスファイヤー レッドドットは、ボルテックス社のエントリーモデルのダットサイトだ。実売価格150ドル前後で買えるこのダットサイトは、安い割に耐久性も良い。しかもマウントもローマウントとハイマウントが2つ付属しているため、とりあえず買いや、光学照準器初心者、何らかの射撃大会や教室等の賞品やプレゼントとしても買われるくらいだった。ただ、ホロサン等の格安光学照準器メーカーはそれを許すはずもなく、より安くレンズの透明度も高い製品を次々と世に送り出した。現に私も、ホロサン HS403Bのレビューをした際にちょうど借りていたクロスファイヤーと見比べて、同じような値段帯ならホロサンの方がいいかなと思い、クロスファイヤー レッドドットに関しては特にレビューするほどでも無いと思い筆を執らなかった。
その後、県外に住む古くからの友人Y氏が近場でサバイバルゲームがあるとのことで、私の家に泊まりに来たことがあった。その時、彼のライフルに付いていたクロスファイヤー レッドドットを見て驚いた。レンズの質が明らかに向上していたのだ。マイナーアップグレード(CF-RD1 → CF-RD2)された事は知っていたが、価格据え置きでここまで変わったとは思わなかった。そこで今回レビューをしようと踏み切った。Y氏は泊まりに来た翌朝早朝には、サバイバルゲーム会場に行くとのことなので、あまり詳細レビューをすることはできなかったのであしからず。
●外観はよくあるエイムポイントT-1ライクな形状ながらも、上部がピラミッド状により角張った特異な形状をしているのがクロスファイヤー レッドドットの特徴だ。
●ピラミッド状に飛び出した上部を含め、光量切り替えスイッチ等も若干飛び出し気味なので本家Aimpoint T-1よりも少しだけ大きく感じる。
●ピラミッド前方部にはボルテックス社のロゴマークが刻み込まれている。
●ローマウントは本家Micro T-1そっくりな形状。まぁだいたいT-1ライクな他社ダットサイトのローマウントはみんな似たようなものではあるが。
●付属しているハイマウントは大きく肉抜きがされた風通しの良い形状。
●ハイマウントの高さはいわゆる「Lower 1/3 Co-witness」であり、標準的なAR-15用のアイアンサイトの照準中央がちょうどレンズの下1/3くらいの高さにアイアンサイトが来る設計となっている。
●ハイマウントを噛まして電池を挿入した際の重量は150グラム。可もなく不可も無くであり、計量なHolosun HS403B(130グラム)よりは重い。
●マウントの質に関してはガタつきや工作精度の不備もなく問題ない。本家エイムポイントT1やT2との共通規格なので、好きなマウントに変更することもできる。
●その他、こちらも本家そっくりなビキニタイプのレンズカバーが付属する。
●エレベーション及びウィンテージノブカバー上部にはマイナス記号形状の突起がある。これは内部の同形状のノブを回す工具として使える。形状こそ違えど、ここも本家と同様。
●エレベーション及びウィンテージノブの1クリック分の移動量は1MOA。最大で100MOAの移動量とのこと。
●光度切り替えダイヤルの斜め下には使用する電池である「CR2032」と印字されている。
●スイッチ兼光度切り替えダイヤルは本家エイムポイントと違い、時計回りにしか回らない。そのため、電源を付けたい時は必ず最低光度から調整していかないといけない手間がある。
●電源OFF(0)ポジションから最初の2つ(N1&N2)は暗視装置用の光度だ。これはCF-RD1からCF-RD2へとアップグレードで加えられた機能。おかげでドットの明るさは真っ暗闇から、直射日光ギラギラの屋外でもメリハリ良く使える光度調整が可能となった。
●その他電池寿命も向上されており、光度中間設定で7000時間(CF-RD1)だったものが、50000時間(CF-RD2)へと大幅にアップしている。
●レンズ表面のコーティングに関しても本家エイムポイント T-1と同じく見る角度によって赤や黄緑色に見えるコーティングがされている。
●レンズはこの手のコンパクトなダットサイト同様に傾斜して取り付けられており、傾斜方向は本家T-1やHolosun HS403Bと同じく左斜め上に向かって傾斜している。
→これは、パララックスフリーのダットサイト特有のもので、光源の位置に合わせて対物レンズの位置を傾けている。そうすることで、対物レンズ内側に反射したダットの光軸が標的へのズレを軽減させているのだ。このような光源からレンズまでの距離を確保しにくいコンパクトな形状ほど傾いている傾向にある。
さて、肝心のレンズの質だが、まずはホロサン HS403Bのレビューをした際に比較対象として挙げた、旧Crossfire Red Dot(CF-RD1)の比較写真を見てもらいたい。
※画像クリックで拡大可能
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●このように、レンズの青みはホロサン HS403Bが圧倒的に透明度が高く、次点でAimpoint T-1、Crossfire Red dotと続いていた。
●また、写真ではCrossfire Red dotに他の機種の左斜め上にあるような赤いフレアがほとんど出ていないが、様々な方向からの光源全体を通してみれば、Crossfire Red dotがもっともゴーストが出やすかった。
ではこれが新型(CF-RD2)になるとどう変わったのか。
※画像クリックで拡大可能
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●今度は一目瞭然で、改良新型のCrossfire Red dot(CF-RD2)の透明度が高いことが見て取れる。
●Holosun HS403Bのレンズ透明度はAimpoint T-1を上回り、Aimpoint T-2のレベルに迫るものがあると以前言ったが、今回の改良されたCrossfire Red dotはHS403Bを上回り、よりT-2に近い、もしくは同等レベルの透明度を誇っている。
●また、今回の比較には3者共に弱い、左斜め上から光源があたる状況下で撮影してみたが、今まで左斜め上どころか、太陽が真上や右上でも出やすかったCrossfire Red dotのゴーストが、抑えられており改善されていた。写真を見てもわかるように、左斜め上の赤いゴーストも、ホロサン HS403Bよりも抑えられていることがわかるだろう。
→さすがにゴーストが最も出にくいのはAimpoint T-1であることに変わりはなかった。
●新型の比較写真よりも、旧型の比較写真の方がわかりやすいが、Crossfire Red dotのちょっとした欠点だった、ダットサイトチューブ内、右斜め下に設置されている発光モジュールの出っ張りに関しては、残念ながら改善されていない。レンズが小さい機種なのでこのような視界を遮る出っ張りは目障りであり、改善してほしかった点ではある。
●時間の都合で写真には撮っていないが、パララックスに関しても、上下左右とズレた方向から覗いて見てのダットのズレは、ホロサン HS403Bと同程度であり、100m程度であればマンターゲットへの命中は期待できそうだ。
Conclusion | 総評
●今回CF-RD2へとマイナーチェンジされ、ボルテックス クロスファイヤー レッドドットはより安価ながらコストパフォーマンスに優れた良いダットサイトへと昇華した。
●信頼性や耐久性に関しても、射撃試験はできなかったが、公式やユーザー曰く12番ゲージスラッグ弾や308Winの反動が大きな弾薬を使用しても故障や不具合等は出ないとのこと。
●他のメーカーのエントリーモデルダットサイトに比べ若干値段が高く、発光モジュールの出っ張りが少し目障りだという欠点もあるが、とりあえずダットサイトを買っておこうかと言う時や、予備等の買い足しにこのクロスファイヤーを選択肢に入れるのは、良い買い物にはなってくれるだろう。