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【レビュー】 Leupold – Patrol 6HD 1-6×24 (前編)

一人称視点レビュー動画はこちら ↓ ↓

 

Pros & Cons | 一長一短

※ここはあくまで、KUSEMONO TACTICALが想定する使い方、視点から見た一長一短です。

※一長一短をわかりやすく表記しているだけであり、項目の数や内容、順番による採点評価ではありません。

優れている点 優秀なアイリリーフとアイボックスでCQBで使いやすい光学性能
  他の追随を許さない軽さ
  倍率変更ダイヤルの回しやすさ
改善を要する点 通常タレットの質感は価格帯からすると少し悪い
  他社と比較すると優秀なレティクルラインナップではない
  イルミネーションの性能が中途半端

近距離における照準 │ 視野やイルミネーションについて

林内にて5~30mのCQBを想定した照準を検証。ターゲットは人間の上半身を模したUSPSAマンターゲット(縦75cm×横45cm)。


視野については36.8~5.8m / 100mとなっており、1倍時ではVortex – Razor HD Gen2-E 1-6よりも少し広い(逆に6倍時は少し狭い)。

一見するとスコープの縁の面積がRazorと比べると多いので狭く思えるかもしれないが、実機を持ってCQBを行ってみると、懐の広いアイボックスも相まって近接戦で使いやすいLPVOだと気付かされる。

→1倍・6倍共により広い視野を求めるのであればTrijicon – Credo 1-6という選択肢もある。


1倍時の不自然な歪みや魚眼効果は少なく、集中してターゲットにアプローチをかけることができる。やはりこれは1倍時に強いLPVOだ。

像のズレは写真のようにスコープと目がしっかりと正対していればシャキッと違和感無く見れるが、少し顔をずらすとレンズ周辺部で少し目立ってくる。この点はより安価なPrimary Arms – SLx 1-6のほうが優れているが、6HDのようにアイボックスが広めのスコープにはよく見られる現象ではある。私個人としてはそこまで気にはならない。


さて、イルミネーションの明るさについてだが同じFiredotシリーズではあるが10数年前のVX-R PatrolのFiredot SPRよりも最高輝度は見比べてわかる程度ではあるが若干暗い。今までこちらがレビューした中ではOTSコンバットスコープと同じくらいか。

晴天時の日中で使えるレベルの明るさではあるが、当然激しい直射日光下や砂漠、雪原では使えない。何よりも10数年前のより低価格帯の自社製品に明るさで負けてどうするのだというのが正直な印象だ。明るいイルミネーションが売りなファイバー方式の意味が無い。

→狩猟用モデルである6HDのグリーンイルミネーションモデルはさらに暗い。

→これが別レティクルであるCMR2モデルとなると、イルミネーションの最高輝度はより暗くなり、当研究員が米国で展示品を見た限りだとBurris RT-6やVortex Venom 1-6と同等か少し暗いといった印象とのこと。ちなみにこちらはファイバー方式ではない。

昨今、CQB用LPVOは安価なエントリーモデルでも非常に明るいイルミネーションを搭載した機種がある。このような1500ドル超えのフラッグシップモデルで、しかもファイバー方式のイルミネーションでこの程度なのはちょっといただけない。


イルミネーションの最低輝度については今度は逆にVX-Rよりも誤差レベルではあるが少し明るい。

暗闇で肉眼視認可能な明るさではあるが、夜間で使えるレベルの暗さにはなってくれる。暗視装置越しに使用するとVX-Rよりも少し明るく感じて使いにくい。

どちらにしろ全体を通じて日中から夜間偵察任務にも使えたあの利便性の高いイルミネーションではなくなっていることは残念に思う。

ちなみにだが、Gen2モデルはこのFiredot DuolexもCMR2レティクルも暗視装置対応イルミネーションになっている。ただ米国の取り扱いショップに聞いた限りだと明るさは変わってないような…という意見であった。


こちらは30m距離にて6倍率で照準。

どの倍率においても光学性能が破綻したり目に付く違和感がないし、倍率変更のスローレバーが回しやすいため、比較的短距離でも積極的に倍率を変えて撃ってみようという気にさせてくれる。

100m照準 │ レティクルと光学性能について

ターゲットは100m先に高さ180cmで吊るした青いツナギ。


前編でも少し言及したが、20~100mくらいの短距離においてDuplexレティクルの周辺部の太い十字線が少し目障りに感じることがある。ターゲット発見!そりゃ!っと照準を行う上では素早く狙いやすくと良いかもしれないが、ターゲットの周辺状況にも目が離せなかったり、索敵を行いたい場合は人によって邪魔に感じる。

これが狩猟目的であるVX 6HDなら良いのかもしれないが、対人戦闘を目的としたPatrol 6HDならレティクルを再考すべきであろう。

Vortex – Razor HD Gen2-EやPrimary Arms – PLXc 1-8×24のようなスコープの縁が無いような視界ではないが、縁が目障りとなるような占有をしているわけでもない。


3倍に倍率アップ。

1~4倍時は順光時に白や緑系のゴーストが少し出やすい。このゴーストの抑制についてもVX-R Patrolのほうが優れている。

色収差は非常に少なく、レンズ全体のシャープネス、コントラストも高い。全倍率を通し、画像の鮮明さはRazor HD Gen2-Eと同等どころか外周部はこちらの方が良い。光学性能全体を通して考えれば、RazorやTrijicon Credoなどと比較していくつかの妥協点はあるが、HD(High Definition:高画質)の称号を取っ払いたくなるようなものではけしてない。


最高倍率である6倍率にしてみよう。

どの倍率でもシャープネスや解像度等に目立つ低下は見られない。非常に余裕のあった1倍率時のアイボックスと比較すると6倍率は少し狭めではあるが、その他1-6倍LPVOと比較して特段狭いわけではない。

当然、1-8や1-10といったより高倍率のLPVOよりは余裕がある。やはり使いやすさを考えると1-6倍、1-4倍率のLPVOは今でもより高倍率のものより優位性があるということを再認識させられた製品だ。

ちなみにCMR2レティクル版、そしてマイナーチェンジモデルであるPatrol 6HD Gen2共に光学性能の違いは一切無い。

対物レンズからのイルミネーションの視認性


対物レンズからのイルミネーションの視認性は基本的にVX-R Patrolと同じだ。例え暗闇で最高輝度で照らしていても、下からレンズを覗き込んでようやくぼやけた様子で光っているのがわかるレベル。少しでも違う方向から覗くと見えなくなる。

もちろん、常識的な明るさに落とすと暗視装置で覗いても非常にわかりにくい。このイルミネーションを灯していることが原因で相手側に発見されるということはまず無いだろう。この点は変わらず優秀だ。

→ちなみにVX-R Patrolは下から覗き込んでもほとんど光っているのがわからない。

CMR2レティクル版は例え最低輝度であっても対物レンズからは見えやすいので注意が必要だ。

実弾射撃、各種訓練における使用感等


本製品はPrimary Arms – PLxC 1-8×24と共に軽量ハイエンドLPVO比較ということで各種実弾射撃や訓練に参戦してもらった。

まずアイボックスについてはこちらが非常に優位だ。特に1倍時の広さは優れており、不安定な姿勢や素早い射撃が求められるCQB訓練で非常に使いやすいLPVOだ。

ただイルミネーションとレティクルの性能はより安価な製品と比べても劣っていたり、使い道は限定される。イルミネーションの明るさはPLxCのRaptor M8レティクルもそこまで明るくはないが、あちらはレティクルが素晴らしいためその点を補ってくれる。

偵察部隊や情報小隊の経験が多い当研究会としては、この400グラム前半の軽さは実に素晴らしいポイントだ。1夜2日、我の陣地に一切帰ることのない敵地深くに潜伏する偵察訓練を行い、2日目には真正面から攻撃を仕掛ける味方部隊から漁夫の利を得る美味しい後方奇襲攻撃を行ったが、LPVOの重さで投げ捨てたくなる衝動に駆られることはなく快適な襲撃ができた。


中遠距離についてはシンプルすぎるDuplexレティクルの場合ば300mくらいが限界だ。遠くを狙いたいならCMR2レティクルの場合だとBDCレティクルがあるのでそちらを用いたほうがいいだろう。

→CMR2はM850 5.62gr、.223、5.56NATO弾に対応したBDCレティクルを備える。

耐久性についてだが、そこは老舗のLeupoldでありレビュー前から何の懸念も不安もなかった。今まで5.56mm弾を800発前後、12番ゲージのスラッグ弾やらバックショットやらを100発くらい撃ったようだが当然この程度では何にも起きない。また、Tactical RiflemanによるLPVO耐久比較レビューによると、冷凍庫とオーブンに入れた凄まじい寒暖差からの着弾誤差は少なく優秀であった。(ただしその後レンズ内部に結露が発生している点も記しておく)

本製品は永久保証であるが、それは持ち主が変わっても引き継がれる。メーカーとしてよほどの自信が無いとこんなことはできないだろう。


このPatrol 6HDの持ち主は猟銃(レミントン – M870)に載せる目的で購入した。元々はブッシュネル社の3-9倍スコープ(製品名不明)を使っていたが、50m以下の射撃しか行わず、素早い照準もできないと言うことでダットサイト(Aimpoint T1)に変更。だがそれだと少し距離が出た際の詳細がわからないということで素早い照準と遠くも見れるLPVOという判断でPatrol 6HDを購入したとのこと。

狩猟用のVX-6HDは金のリングが気に入らないという理由で選ばなかったらしい。

明るいFiredotイルミネーション、余裕のあるアイボックスのおかげで木々や藪から出てきたイノシシも素早く正確に仕留めることができると好評価だ。30m以上先で体の一部しか身を出していない獲物を見つけた場合でもストレス無く倍率変更ができるので、精神的余裕を持って照準を行うことができる。

LPVOにおいて精神的余裕を与えてくれる点は非常に重要だ。アイボックスが狭い、重い、操作性や光学性能が悪いと言った要因があるとこうはいかない。当研究会でPatrol 6HDの評価を行った者皆が、使いやすく余裕を与えてくれるLPVOだと口を揃えて言っていた。

Conclusion | 総評


かつての名機「Leupold –  Mark6 1-6×20」のような対人戦闘用フラッグシップLPVO不在の中、かつての名コスパ機であるVX-R Patrol 1.25-4×20の後継として出たつもりが、その価格からフラッグシップLPVOの座に居座ることとなってしまった「Patrol 6HD 1-6×24」。1500ドル以上する価格の説得力と同価格帯の他社LPVOと並びたいのであれば、兎にも角にもレティクルラインナップの見直しや改良が必然と言える。言うまでもないがMk6を超えるような優位性は総合的に見てあまり感じられない。

その圧倒的な軽さと余裕があり性能も悪くない光学性能の両立は間違いなくアピールポイントではあるが、肝心のLeupold社が傍から見てうまくマーケティングをしているようにも見えない。これでは他社LPVOと比較して埋もれてしまうのは当然だ。


しかし、いろいろと不平不満も述べたレビューではあったが、持ち主に返却後にもこのLPVOはまた使いたくなってくる魅力がある。何度レビュー記事のためと言い訳をしてCMR2レティクル版でも買ってやろうかと試みたことか。レティクル以外の大きな欠点が無く、射手に余裕を与えてくれる、実際に見て触れてその魅力がジワジワとわかるLPVOである

本当にレティクルだ、レティクルだけが私にとっては大きな欠点であった。せめてこのレティクルを今だ愛用しているVX-R Patrol 1.25-4の「Firedot SPR」にさえしてくれれば他の欠点は見て見ぬふりをして購入していたであろう惜しい製品だった。

→かつてLeupoldにあった好みのレティクルを搭載してくれるサービスが復活すればと思ってしまう。


現在、LPVOは完全に倍率競争となっており、低価格帯であっても1-10倍が出ているし、1-12倍の領域にすら入っている。だが、下手に倍率を上げたところで重量や光学性能が犠牲になってしまう。そもそもLPVOでそんなに無理をして倍率を上げて何を狙おうというのか。狙うことができるのはカタログスペックに飛びついてしまう顧客だけである。

売れてなんぼな資本主義世界ではそれが最優先事項なのはわかるが、1-4倍や1-6倍は無理なく重量と光学性能を極めることができる倍率範囲だ。軽くて良いLPVOを作れるLeupold社だからこそ、またこの領域を席巻してほしい気持ちはある。

このレビュー記事はリューポルドの今は亡き素晴らしきLPVO達に対する追悼文であり、ラブレターであり、復活を望む嘆願書でもある。どうかリューポルドよ、このPatrol 6HDをさらに昇華させた軽くて調子の良いLPVOを復活させ、さすがはリューポルドだ、120年の歴史は伊達じゃないと再び唸らせてほしい。


レビュー記事内で紹介した「Leupold – VX-R Patrol 1.25-4×20」のレビューはこちら ↓ ↓

【レビュー】LEUPOLD VX•R Patrol 1.25-4x20mm


レビュー記事内で紹介した「Primary Arms – PLxC 1-8×24」のレビューはこちら ↓ ↓

【レビュー】 Primary Arms – PLxC 1-8×24 ACSS Raptor M8 Meter (前編)