REVIEW >> ELECTRONICS & OPTICS | 電子・光学機器類 >> ELECTRONICS & OPTICS | 光学機器類・電子機器類
●ジャンル:ライフルスコープ
リューポルドの軽量で使いやすいフラッグシップLPVO
●執筆時期:2026年2月
●検証人数:4人
●実弾射撃評価:有り
→Type89&Type20 / 5.56x45mm弾及び空砲弾
→レミントン M870 / 12番ゲージスラッグ弾
※本製品を長期間提供してくださいましたT氏に感謝いたします。

SPECS | 性能諸元(公式)
| メーカー名(メーカー国・製造国) | Leupold(アメリカ合衆国) |
| 全長 | 272mm |
| 重量 | 464グラム(Firedot Duplex版) |
| チューブ径 | 30mm |
| 対物レンズ径 | 24mm |
| 倍率 | 1~6倍 |
| 視野 (FOV) | 120.9~19.2フィート / 100ヤード:36.8~5.8m / 100m:22.8~3.7度 |
| アイリリーフ | 1倍:93.9mm |
| 6倍:96.5mm | |
| パララックス設計 | 150ヤード(約137m) |
| レティクル(SFP:第2焦点面) | FireDot Duplex(本製品)、CMR2 |
| イルミネーター | 赤色LED:8段階(暗視装置対応) |
| 使用電池(電池寿命) | CR2032リチウム電池(再低輝度1600~最大輝度300時間) |
| 価格 | 1599.99~1799.99ドル |
Pros & Cons | 一長一短
※ここはあくまで、KUSEMONO TACTICALが想定する使い方、視点から見た一長一短です。
※一長一短をわかりやすく表記しているだけであり、項目の数や内容、順番による採点評価ではありません。
| 優れている点 | ✓優秀なアイリリーフとアイボックスでCQBで使いやすい光学性能 |
| ✓他の追随を許さない軽さ | |
| ✓倍率変更ダイヤルの回しやすさ | |
| ✓軽くてコンパクトな外観と広い視野 | |
| 改善を要する点 | ✘通常タレットの質感は価格帯からすると少し悪い |
| ✘他社と比較すると優秀なレティクルラインナップではない | |
| ✘イルミネーションの性能が中途半端 |
空席の玉座

まだLPVO(Low Power Variable Optic:可変低倍率スコープ)という単語すら無かった頃、Leupold社はこの分野における牽引役と言ってよいほどの高品質LPVOを多数ラインナップしていた。低~中価格帯ではMark AR 1.5-4×20や私が今だに愛用しているVX R Patrol 1.25-4×20、高価格帯はMark6 1-6×20やMark8 1.1-8×24といった幾多の名機が鎮座し、狩猟や競技、パトロールや特殊作戦と様々な用途で活躍していた。それが今はどうだろうか?皮肉なことにLPVOという言葉がシューター達の間に浸透しきった昨今、Leupold社のLPVOを銃の上に置いている光景はとんと見かけなくなった。もちろん、現在もLPVOはラインナップにあるが、他社と比べてマーケティングや製品作りに以前のようなパワーを感じない。

実際今回紹介するPatrol 6HD 1-6×24は、1600~1800ドルの価格ながら一時期リューポルド社の実質的なフラッグシップLPVOとなっていたほどだ(1500ドルは高価だがリューポルドのフラッグシップモデルとしては安めの値札)。しかもこの製品、わずか3年ほどの短命で製造を終えてしまった。我々が1年半以上の長期レビューをしていたらこれだ。2026年現在、第2世代モデルが出たが間違い探しレベルのマイナーチェンジに留まるやる気の無さだ。じゃあこいつは3年で一時解雇になるほどの産廃LPVOだったのか?いや違う。断じて違う。それどころか隠れた逸材ともなり得る光るものは持っている。そのことを余すことなくレビューしよう。
このPatrol 6HD 1-6×24は、狩猟・民間向けのVX-6HD 1-6×24を屋台骨に、ガチガチな特殊部隊向けではないにしろ、警察や保安官向けのパトロールライフル(主にAR-15タイプの取り回しやすいカービン銃をさす)向けのLPVOの要望を汲み取って作られた。近~中距離戦闘向けフラグシップLPVOのラインナップがほぼ空白地帯となっている現Leupoldにとっては穴埋めに必要なメンバーではある。
●Patrol(パトロール)の名称で思い出されるのは私が業務でもプライベートでも長年愛用しているVX-R Patrol 1.25-4×20である。この異常に軽くてお手頃価格のスコープのファンは多く、実質的な後継者だとも言われている。価格は700ドル台だった当時と比較すると倍以上になってしまっているが。
●全長は27cmで最近の1-6倍LPVOとしては少し長めだ。OTS 1-6×24やVortex Viper PST Gen2 1-6×24とほぼ同じ。

●様々なメーカーのプレミアムLPVOと比較した際、このPatrol 6HDピカイチの優位性は「重量」である。公式重量はなんと445グラムであり、軽い軽いと人気なPrimary Arms PLxC 1-8シリーズ(476~480グラム)や、Nightforce NX8 1-8(490グラム)ですら勝てず、現在販売されている全てのLPVO(2026年)と比べてもこれに勝てる軽さのものを探すほうが難しい。
→CMR-2レティクル版は453グラム。タレットの違いによる差か。
●公式重量459グラムと言ったが、実重量は大間違いの413グラムであった。意味不明であり、我が研究会の計量器が北朝鮮の核実験におけるEMPでイカれたのかと思い他の計量器で計測したが確かに413グラムであった。イカれているのはLeupold社の計量器であり、1-6倍LPVOとしては狂気の軽さだ。
→かつてのキングオブ1-6倍LPVOであったLeupold Mark6 1-6×20は498グラム。
●さすがに私の愛機であるVX-R Patrol 1.25-4の「340グラム」という異次元の軽さには負けるものの、1-6でこの軽さは凄まじい。長時間・長距離徒歩パトロールや偵察において装備品の重さはどストレートに疲労に直結してくる。また、写真のようにアグレッシブな動きを行う対人戦闘や競技でも身軽な動きをサポートする上で重要だ。軽いスコープを作らせたら天下一品であったLeupold社の本気の片鱗を久々に喰らわされた。

●ベースとなっているVX-6HDと比較してPatrol 6HDは光沢のあるブラックからマット処理されたものに変更されており、これが対人戦闘向けである風味を漂わせている。
●また、狩猟用リューポルドスコープの象徴である鏡筒部のゴールドリングも排され、ロゴが印字されているだけのシンプルなものに変更されている。
→その他、VX-6HD版はアルミ製のAluminaレンズカバーが付属する。このレンズカバーは単体では2~3万円もする法外な価格設定の商品であり、あなたが狩猟を嗜む貴族階級の人間でならばVX-6HD版をチョイスするのが義務だろう。

●VX-6HD、Patrol 6HDシリーズは設計から製造、組み立てまで全てアメリカ国内で行われている。全てのリューポルド製品がそうではないが、120年以上の老舗企業らしく年配保守層からの支持は高いメーカーだ。

●薄緑と薄青色のマルチコーティングが施されているレンズ。対物レンズ径は24mmと一般的なLPVOのレンズサイズである。
●34mm径のチューブを採用する事が多いフラッグシップモデルながら、Patrol 6HDは30mm径のチューブを使用。そのため、スコープマウントの選択肢は非常に多い。

●タレットについてだが、ダイヤルキャップを外すとこじんまりとしたエレベーション&ウィンデージダイヤルが見える。上位モデルのスコープとしてはこのダイヤルはちょっと安っぽい。タレットは若干ぐらつきを感じmクリック感も少し不明瞭だ。同じリューポルド社でも20年以上前のミドルクラスのほうがまだ感触がよかった。老舗企業が一体全体どういうことだ。
●製品によっては同じリューポルドにもかかわらず下位モデルのほうが良いタレットが付いていることもある。
●1クリックの移動量は1/4MOA(100mにおける約7mm)で、最大移動量はなんと180MOAと非常に多い。

●ダイヤルを引っ張り上げると、クリックは動かずにダイヤルのみスルスルと回すことができ、好きな箇所にゼロ位置を動かすことができる。工具を使わないとこの調整ができないスコープが多いなかでこれは便利だ。
●このタレットだが、CMR-2レティクル版のみエレベーションダイヤルが上位モデルのCDS(Custom Dial System)に変わっている。こちらはより優秀で、ゼロロック機能はもちろんのこと、1回転(20MOA)回す毎にロックボタン兼インジケータが徐々に沈み込み、自分がダイヤルをどこまで回したのかわかりやすい機能がある。正直上位モデルだしこの価格ならばこのタレットをどのモデルであれ標準装備するべきではなかろうか?

●イルミネーションスイッチはVX-Rに装着されていたものと同じものが付いている。中央のメダリオンがスイッチとなっており、これを押す毎にイルミネーションの明るさがコロコロ上下するタイプ。明るさは保存されるので、瞬時に起動させるには良いが、任意の明るさに調整するにはボタン連打が煩わしいという意見は少なくない。
●Gen2モデルはここがより目立たないブラックアウトした色になっており、何かに接触しての誤作動を減らせるスイッチガードがせり上がっている。ただし外見が変わっただけで、システムとしては何も変わっていない。
●輝度調整は8段階に調整可能。電池はCR2032コイン電池を使用し、最低輝度で1600時間、最高輝度で300時間の点灯が可能とのことだ。スコープイルミネーションの点灯時間は明記されていないことが多い中、このように最低から最高輝度の点灯時間まで出してくれているのは好感が持てる。

●スローレバーについてもVX-6HDの尖った形状のものから少し太めの円柱形状のものに変わっている。
→現在、VX-6HD Gen2も6HDと同様の形状に変更されている。
●このスローレバーは素晴らしい。装備品への引っ掛かりの少なさと操作性の良さを見事に両立している。現Leupoldの競技や戦闘向けスコープのスローレバーは格安モデルからこのフラグシップモデルまで全てこのレバーが使われている。

●回すテンションも軽すぎず硬すぎず絶妙であり、シューっと気持ちよく回すことができる。レバー操作へのストレスはほとんど無く、他社のスコープにも取り入れてほしいほどの心地よさだ。
●取り付け穴はぽっかり開くものの、スローレバーは一応取り外すことは可能。
アイリリーフ&アイボックス

●アイリリーフ(スコープの焦点が合う前後距離)については公式スペックでは1倍時93.9mm、6倍時96.5mmとなっており、6倍時のほうが長い。
●まぁ書類上のスペックはどうでもいい。こちらで実測したところ、1倍時で4.5~10.2cm、6倍時で6.0~9.1cmと、長さが適切であるだけでなくアイリリーフ範囲が1倍も6倍もLPVOの中では非常に長いことがわかる。
●そしてアイボックスについても、1~3倍率ではこの手の1-6倍LPVOとしてはけっこう広めだ。近接戦でも積極的に使っていけという意気込みを感じさせてくれる。当研究会での意見としては、Primary Arms – SLx 1-6やVortex Venom 1-6、Trijicon – Credo 1-6×24よりも広い。Vortex Razor HD Gen2-Eには少し劣るが、余裕を実感できる。
●ただし6倍は少し狭めだ。とは言え、Primary Arms – SLx 1-6、そして同社のかつての名LPVOであるMark6 1-6よりは広い印象である。どちらにしろ対人近接戦を視野に入れるLPVOとしては優秀なアイリリーフとアイボックスを持つ。重量と同じく、この性能が抜群であったVX-R Patrol 1.25-4のDNAを感じさせられる。
Reticle │ FireDot Duplex

●Patrol 6HD 1-6のレティクルはDuplexレティクルと、サークルレティクルとBDC機能(距離による弾道落下予測)が合わさったCMR2レティクルの2つがラインナップされている。今回、所持者は50m前後の狩猟用として使うのでシンプルなDuplexレティクルをチョイスした。
●この伝統あるDuplexレティクルについてはシンプルで良い点もあるが気になる点もある。クロスヘアがちょっと太いのだ。太さは厚みのある外側で16.2MOA、細い中心部で3.0MOAとなっている。


●この太さ、近~中距離でターゲットをすでに見つけており、素早く照準する目的では良いかもしれないが、索敵や周囲の状況を知りたい場合はノイズに感じる。同じクロスヘアタイプのレティクルでも上の写真の「FireDot SPR」(同社VX-R Patrol)や、ACSS NOVA(Primary Arms SLx 1-6 GenIV)のようにターゲットへ素早く中心点を導くガイドラインとしての機能は確保しながらも、ノイズにならないデザインになったほうが良いと思う人は少なくない。
●この問題、正確にはDuplexレティクル云々というよりはレティクルラインナップが微妙な性能な2つしかないことにある。シンプルだが多機能性の無いDuplex、使える弾種が限られその他欠点の多いCMR2しか無いのが問題なのだ。どうせならさきほど言った「FireDot SPR」のようなシンプルながら多用途に使えるレティクルがせっかくあるのだから加えてほしいものだ。
●その昔、リューポルド社のレティクルは他の追随を許さない高性能なレティクルを提供してくれるメーカーだっただけに残念すぎるポイントである。間違いなくこのLPVOがあまり売れない大きな要因の一つであり、有能なレティクルもPrimary Armsのような新興企業に代替わりをされている証である。

●DuplexレティクルのイルミネーションはVX-RやVortex Razor HD Gen2Eのように日中でも明るいファイバーオプティクスを使用。この方式は明るいが単純に点としての光らせ方しかできないため、イルミネーションは中心点のみ光る。
●輝度調整は8段階で調整可能だ。この明るさについては後半で屋外に出て語ろう。
→なお、狩猟向けであるVX-6HDはグリーンイルミネーションモデルがある。
●CMR2レティクルモデルはサークルレティクルを光らせることができる。ただしこちらはファイバーオプティクス仕様ではないためあまり明るく光らせることはできない。
●この6HDとVX-6HDシリーズのユニークな機能の一つで、「電子水平器モード」が搭載されている。
●電子水平器モードは普段使いで発生しないよう意図的な操作が求められる。イルミネーションボタンを押し続け、5秒後、10秒後にイルミネーションが点滅、そして15秒後に2回イルミネーションが点滅。その状態でもう一度イルミネーションボタンを一回押すと電子水平器モードに入る。
●以降、スコープが水平では無い場合にイルミネーションが点滅をして伝えてくれる。スコープが水平になるとイルミネーションは点滅から点灯に変わり、水平位置から30度を超えるとイルミネーションが消える。
●この機能はスコープとマウントリングをセットアップする際の水平合わせや、長距離精密射撃をする際に銃器が水平になっているかどうかを確認する際に活用できす。完璧な水平合わせは専用の水平器を用いたほうが正確だが、簡易的なものとしては使える。スコープセットアップの水平合わせは意外と難しく、人によって神経をすり減らす作業なのでそういう点では役立つ。万人に必要な機能かと言われれば微妙だが。

後編では屋外に持ち出して様々なシチュエーションにおける使い勝手や、実弾射撃検証のレポートを行う。掲載までしばらく待っていてほしい。
