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ジャンル:ダットサイト

ホロサンのグリーンLEDを搭載したオープンダットサイト

執筆時期:2020年5月

※本製品を提供してくださったI氏に感謝いたします。

SPECS | 性能諸元

メーカー名(メーカー国・製造国) HOLOSUN (アメリカ合衆国・中華人民共和国)
全長 4.5cm
重量 38グラム
ボディ材質 7075-T6アルミニウム
倍率 1倍
レティクルパターン 緑色ダット 2MOA
イルミネーター 緑色LED12段階(内2段階は暗視装置用)
使用電池(電池寿命) CR2032リチウム電池(最大100000時間)
動作保証温度 -40℃~70℃
防水性能 IP67
価格(購入価格) 299.99ドル(250.99ドル)

緑眼のオープンダットサイト


今回紹介する製品はホロサンの小型オープンダットサイト。ハンドガン、マシンピストル、ショットガンに装着するダットサイトとして需要がある。今までこのようなオープンダットサイトはいくつか取り上げて来て当初は興味なかったのだが、グリーンダットに加え、ちょっと良い機能もあったので紹介したいと思う。製品の入れ替えが激しいホロサンなので、本製品は旧機種となり、現在はアップグレードされたHE407C-GR-V2となっている。こちらとの違いにも少し触れていきたい。


パッケージは以前紹介した同社HS403B同様の、樹脂製の箱に紙パッケージ。


トリジコンSRS以降だろうか?他社と差別化を付けるためとりあえずソーラーパネルを載せとけといったノリのダットサイトが増えた気がする。

個人的には余計な電装系が増えるし反射が嫌なのであまりソーラーパネルは好きじゃないが、省エネには貢献しているらしく、説明書曰く光度設定5で200000時間もの使用が可能と謳っている。だが、100000時間という表記もあり、どこまで本当か怪しいところ。

省エネと言えば、オートスリープ機能も備わっている。工場出荷時では10分間無動作・無振動で自動的に電源が切れる。ウェイクアップ機能もあるので、少しでも振動を検知したらまたダットが点灯する。(これは手動で電源を切った場合には作動しない)

オートスリープは設定で1時間、12時間、スリープ無しにも設定可能。

電池はこの手の小型オープンダットサイトにはよくある、本体底面に入れるタイプ。使用電池はCR2032。電池を交換する際にマウントから外さないといけない欠点があるので、HE407C-GR-V2はサイドトレイ式に改良されている(電池は省スペース化のためCR1632に変更)


ダットは緑色のLEDを使用。通常版のHE407Cは赤色。

対物レンズ側からはよく灯っているのが見える。


レンズはマルチコートされた23.1×16mmのサイズがはめ込まれている。

使用上にあまり問題はないが、はめ込み部の雑さが少し目立つ。


本体そのものは、トリジコンRMRに対応したマウントになっている。

また、ピカティニーとウィーバー両対応の20mmローマウントベースが付属する。


Aimpoint T-1との比較。T-1の全長が62mmで、HE407C-GRが45mm。

HE407C-GRの重量はローマウントベース無しで38グラム。まぁまぁか。


20mmローマウントはレールへのガタもなくしっかりと付いてくれる。


小型のオープンダットサイトだが、以前紹介したニコンSPUR同様に手動での調光が可能。もちろん自動調光モードもある。

電源操作はどちらかのボタンを押してON、両方同時押しでOFFとなる。自動調光モードと手動調光モードの切替はドットが点滅するまで「+ボタン」長押し。

+と-ボタンはクリック感はあるが小さいのでグローブ等してると押しにくい。HE407C-GR-V2はボタンが大きくなり、横並びではなく上下並びになり改善されている。


自動調光の場合は、周囲の環境に合わせて光量3~10の間で調光されるようだ。電源はソーラーだけで点灯出来ない時は電池を使用するとのこと。

手動調光は、12段階の調光が可能で最小2段階はこの手の小型オープンダットサイトとしては珍しく暗視装置対応モード。

最大光量は当然直射日光下でも使えるかなりの明るさだが、最低光量はAimpoint T-1T-2並の肉眼視認不可能レベルの暗さまで下げることができる。調光でここまでメリハリを効かせることができる小型オープンダットサイトは少ないだけに良いポイントだ。

50ドルほど高いVortex Viper Reddotですら、ここまでメリハリの効いた調光はできない。

自動調光モードはその他大勢と似た性能で、日中の屋外では少し明るめに灯る。夜間の室内に関しては、若干明るめではあるが辛うじて許容範囲だ。


接眼側と左側面にそれぞれエレベーション(上下)とウィンテージ(左右)調整ネジがある。

調整は付属の工具かマイナスドライバーで行い、1クリック0.5MOAの移動量。

エレベーション調整ネジの横にある小さな丸い穴は水抜き用のドレンホール。


※画像クリックで拡大可

レンズに関して気になる点がある。写真を見るとわかるが、レンズ中央下部付近が赤紫色に変色している。調べると、少数ではあるが同じ現象になっているユーザーがいるみたいだ。コーティングに失敗したハズレ個体なのだろうか?

屋外等で普段使っているとそれほど気になるレベルではないが、このように白い背景だと気づきやすい。

それを除くと、レンズの透明度そのものは最近のホロサンらしく悪くない。レンズ周辺部に若干の収差を感じるが、気になるレベルではない。

この手の小型オープンダットサイトの例に漏れず、1.05倍程度に若干拡大されて見える。


※画像クリックで拡大可

50メートル先の青いツナギに照準

緑色のダットは視認性が良く、サッと照準が合わせやすい。反面、ギラつきが目立ちやすくもあるので、光量調整は低めの方がいいだろう。

ダットのサイズは公称値では2MOAだが、光量を絞っても若干大きめの4MOA程度に見える。

また、パララックスフリーを謳ってはいるものの、特に左から覗いた際に右側にダットがシフトしやすく、50メートルの距離で最大で15センチほどズレて見える

Conclusion | 総評


ホロサンらしく、低コストでいろんな機能を詰め込んだ製品にしようという意気込みは感じる。

だが、ところどころでツメの甘さや品質のばらつきらしきものを感じるのも事実。

新型のHE407C-GR-V2はそれらが改善されていることを願う。