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SWAMPFOX – Raider 1×20 Micro Prism 販売ページ

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前編レビューは下記へ ↓ ↓

【レビュー】 SWAMPFOX – RAIDER 1×20 Micro Prism (前編)

Pros & Cons | 一長一短

※ここはあくまで、KUSEMONO TACTICALが想定する使い方、視点から見た一長一短です。

※一長一短をわかりやすく表記しているだけであり、項目の数や内容、順番による採点評価ではありません。

優れている点 T1やT2系のフットプリント
  近接戦闘で素早く狙いやすいレティクル
  300ドル以下とは思えないクリアで歪みの少ないレンズと高い耐久性
  余裕のあるアイリリーフとアイボックス
  ARDが付属している
改善を要する点 光源を背にした際に目障りなゴーストが出やすい
  イルミネーションが対物レンズからよく見える
  イルミネーションは日中で使うには光量が足りない
  電子スイッチ式なのにバッテリーコンパートメントの出っ張りが大きい

後編では、当研究員達が様々な実弾射撃や訓練等でSLx 1Xと同時使用・同時検証を行い、より詳しく比較していこう。下の動画や比較対象であるPrimary Arms SLx 1xのレビューも一部参照しながら見ていただきたい ↓ ↓

Primary Arms – SLx 1Xのレビューはこちら ↓ ↓

【レビュー】 Primary Arms – SLx 1X MicroPrism (前編)

近距離における照準 │ SLx 1Xとの比較

まずは各距離にターゲットを配置し、どのような見え方になるのかを検証していきたい。

最初は近距離(8、10、14.5、20、30メートル)から見ていこう。(動画は0:23~



※動画からキャプチャした画像を使用しています。

各距離に人間の上半身を模したUSPSAマンターゲット(縦75cm×横45cm)を設置し、SLx 1Xと比較照準してみた。

まず視野の話からしよう。SWAMPFOX – RAIDERの視野は70.7ft / 100ヤード:21.5m / 100mであり、SLx 1Xの76.5ft / 100ヤード:23.3m / 100mと比べると少し狭くなっている。数値だけじゃなく、ボディ形状や出っ張りの差からも実際に覗くとRAIDERのほうが少し狭く実感することは確かだ。

この視野の数値はその他メーカーの等倍プリズムスコープと比較しても少し狭い。

レンズ周囲の歪みに関しては、SLx 1Xよりも優れており、素早く銃を動かした際の違和感は少ない。

グリーンとレッドの2色あるRAIDERのイルミネーションカラーは、一般的に視認性が良いとされるグリーンをチョイスした。ただ、草葉の緑が濃い場所では赤のほうが良いと感じる。両者とも2色のイルミネーションカラーをラインナップに持っているため、使用環境に合わせてチョイスしていただきたい。

SLx 1Xでは、エレベーションダイヤル部の出っ張りを用いたAMPUTATIONという、照準器を覗いている余裕がない時に用いる勘撃ち(Point Shooting)技法の一つがやりやすいと言ったが、RAIDERは左側バッテリーコンパートメントの出っ張りが邪魔で少しやりにくい。CQB戦となると、勘撃ちの機会もよくあるため、このようなことまで考慮した形状、デザイン設計をするのも大事なことだ。


さて、共に馬蹄形サークルレティクルを備えている両者だが、ご覧のようにRAIDERのほうがSLx 1Xよりも一回り大きなレティクルを持っている(外径120MOA)。

この大きさだと、精密射撃が必要な際に邪魔になりにくくて良い。そういう意味でも、馬蹄型サークルレティクルはSLx 1XよりもRAIDERのほうが好みだ。素早くストレス無く射撃ができる。

50メートル照準 │ SLx 1Xとの比較



青のツナギを180cmの高さに吊るして照準。

個人的にはこの照準器、50メートルくらいまでの近距離で使用するのがもっともスイートスポットな距離だと思う。まさにCQBやホームディフェンスで使えるレティクルだ。

接眼レンズ右下に出ているゴーストだが、SLx 1X同様に光源が斜め後ろにある場合に出やすい。レンズ中央部に来ることまでは少ないため、照準不能になることは無いが、ギラギラと邪魔には感じる。SLx 1Xと比較して少し出にくく抑えられているとは思うが、あまり変わらない。(写真ではゴーストの数が多いが)



イルミネーションを灯すと両者で大きな違いが出る。日中でもダットサイトのように使えるSLx 1Xと違い、RAIDERの最高輝度は晴天時は当然として、明るめの曇天でも足りず、あと3段階くらいの明るさがほしい。明るさのイメージとしては、Vortex Strike Eagleより少し暗いような最高輝度だ。ストレス無く使うには、今にも泣きだしそうな曇天や林内、室内程度の明るさが限界だろう。CQBへの強さを謡うのであれば、せめてSLx 1Xと同様の日中でも使える明るさを確保すべきだ

最低輝度についてはSLx 1Xと同様で、一番暗い暗視装置用設定であっても肉眼でぎりぎり灯っている様子は見れる明るさではある。

ちなみに、対物レンズからのイルミネーションの点灯は、中途半端な光量の最大輝度であろうが、最低輝度であろうが肉眼で視認できる。対人戦闘を行う場合は、イルミネーションの明るさに注意したほうがいい。ここはSLx 1Xも同様であり、できれば改善してもらいたい。


こちらの写真は、前編で紹介したレンズカバーをバッテリーコンパートメントに装着した様子。ただでさえ出っ張りがちな左側面がより大きくせり出し、右利きにとっては特に視界の邪魔である。


こちらは付属のARD(Anti Reflection Device:レンズ反射防止キャップ。キルフラッシュとも言われる。)を装着した様子。写真だと網目状の様子が少し映っているが、等倍とはいえダットサイトよりも遠くに目の焦点が合いやすい光学設計なため、視界がほんの少し暗くなる程度で、ダットサイトと比較して装着していてあまり邪魔に感じにくい。サバイバルゲーム等で使用する場合にも非常に良いだろう。

ARDを付けることによる、対物レンズから見えるイルミネーションの明かりは、少しましになる程度で決定打にはならない。

100メートル照準 │ SLx 1Xとの比較



中央の矢印レティクルだが、厚みが2MOAであり、矢印の頂点がそこまで鋭角ではないこともあり、100メートルを超えてくると精密射撃が行いにくい。CQBでの使用を謡っている製品なのでこれで良いとは思うが、個人的にはもう少し線を細くしたり鋭角に尖らせた矢印にしても、製品コンセプトは損なわれないと思うし、中距離や精密射撃もやりやすくなるとは思う。

レティクルのサイズが公表されていないので数値はわからないが、少なくとも精密射撃を行うなら、中央の逆V字シェブロンが小さいSLx 1Xのほうが有利であることは見て取れるだろう。



レティクルの線が太めであり、今回緑色のイルミネーションを選んだこともある関係上、薄暗い場所を除き、中途半端な光量のイルミネーションを点灯するよりも、イルミネーションをオフにしたほうが照準しやすい場合もある。

パララックステスト │ 100メートル


100メートルでのパララックス(視差)によるレティクルのズレは、5cm以上10cm未満とSLx 1Xとほぼ同じか、さらにズレが少ない優秀な数値。

各種訓練、実弾射撃における使用感等


今回大規模な演習や各種訓練、実弾射撃のイベントに合わせたため、SLx 1Xと共に我が研究員3人で二つの照準器をとっかえひっかえをしながら同時検証をしてみた。

まずは山林内での陣地防御訓練を実施。私が、Type89にRAIDERを載せ、対戦車誘導弾射手の警護や補佐の役目を担う。掩体を掘ったり、陣地偽装をしたりといったことばかりで、あまりにもこちらの陣地に敵が来ないので、挙句他の陣地への使い走りや雑用ばかりやらされる始末で非常に退屈であった。

ただ、最終局面で敵が眼前の防衛線を突破し、突撃をかけてきた。脱出用車両合流位置まで誘導弾射手を逃すため、100~50メートル前後の距離で後退しながらの迎撃を行った。やはりこの照準器、接近戦ではその能力を最大限に発揮できる。大きなサークルレティクルと、接近戦に強い光学設計は、このような状況で非常に有利だ。茂みの中を縫うように突撃してくる散兵を落ち着いて、且つ素早く蹴散らすことができた。

秋冬シーズンとは言え、緑が生い茂る山林内のため、イルミネーションがグリーンだと少し目立ちにくさを感じることもあり、場合によってイルミネーションを消しての射撃も行った。山林内がメインであるのであれば、赤イルミネーション版を購入するのが良いだろう。イルミネーションの明るさに関しては、小雨が混じる曇りだったため不足感は感じなかった。

Type89には空砲とレーザー光線による射撃訓練システムを使用。


日が変わり攻守交替となり、お互い仮敵役となる。ここで別研究員にRAIDERを手渡し、同じくType89に載せてもらった。

敵陣地に正面突破を仕掛ける役目を担ったようだが、距離が150メートル以上離れると、中央の矢印レティクルのサイズや形状の関係で精密な狙いは付けにくくなる。

また、曇天とは言え、高地に陣取る敵に向かって照準する関係上、空に向けるとイルミネーションの明るさがもう2段階か3段階ほど欲しいと感じることが多い。この点は、やはりSLx 1Xの方が日光に負けず明るく灯るため有利だ。ただ、迎撃をしようとバカスカ撃ってくる敵に対して、身を隠して進み、一瞬だけ体を出して射撃の繰り返しとなった場合、素早く狙いを付けやすいレティクルが役に立つ。

大規模施設における対ゲリラ警備訓練


こちらもSLx 1X同様、重要防護施設の警備訓練にて、大規模施設におけるCQB(Close Quarters Battle:近接戦闘)シチュエーションを検証した。屋外で300メートル以上離れた場所へ狙いをつけることもあれば、配管や機械類が所狭しと密着し、公衆便所のような隙間や通路を縫ってクリアリングをしなければならないエリアもある大規模施設だ。

レティクルの性格上、中遠距離はあまり得意ではないRaiderだが、特に100メートル以下のCQBでは光学性能やレティクル面はSLx 1Xよりも有利だ。動かした際に歪みが少なく、大きなサークルレティクルにより、さらに素早くターゲットを捉えれると共に、レティクルが邪魔に感じることが少なかった。

200メートルから近づいてくるターゲットへの実弾戦闘射撃


他にも、戦闘射撃訓練も実施。ターゲットは数秒間現出した後に隠れ、徐々に近づいてくる設定で、200メートルからのスタートとなった。

当初距離が離れているうちはターゲットへの狙いを付けにくい場面もあったが、距離が近づいてくるに連れて射撃がしやすくなる。サークルレティクルのサイズは良いので、中央の矢印レティクルをもう少し鋭角にしたり、サイズや線をより小さく細くしてくれたら尚よかったかもしれない。ただ、あくまでこれはCQBでの戦闘を考慮して作られた光学照準器ではある。

こちらはType 89に5.56x45mm実弾を用いての射撃。

この冬の射撃訓練では、地面が雪化粧されていたため、イルミネーションの明るさはやはり足りない。下手に光らせると逆に見えにくくもなるのでイルミネーションをオフにしての射撃を実施。レティクルがわかりやすい点は、イルミネーションをオフにしても判別しやすいので良い。

12番ゲージスラッグ弾射撃 | 50メートル


さて、SLx 1X同様に私物の散弾銃(Benelli – M2)を用いて、12番ゲージライフルスラグ弾を50メートル先のターゲットに向け、射撃した。写真はゼロイン調整を終え、立ち撃ちで3発撃った結果である。(動画は2:15~

2発目で左に10cmほどズレてしまったが、それを省けば5cm以内でまとまっており、悪くない結果だ。SLx 1Xの時と大きく変わりはない。

2発目がズレた原因は私のクソ雑魚集中力である。射撃した瞬間、「あ、これ外したわ」と自覚した。

ダットサイトと比較して、レンズは明るいし、乱視によるダットの滲みやブレが無いのも非常に有利である。ただ、SLx 1Xと比較してレティクル中央部が太く大きいため、狙いは少しつけづらかった。

クレー射撃 │ トラップ


散弾銃を用いて他にもクレー射撃(トラップ)を実施。

まず中途半端な光量のイルミネーションは、背景が山であるためオフにして行った。こちらのほうが緑と被らず見やすかった。

サークルレティクルが大きいのはSLx 1Xと違って良い。素早く飛んでいく皿を追従するのにやりやすい。

ただ、中央の矢印レティクルについてはやはりもう少し線を細くしてほしい面はある。これが、サイズはそのままでもいいので細かったら、SLx 1Xの逆V字シェブロンよりも良いかもしれない。

どちらにせよ、余裕のあるアイリリーフやアイボックスにより、プリズムスコープながらクレー射撃でも慣れれば使える。

サバイバルゲームでの使用

そうそう、当研究会としては珍しく、エアソフトガンを用いたサバイバルゲームでの検証ができた。演習後、今回の検証を語り合っている際、研究員の一人がサバイバルゲームでの使用が楽しいではないかと提案してきた。そして彼は演習後の翌日、サバイバルゲームで使用するというハードな検証に繰り出した。

サバゲーでの使用には実に良い。ARDがあるため、BB弾からの被弾も安心して突撃が可能だ。交戦距離が50メートル以下なのも、まさに適している。

今回、フィールドが薄暗い林内だったため、イルミネーションの明るさもちょうどよく、ダットサイト感覚で素早く射撃に移ることが可能となった。この使い方、おススメだ。

Conclusion | 総評


Primary Arms社のSLx 1X MicroPrismは、等倍プリズムスコープの中では異例のヒット作となった。今までプリズムスコープが抱えていた欠点の多くを排除し、利点を引き伸ばしたからだ。

では、そんなヒット作と本機を比べた場合はどうだろうか。中距離での射撃やある程度の精密射撃も考慮するのであればSLx 1X、そしてCQBでの使用に集中したいのであればRAIDER!…と太鼓判を押して言えないのが残念である。詰めが甘く惜しいという他無い

ある程度の中距離にも対応させているSLx 1Xに対し、こちらは逆に接近戦での使用に重きを置き、差別化を図るという考えは良かった。

そして、レンズの質やレティクル面で一部SLx 1Xよりも良い面も確かにある。

価格についても、希望小売価格は269.99ドルのSlxより高いが(279ドル)、実売は230ドル前後とほとんど値引きがされないSLx 1Xよりも安く買える。


ただ、CQB戦重視というコンセプトに反するような中途半端な光量のイルミネーションや、ボディ形状の詰めの甘さが評価に対する足を引っ張っている。

250ドルを下回る実売価格でこのレンズ性能は良い。後は、CQB戦闘に重きを置いたコンセプト通りのその性能を兼ね備えることができれば、この等倍プリズムスコープに対する評価は変わるだろう。

SWAMPFOXは、国内外共にまだまだ知名度は低い。多くの人に支持されているVORTEXやHOLOSUNも、元々は誰も知らないメーカーだったし、お世辞にも高品質とは言えない、中華レプリカ品に毛が生えたような製品を作っていた時期もあった。だが彼らが躍進したのは、他社製品が霞んで見える名機やハイコストパフォーマンスな良い製品を生み出したからでもある。そこに、ちょっと首をかしげてしまうような詰めの甘さやネガティブな側面があってはいけない。せめて、そんなことどうでもよくなるほどの尖った存在感を示すべきだ。今回のRAIDERを見て触れて、SWAMPFOXにその可能性が無いわけではないと私は思っている。今後このメーカーが光学照準器業界でどういう立ち位置を築くかを見守っていきたい。

※本製品の購入等に協力してくださいました、デザートカウボーイ様に感謝いたします。本製品はデザートカウボーイ様にて購入可能です。

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SWAMPFOX – Raider 1×20 Micro Prism 販売ページ

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