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ジャンル:プリズムスコープ、ライフルスコープ

サイトマーク社のラバーで覆われたプリズムスコープ

執筆時期:2020年9月

→本製品を提供してくださったY氏に感謝いたします。

SPECS | 性能諸元

メーカー名(メーカー国・製造国) SIGHTMARK (アメリカ合衆国・中華人民共和国)
全長×全幅×全高 150×72×77mm
重量 488グラム
ボディ素材 6061アルミニウム&ラバー
対物レンズ径 24mm
倍率 3倍
視野 (FOV) 6度
アイリリーフ 2.83インチ(72mm)
イルミネーション 赤&緑LED(各色5段階)
使用電池 CR2032リチウム電池
対反動性能 800g’s
防水性能 IP68(水深3mまで対応)
動作可能温度 -40℃~50℃
価格(購入価格) 249.97ドル(2018年11月、210ドルで購入)

ラバースーツに身を包んだスコープ


馴染みのない地区で500円~1000円で食える定食屋を見つけた時、えも言われぬワクワク感がないだろうか?気だるそうなバイトやオバちゃん店員が持ってくるまで、そして一口目を口に運ぶまでソワソワとするが、それが安かろう悪かろうの集大成であれ、とんだ掘り出し物アタリ定食であろうが、なんだか楽しいアトラクションで遊ぶような楽しさがある。

100~500ドル前後の格安光学照準器を試す際にも同じことが言える。変なギミックがあったり、倍の価格以上のデキだと興奮するし、例えダメダメでもこの価格なら仕方ないかと諦めがつく。今回レビューするサイトマーク社のウルフハウンド 3×24 HS223もそんなお安いプリズムスコープだ。


まず外観で一番目を引くのは、アルミニウム合金のボディの上にラバー製のカバーを着込んでいる点だ。もうこの段階から面白い

ラバーコーティングとかそんなのではなく、Aimpoint T-1やM2とかによくあるサードパーティ製のラバーカバーみたいなものが最初から被せられているのだ。


このカバーは完全に本体に接着されているわけではなく、けっこうパカパカと動かすことができる。ただ、脱着は基本的にできないようになっているようだ。

そのため、耐衝撃性能はこのカバーによって上がっているかもしれないが、汚れが付きやすいという弱点がある。経年劣化によるラバーのベタつきもちゃんとメンテナンスをしていないと発生しそうだ。


全体的なデザインは、トリジコン ACOGに着ぐるみを着せたようなデザインだ。

マウントはピカティニー規格。


接眼レンズは回すことで+3~-3の範囲で視度調整も可能。

ACOGでいう光ファイバーチューブにあたる上部のトサカのような出っ張りは、デザインだけで特に大きな意味はない。


左側面と上部の脱落防止付きのキャップを外すと、ウィンデージとエレベーション調整ダイヤルが出てくる。

ダイヤルのクリック感はよく、両者ともに160MOAの移動量がある。

本来ならコインや薬莢、マイナスドライバー等でダイヤルを動かすが、一応キャップの縁を噛まして動かすことも可能。


レティクルイルミネーションは赤と緑色を切り替えることが可能で、各色5段階の光量調整が可能。

電池はCR2032リチウム電池だ。


対物・接眼レンズ共に緑と薄青色系のマルチコーティングがされている。対物レンズ径は24mm、接眼レンズは27mmのサイズ。


説明書は同シリーズの6×24 HS-223 LQDと共通となっている。

このシリーズは、他にも本製品と同じ外観と性能で、レティクルを.300BLK弾に対応させたHS-300がラインナップされている。


この手の格安光学機器によくある嬉しいポイントとしては、このようにキルフラッシュ等のオプションが付属していることだ。

3倍率なので、キルフラッシュを装着しても視界が少し暗くなるくらいで、そこまで違和感はない。


付属の少しカッコいいビキニタイプのレンズカバーは、キルフラッシュを装着していても取り付けが可能。


レールからレンズ中央部までの高さは約3.5cm。写真のようなCクランプ等の構え方をすると、指等がレンズ視界内に入ることがある高さ。

重量は488グラムで、ラバーカバー分の重さがあるのか、Vortex Spitfire 3x(436グラム)やTrijicon ACOG TA31(415グラム)等と比べると少し重い。


アイリリーフは公式スペックでは7.2cmだが、実際に計測するとそこまであるような印象ではなく、最大で5.2cmだった。アイリリーフ範囲は3.6~5.2cm。

この手の3倍率プリズムスコープとしては、アイリリーフは平均か少しだけ短めといった印象。

アイボックスは他機種より少し範囲に余裕があると感じる。


レンズはご覧の通りほんわり暖色に映る。

レティクルはHS-223という、.223弾(いわゆる5.56×45mm NATO弾)のBDC機能を付与させたホースシュー(馬鉄)タイプのレティクルだ。

上部の小さなふたつの点の最上点を200ヤード(183メートル)でゼロインすること、最大900ヤード(823メートル)までの距離による弾丸落下予測が可能になる。

.223弾の弾頭重量は55グレインと62グレインに対応しており、BDC機能を利用する際は、その弾頭重量表記の側の横線と縦線の交点を目標に合わせる。

例えば、55グレインの弾丸で700ヤード先の目標を狙う場合は、左側の7と書いてある横線と縦線の交点を目標に合わせるとヨシ!といった感じだ。うん、すごく狙いにくいね


※画像クリックで拡大可

高さ1.8メートルの位置に吊るした青のツナギを100メートルの距離で照準

まずレンズをスッと覗いてみての印象だが、意外とクリアで良い視界が得られていることに気づく。外縁部は多少歪んで見えるが、この価格帯にしては明るくてよいレンズだ。

少し右寄り上部に、ゴーストが若干出ているが、価格の割には意外と目障りなゴーストやフレアが出にくい。

ホースシューレティクルのセンタードットは0.5MOAという大きさもあって、イルミネーション無しでは少し見えにくい。



赤と緑のイルミネーションを灯すことで、このレティクルは真価を発揮する。馬鉄型のホースシューレティクルはサッと照準を合わすのが容易なので、CQB戦闘で頼れる存在となるだろう。

各色5段階の光量調整ができ、意外と暗闇から直射日光下までまんべんなく使うことができるメリハリの効いた調整ができる。欲を言うならば、暗闇ではもう1段階か2段階くらい暗くなってほしいが、完全な真っ暗闇でない限りあまり支障が出るような明るさではない。

暗い環境下では赤色が使いやすく、日中での明るい環境下では特に緑がキラッと目立って使いやすいので、CQB戦で役に立つだろう。


対物レンズ側からは、イルミネーションが灯っている様子がよく見えるので、特に暗所での使用は注意を払ってもらいたい。

Conclusion | 総評


常にラバースーツを着込んでいる変態なので、屋外での使用は汚れや塵の付着が目立ってくるし、2種の弾頭重量の両取りを考えたBDC機能はまぁ使い物にならない。

だが、CQB戦で使いやすいホースシューレティクルと、メリハリのあるイルミネーションはけっこう気に入っている。CQBを考慮に入れたスコープで、この両方を伴った商品はけっこう貴重だ。

250ドル前後で入手できる価格も魅力的なので、遊び感覚で購入しても悪くないし、キルフラッシュが付属している点からも、サバイバルゲームでの使用も楽しいだろう。