REVIEW >> ELECTRONICS & OPTICS | 電子・光学機器類 >> ELECTRONICS & OPTICS | 光学機器類・電子機器類
●ジャンル:ダットサイト
懐中電灯メーカーであるオーライト初のハンドガン向けオープンダットサイト
●執筆時期:2024年8月
●検証人数:3人
●実弾射撃評価:有り
→Benelli – M2 / 12番ゲージ トラップ射撃用散弾
本製品の購入等に協力してくださいました、オーライト様に感謝いたします。本製品はオーライト様にて購入可能です。
●オーライト公式ページ
●Osight販売ページ
https://www.olightstore.jp/osight-3-moa-with-charging-cover
SPECS | 性能諸元(公式)
メーカー名(メーカー国・製造国) | OLIGHT(中華人民共和国) |
サイズ(全長x幅x高さ) | 45x29x32mm |
重量 | 60グラム |
倍率 | 1倍 |
レンズサイズ(縦x横) | 21.5x24mm |
本体材質 | 7075-T6 アルミニウム |
ドットサイズ | 3MOA |
イルミネーター | 赤色LED(650nm) 12段階調光(内2段階は暗視装置用)、その他緑色LEDモデルも有り |
使用電池(電池寿命) | 170mAh リチウムポリマーバッテリー(最大7万時間) |
動作保証温度 | 0℃~45℃ |
防水性能 | IPX6 |
使用電池 | CR2032リチウム電池 |
価格(国内価格) | 199ドル(30995円) |
Pros & Cons | 一長一短
※ここはあくまで、KUSEMONO TACTICALが想定する使い方、視点から見た一長一短です。
※一長一短をわかりやすく表記しているだけであり、項目の数や内容、順番による採点評価ではありません。
優れている点 | ✓多数の機能を搭載しながらもお手頃な価格設定 |
✓手厚く迅速なアフターサポート | |
改善を要する点 | ✘輝度を上げるとダットが滲みやすく、最低輝度が明るい |
✘レンズの歪みが目立つ | |
✘パララックスが大きい | |
✘低反動弾で発生した点灯不良 | |
✘LEDエミッターの映り込み | |
✘一定条件下でダットがもう一つ映り込む |
懐中電灯メーカーによる光学照準器界への道場破り
アマゾンにて「懐中電灯」で検索すると、今だ銀河系の星々の如く出てくる中国製懐中電灯とそのメーカー。そんな有象無象の中でも品質や質感、コスパや保証の良さを併せ持った欲張りメーカーは、ここ数年変わらずOLIGHTであろう。彼らがその地位を維持し続けてきたのには、品質やコスパだけでなく、セールやセット販売を大々的に行い認知度を上げると共に、会員専用ページを設け、購入後もユーザーに対しての大きな特典や優越感を与え、顧客を手放さない手厚いサービスも強みである。
オーライトの評判は、一般向けのEDCライトやワークライトのみならず、タクティカルライト業界でも良い。現時点ではあくまで民間での評判が主体ではあるものの、コストパフォーマンスの良いタクティカル、ウェポンライトとして長らくSurefireやStreamlightが持っていたシェアを奪いつつある。そんなオーライトが、タクティカルや銃器業界への進出を深めようと、この度ハンドガン向けのオープンダットサイト「Osight」をリリースした。中国の懐中電灯業界が光学照準器業界に道場破りをしてきた!ということで少し話題になったと同時に、様々なレビュアーにより賛否両論にもなっている。果たしてこのルーキーはどれほどの者だろうか?当研究会の目線で徹底検証をしていきたい。

●Osightの本体サイズは全長45mm、全幅29mm、全高32mm。重量は60グラムとこのセグメントの中では重い。
●後述するレンズサイズが大きな部類のため、本体サイズもハンドガン向けダットサイトの中ではそれなりにある。フルサイズのハンドガンに載せても存在感はご覧の通りだ。
●2024年現在、価格は199ドル、国内公式サイトでは30995円で販売されており、実銃ハンドガン用ダットサイトとしては安い部類である。
→例えばホロサンのエントリー向けハンドガンダットサイトであるHS407K X2と比較すると8000~9000円ほど安い。
●本体素材は、プレミアムで耐久性を謳っている光学照準器によく使用されている7075-T6アルミニウムが使用されている。この比較的低価格なハンドガン向けダットサイトでこのアルミニウムの使用は珍しい。
●多くのダットサイトは6061アルミニウムが多く、7075はコストがかかるがより強度に優れている。ただ、Osightをいじめ抜いている他レビューを見る限りだと、Trijicon RMRのような屈強な戦士というわけではないようだ。製品としての頑丈さは本体素材だけでは決まらない。
●レンズのサイズはハンドガン向けとしては大きな部類で、Aimpoint T2やその他T2系ダットサイトによく採用されている直径18~20mmレンズよりも大きな、縦21.5mm、横24mmとなっている。携行性よりも競技等に重きを置いたものだろう。他社ハンドガン向けダットサイトで比べてみると、Aimpoint ACRO P-2、HOLOSUNの通常製品よりは大きく、HOLOSUNのCompシリーズやTrijicon SROよりは小さいといった感じだ。
●レンズのコーティングは赤紫色のマルチコーティングが施されている。
●本体下部、OSIGHTと刻印されている上のほくろみたいな部位は自動調光モードに使用される光センサー。
●Osight底部フットプリントに関しては、ハンドガン向けダットサイトとして広く普及している部類の一つ、Trijicon RMRのフットプリントを採用している。そのため、各種マウント類の選定には困らないだろう。
●写真の20mmピカティニーローマウントはこちらで用意したものだが、オーサイト曰く純正マウントも販売予定とのこと。
→このレビューの後、純正マウントが販売された。0.91インチのローマウントと1.57インチのハイマウントの2つがラインナップ。
●先ほど公式重量は60グラムほどと重めと言ったが、こちらで計測した実重量は49グラムほどと平均的だった。あれ?
ちょっと付属品の話をしよう。
●マウントと本体を繋ぐネジに関しては、「M3.5」「M4.0」「#4-40」「#3-32」と多数のサイズのネジを3本づつ、ご丁寧に可愛らしい小さなフタ付き樹脂ケースに入れて用意してくれている。
→この樹脂ケースはそれぞれ分割や連結もできる。
こちらはType-C充電ケーブルと調整用工具。
●調整用工具はエレベーション等調整ダイヤル用のマイナスドライバーとマウントネジ用のT10トルクスドライバーが両端に付いている。
●工具にはいかついドクロだかゴーストだかわからない怪物が憑依しているが、正直オーライトのパッケージや本体のデザインとあまり合っておらず、少し浮いている気がするのは私だけだろうか。
●付属品は他にも説明書や携帯用巾着袋、レンズクロスが付属する。
●ちなみに、Osightは生涯保証を謳っているが、パッケージによると現在そのサービスはオーストラリア、中国、フランス、ドイツ、アメリカのみとなっている。対応エリアは順次拡大予定ではあるらしい。
Osight本体の話に戻ろう。
●操作は全て左側面の2つのボタンで行う。ダットを点灯させるにはどれでもいいのでボタンを押し、消灯するには両方を0.5秒以上押す。
→振動検知モードと自動消灯機能も備えており、それらを起動させている時には10分以上の無振動で消灯、Osightに少しでも振動を与えると即座に点灯する。
→2つのボタンの間にはLEDによるバッテリーインジケーターがあり、電池残量に応じて緑、黄、赤へと点灯時に表示してくれる。
●点灯モードは3つあり、12段階の明るさに任意に調整できる手動モード、周囲の環境に合わせて自動で調光するオートモード、現在の明るさで固定して電源オンオフとモード切替以外の操作を受け付けないキーロックモードが設定できる。これらのモード設定はホロサン等を参考にしたことが伺える。
●ボタンの触り心地は、出っ張りは少ないものの、軽いタッチで押すことができる。電子スイッチであり、押し込みのフィードバックはプチっとした感じで厚手のグローブ以外ではわかりやすい。
●ボタン後方にある穴は水抜き用の排水口。
●後部上面や右側面にあるエレベーション&ウィンデージダイヤルはNikon – SPURやBurris – FastFire 3のような低価格ハンドガン向けオープンダットサイトでよく見るものだ。
●1クリックの移動量は1MOAとなっており、最大移動量は45MOA。最大移動量が45MOA程度なら、できれば1クリックの移動量は0.5MOAとかにしてほしかった。
→1MOAの移動量は100mで27.8mm。
●両ダイヤルのクリック感はたまにウィンデージ側が不明瞭になることがあった。まぁ値段相応か。
さて、これからOsightが他のダットサイトとは違う最大のユニークポイントについて話そう。
●Osightの他社とは違うおそらく一番の特徴の一つが、使い捨ての電池ではなく、充電式の内蔵バッテリーで点灯するところだろう。
→内蔵バッテリーのみで点灯するハンドガン向けダットサイトで他有名どころメーカーだと、Holosun – SCS Carryがある。ただしこちらは充電器は無く、ソーラー発電で賄うのが特徴。
●内蔵バッテリーは170mAh、3.87Vのリチウムポリマーバッテリーとなっており、最大輝度で510時間、最低輝度で70833時間の点灯が可能となっている。
●各明るさにおける点灯時間は説明書に細かく表記されており、日中での使用がメインとなると概ね9000~1200時間の点灯が可能と予想できる。正直バッテリーの点灯時間に関しては驚くほど省エネというわけではない。
→ただこのように、各段階における細かな点灯時間の表記は他メーカーにも見習ってほしい。
●Osight本体の充電に関しても、ケーブル等を接続するのではなくユニークな方法で行う。Osightがすっぽりと入る専用充電カバーを被せて充電を行うのだ。
●充電カバーそのものにも800mAh、3.87Vのリチウムポリマーバッテリーが内蔵されており、最大で3回本体をフル充電できる容量とのこと。
●充電カバー上部には、Osightに被せたり、カバー左側面のボタンを押すとLEDのインジケーターが表示され、現在の本体バッテリー残量がわかる。
→カバーのみで側面のボタンを押した場合は、カバーのバッテリー残量がわかる。
●ちなみに、点灯した状態でカバーを被せるとOsightは自動的に消灯され、カバーを外すと自動的に点灯する。
●カバー裏側を見ると、3本の金属端子があり、ここがOsight上面の金属プレートとマグネット接続されることで充電ができる。マグネットの磁力そのものはそこまで強くなく、着脱は簡単にできる。故に、充電している状態でカバン等に無造作に放り込んでいると外れる可能性がある。
●防水や防塵性能に関しては、Osight本体がIPX6となっている。そのため、豪雨の中や砂塵が飛び交う環境下での使用でも故障の心配はいらないだろう。ただし、水の中に浸すような状況には対応できない。
→充電カバーについてもIPX4クラスではあるので、野外に持ち出してからの少々の雨程度なら大丈夫だろう。ただし充電端子等が濡れている場合は完全に乾燥させてからの使用をすべきだ。
●充電カバーそのものの充電は後部のType-CポートにUSBケーブルを接続して行う。
●この充電カバーの件だが、サプレッサーやダットサイトと併用する用途の大きなリアサイトを装着している場合、干渉して充電カバーを被せることができない問題が発生している。この件に関しては公式でも注意喚起がされている。
→公式曰く、リアサイトの高さが取付面から78mm以下、もしくはリアサイトとOsightとの隙間が3mm以上あればカバーを被せることできるとのこと。
●様々な機能だけでなく、内蔵バッテリー駆動とカバーを被せることによる充電システムという新たな切り口でリリースをし、価格面でも低価格でリリースしているところを見ると、まずはOsightを広く知ってもらおうという意気込みは感じられる。
●ただ、内蔵バッテリーの具体的な耐久性や自然放電のレベルは不明で、凄まじいレベルの省エネというわけでもないため、従来の使い捨て電池タイプの他社製品と比較してバッテリー内蔵式にしたことによる優位性はあまり感じられない。
●また、リチウムポリマーバッテリーを内蔵している関係か、動作保証温度に関しては0~45℃までの範囲で保証されている。つまり、氷点下を下回るエリアでの使用は考えたほうがいいし、猛暑日のアリゾナで車内に銃とOsightを放置しないほうがいいということだ。
→この点に関しては、公式サイトでの表記が無く、パッケージや説明書を見ないとわからない。けっこう大事な点なので公式ページにわかりやすく表記すべきだ。
●一応当研究会や他Youtuber等が冷凍庫に数日放り込んで試した限りでは、動作に問題はなかった。ただし点灯時間等には影響が出るかもしれない。
さて、そろそろOsightの光学性能を見ていこう。
●Osightは3MOAサイズのダットで照準を行う。また、今回レビューしている赤色の他に緑色のドットもある。
●レンズの色味等についてだが、上部1/3に青味が少し目立つ。全体としてみると透明度は高い部類だ。
●このような近距離で方眼紙を通して見てみると、レンズ中央より下にかけてズレが少しあり、中央に向かっての歪みが少し感じられる。ただこれに関しては、野外に出て覗いてみると状況が変わってくる。詳しくはまた後述しよう。
近距離における照準
林内にて人間の上半身を模したUSPSAマンターゲット(縦75cm×横45cm)を10m~30mのCQBを想定した距離で見ていく。
ハンドガン向けダットサイトなので、ここではOsightの撮影設置位置はハンドガンと目の距離感を想定して設置。日陰と日向が混じり合う林内にて調光モードはオートに設定。(動画は0:07~)
→動画では他にも小銃(AR-15系)と目の距離感を想定した100m照準動画も載せているので、ロングガンへの使用も考えている人は参考にしていただきたい。
●レンズの縁の太さは平均的か少し薄め、レンズサイズは大きめなこともあり、このようなCQBの距離でもターゲットをボディ本体が覆い隠すことがなく、レンズ全体として捉えやすい。
●写真や動画では肉眼と違ってわかりにくいが、輝度を高めるほどドットの滲みや不自然なギラつきが他製品と比較して目立つ点が少し気になる。これはオートモード中、何らかの理由で急に明るくダットが灯された際に気づくことが多い。
●レンズの透明度が高い点については、林内の日陰に潜んでいるようなターゲットへの射撃に役立つ。
●オートモードだが、周囲の明るさの変化による調整は非常に素早くシームレス且つ、低価格帯自動調光機能付きダットサイトの中では、調光の塩梅に関してもスマートに調整してくれて使いやすい部類ではある。
●だからと言って太鼓判を押すほどではない。暗い場所から明るい場所へ、明るい場所から暗い場所への照準は他と同様そこまで得意ではないし、環境やユーザーの好みによってはもう少し暗く灯してほしいと感じる明るさではある。
→他のダットサイト同様、私が使うのであれば自動ではなく手動調光で運用するだろう。
50メートル照準
次は50mの距離にて、180cmの高さに吊った青いつなぎ服を照準。
●レンズ上部1/3に青味があると前述したが、この部位が日光や照明の当たり具合により、上の写真のように赤紫色の反射が出現しやすく目障りとなりやすい。ただ照準の邪魔になるほどではない。
●ダットの調光モードは手動調光に設定。写真は日陰の状態で12段階中9段階目に設定している。
●手動調光の調整範囲についてだが、こちらも多くのハンドガン向けダットサイトの例に漏れず、最低輝度に関しては月明かりが照らされているような環境下では良いが、それよりも暗い場合は肉眼や暗視装置併用共にあと2~3段階暗くなってほしいと感じる。最高輝度の場合は真夏の湘南ビーチでも使える明るさで十分だ。
→OLIGHTに限らず、暗視装置に対応させているのであればダットの最低輝度にはもう少し気を配って欲しい。
100メートル照準
今度は100mの距離にて、カンカン照りの日向での照準を行ってみた。
●3MOAのダットサイズなので100m距離でも余裕でマンターゲットは照準できる。また、ダットはかなり明るく灯すことができるため、このように夏の太陽が降り注ぐ日向でも余裕だ。
●日陰で上部に覆っていた赤紫色の反射に加え、太陽が当たるとよりぎらついた反射が出やすい。まぁこれに関しても照準の邪魔になるような、中央ダット部分を横切ったり覆うようなレベルではない。
●方眼紙を覗いてみた場面ではレンズ下方にズレ、歪みが生じていたが、実際に野外に出てサイトを動かしながら見てみると、むしろレンズ上方の歪みが大きく目立つと共に少し拡大傾向に映る。こちらは動画で見たほうがわかりやすいので参照していただきたい。(動画は1:41~)
●レンズが大きめなこともあり、上部の歪みはレンズを覗きながら動かした時にけっこう気になる。特に写真のような明るくて開けている場所だとよりそう感じやすい。
パララックステスト │ 100メートル
●100mにおけるパララックス(視差)だが、左右の動きに関しては5~7cmほどと優秀。
●だが上下に関しては、最大で30cmとかなりの移動量がある。特に下方から覗き込んだ場合はダットが大きく下方にシフトし、右へも少し移動する。
●ハンドガン向けダットサイトはロングガン向けと違い、ストックで安定した照準姿勢を維持することが難しい。そのため、このようにパララックスが照準姿勢によって大きくシフトするダットサイトに関しては注意が必要だ。
対物レンズからのイルミネーションの視認性
●対物レンズからのイルミネーションの視認性は、環境に合わせた常識的な明るさであっても少し見えやすい。対人用途で使用する場合は考慮すべし。
問題多発
さて実銃射撃や様々な環境下での評価をしていると、ちょっと看過できない問題点が多数散見された。この状況に出くわした製品は久々だ。1つづつ正直に報告しよう。
●まずは散弾銃にてクレー射撃を行っている最中にダットが消灯してしまい、点灯不良が起きた。
●Osightを再び電源オンにすると問題なく点灯したが、この点灯不良はその後も今回の実弾射撃検証で後日もう一度起きた。もちろん、どちらともOsightのバッテリーは満タンだ。
●12番ゲージの半自動式散弾銃とは言え、クレー射撃用散弾の反動は激しく動くハンドガンのスライド上よりも少ない。しかも反動をかなり抑えてくれるコンフォートストックを装着したベネリ M2だ。実銃向け光学照準器でこの程度の反動で点灯不良を起こすのは良くない。
●この現象とは少し違うが、今回Osightを初回割引セールに釣られて購入した別の当研究員も、自動調光モードがたまに最大輝度で固定されてしまう現象にも見舞われている。この研究員も、私同様普段は手動調光モードで使うため別に困らないそうだが、不具合は不具合だ。
→今回のような点灯不良以外にも、ゼロインがずれると言った不具合も別レビューにて何件か報告されている。
●次にいこう。上の写真を見ていただきたい。先ほど見てもらった50m先のツナギ服に照準している写真ではあるが、実はダットの電源は切っている。ここに投影されているのは、ダットのLEDエミッターが反射して映り込んでいるのだ。
●当然これは照準の邪魔となり目障りだ。特に薄暗い日陰や室内だとより目立つ。
→この現象はLeupold – LCOにもあった。
●光学系に関する大きな問題は他にもある。上の写真はレンズを上方から覗いた様子を写したものだが、レンズ上端にあるダットの下に少し暗めにもう一つ偽のダットが投影されているのが見て取れるだろう。
●この現象もエミッターの映り込み同様に困ったものだ。先ほども言ったが、ハンドガン向けのダットサイトはレンズをずれた方向から覗くことも多い。このような「偽の照準点」が出てしまうことは、誤射等の事故に繋がりかねない。
●ただしこの不具合に関しては、後述する交換品には出現しなかった。個体差があるのだろうか?
Conclusion | 総評
●オーライトはOsight制作に至り綿密な市場調査を行い、5種類以上のサイズや形状の違う試作モデルを作ったと公式サイトで謳っている。また、腕の良いシューターを雇って幾度も現場テストと改良を重ねた果ての販売に漕ぎ着けたとも言っている。
●残念ながら、当研究会によるOsightの検証結果を見る限り、その努力に対する成果が如何なく発揮されているとは言い難い。それは国内価格30995円、米国価格199ドルというお手頃価格を考慮しても覆すことは厳しい。
●レンズやイルミネーターの各種問題も大きいが、それ以上に散弾銃のクレー射撃用の低反動弾数発程度で点灯不良が起きたことが問題だ。トイガン用途ではなく実銃用光学照準器でこれはよくない。
●また、長期間によるバッテリーの放電や耐久性がどれほどのものか等の説明や証明も無いため、近年省エネ化が飛躍的に進んでいる使い捨て電池タイプのダットサイトと比較して、充電式内蔵バッテリー式を選択したオーサイトの優位性もあまり感じることができない。
●現在OLIGHT社は、乱立している懐中電灯業界での生き残りを賭けた戦術として、アウトドア用品やEDCガジェット等の懐中電灯以外の製品にも力を入れ、新たなニーズ開拓を模索している。今回のOsight開発もその一環だろう。
●ちなみに今回の点灯不良についてオーライトに連絡を入れたところ、迅速に新品を送ってくれた。別の不具合が起きた当研究員も同じ対応だったとのことだ。海外メーカーながら、製品の価格帯問わず手厚く迅速なオーライトのアフターサポートは素晴らしいの一言。中国懐中電灯メーカーの中でひときわ存在感と支持が大きな理由は納得できる。
→現在、交換品に点灯不良の不具合は起きていない。
●Osightはオーライトが光学照準器業界という新たな販路開拓のために生み出した初一発目の製品である。もしこの業界への攻勢を継続するのであれば、新型や改良スピードの早いオーライトのことだ、「Osight 2」の販売はそう遠くない未来でお目にかかれるかもしれない。その際は今回の弱点を克服し、既存の大手光学照準器業界が青ざめるような素晴らしい製品となってほしいものだ。