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ジャンル:ダットサイト

同社コンパクトオープンダットサイト「FastFire」の3世代目

検証人数:2人

実弾射撃評価:有り(Type89)

執筆時期:2022年11月

※本製品を提供してくださったM氏に感謝いたします。

※前世代機種であるFastFire 2のレビューはこちら ↓ ↓

【レビュー】Burris Fast Fire Ⅱ

SPECS | 性能諸元(公式)

メーカー名(メーカー国・製造国) Burris (アメリカ合衆国・フィリピン共和国)
サイズ(全長×全幅×高さ) 48.2mm x 25.4mm x 25.4mm
重量(20mmレール除く) 約42.5グラム
対物レンズサイズ 21x15mm
倍率 1.07倍
ドットサイズ 3MOA(本製品)、8MOA
イルミネーター 赤色LED 自動調光&手動3段階
使用電池(電池寿命) CR1632リチウム電池(最大5年)
耐反動性能 1000G
動作保証温度 -25℃~55℃
対応フットプリント Docter Noblexタイプ
付属マウント 20mmピカティニー規格マウント
価格 275ドル

またもや周回遅れのレビュー


Burris
社のコンパクトオープンダットサイトである「FastFireシリーズ」。その第2世代目であるFastFire 2のレビューをしたのは2018年であった。当時、すでに第3世代目である本製品「FastFire 3」が販売されており、周回遅れのレビューとなった。そして、今回もすでに第4世代目である「FastFire 4」がすでに販売されているのだ。

そう、またもや周回遅れになってしまったわけだが、今回FastFire IIIを提供してくれたM氏は、同社のショートスコープ「RT-6」と本製品FastFire 3、そしてマウントの「AR-P.E.P.R.」がセットになった「Close Quarters RT-6 Tactical Kit」を購入し、そのついでにFastFire 3を提供してくれた。ショートスコープの上にダットサイトを載せて、遠近両対応でブイブイ言わせたい!でも予算の関係上、セットでお得な「Close Quarters RT-6 Tactical Kit」を購入!ということみたいだ。残念ながらRT-6にFastFire 4が付属するハッピーセットは無い。

もし私がFastFire 4のレビュー記事に取り掛かる時は、FastFire 5が出てないことを祈るばかりだ。

ちなみに、FastFireシリーズの中で唯一「FastFire RD」だけは例外で、チューブ式のダットサイトである。


左が「Burris FastFire 3」、右がサイズ比較として連れてこられたT1タイプのダットサイト「HOLOSUN HS403B

全長は48.2mmで、この手の拳銃に載せることを想定したダットサイトとしては標準的なサイズ。

重量は20mmレール込みだと49グラム、省くと42.5グラム(共に電池込み)。こちらも他社と比べて特別重くも軽くもない。

ちなみに、次世代モデルのFastFire 4は45グラムと、これよりスリムな外観の割に増量している。

外装フレームの素材はステンレス、アルミ、銅の複合素材でできている。


レンズはHi-Lumaマルチコーティングが施されており、サイズは2.1×1.5mm。

FastFire 4はレンズサイズを公表していないが、3よりも横長になり、わずかに全体サイズとして大きくなっているようだ。

見えにくいが、レンズ下部にある薄っすらと見えるホクロのような影は、光センサー受光部。ここから前方部の採光をし、自動調光の判断となる。


レンズ前方からダットが点灯している様子はまぁまぁ見える。

LED発光部には、直接LED素子に汚れ等が付着しないよう、黒っぽい樹脂の板のようなものが貼られている。


左側面には6mmほどのプッシュスイッチが設置されており、ここで全ての操作を行う。スイッチの押し心地は硬めなので、指の腹よりも爪の先で押した方が操作しやすい。

スイッチを1回押すと自動調光モードになり、前方の光センサーから得た情報を元に、自動的にダットの光量を調整してくれる。その他大勢の自動調光機能付きダットサイトと同じく、明るめに調光される。
それ以降のボタン操作は3段階の手動調光ができ、最大→中間→最低光量と切り替わっていく。この手動調光ができるようになった点が前作FastFire 2からの大きな変更点の一つだ。
私はほとんどの自動調光機能の匙加減が気に入らないので、3段階とは言え手動で調光できるのは嬉しい。
最低光量後にもう一度ボタンを押すと電源をオフにできる。
また、自動電源オフ機能があり、8時間連続で動作している場合に作動するようだ。
その他、電池寿命が残り4時間以内になると、ドットが5秒ごとに2回点滅をして、空腹を訴えてくる。


今回、電池の挿入については上面からアクセスできるタイプへと変更され、いちいち本体を取り外す必要がなくなった。
ただ、絶妙に硬い蓋の開閉にマイナスドライバーを使用する必要性があり、気にする人はテープか何かで養生してから開閉するのがいいだろう。閉める際には最初指で抑えながら溝にはめ込み、あとからマイナスドライバーで増し締めすることをおすすめする。そして、けして締めすぎないように。取れなくなって苦労するはめになる。
使用する電池についてはCR1632リチウム電池。電池寿命は公式では5年間とされているが、どれくらいの光量で想定されているかは不明。様々なレビューを見る限り、特別電池寿命が悪いわけでも良いわけでもないようだ。

後部壁面には中央にラインが引かれており、目印や基準として使用できる。オープンタイプのドットサイトは、ドットやレティクルが、チューブタイプのものと比べて見つけにくいと感じる人も多いので、役立てることもできるだろう。
前作はエレベーションやウィンデージダイヤルの調整に、専用の工具が必要だったが、今回は細いマイナスドライバー(付属)での調整ができるように改良されている。クリック感もわかりやすくて良い。
1クリックの移動量は1MOAで、最大移動量はエレベーション(ダットの上下調整)が115MOA、ウィンデージ(左右)が86MOAとなっている。


20㎜レールの脱着は、電池蓋後方にある2本のトルクスネジ(6-48)で留められている。

ダットサイト本体のフットプリントは前作から引き続きDocter Noblexタイプとなっており、グロックのMOSシステムにも専用のアダプターを介することで装着が可能だ。

20mmレール装着時のレンズ中央部までの高さは約20mm。非装着時は約17.5mm。

20mmレールはピカティニー規格となっている。ちなみに、小銃用のCo-Witnessサイズのハイマウント「AR-F3」がオプションにある。


ダットのサイズは3MOAモデルと8MOAモデルがあり、今回は3MOA。
FastFire 4はレティクルを3MOA、11MOA、更に2種類のサークルレティクルへと切替が可能となっており、ホロサンを始めとするライバルへの対抗が伺える。

乱視や疲れ目の場合はドットが滲んで見えやすいとのレビューがあったが、若干乱視持ちの私にはその他大勢のダットサイトとあまり変わらないように思える。

レンズの倍率は前作同様に1.07倍となっており、ご覧のように若干拡大されているのが見て取れるだろう。

レンズの歪み等に関しては、平均的なもので、大きな違和感等はない。

50メートル照準 | Aimpoint T-1との比較



180cmの高さに吊るした青のツナギを、50メートルの距離に設置して照準。

レンズの透明度については、Aimpoint T-1と比べて同等かほんの少し青みがかっているかといったレベル。前作とあまり変わらないように思える。動かした際の歪みは、FastFire 3が若干の倍率が付与されていることもあり、T-1には負ける。FastFire 3のレンズの質はFastFire 2が手元に無いのでじっくりと見比べることはできないが、ほとんど変わっていないのではないだろうか?

太陽を背にした場合や正面に捉えた場合は、本体部品が反射して少し映りこむことがあるが、ダット周辺は映りこみが無いように処置されているため、大きな問題にはならない。実売190~200ドル前半で購入できるものとしては良い光学性能だと思える。

100メートル照準


180cmの高さに吊るした青のツナギを、100メートルの距離に設置して照準。

この時の天候は曇りで、ダットの光量は手動2段階目の中間設定にしている。(50メートル照準と同様)

私としては、もう少し暗くしたいが、手動でこれ以上暗くすると最低光量となりさすがに暗すぎる。かと言って自動調光モードだとさらに明るくなってしまう。こればかりは好みの問題ではあるが、私のようにダットの光量は少し暗く灯すのが好きな場合は、もう少し手動調光モードの段階を増やして欲しい。

最低光量は、照明を点けている室内だと丁度良いか少し暗く感じるレベルの光量。夜間は明るすぎるのであまり使用できないだろう。最大光量は直射日光下の元でも問題なく使える明るさだ。

もう一つ自動調光に関してだが、光量が上がる際は一瞬で上がるが、光量を下げる際は段階を得てトントンと光量が下がる。

パララックステスト │ 100メートル


100メートルにおけるパララックス(視差)は上下左右共に10~15cmの範囲に動く。

Weather Shield


オープンダットサイトのよく挙げられるデメリットの一つとして、LED発光部が水滴やゴミ等で妨げられるとダットが見えなくなるという弱点がある。その問題の一つの解決策として、Burris社はFastFire 3からウェザーシールドを付属させている。ただ上からはめ込むだけなので、脱着は簡単だ。

このカバーを上から被せることにより、発光部が何かに塞がれるのを防ぐことができる。

縦長デザインで、前後には日よけ効果として軒が出ている。全長は軒まで入れると約79mm。重量は13グラム。


カバー前方後方には透明なプラ板が張られているため、発光部だけでなく、レンズガードとしての役目もある程度できるだろう。厚みは1.5mmほど。

張られているプラ板は、強靭なポリカーボネートのようなものではないので、例えばBB弾の直撃では割れる可能性が高い。(それでもガラスレンズそのものに直撃するよりは大幅にダメージを抑えることができるとは思うが)

また、ウェーザーカバーそのものも頑丈な作りではないため、本体を強い衝撃等から守るという意味での過度な期待はしないほうがいい。現にリコイルの大きな銃器で連発をしていたり、頻繁に脱着をしていると外れやすくなるようだ。

ダット本体をすっぽりと覆うそのデザインは、装着すると20年くらい前のコリメーターサイトやリフレックスサイトを彷彿とさせるような、どこか懐かしいデザインである。

後継機FastFire 4のウェザーカバーは、まるでオープンカーの幌のように、後方部のみを覆うスリムなデザインへと変更されている。


カバーを取り付けることで、さすがに何もない状態での開放感はないが、かと言って大きく視界が損なわれることはない。

写真ではそうなっていないが、カバー付けると光源の位置によっては接眼レンズへの顔の映り込みが多少気になる。

ガンハンドリング等


写真は同社20mmレール付きマウント「AR-P.E.P.R.」にこれまた同社LPVO「RT-6 1-6×24」との組み合わせ。

RT-6のレビューはいずれ行う予定なのでお楽しみに。

重量は42.5グラム(カバー無し)なので、この手の小さなオープンダットサイトとしては少し重め。ただ、Aimpoint T-1系ダットサイトを載せるよりかはさほど重量増は感じにくい。

拳銃に載せる場合は、プロの世界だと0.1グラムの重量差を気にすることもあるため、何を犠牲にして何を得るかを他社製品と比べて考えるところだろう。

持ち主のM氏は5.56mm弾を用いる小銃の射撃練習に使用した。不具合は無かったが、屋内射撃場がかなり暗かったので、最低光量でもダットが若干明るく感じ、狙いが少し難しかったとのこと。(それでもアイアンサイトよりリズミカルに射撃ができ、よく当たっていた。)

Conclusion | 総評


Fast Fire3はリリースから10年以上が経過しており、すでに後継機である、さらに進化したFastFire 4も出ている。HOLOSUNやVortex等のライバルメーカーにも強力なメンツがいるため、選択肢としてどう入れるかは考えどころかもしれない。

ただ、価格が他社製品より少し安いことや、発売から年月が経過していることもあり、セール対象品になりやすく、今回のように同社LPVO「RT-6」とマウント「AR-P.E.P.R.」とのセットパッケージだとなかなかリーズナブルな価格で購入できる魅力もある。

また、他社には無い強みとして、ウェザーシールドが付属する点も良い。完全なクローズドダットサイトと比べると防護性能は知れてるが、あるのと無いのとでは天候に左右されることは少なくなる。その軽量さを生かしてサブマシンガン等に装着するのも面白いだろう。