REVIEW >> ELECTRONICS & OPTICS| 電子・光学機器 >> FLASHLIGHT | 懐中電灯
ジャンル:フラッシュライト、懐中電灯
かつてのシュアファイヤー社の名機であった、L1とE1Bの良いとこ取りをしたライトがこのEB1である。バックアップは彼に任せよう。
※本製品を提供してくれたS氏に感謝します。
SPECS │ 性能諸元
メーカー名(メーカー及び製造国) | SUREFIRE (アメリカ合衆国) |
全長 | 11.2cm |
重量 | 93グラム(バッテリー除く) |
ボディ素材 | 航空機アルミボディ |
光量(点灯時間) | High:300ルーメン(1.3時間) Low:5ルーメン(40時間) ※Highの点灯時間はタクティカル用途として使える50ルーメンに低下するまでの時間 |
使用電池 | CR123Aリチウム電池 1個 |
価格 | 220ドル |
日常でもタクティカルでも使えるコンパクトな相棒
LED黎明期の時代、SUREFIRE社は他社より出遅れてLEDライト(Lシリーズ)に舵を切り出した。その中でもCR123A1個で稼働するコンパクトな機種がL1 Lumamaxであった。このL1は、EDC(Every Day Carry:日常携行品)マニアの間で抜群の人気を誇り、過去何度もマイナーチェンジを繰り返すほどの人気商品であった。今となっては性能に関してはどうしても時代遅れ感が否めないが、日常的には十分使えるし、何よりもそのデザインが素晴らしい。今だに、L1を越えるデザインのライトは、私の中では存在しない。一方、キセノンライトの時代から今だに延々と続いている、SUREFIRE社のハイパフォーマンスモデルであるEシリーズ(Executive)がある。このシリーズは、E1Dを紹介した通り、今でも様々なモデルが出ている。当初、Eシリーズはアウトドアや日常的な使い方に重点を置いた物が多かったが、頼れるバックアップという、護身やタクティカル要素を強めたE1Bを皮切りに、現在の黒くてタフな相棒という位置付けをした。実は、私の初めてのSUREFIREはそのE1Bであった。コンパクトにも関わらず、当時から優秀であったTIRレンズを搭載した、遠くまでよく飛んでくれたライトで、仕事で利用していた。しかし、そのスイッチシステムには難があった。これはまったくもって私個人の感想であり、好みの問題だが、ボタンのワンプッシュで目の眩むHighモードでスタートする。そして、素早くもうワンプッシュして、Lowモードとなる。日常的にも、タクティカル用途としても微妙なスイッチシステムだ。どういうワケか、このスイッチシステムは、護身を目的としたE1DやE2D等で今だに使われている。理解に苦しむ。
とは言え、多数の光量モードと、変化する状況に応じて使いやすいスイッチシステムとの両立は難しい。様々なメーカーが創意工夫し、苦慮している様子が伺える。しかも、せっかく頭から苦労して捻り出しても、私のような捻くれたユーザーがいるので始末が悪い。その中でも、一つの良い選択肢が過去にあった。冒頭で紹介したL1のスイッチシステムである。これは、2つのモードを、スイッチの押し加減で調節する。浅く押せばLow、深く押せばHighだ。常時点灯も、スイッチを締め込めば点灯するので、誤点灯の挙句の付けっぱなしと言った心配はまずない。怪しい輩にハイビームを食らわしてやりたい時は、ほんの一瞬ではあるが、Lowモードになるが、タクティカルにも日常にも使えるシステムとしてはまぁ及第点だ。
今回紹介するEB1(EB1C-B)には、そんなL1のスイッチシステムと、E1Bが合体した良いとこ取りのライトだ。そしてSUREFIREの歴史の授業は終わりだ。
ボディはかつてのE1Bのように、クリップ以外に余計な突起の無いスラッとした形だ。そしてクリップは、E1Bからお馴染みの、前からでも後からでも使用できる便利なクリップだ。ただ、何度も言うが、クリップの過信は禁物だ。私のようにE1Bを紛失するハメになるが、それはまた別のお話。ヘッドの誤点灯防止&レンズ破損防止の波立ったベゼルは、少し深めで、緊急時にはある程度の、格闘用のストライクベゼルとしての側面も持ち合わせている。
大きさは、E1Dよりほんの少し大きい。タクティカル用途して使用するには、コンパクトさを両立できるちょうどよい大きさだ。
スイッチは上述している通り、間欠点灯は浅く押してLowモード、深く押してHighモード。常時点灯は浅く締め込んでLow、深く締め込んでHighとなっている。良いスイッチだ。手動ストロボもできないことはない。
照射比較
出先で借りたものなので、いつもの公園ではなく、しかもわかりづらいので申し訳ない。
川沿いの一本道での照射だ。一番奥の反射している横断歩道標識までは約200メートルだ。
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HDS T1B-200は、バランスの取れた配光ではあるが、近距離はそこまで広がらない。その点、他2つのTIRを搭載したものは、近距離は幅広く、暗めの周辺光で照らし、遠距離はガツンと伸びてくれている。色温度も少し温かみのある視認しやすい色だ。一見するとEB1が一番暗く見えるが、遠距離はX300Uに迫る勢いで飛んでいる。
SUREFIRE社オススメのコンパクトライト
今回のEB1、アップグレード前(EB1C-A)は、E1DやE2Dのような、最初のワンプッシュでHighモード・素早く2回プッシュでLowモードのクリックスイッチがあった。が、このアップグレード版では無くなっている。E1Dとカブる場合もあったであろうし、やはり様々な用途から、このスイッチの方が使いやすい(タンカラー、シルバーと言ったカラーバリエーションまで無くなったのは残念だが)。タクティカルにも、日常でも使える便利なライトである。価格は相変わらず高い。こんなコンパクトなライトで、200ドル前後も財布から蒸発してしまう。とは言え、十分満足はできる。E1DやE2Dのように、酒場で殴り合いでもしそうなボディではなく、穏やかで落ち着きつつも、毅然とした態度なライトだ。もう少し強力なものが欲しい場合は、少し長くなるが、500ルーメンの出力が出せるEB2もオススメだ。