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ジャンル:懐中電灯・フラッシュライト・ウェポンライト

拳銃向けウェポンライトの選択肢としてよく候補になるのが、コレとSUREFIRE社のX300だ。TLR-1HLは、ストロボが付いてるぐらいで、照射性能はどうにも安かろう悪かろう感があったが、800ルーメンへのアップグレード版で果たしてどう変化する?

※1:2017/05月、ヘッド周りの記述を訂正 & 加筆

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SPECS | 性能諸元

メーカー名(国) STREAMLIGHT(アメリカ合衆国)
サイズ 8.61cm
 重量 118.6グラム
 光量 630ルーメン(旧)

800ルーメン(新:2015年版)

使用電池 CR123A×2個
防水性能 IPX-7:1メートルの水槽に30分沈めて使用上の問題なし
耐久温度 -40℃~120℃まで
 カラー ブラック(本製品)、フラットダークアース、フラットダークアースブラウン
 価格(購入価格) 国外:238ドル(旧:2015年に135ドル、新:2016年に150ドル)

国内:20000~25000円

外観レビュー

今回は、Surefire社のX300のレビューとカブるところも多いが、X300との比較、そして新・旧TLR-1 HLとの比較をしながらレビューしていこうと思う。

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まず外観から行こう。新型と旧型では形上の変更点はほぼない。ボディーの全長はSurefire社X300と比べると少し短い(TLR-1:8.6センチ、X300:9.1センチ)。写真だとわかりにくいが、外観のコーティングに関しては、新型の方が少し反射防止にマットになっている。

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全高は逆にTLR-1 HLの方が高く、トップレールにライトを載せる場合は、照準器等への影響は出てくる。


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画像スコープはLeupold社のVX・R Patrol 1.25-4×20、マウントはBurris社のAR-P.E.P.R.
スコープの低倍率時(1.25倍)の視界がこちら。両者とも視界には干渉しているが、やはり後者のTLR-1 HLの方が邪魔だ。両者とも高倍率(4倍)にした際には視界内から消えた。

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こちらはダットサイト有名所のAimpoint社のT-1にLaRue社のLT660ハイマウントの組み合わせ。
X300もしくは、TLR-1 HLをこういう方面への使用を考えている人はぜひ参考にしてほしい。

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ベゼル部分の直径は3センチ(1.18インチ)。そのため、X300のように一般的な1.125インチ用のフィルター等のオプションは付かない場合が多い。一つ気に入らない点だが、ベゼル部分にワンアクセント付いている銀色のリングのようなパーツは余計な反射となるので邪魔だ。


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X300を使っていた頃から使用上の知恵だが、日中使用しない時は、このようにホームセンター等で売られているイスや机の足に被せるラバー製の傷つき防止カバーを装着するのをオススメする。レンズ部分の破損防止や、反射防止に役立つ。(内径28ミリのカバーを使用)

また、このベゼル部分は取り外して、同社のTLR-1 HPL(遠距離照射特化モデル)の長いベゼルとの互換性があるようで、付替えができるようだ。ショップによっては、両者のベゼル部分だけを販売しているところもあるので、どちらかを購入してベゼルは2種類揃えても良いだろう。
(光量が低く、安価なバージョンの「TLR-1」と、「TLR-1 HP」には互換性が無いので注意。)


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TLR-1HLの新型(800ルーメン)と旧型(630ルーメン)での外観の違いは、このレンズ部分だろう。

レンズの内部立体構造こそはほとんど同じだと思うが、新型はレンズ中央部分がディフューザーレンズのように白くモヤが掛かったように曇っている。素人考えだと、これだと照射パターンは綺麗になるが、遠射は苦手になっているのかな?っと思ったが結果は意外なものだった。そこは後述する照射画像を見てもらいたい。


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ヘッド部分は、ベゼル、集光レンズ、風防ガラス、それをはめるパッキンという構成になっており、新型はボディとの間に白いかぶせ蓋がある。これにより、レンズとのボディとのフィット感が高まっている。これらは簡単に分解できるため、万が一風防ガラス等が破損した場合でも交換が容易だ。H2Tというフラッシュライトのカスタムパーツメーカーから、この風防ガラスを耐久性の高いポリカーボネートに交換できるので、サバイバルゲーム等で使用する場合にはおすすめだ。



旧型630ルーメン版の集光レンズは、正面画像を見ればわかるが、周辺部が若干歪んでおり、この点やSurefire X300のTIRレンズのような高度な設計をしていない点から、照射は大変汚いものとなっている。一方新型は、全体的な工作精度の向上が見て取れる。


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新・旧のLED素子。新型となり、LED素子は変更されているらしいが、素人目には区別はつかない。


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スイッチ部。時計回りにヒネると常時点灯、反時計回りだとヒネっている間だけ点灯する間欠点灯となる。どちらでも、0.4秒以内に素早く2回ヒネるとストロボモードとなる。もちろんストロボでも常時・間欠点灯は可能だ。ストロボは概ね20~25Hz前後の間隔で点滅する。


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スイッチの形状はX300も同じだが、どの方向にヒネっても常時点灯で、スイッチを押し込んで間欠点灯となる。間欠点灯の手軽さはX300の方が良いと思う。ただ、X300にはストロボは付かない。

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電池蓋は、銃器と接する側にレバーがあり、開閉できる。銃器からライトを取り外さないと電池交換はできないが、不意にレバーが開放され、電池蓋が開くことはない。ただ、電池蓋の防水用ゴムパッキンの噛み合わせが悪かった場合は、蓋を閉じるのが少々手間取るが、新型では少し改良されている。


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マウント部分へと行こう。TLR-1シリーズは、ネジを締めることで、両側からハサミこむタイプのマウントだ。多種あるどの規格の20mmレールにも装着しやすい。X300のように、スライドしてはめ込むタイプではないので、このライトを入れるスペースさえあれば、すでに装着してあるオプションを取り外す必要もなく、片手で取付けが可能だ。こちらのほうが利便性が良いとSUREFIRE社も思ったのか、2016年版のアップグレード版X300U-Bも、このタイプのネジ式マウントに変更されている。マウント部分は、樹脂製のX300と違い、ボディと同じアルミ素材でできている。


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付属品と各種レールキー(20ミリレールの凹部分に噛み合わせる凸のパーツ)は、グロック用、S&W M1913、ベレッタ TSW/99、ベレッタ90TWO用が用意され、自分の使用銃器に合わせれるようになっている。デフォルトではグロック用が装着されているが、基本この組み合わせでほとんどの銃器には合う。レールキーは付属の六角レンチで交換する。その他、レールキー用の予備のナットやネジロック剤塗布済みのネジ、バネ座金が付属する。


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パッケージ。説明書はTLR-1、TLR-2(レーザー搭載モデル)シリーズ共通となっており、多言語で書かれている。付属電池は、STREAMLIGHTのCR123Aが2個付く。


照射比較 | TLR-1HL(旧) vs その他

では肝心要の照射比較といこう。公園にて、80メートル先の低木にACU迷彩の上着を引っ掛けた。一番奥の森までは約150メートルだ。比較機種は、公式ルーメン数値の高い順に
○Wolf-Eyes社 Sniper-2 U2 1C(920ルーメン)
○FIRST LIGHT社 T-MAX(700ルーメン)
○STREAMLIGHT社 TLR-1 HL(630ルーメン:旧型)
○SUREFIRE社 X300 Ultra (500ルーメン:旧型。本製品)
と言った感じだ。

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↑画像クリックで拡大可(下段は中央部分の拡大画像)
まず、照射範囲の段階でX300が圧倒的に広範囲を照らしている。次点でFIRST LIGHT社のT-MAXだろう。TLR-1 HL(旧)は、どうにも照射が汚い。特に周辺光は変な影や歪みが生じており、戦闘時にはストレスや誤認等が起きかねない。
X300の照射は、近距離ではそこまで眩しくないように、だが範囲はしっかりと広く確保し、中距離~遠距離まではバランスが取れ、美しい照射パターンを描いている。公式ルーメン数値こそは他の機種の中で一番低いものの、結果は全距離で大変優秀な性能を見せているのがわかる。
また、ライトの色温度も白とオレンジの絶妙なバランスを追求しており、暗順応等に余計な影響を与えないようにしている。純白の光は、照らされる側は眩しいが、照らす側も眩しくて敵わないという欠点がある。X300の色温度だと、霧や雨天等でも余計な反射は少し抑えられる。
SUREFIRE社のTIRがいかによく作られているかおわかりいただけただろうか?

照射比較 | TLR-1 HL(旧:630ルーメン) vs TLR-1 HL(新:800ルーメン)

さて、ここまではSUREFIRE X300のレビューページの照射比較と同じで、TLR-1 HLの照射パターンの汚さで終わったが、新型は800ルーメンと数値が上がっただけでなく、上記の汚い照射パターンが大幅に改善されている。それをご覧いただこう。

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↑画像クリックで拡大可(下段は中央部分の拡大画像)
どうだろうか?残念ながら新型を入手した時にはX300は手放したので、比較できないが、まずあの狭かった照射範囲の段階でT-MAXを超えている。それだけでなく、周辺光の光量はT-MAXよりも少し抑え気味で、暗順応に配慮している。また、LEDの色温度もX300やT-MAXのように、より視認性の高いニュートラルホワイトに近づいているのがわかる。ルーメン数値の上昇はあまりわからないが、中心部の範囲も少し広めになっている。旧型のストレス要因だった、変な影や歪みもほとんど無くなり、気にならないレベルだ。さすがにX300の素晴らしいTIRレンズの照射には敵わないが、実用上は十分使える範囲に見直されている。これは素晴らしいことだ。

コストパフォーマンスに優れた実用十分なウェポンライト

旧型TLR-1HLはたしかに安かろう悪かろう感があった。だが、新型となり特に照射パターンが大幅に改善された。実にコストパフォーマンスに優れた良いウェポンライトだ。安く買えば、SUREFIRE X300の半値で入手できる。拳銃に付けてよし、ライフルに付けてよし。また、複数個購入して自分の武器全てに装着しても良いだろう。

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