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ジャンル:ダットサイト

コンパクトなオープンダットサイトながらも、Aimpoint並にクリアなレンズを持ったFast FireⅡを紹介

検証人数:2人

実弾射撃評価:有り(Benelli M2&M4:12番ゲージスラッグ弾)

執筆時期:2018年1月

※本製品を提供してくださったT氏に感謝致します。

※後継機のFastFire 3のレビューはこちら ↓

【レビュー】 Burris – FastFire 3

SPECS | 性能諸元

メーカー名(メーカー国・製造国) Burris (アメリカ合衆国・フィリピン共和国)
全長 4.5cm
重量 42.5グラム(マウント無し:25.5グラム)
レンズサイズ 21×15mm
倍率 1.07倍
イルミネーター 赤色LED 自動調光
レティクル 4MOAドット
使用電池 CR2032リチウム電池
防水性能 あり(詳細性能は不明)
駆動耐久温度 -25℃~55℃
購入価格 2017年、205ドルで購入

コストパフォーマンスの良いオープンダット

軽量でチューブに阻害されず、広い視界を確保できるオープンタイプのダットサイトは射撃競技界を中心に人気があり、メーカー各社様々な商品を展開している。その中でも、コンパクトタイプの物は、ピストルからライフルに至るまで、幅広く使用できるので需要はより多い。ただ、どのメーカーのものも、パッと見で見分けつが付かないほど同じ外見で区別なぞつかない。

● この手のコンパクトサイズのオープンダットは、だいたいドクターサイトのパクりだ。(そして更に元を辿ってみると、かつて販売されていたファイヤーポイントのパクりみたいだ。)

→ ドクターサイト(Docter Sight)は、ドイツで生まれた光学機器メーカーであるドクターオプティクス(Docter Optics)が販売しているコンパクトなオープンドットサイトで、フクロウのロゴマークが印象的な、オープンドットサイトの普及役と言っても過言ではないほどの射撃界では周知されている光学照準器である。とは言え、設計が古い割に値段が高いこともあり、安くて質の良いダットサイトが増えた現代では影が薄くなった印象だ。


手頃な価格で、人気のコンパクトダットサイトの一つに、Burris社Fast Fireシリーズがある。現在、Fast Fire 3として変わらぬ人気商品だが、今回紹介するものは、一つ前のFast Fire 2である。3との違いも交えながらレビューしていこう。

● ご覧の通りのコンパクトなダットサイトで、女の子の手の中にもスッポリと隠れることができるサイズだ。全長は4.5cmしかない。

● そのため、コンパクトなAimpoint T-1が巨大な下水管にでも見えてくる。ちなみに重量は、Aimpoint T-1が116グラムなのに対し、Fast Fire 2は42.5グラムと半分以下。どちらもマウント込の重量だ。マウント無しの場合は25.5グラムとなる。


● 今回レビューしたものは、20mmレールが付属するタイプのものを購入した。(30232)これにより、装着できる銃器の選択肢が大きく広がる。

 マウントに付属のスペーサーを噛まし、3本のネジで止める。拳銃用のマウントは、別売り品となり各社揃っているが、GLOCKのMos Systemに対応させたい場合は、Fast Fire 3の購入が良い。

●対応フットプリントはDocter Noblex standardだ


● 前面。レンズ下にある小さな穴は照度センサーとなっている。これにより、ダットの光量は周囲の環境に合わせた自動調光となる。

● 側面には電源のONとOFFのスイッチがある。この手のダットサイトは、手動での電源スイッチが無いものが多く、カバーをかぶせて自動調光センサーを暗くすることにより電源オフとするものが多かった。使い勝手が悪く、カバーをなくしたり破損させたりすると元も子もなくなる。

多種多様な使用方法に対応させるためにも、こういう手動での操作系はやはり必要だ。Fast Fire 3の場合は、これにさらに3段階の明るさを手動で調節可能となる。

● 作りそのものは、値段の割にはまともだが、薄い作りのオープンドットサイトなので、過酷な環境下での使用はオススメできない。


● お尻。ドットの上下左右の調整は、付属のマイナスドライバーと工具を使って行う。が、それだけでは動かない。「LOCKS」と書かれている2つのネジをヒネることで、ロックがハズレて照準が動くようになる。そしてまたロックさせる。調整の始めと終わりにこの儀式を行わないと、不具合が生じるので注意を。

● 前方部の半月状の突起の下にはダットを灯すLEDエミッターがある。言うまでもないが、オープンドットなので、このエミッターが異物等で塞がれた場合はダットの照射は阻害される。


● 照準調整用の付属のドライバーと工具。円盤状の器具にドライバーを串刺しにして、調整を行う。電源スイッチ以外は、外見からこういう細かいとこまでドクターサイトそっくり


● カバー。電源がONのままでも、これを被せると自動調光が最低となる。が、言うまでもなく電池は常に消費し続けているので、使用しない時は電源を手動でOFFにしたほうがいい。

● あくまで、本体保護のためのカバーと考えるべきだが、カバーとしては柔軟で耐久性のあるポリカーボネートではなく、安っぽいプラなので過信は禁物。しかも付けるとキッチリはまり込むため、取り外しが少し面倒。


● 電池は毎度お馴染みのCR2032リチウム電池を使用する。

● 電池はマウントを除いた本体裏面に電池収納するので、電池交換の際は一度マウントから外さないといけない。こういう面倒なとこまでドクターサイトによく似ている。Fast Fire 3はこの辺の不便さが解消されており、上部アクセス式の電池ケースに変更されている。


● 説明書とレンズクロスと、マウント固定ネジ用の工具。


● 外箱。安っぽい紙箱で、ホントにこの中に光学照準器が入っているのか不安になってくる。

クリアでスッキリとした視界


● この照準器を覗くと、若干拡大されて見える。公式や説明書にも、倍率は1倍ではなく、「1.07倍」と表記されている。倍率が若干あるとは言え歪み等の違和感はそこまでなく、よりターゲットをはっきりと視認することができる。

ダットの光量に関しては、薄暗い室内から直射日光下の屋外に至るまで使用することができる。ただ、夜間等の暗闇では最低光量でも明るく感じてしまう。この手の自動調光モノはだいたい暗いところに弱い。

自動調光は周囲の光度環境に応じてシームレスに変化し、概ね0.5~0.8秒程度で変わっていく。


※画像クリックで拡大可

さて、いつものように50m先のACU迷彩上衣を狙ってみた。

● 値段からは考えられないほどの実にクリアなレンズで、比較対象のAimpoint T-1と比較してもまずまずだ。しかも、コンパクトでロープロファイルなオープンドットなので、射界の開放感が素晴らしい。

● Trijicon RMRやDocter Sight等、コンパクトオープンドットは数多く存在するが、青みがかかったレンズが多く、このクリアなレンズはなかなか無い。

 写真では、Fast Fire 2の方が透明度の高いレンズに写ってしまったが、実際にはAimpoint T-1よりも気持ーち青みがかかっている感じだ。ドットの大きさは4MOAで、ある程度の精密射撃も可能だ。4MOAは100m先で概ね直径10.5cmのダットとなる。

Fast Fire 3の場合は、3MOA8MOAとで選択できるようだ。こちらも写真だとAimpoint T-1の方が少し大きく写っているが実際は違うので気にしないでほしい。

気軽に幅広い用途に使用できる照準器


● 軽くてロープロファイルなこの照準器は拳銃にピッタリだ。競技はもちろんのこと、護身用に使用している人もいるくらいだ。ただ、オープンタイプのドットサイトは、どうしてもチューブタイプのものと比べると、耐久性は下がるので注意を。


● ロープロファイルな光学照準器は、サブマシンガンのお供にもピッタリだ。



● スコープを載せたライフルの「近接戦闘用照準器」として運用するのもアリだ。軽い重量は、射手の負担を増やすこと無く、戦術に柔軟性を与えてくれる。



● 散弾銃への搭載も悪くない。広い視界が確保できるので、このような速射性が求められる近接武器との相性は良い。クレー射撃やホームディフェンスで使用しているシューターも多いのも頷ける。

● さて、このような格安光学照準器で気になるのは対反動性能である。持ち主から承諾を得て、12番ゲージスラッグで射撃してみた。強力なリコイルで、作りの悪いダットサイトを一撃のもとで点灯不良・使用不能にすることが多いライフルドスラグだが、点灯不良等の不具合は一切発生しなかった。

● Fast Fire 2は240ドル、Fast Fire 3は280ドルの定価で販売されている。どちらも現在販売されている(2018年1月現在)。Fast Fire 3は、外観を含めた基本性能はFast Fire 2と同じだ。相違点はダットのサイズ差と、電池交換の利便性、光量の手動制御だ。

● さて、前述したようにこの手のコンパクトオープンダットサイトはライバルメーカーが多い。同じく低価格で良い品質の光学照準器を手がけるVORTEXからは、RAZORやVENOM等のオープンダットサイトがある。

● このメーカーからはコンパクトオープンダットサイトを、RAZORVIPERVENOMとほとんど違いがわからない3種類出しており、個人的にはVENOMがレンズもクリアでコストパフォーマンスが優れている。Fast Fire2のライバル機種と言われ、評価されてるくらいだ。

● また、タフさを求めているのであれば集光チューブを利用したTrijicon社のRMRが良いだろう。ダットのサイズ等の細かい違いも多く、様々なニーズに合わせている。ただ、RMRは全体的に値段が高い割にはレンズの質があまり良くなく、集光チューブではなくリチウム電池で使用するタイプのものはあまり信頼性が良くない。Trijiconはいつもこうだ。

● 今まで見てきた中では、全体的なクオリティの高さを考えると、Leupold社のDelta Pointが優れていると思える。レンズの質も良いし、他の光学照準器には見られない、三角形のレティクルも狙いやすくて面白い。

● ただ、Barris Fast Fireのような安くて気軽に使える照準器も魅力的だ。200ドル前後でお気軽シューティングを楽しめる。