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ジャンル:ヘッドホン

開放型で軽量なワイヤレスヘッドホン

執筆時期:2022年11月

※ATH-M60x、ATH-WS1100を提供してくださったT氏に感謝いたします。

※このレビューは私一人の主観的で偏見に満ちたレビューであり、特に音響機器に関しては個々人によって大きく感想や意見が違ってきます。あくまで話半分に御覧ください。

SPECS | 性能諸元(公式)

メーカー名(メーカー国・製造国) オーディオテクニカ (日本・中華人民共和国)
重量 約220グラム
ヘッドホンタイプ オープンエアダイナミック型(有線・無線両対応)
ドライバサイズ 直径53mm
再生周波数帯域 5~40000Hz
出力音圧レベル 100dB/mW
インピーダンス 48Ω
無線通信方式 Bluetooth Ver.5.0 (2.4GHz帯)
最大通信距離 見通し距離10メートル
Bluetooth対応プロファイル A2DP、AVRCP、HFP、HSP
Bluetooth対応コーデック LDAC、AAC、SBC
使用電池 内蔵式DC3.7V リチウムポリマー充電池
充電池使用可能時間 最大約20時間
充電時間 約1.5時間
充電池使用温度範囲 5~40℃
価格(購入価格) 25300円(2022年、18800円で購入)

まさか私がオーテク製品を買うときが来るとは

私にとって音楽は、日常を円滑に過ごすための潤滑油である。音楽が無いとメルトダウンを引き起こしてしまうというほどではないが、単純作業の効率を上げたり、気付け薬としては最高のお供だ。
この世に存在する多種多様な音楽ジャンルの中でも、特に私はEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)を好んでいる。発端は小学生の頃、とあるヒットチャートを詰め込んだ洋楽アルバムCDに収録されていた、Robert MilesChildren(Dream Version)という曲を聴いた時である。この時私の中でビッグバンが起きた。当時私にとってこの曲は、良い曲だの美しい曲だのという生易しいものではなく、脳をトリップさせる麻薬との出会いだった。世の中にはこんなにも刺激的な音楽があるのかと、以降EDMは最も好きな音楽ジャンルとなった。

事実、この曲からEDMというジャンルを知ったり、好むようになった人は世界中に多いと聞く。
EDMから細かく枝分かれする音楽ジャンルの話をしだすと論争の的になるため、ここでは割愛させてもらう。

時は流れて大学生になった時、使っていたショボいサラウンドヘッドホンが壊れ、これを機会に少し良いヘッドホンを購入してみようと思い立った。ネットのヘッドホンレビューを読みふけったり、秋葉原のe-イヤホンに視聴をしにいったりと吟味に吟味を重ねた結果、AKGの181DJという機種を購入した。
このヘッドホンとの出会いは、私の中で革命的な出会いであった。EDMの魂とも呼べる低音~重低音を量も質も十二分に叩き出しながらも、中音~高音域も犠牲にせず、ぶつかり合いもさせずに見事に協調して奏でてくれた。そんなK181DJと10年以上月日を共にしていたが、ある日とうとう片方のドライバが壊れてしまい、引退を余儀なくされた。気に入っていたため、もう一度K181DJを購入、もしくはAKGの違うヘッドホンを購入しようとしたが、販売は終了し、しかもAKGはDJ向けヘッドホンからほぼ退いていた。
残念な話ではあるが、これを機にもう一度理想のヘッドホン探しをする良いきっかけだと思い、再びレビュー記事を読んでは、e-イヤホンやビックカメラ、ヨドバシカメラをはしごする日々を送ることとなった。
私が今回ヘッドホンに求めた条件は以下の通り。

価格は実売2万円前後を上限とすること。(知見を広めるため、試聴時には上限を問わず)

価格設定は、出そうと思えばもっと出せないことはないが、音響機器は、ハマると底なし沼であり、最終的には電力会社によって音の質が変わるとか言う下手なカルト教団と戦えるほどの、宗教の世界に入ってしまうためこのくらいに制限している。
(まぁ、EDMを視聴するヘッドホンは、価格と求めるものがけして比例しないのが面白いところだ)

AKG K181DJと同等程度の音質をであること。

EDMをノリ良く視聴するのに十分な量、そして質の重低音と低音を鳴らすこと。

低音ばかりが主張し、中音域や高音域が埋もれないこと。

サラウンド感を感じ取れる広い音場。
EDMで脳をトリップさせるのに広い音場は大事な要素だ。また、動画配信サービス視聴の質を上げるためでもある。

選考には仕事の合間を縫って4ヶ月ほどかかり、10年前と同様、100種類近くの製品を試聴、最終選考として3つの機種に絞り込まれた。
ちなみに、惜しいとこまで行ったが最終選考に行く前に落ちてしまった製品は以下のとおり。

V-MODA Crossfade M-100
今回の選定を本格的に行う前に一番試聴したくて最も期待していた製品。こちらも、Aviciiを始め、多くのDJ達が使用している。

低音域の量も質もノリも良いのだが、それらに中~高音域が少し埋もれている感じがする。また、音場が狭く感じられ、少しオーバーしている価格の割には分解能があまり気に入らなかった。

SENNHEISER HD25シリーズ
発売からかなり経過しているものの、今でもArmin Van BuurenTiesto等、多くのDJ達が使っているロングセラー商品。特にDJがLIVE時にモニター用ヘッドホンとして使用していることで有名だ。

低域は今まで使用していたK181DJに負けないくらい出てはいるが、重低音の量や、それにかき消されず、邪魔せずに鳴らしてくれる中~高音域の調律は負ける。

DJ用とは言え、基本はモニター向けヘッドホンに、低音寄りのややドンシャリな味付けをしているイメージか。EDMをノリ良く聴くにはK181DJには負けるので選定から外した。


さて、最終選考に残った3機種は、なんと全てオーディオテクニカの製品であった。これは従来の私にとって異常事態ともいえる状況だ。
少なくとも10年ほど前、オーディオテクニカ(略称:オーテク)の製品は中~高音域はガッツリと出るものの、低音域が貧弱な製品が多かった。故に、当時の選考でもオーテク製品はほとんど選考に上がることがなかった。今回、改めて次期ヘッドホンの選考をするに至った際も、オーテクはちょっと…と思っていた。
そんな時オーテク好きの友人が、最近のオーテク製品は低音域もしっかりと出る製品が多くお勧めの製品があると言い、今回のヘッドホン選びに同行してくれた。(というかオーテク教に入信させようと勝手に付いて来た)
もちろん彼の布教活動なぞ話半分に聞き、最終選考に至るまで国内外のあらゆるジャンル、価格帯のヘッドホンやイヤホンの試聴を行った。そうにも関わらず、最終選考にオーディオテクニカ製品が並んだのは、少ないと言われていた低音域に対して真剣に取り組み、その量だけでなく、得意だった中~高音域のようなきめ細かい調律をしたからだろう。現に、近年オーテク製品を使用するDJもちらほら出てきている。
そしてその最終選考に並んだのが以下の3機種だ。

audio-technica – ATH-M60x


オーディオテクニカのプロフェッショナル向けモニターヘッドホンラインナップのMシリーズの中でも最もコンパクトな製品。このコンパクトさだが、ATH-M50xと同じ45mm大口径ドライバーを搭載。用途に合わせた3種類のケーブルが入っている。

これはT氏が普段通勤や街歩きで使用している持ち歩き用ヘッドホンでもある。

耳の上に乗せるオンイヤー型のヘッドホンだが、私のようにメガネっ子でも痛くなりにくく、むしろ3機種の中で一番側圧と掛け心地のバランスがよかった。

余計な装飾が無く、コンパクトでシンプルな道具感のあるこのデザインは非常に気に入った

ドンシャリ寄りモニターといった感じ。低音はガツンと大盛りではないが、量はまぁまぁで締まりがよい。

高音、特にサ行はかなり刺さり、曲によっては短時間で耳が痛くなる(エージング前は更に刺さっていたらしい)。

高音域(木琴の高音等)に一部響きが多い箇所があり、そこらは出すぎと感じる人もいるかもだが、響きの質は大変良い。

逆にマラカスのような音は控えめに聞こえ、その音域は歯抜け感がする場合すらあった。

それでも総合的な音一つ一つの聞き取り、分解能は3機種の中で一番よかったが、音全体が少し乾いて聞こえる(シャリつきカサついたような音)のも気になる。

私にとって一番のネックは、低音はまだしもズーンと沈み響くような重低音に弱い点だ。EDMは高揚感が無くなるし、高音域を拾いがちなので、銃撃戦や爆発シーンはやけに乾いた音になる。

故に不採用となった。外観や高音域の響きはすごい好きだったので残念だ。

audio-technica – ATH-WS1100


低音域の量と質を追求した同社の「SOLID BASS」シリーズのフラッグシップモデルとも言える製品。面白いのが、ハウジング側面に細い通気口を設けた半密閉型とも言える構造をしている。これにより、中音域の解像感を高めているようだ。

この機種に関しては、ビックカメラでこれはいいぞ!と採用を考えていた私に対して、衝動買い欲が限界に来ていたT氏が映画等の動画視聴用に気に入って購入したものである。

箱出しである程度試聴した後、1週間弱エージングを行ってまとめたレビューである。

音場はM60xの方が広いが、高音はオーテクらしくけっこう刺さりはするものの、エージングでマイルドになる。エージング後はM60xと比べると抑えられており、痛々しく聞き疲れはあまりしない。

重低音は量と質共にかなり出ており、厚みも良い

反面、ピアノや木琴の高音寄りの音は少し抑えられ、こもって聞こえる。

外観の質感は良いが、少しデザインが安っぽく思える。

重低音は後述するATH-HL7BTよりも出ていたが、いまいちノリが悪く、その他の面でも私が求める満足度がATH-HL7BTの方が高かったので不採用となった。

同じくSOLID BASSシリーズで、ATH-WS990BTという機種があり、WS1100と比べて重低音の量は更に増え、高音域の広がりや響きは若干低下する印象だった。これも箱出し状態の時点でオーテクらしくサ行は刺さりがちだが、バランスがいいためかそこまで耳に痛くない。不採用理由はWS1100と同じ。

audio-technica – ATH-HL7BT


さて、遅まきながらようやくここで本題の「ATH-HL7BT」のレビューに入れる。

コロナ禍により、お家での籠城戦を決め込んだ戦術の影響で、ワイヤレスイヤホンやヘッドホンの需要が高まっている。暇な人はネットフリックスで全裸監督やバードボックスを見るため、そして忙しい人はテレワークにて営業スマイルを作るためだ。

国内外様々な音響機器メーカーが濁流のごとく製品を出す中、我が国の音響機器メーカーであるオーディオテクニカは、開放型+軽量+有線無線両対応という珍しい組み合わせで勝負を挑んだ。

開放型ヘッドホンとは、大多数の密閉型ヘッドホンと違い、両側ハウジング部が密閉されておらず、外界と繋がっているタイプのヘッドホンを指す。オープンエアー型とも言う。


パッケージは今回紹介した全ての機種で最もシンプルなものだ。まぁこういうのでいいんだよ。

本製品はソニー以外の製品ではまだまだ珍しい、次世代型立体音響システムである「360 REALITY AUDIO」に対応している。だが、このシステムは専用のアプリで、無線状態でないと動作しない。サラウンド感の向上はなかなか良いのだが、無線(Bluetooth)による音質の低下は否めない。


ちょうどいいからワイヤレス(無線)状態の話をしよう。

本製品はBluetooth 5.0のLDACコーデックに対応しており、ワイヤレスながらハイレゾ相当の高音質で聴ける。のだが、結論から言わせてもらうと有線と無線とでは有線状態の方が圧倒的に音質が良い。特に低音~重低音域は量、質共に違いが大きく出る。この時代になっても私が動画や音楽視聴用のイヤホンやヘッドホンに対して「有線」しか買わないのはそれがあるからだ。これは現時点ではメーカーや価格問わず同じだと改めて今回様々なヘッドホン・イヤホンを試聴して感じた。

馬鹿な思い込みならないよう、本製品で第三者協力の元で「有線・無線」のブラインドテストを行ったが、私のような鈍感な耳と脳みそですらその違いは一度も間違えることなくわかった。

だが、無線は無線で移動しながらでも使いやすい手軽さはある。当初ワイヤレス状態でなんて使わないなと思っていたが、庭仕事やちょこまか移動する作業中での使用には大変便利だ。このヘッドホンの軽さと掛け心地の良さもそれに寄与している。

操作は基本的にヘッドホン左側の3つのボタンで完結できる。USB Type-Cによる充電で、電池持ちはそんなに良いわけではないが、電池が切れた際には有線接続にすれば良い。

音質に関しては、オーディオテクニカのアプリ等のイコライザーである程度の誤魔化しは効く。常にこれで聴いていたいとは思わないが、ちょこっとした作業にはまぁこの小細工で及第点だ。

本製品は小型の指向性マイクを搭載しており、現にこれで音声通話を業務等で利用している。本レビューをするにあたって何人かに通話の様子を聞いてもらったが、聞き取りやすく特に問題はないそうだ。開放型なので、自分の周囲の音が自然に入るため、使用環境によっては便利だ。

重量は220グラム(実測値216グラム)と大きさから考えると非常に軽く、本当に中に53mmの大型ドライバやバッテリー等が入っているのかと思えるほど。

イヤ-パッドやヘッドバンドは布地のクッション素材であり、温かい着け心地である。では夏場は暑苦しいかと言えばそこまでではなく、個人的には革系素材よりこちらのほうが好きだ。

ただ、毛羽立ち等は早く起きそうで、あまり強度は無さそうな印象なので、後日サードパーティーのカバー等を装着する予定だ。

着け心地、側圧に関しては弱めで、その軽さと相まって私のようなメガネっ子でも長時間の装着で全然苦にならない。側圧が強く、付け心地は良くないと言われていた前機種AKG – K181DJとは雲泥の差だ。

ただ、首や身体を傾けるとずれてくることがあるため、運動をしながらや、無理な体制での使用は難しいだろう。速足の散歩程度であれば問題ない。

その他外観デザインに関しては、質感は可もなく不可もなく、若干安っぽいかな?と思えるが、ATH-WS1100のようにゴテッ、キラッ!としているのよりは好きだ。


充電口の下にある穴に付属の3.5mmケーブルを差し込むと無線モードでも自動的に電源が切れ、有線モードとなる。

両側ハウジング部は開放型ヘッドホンらしく金属製のメッシュとなっている。

オーテク製品同様、今までの私であれば開放型ヘッドホンは選ばない。開放型(オープンエアー型)ヘッドホンは、特に高音域の音が抜けていく広い音場、サラウンド感を味わえる。しかしその抜けていく構造が故に、低音や重低音を鳴らすのが弱いという弱点がある。EDMを良く聴く私にとってこれは由々しき問題であり、現に今までそのメリットを魅力的と感じながらも、低音域の迫力の無さから試聴はすれど選考を上り詰めることはなかった。

だがこれは違った。低音がちょっと出ているとか頑張っているとかではなく、そんじょそこらのなんちゃって低音寄り密閉型よりもガッツリと出ている。しかも、低音だけでなく重低音域も量や厚み、質ともにノリ良く合格点を与えれるレベルに弾き出している

さすがにSOLID BASSシリーズ最高峰とも言える「ATH-WS1100」と比べると重低音・低音の量は80%くらいと落ちるが、エージング1か月半により85~90%くらいには迫ることができている。低音の質や解像感はこちらが若干上回っている印象だが、ビシッとした締りは若干劣る。
とは言え、開放型とは思えない迫力は持っているし、大きなネガティブ要素にはならない。

一方、中~高音域については開放型だけあってこちらのほうが明らかに音場の広がりが違う。全体的にサラウンド感が高いため、映画を見るのにも適している。

ピアノの高めの高音域は少し籠って聞こえるものの、木琴の音や手拍子等の響きや立体感が心地よく聴ける。

開放型ヘッドホンでありながら、ワイヤレスタイプというのは珍しい。自宅等での音楽や動画鑑賞需要の増加、そして開放型でありながらしっかりと低音域も弾き出せれるオーテクの技術があってこそ生まれた製品と言っていいだろう。

また、開放型のメリットの一つとして、ハウジング部が外部と遮断されていないため、周囲の音が聞こえるという点も私にとっては素晴らしいメリットとなっている。そのため、適切な音量で視聴していれば、電話や周囲の人間の声掛けにも反応できるし、ヤマト運輸や佐川急便による怒りの不在票がポストに叩き込まれることも無くなる。

そう言えば、本製品は小型の指向性マイクを搭載しており、現にこれで音声通話を業務で利用している。本レビューをするにあたって何人かに通話の様子を聞いてもらったが、聞き取りやすく特に問題はないそうだ。開放型なので、自分の周囲の音が自然に入るため、使いようによっては便利だ。

当然だが、開放型が故に音漏れはちゃんと漏れる。公共の場で使用する際は、実際にどれほどの音漏れがしているのかを確認して使用すべきだ。

Conclusion | 総評

本製品は、音の広がりや抜けの良さという開放型のメリットはしっかりと持ちながら、低~重低音域に弱いというデメリットをある程度克服をした意欲作であると言える

まぁ、低音域ガー、高音域の抜けガー、サラウンド感ガーとか御託は並べてみたが、結局今回のヘッドホン選びで大事なのは、自分の好きな音楽を聞いた際に、ちゃんと脳みそをノリよくトリップさせることができるか否かである。なかなか客観視や数値化ができないその点に関しては、余裕で合格点を与えたい。

さらに、そこに最新の無線音響技術等も詰め込みながらも、重量をこのサイズとは思えない軽量さを実現し、長時間リスニングも苦にはならない欲張り設計には正直脱帽である。

近年音響機器は、他のジャンル同様中国勢が破竹の勢いで成長を続けており、品質も上がっている。だが、日本勢もまだまだ良い製品を作っているものだと改めて感じさせてくれる。

実売価格は2万円以下で購入可能であり、個人的には非常に満足度の高い買い物であった。しばらくはこいつと素晴らしいEDMライフを過ごせそうだ。

選考で使用した環境と曲について

ここからは選考で使用した曲や環境について語りたい。参考程度に何かの役に立てば幸いだ。(需要があるのかどうか疑問だが)

特に使用環境によっては、同じ音響機器でも聴こえ方は大きく違ってくる。しかも個々人の耳や脳みそによってさらに違ってくる。ここがオーディオ界の難しいところでもあり、奥深いところだ。

— 最終選考前の試聴環境 —

最終選考前の試聴環境については、各種店舗での試聴なので、自前のスマートフォンでいつも使用している音楽視聴アプリ(Poweramp)を使用。

製品本来の性能を見極めるためにもイコライザー等は全てオフ。

当然ながら、想定をしている普段の視聴環境ではないため判断が大変難しいがやむを得ない。自前の大きなデスクトップPCをお店に持ち込めれば話は別だが…。

— 最終選考の試聴環境 —


視聴環境は主に在宅ワークで使用しているデスクトップPCで、USB-DAC「AUDINST – HUD-mx1」を介して聴いている。これを介して聴くのと、そのままPC直挿しで聴くのとでは大違いだ。
ちなみにHUD-mx1のオペアンプは、デフォルトで挿入されている「LME49860」から「MUSES 8920」にへと交換している。私の鈍感な耳と脳みそでは、低音域量が10%ほど上がったのを感じ取れた。(ブラインドテスト済み)

写真中央の8本足の虫が「MUSES 8920」だ。USB-DACのオペアンプ交換は数百円~数千円程度で試すことができ、気軽に楽しめる。オペアンプ交換は誰でも簡単にできる。

— 選考で使用した曲について —

どの段階の選考においても、判断材料として下記の曲を共通して使用。

この選曲に関しては、私が音響出力機器に求めるものや、普段聴いている音楽ジャンルに沿った曲からチョイス。個人的にテストに適した曲であり、必ずしもお気に入りの曲というわけではない。

Armin Van Buuren – Intense

エレクトロニクスとオーケストラ、古今2通りの楽器の音色が聴ける曲として昔からテスト視聴用音楽として重宝している。

Armin Van Buuren ft Sam martin – Wild Wild Son

男性ボーカル、Sam martinの高く透き通るような声と鳴り響くベースの拍動との対比を聴く。
DJ主要生産国であるオランダを代表するDJ「Armin Van Buuren」の曲が2つも入っているのは、鳴らし、組み合わせる音一つ一つにこだわりを感じるからでもある。

 

Arty, Nadia Ali & BT – Must Be The Love

ベースに対して、周囲で繊細に鳴っている楽器等がかき消されないか否かを聴く用。

 

BT – A Million Stars

弦楽器を織り交ぜて作られているベースの響きや厚みが損なわれていないかを重視する。ドン!ボン!と響くだけの低音~重低音ではいけないのだ。

増田俊郎 – 蟲師 続章(版権元がYoutubeに曲を出していないため動画貼り付け無し)

漫画が原作のアニメ「蟲師 続章」の曲から。バックで囁き、蠢いている繊細な楽器群の音をがちゃんと聞き分けられ、解像感を感じられるかどうかで重宝している曲。

蟲師のサウンドトラックは落ち着いていて美しい曲が多く名作と言える。

 

Tydi – Yes That Did Just Happen (Original Mix)

重低音に対する性能を聴く時に使用。激しさと静かさのメリハリのある曲なので、抑揚とノリの良さを見極めるのにも役立つ。

 

Purple Haze – Choir 1.0

響きと奥深さがあるベースに対して、ピアノや手拍子、マラカスの音がかき消されず調和し、立体感が損なわれていないかを聴く。

Purple Hazeは有名DJであるSander Van Doornの別名である。

 

Ruben De Ronde X Rodg – Alone

女性ボーカルと重低音響かせるベースが身体に響き渡るように流れるかどうかを聴く。

Shermanology & Amba Shepherd – Who We Are (Club Edit)
こちらも重低音がどれだけの量や響かせるかを聴くために。

Tiesto, Mabel – God Is Dancer (Original Mix)
女性ボーカル Mabelの少しねっとり響くような声とベース一つ一つの聞き分けを行う。