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ジャンル:インソール

そんじょそこらのフニフニクッション素材なんかに頼らず、足本来が持つクッション性能を最大限に引き出す、「ハード系インソール」の代名詞的存在。

執筆時期:2020年2月

SPECS | 性能諸元

メーカー名・国(メーカー国・生産国) Superfeet Worldwide(アメリカ合衆国・大韓民国)
サイズ J~H(日本サイズ17cm~34cmまで対応)
構成素材 樹脂、ホロファイバー
重量 約95グラム(一足分)
価格 5000円~7000円

足の力を取り戻せ

幕府軍に入隊する直前、入隊経験のある諸先輩方から私は様々な入れ知恵を授かっていた。特に皆口を揃えて言っていたことは、ろくなものが無い官品の中でも、半長靴のインソールは輪をかけて酷いものなので、必ずまともな私物を持っていくよう勧められた。今だ時代遅れの幕府軍とは言え、近代化やデジタル化は進み、昔に比べると兵士達の活動量は減り、陸海空を問わずメタボが多少問題になっているほどだ。だがそうは言ったところで、地を這う陸軍にとって、一番の仕事道具は己の足であることに変わりはない。特に、運動量の少ない現代人をインスタントに兵士へと変える前期教育では、空いた時間でよく走り込みをさせられる。そのため、入隊後1ヶ月が過ぎたあたりから、足を痛める者が後をたたない。


そんな話を聞いていたので、私は様々なアドバイスとリサーチの結果、スーパーフィートと言うインソールを入手した。

スーパーフィートは、1970年代のアメリカで、足病医が始めたインソールメーカーである。柔らかめのクッション素材やパッドをふんだんに使った製品が多いインソール業界の中、足本来のあるべき形状をサポートし、クッション性能を高めて疲労軽減やパフォーマンスを高めるために、ハード素材を使っている製品ラインナップが多いのが特徴だ。

個々人の足の状態や、想定される使用環境に合わせて以下のように多数のラインナップを揃える。(2020年現在)

基本のTRIM to FITシリーズ

グリーン(本製品):シリーズ中で一番矯正・サポート力が高い、スーパーフィートの代表格。

日本人にも多い、幅の広めの足のためにワイドバージョンも存在する。

○ブルー:グリーンの矯正・サポート力を抑え気味にしたモデル。グリーンに圧迫感や違和感を感じたり、靴に合いにくい場合に用いられる。

○ブラック:薄型モデル。サポート・矯正力は少なめになってしまうが、薄型ロープロファイルなモデルなので、幅広い靴やシューズに入れやすい。

○オレンジ:グリーンの高い矯正力やサポート力はそのままで、かかと部分をより深く、前足部分にパーツを追加し、クッション性能を高めたモデル。

オレンジを女性の足に合いやすく適合させた「ベリー」も存在する。

○COPPER(カッパー) DMP:形状記憶性能をもった低反発素材等を用いたセミ・カスタムモデル。

○merinoGrey(メリノグレイ):グリーンの性能はそのままに、メリノウールを用いて冬は暖かく、夏は通気性を良くしたモデル。

○イエロー:スケートやサイクルスポーツに適した、コントロール性能を考慮したモデル。

○レッドホット:グリーンの性能をそのままに、ウインタースポーツ向けに断熱材を入れたモデル。

→女性用に「ホットピンク」も存在する。

○EASYFIT(イージーフィット):中敷きの取れないビジネスシューズ等に対応したモデル。

女性用に「EASYFIT Women’s」やハイヒール用の「EASYFIT High Heel」も存在する。

その他、左右の足それぞれに合わせて作れる「Custom Fitシリーズ」や、かかとだけの「meシリーズ」、素材にこだわったプレミアムな「Premium Collectionシリーズ」等多数のラインナップを揃える。

スーパーフィートは自え、、じゃなかった、幕府陸軍にも愛用者は多く、演習宿営地や集合訓練等に行くと、様々な色のスーパーフィートが並んでいるのを目にする。

ご覧のように、かなりの種類を揃えているため、一見何を選べばよいのかわかりにくい人も多いだろう。こんな時は、スーパーフィートを取り扱う店舗に靴と一緒に持っていけば、試すこともできるし、よくわかるアドバイザーがいる場合もある。私の場合は、アウトドアや登山用品店でお馴染みの「モンベル」に行った。この時、扁平足な私の足と、長距離を重い荷物を持って歩くことを想定していることをアドバイザーに伝え、勧められたのが最もベーシックな「トリムフィット グリーン」だ。


スーパーフィートのインソールほとんどに共通しているポイントだが、インソールそのものに柔らかいクッション素材やパッド等はほとんど見当たらない。高密度に構成された化学繊維「ホロファイバー」がメイン素材であり、薄くて硬めな感触だ。

一見するとこれでは長距離や衝撃性能は大丈夫なのか?むしろ足を痛めるために作られたのではないのかと疑ってしまうようだが、かかと部分のヒールカップは深くえぐれ、土踏まず周辺の内側縦アーチと横アーチ周辺部は大きく盛り上がっており、足が本来あるべき形状を維持させ、衝撃吸収能力を高めるデザインになっている。

つま先に行くにつれ、隆起はなくなり、ほとんどペラい板のようになっている。この部位は、靴や自分の足に合わせて自由に切り取っても良いと表記されている。

特にスーパーフィートにおいて重視しているのは、かかと周辺の後足部のサポート力である。かかと周辺部は、足の様々な関節や、アーチ、パワーをコントロールする関節や支点がある。スーパーフィートのかかと部は、まるで股関節の受け皿(寛骨臼)のようにかかとを包み込み、形状維持と安定性、クッション性能を向上させている。

私の場合、インソールを入れたブーツを履いたその瞬間こそ硬く、足のアーチを持ち上げられる違和感を感じたが、歩いた瞬間に安定性の良さを実感した。扁平足である私の足が、本来あるべき形状を取り戻し、まるでどこまでも歩いて行けそうな気分にさせてくれた。


裏面を見ると、かかとから伸びる緑色のスタビライザーキャップが目に付く。この樹脂パーツがスーパーフィートの形状を維持する土台となっている。

先端は、足の動きを阻害しないように切れ込みが入れられている。

この土台が崩れることなく、足のアーチを維持させてくれるので、高い走破性や安定性を生み出すことができる。

Conclusio| 総評


当然だが、いれることができればいろんな靴に使える。私もトレッキングシューズ、スニーカー、ビジネスシューズと幅広くインソールを入れ替えて使っている。

柔らかめのインソールだと、使っているうちにクッション性能が潰されたり、劣化したりと損なわれていくことが多い。しかし、スーパーフィートだと、この硬めの構造体そのものが破損しない限りそんなことはない。8年近くこのインソールを使用しているが機能上に何の変化もなく、まだまだ余裕で使っていけそうだ。

このインソールがあったおかげで、100キロ行軍や、イラクの砂漠を歩いていても、無事に目的地にたどり着くこができた。街中は当然として、悪路を歩く際にも安定性が高く、非常に有効だ。

ただ、インソールそのものは固く、クッション性が無いため、門番や警備活動等の立ちんぼ仕事にはあまり向かず、足が痛くなってくる。そして表面が固く、布張りの摩擦により、靴下の劣化が少し早く感じるのも留意しておきたい。

また、極寒の地や雪中での行動時も足が冷たくなりがちなので、ケースバイケースで使い分けるのがいいだろう。

断熱材を挿入した寒冷地仕様のレッドホット(女性向けはホットピンク)がラインナップにあるので、そちらもオススメだ。