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ジャンル:バックパック

マックスペディションのEDC&CCW用バックパックの最小モデル。一回り大きな同シリーズ「RIFTCORE」との比較も交えながら紹介しよう。

検証人数:2人

執筆時期:2023年1月

※本製品を提供してくださったO氏に感謝いたします。

SPECS | 性能諸元(公式)

メーカー名・国(メーカー国・生産国) MAXPEDITION (アメリカ合衆国・ベトナム社会主義共和国)
サイズ(横×縦×奥行き) 25.4×39.37×20.32cm
重量 1kg
容量 15リットル
ボディ素材 500デニールHex Ripstop & 1000デニールナイロン
カラー Gray、Black、Tan(本製品)
価格(購入価格) 202.99ドル(2022年、19700円で購入)

小さめでカワイイ(?)相棒


我が研究会会員のO氏から、コンパクトなバックパックが欲しいとのことで、相談を持ち掛けられた。現役の幕府軍一兵卒である彼女は、近頃偵察任務の一役を担うようになり、支給されている雑嚢では物足りなさを感じているとのことだ。

提示された条件は以下の通り。

~必須要件~

カワイイ!使いたい!私のお気に入り!と思えることଘ(੭ˊ꒳​ˋ)੭✧

→それらになんの戦術的合理性があります?と言いたい諸兄らもいるかもしれないが、我々は戦闘機械人形ではなく、喜怒哀楽を持った人間だ。自分が使っていてやる気が出るものと、戦術的合理性とのバランスポイントの模索は大切だ。

迷彩柄はイヤ!(特に二型や三型

→まぁ気持ちはわかる。

形状やフレームが崩れないしっかりとしたもの。(できれば自立できるもの)

→小休憩や監視任務等で地面に置く際に倒れるのが嫌なため。

大きいのはイヤだけど携帯無線機、予備のバッテリー、雨衣が入ること。

→大きなものは支給されている背嚢を使い、ちょこっと偵察する際や、普段の訓練で使える小さめのバックパックが欲しいとのこと。

→偵察任務は半日程度で、偵察地域における野営等はしない。

予算2万円以内

~あれば尚可~

何らかの拡張機能がある。

→持ち物や任務の変更に対応できるように。

外部に別コンパートメントがある。

→官品の雑嚢では物がごちゃごちゃになった経験から、メインコンパートメントを開けなくても外からアクセスできるコンパートメント付きのものが欲しいとのことで。

ショルダーハーネスに何か引っかけれる機能がある。

→無線機の配線、カラビナ等を引っかけるために。

この条件に対し、多数の候補が挙げられ、実際にアウトドアショップ等への実店舗へも何度か足を運んだ。そして最終的に購入に至ったのが、MAXPEDITION社のRIFTPOINTだ。

MAXPEDITION(マックスペディション)は米国のタクティカル寄りのバッグ類を製造しているメーカーで、日本では「MAGFORCE(マグフォース)」というブランド名でも販売している。

他にもRIFTBLADE(30L)、RIFTCORE(23L)と2種類のサイズ違いでラインナップされており、RIFTPOINTはこのシリーズで一番最小のモデルである。
今回は一回り大きなRIFTCOREを所持している人からもヒアリングを行い、容量や違い等を比較しながら紹介をしていこう。


こちらがRIFTPOINTだ。外見はミリタリーバックパックでよくある、メインコンパートメント+外部コンパートメント上下の構造でできている。

より大きなRIFTCOREやRIFTBLADEも、基本的には内部コンパートメントの数と全体サイズが違うだけでほとんど同じ外見をしている。

カラーラインナップはグレー、ブラック、タンの3種類。グレーやブラックは少し難しいが、タンカラーは私物装備で使用している人も多いし、本人曰く色や柄として及第点とのことでタンカラーをチョイス。

本体メイン素材は500デニールHex Ripstopナイロンと1000デニールナイロンの複合素材。耐久性を維持しつつも、重量があまり増えないようバランスを考えた良い素材だ。

また、本体コーティングとしてテフロン製ファブリックプロテクター加工をしているので、メンテナンス性や撥水性も良い。

当然この加工は使用していると劣化していくので、過度な防水性は期待してはいけない。


背面パネルは、このサイズのバックパックとしてはけっこう肉厚なクッション性能となっている。

この肉厚クッションは、後述する、CCW(Carrying a Concealed Weapon:銃器の隠し収納)コンパートメントが背面にある関係上、ゴツゴツ固い銃が身体に当たらないように軽減するためもあるだろう。

クッション形状は肩と腰の必要部位に当たるような形状となっており、メッシュ生地も用いて通気性を良くしている。

ショルダーハーネス(肩紐)には左右それぞれ2つのアタッチメントウェビングがあり、カラビナ等を引っ掛けたり、小さな各種ポーチ等も装着できるようになっている。

チェストストラップは上下調整が可能で、スタビライザーストラップ共にシートベルト素材が使われており、触り心地もよい。


さて、各種収納(コンパートメント)を上から紹介していこう。

外部サブコンパートメント上段は、表面にマジックテープのループ面が貼り付けられており、パッチ等を装着できる。

RIFTCOREの場合、マジックテープが無い代わりに樹脂製のシールドが付いており、内部にアイウェア等を入れる場合の保護となる。

ちなみに、特徴的なジッパーの持ち手は同社のPZL ポジティブグリップジッパー。分厚いグローブ等をしていたり、暗闇でも操作性は良好。持ち主のO氏は、このポテっとした持ち手が可愛いということで購入の決めてとなったようだ。

このポジティブグリップジッパーは単体で販売しているので、別メーカーのバッグに装着したりすることも可能だ。色はレッド、グレー、ブラック、タンの4色を選べるのも嬉しい。


内部(縦10cm、横17cm)に関しては、ここにサングラス等のアイウェアをケース毎入れる人もいるかもしれないが、少なくともオークリー純正のハードケースは入らなかった。440mlのペットボトル(直径6cm、全長15.5cm)がギリギリ入る容量となっている。

RIFTCOREの場合、内部がフリース素材となっており、アイウェア等をそのまま入れることもできるだろう。オークリー純正ケースも入り、440mlのペットボトル+細長いモバイルバッテリーや大型拳銃の弾倉も入る。


内部はジッパーは無いが、メッシュ状のコンパートメントがある。持ち主曰く、ここにお菓子等のスナックや軽食を詰め込んでいるとのこと。行軍や偵察任務にお菓子は必需品だ。


外部サブコンパートメント下段表面には、今流行りの軽量でロープロファイルなMOLLE対応のアタッチメントシステムが付いている。(スロット数は4×3)

このアタッチメントは、MAXPEDITION独自開発のATLAS(ATachment LAttice System)と呼ばれているもので、TPU-8400ナイロンをレーザーカットで裁断し、ハンドメイドで縫い付けている。従来の PALS ウェビングよりも軽量ロープロファイル、そして耐候性に優れているとのことだ。

このシステムは、同社の次世代商品群であるAdvanced Gear Research (AGR) ラインナップで使用されている。

他にも似たようなものをいろんな装備品メーカーが採用しており、最初は従来のPALSウェビングと比べると薄手であり、重いポーチ等を装着した際に大丈夫かな?と思うが、今のところ我々研究会が使用している範囲では大きな不具合や破損はない。

装着する際は、従来のPALSウェビングよりもクリアランスが少し狭いので、ループ等を挿れにくいが、こちらの方が固定感がよく、行動時の揺さぶりが少なめなので私は好きだ。持ち主も、従来のゴテゴテでいかにもミリタリーなPALSウェビングよりも威圧感がなく好みのようだ。


内部(縦23.5cm、横20cm)は、500mlのペットボトルが余裕で2本入る。

RIFTCOREは500mlのペットボトルがちょうど3本入るサイズ。


背面にはスマートフォンやペン等を入れやすいポケットがいくつかある。


また、蓋部分にはジッパー付きのメッシュポケットがある。持ち主曰く、日常的に使う衛生用品を入れるのにちょうどよいとのこと。


メインコンパートメント(縦40cm、横28cm)はシンプルな構造になっており、大きさの割には嵩張る物も入れやすい。2リットルのペットボトルだと2本をちょうど入れることが可能。

RIFTCOREだと2リットルのペットボトルがギリギリ3本入る。


銃器だとKriss Vectorがストックを折りたたんだ状態(全長約39.5cm)で収納可能だ。側面はまだまだ余裕があるので、ホロサイトのような大型光学照準器を装着していても大丈夫。

RIFTCOREだと全長50cmのP90短機関銃がギリギリ入る。

O氏はここに雨衣と携帯用無線機を収納している。


さらに、このサイズのバックパックながら、ヤマト運輸の60cmサイズ段ボール(27cm×19.5cm×12.3cm)のような分厚い箱も入る。写真だと、「嘘つけ、こんなのジッパー閉まらないだろ?」と思えるかもしれないが、ちゃんと閉まるので安心してほしい。

ちなみに、一回り大きなRIFTCOREだとこの段ボール箱は入らなかった。RIFTCOREの場合、全体の収納容量は多いが、メインコンパートメントの奥行がRIFTPOINTよりも少ないのが原因だ。その代わり、メインコンパートメントと外部サブコンパートメントの間にもう一つ中層コンパートメントがある。ここには2リットルのペットボトルを2本収納できる容量がある。(ただしこれを入れた場合、メインコンパートメントは2リットル2本+500mlのペットボトル1本の容量に減少する。)


背面のタブレット端末やノートパソコンを収納する袋には14インチくらいまでのノートパソコンが入るが、本体は4割ほど露出してしまう点に注意。


メインコンパートメントの蓋部分にあたる上面3分の2はフリース素材調の柔らかいマジックテープのループ面(メス)となっており、フック(オス)が付いたホルスターやポーチ等を装着できる。ここに装着すれば、バッグインバッグのように中で動くこともないだろう。

上部3分の1はジッパー付きのメッシュポケット(穴は開いていない)になっている。写真の直径4.5cm、全長14.7cmの小瓶(160ml)が入るくらいの容量だ。


バッグ両側面には、水筒入れのような収納はないが、代わりにここにも2×5のATLASがあるので、ボトルポーチ等自分の好みの拡張が可能だ。


さて、背面には、CCW(Carrying a Concealed Weapon:銃器の隠し収納)コンパートメントがある。このRIFT系シリーズの共通の売りだ。

フリース素材調の柔らかいマジックテープのループ面(メス)が一面に敷き詰められ、中央部にはフック面(オス)が縦断して中央仕切の役割にもなっている。


ここにマジックテープで留めることができるホルスターや弾倉等を固定して、拳銃を目立たず尚且つ即応性を併せ持って携行することが可能となる。

もちろん、身につけるコンシールドキャリーホルスター等に比べると、取り出すまでの時間はかかるが、身体への不快感や負担が少なく、大型の拳銃も無理なく入る利点がある。このようなCCW機能が付いたバッグ類は北米で絶大な人気があるのは言うまでもない。

拳銃を使用する際は、切羽詰まっている修羅場が多いため、私は基本的にはホルスターを身体に装着しておきたい派だ。ちなみに、私がRIFTPOINTを背負った状態で拳銃を取り出して相手に向けるまでの時間は、数回練習をした状態で概ね2.5秒~3秒の間であった。


このコンパートメント内には、フルサイズの拳銃だと2丁、コミックだとA5サイズが入る。

一回り大きなRIFTCOREであっても、ここの容量はほんの少し広がっているだけであんまり変わらなかった。

肉厚の背面パッドがあるとは言え、やはりここに銃器を入れると塊が背中に当たっている様子が少しわかる。

持ち主は、ここに予備の防水処置用のゴミ袋やジップロック、地図等を入れているようだ。


モデルは身長165cmのホビット族の男性がだが、それでもこのRIFTPOINTの小ささがわかるだろう。

欲を言うなら、下部だけでなく、バックパックを上部でショルダーハーネスの長さを調整できるショルダースタビライザーストラップが欲しいところ。これがあると、バックパックをもっと上に背負うことができ、より負担の軽減につながる。

→持ち主的には、これくらいでもよく、もっと女子高生時代のようにだらんと下に下げたい、そのほうがKAWAIIとのこと。知らんがな。


容量15リットルのバックパックの割には、頑丈な素材等を用いているだけあって重量は1キロと少し重め。しかし、ショルダーハーネスや背面パッドが分厚くてフィット感のあるおかげで、中にいろいろ詰め込んでもあまり苦にはならない。

側面から見ても比較的コンパクトだ。深い鬱蒼と茂った藪の中に突入してもバックパックがあることによる苦はあまりない。


人間工学に基づいたカーブを描いたショルダーハーネスは、チェストストラップを付けることでよりフィット感が増す。

このカーブのRがきついものは、大胸筋や乳房が大きい人にとっては、干渉して大きな負担になることがある。

官品の雑嚢(メッセンジャーバッグ形式のものを無理やりバックパックに改造したもの)と比べ、左右への揺れが少ないため、身体の負担が全然違うとご満悦。(レベルが違いすぎて、あれと比べるのがそもそも間違っているような気がするが…)

Conclusion │ 総評


ただコンパクトで頑丈なだけでなく、MAXPEDITIONお得意のコンパートメントやポケットの多さ、そして意外と嵩張る物が入ったりするため、多用途に使用できる。

今回のようなミリタリーユースとしてだけでなく、本来の用途であるEDCバックパックとして用いるのにも最適だ。自分が普段携行するEDC(Every Day Carry)アイテムと、ちょこっとした買い物品も入れることもできるだろう。

国内での価格は2万円前後と少し高めだが、長く使える頑丈さと、収納、拡張性は良好。小さめで頑丈、場合によって装備を入れ替えれる多用途なバックパックが欲しい場合は候補にいれよう。