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ジャンル:バックパック

Aerのダッフルバッグのように開閉できるバックパック

検証人数:3人

執筆時期:2023年6月

※本製品を提供してくださったI氏に感謝いたします。

SPECS | 性能諸元(公式)

メーカー名・国(メーカー国・生産国) Air(アメリカ合衆国・中華人民共和国)
サイズ(横×縦×奥行き) 30×52×20cm
重量 1.3kg
容量 21.4リットル
ボディ素材 1680D コーデュラバリスティックナイロン
カラー Gray、Black、Olive(本製品)
価格(購入価格) 38500円(2022年、185ドルで購入)

Pros & Cons | 一長一短

※ここはあくまで、KUSEMONO TACTICALが想定する使い方、視点から見た一長一短です。

※一長一短をわかりやすく表記しているだけであり、項目の数や内容、順番による採点評価ではありません。

優れている点 上質な質感
  ポケットや収納の数と質
改善を要する点 嵩張る物は入れにくく、多くのを物を入れたい場合は妥協やパッキング術が求められる
  拡張性の少なさ

仕事も私事もデキる奴らのバックパック


とある日、当研究会の会合に訪れたI氏が、新調したバックパックを持ってきた。仕事帰りにジムやボルダリングで鍛えている彼は、仕事とワークアウト用品をスマートに収納できるバッグが欲しくなり、Aer –  Duffle Pack 3を購入したと言う。その特徴的な形状から興味がわき、今回レビューをすることにした。


米国サンフランシスコ発のこの新進気鋭のバッグメーカーは、質の良い作りとシンプルなデザインが特徴であり、仕事と私事をスマートにこなす人々から人気を得ている。特にこのDuffle Pack 3は、仕事終わりにそのままワークアウトやスポーツ、アクティビティを楽しむ活動的で体力が余って余ってしょうがない方々のためのバックパックだ。その名の通りDuffle Packシリーズの3世代目であり、よりシンプルですっきりとした形状になったと同時に、容量は24リットルから少し減らして21.4リットルになっている。

亀の甲羅のような形状の全長52cmのバックパックであり、重量はこの手の容量としては少し重めの1.3キロ。

Airは質の高さも自慢のメーカーであるため、外部素材に頑丈な1680デニールのコーデュラバリスティックナイロンを使用している。そこらへんも重量増に繋がっている。


甲羅はダッフルバッグのようにガバっと開くことができる。このメインコンパートメントにはP90短機関銃を頑張れば3丁入れることができる容量だ。もちろん分解無しで。

旧製品のDuffle Pack 2のほうがメインコンパートメントへのアクセスはより大きく開きやりやすいようだ。

メインコンパートメントのサイズは縦51cm、横29cmくらい。いちいち銃器を物差し代わりにするなと怒られそうなのでわかりやすく言うと、2リットルのペットボトル4本に加え、500mlが3本すっぽり入るくらいの容量だ。

I氏曰く、普段の荷物に加えて買い物をして帰るのにも使える容量とのことだ。1泊2日の軽い出張にもこれで行くらしい。

私から見ると、一見ドボドボと物が入りそうだが、意外と入らない系のバッグだ。甲羅のような形状が良い分、外殻の柔軟性があまりなく、背面や底面がクッションやコンパートメントで盛り上がり気味なためだ。また、上下にガバっと開くファスナーなので、あまり物を詰めると開閉が困難になる。公式数値である20リットル前後の容量の粋は出ない。

灰青色の内部は抗菌性コーティングが施された、サラサラとしたナイロン生地。


メインコンパートメントのファスナーは軽いわけではないが、引っかかりなく動く。

ファスナーを片側だけ動かす場合、写真のように底面側にあるストラップを持ちながら動かすとやりやすいだろう。


ファスナーはYKKの止水ファスナーを使用しており、少々の雨では内部に浸透はしない。だが、豪雨状態ではレインカバーを装着する等の防水処置をしたほうが良いとのこと。

縦長のロゴ付きストラップは、写真のようにスライダーのリングに通すことで多少のスリ等を防ぐ防犯効果がある。


バッグ頭頂部の収納ポケットは、内部がフリース生地になっており、財布やアイウェア等を入れるのに適している。(挿入している財布はm+のmillefoglie Ⅱ P25

内部幅は約23cm、深さは13cm。伸縮性があるため、入れようと思えば500mlのペットボトル1本と350ml缶1本が入る。内部ポケットはメインコンパートメント内に出っ張っているため、あまり重くて嵩張るものを入れるとメインコンパートメントを圧迫する。


両側面上部にあるサイドポケットは、幅約25cm、深さ20cm。

350ml~440mlくらいまでの缶やペットボトルが入る。左側ポケットには鍵等を装着できるカラビナ付きストラップがある。


これまた両サイドにあるボトルホルダー。

入り口にはゴムバンドで伸縮性があるが、入り口が幅広なので保持力はそこまで高くない。

丸形であれば2リットルのペットボトルですら入る。幅が広くある程度深さもあるため、グローブやタオル等を入れても良いだろう。


上部だけでなく、左側面にもグラブハンドルがある。肉厚でシートベルト生地なので手触りも良い。

新幹線や飛行機等のラゲッジスペースから引っ張り出す際に便利だし、車の荷室に放り込むのも楽だ。


底面はシューズ等の汚れ物を入れるコンパートメントになっている。

こいつの容量はかなりあり、2リットルのペットボトルが2本も入るため、ランニングシューズどころかミッドカットの登山靴すら飲み込んでしまう

もちろん、大きな物を入れれば入れるほどメインコンパートメントは圧迫される。

水抜き兼通気穴付きの蓋部分には収納ポケットがあり、薄手の物を入れることができる。

ファスナー部分は内部の生地をたまに噛むことがあり、開閉が少しやりにくい時もある。

本来の使い方ではないが、胃袋を吐き出すカエルのようにコンパートメント部を取り出すことで、メインコンパートメントの簡易的な拡張が可能となる。深さがプラス34cm拡張されるが、重くて尖ったものは入れないほうがいいだろう。自己責任で。


そして背面にも多くの収納がある。

背面ファスナーを開くと幅28.5cm、深さ53cmの背面収納が現れる。またもやここにP90サブマシンガンを1丁収納可能。何ということだ、このバッグ一つでP90班ができてしまうぞ!

背面ファスナーはガバっと上から下まで開かず、途中で止まるため、少し奥深くのものを出し入れしにくい。


さて、ここからは多数の背面収納群を紹介しよう。

最上部ポケットは大型拳銃がスルッと入る容量。


伸縮性のある生地でできているファスナー付き収納。メモ帳やパスポート、リップスティック等を入れやすい。


B6サイズの本を入れれるゴムバンド付き収納が横に2つ。I氏はここにモバイルバッテリーやノートPCの電源アダプター等のケーブル類を入れている。


タブレット端末やファイルを入れるコンパートメントとラップトップコンパートメント。

ラップトップコンパートメントには15インチのノートPCが入り、14インチだとケースごと収納可能。背面はフリース生地のクッション付き。


背面もシンプルで、パッドは左右2本の縦長パッドのみとなっている。

パッドに挟まれているループは、キャリーケースのキャリーハンドルに挿入して一緒に持ち運べるように作られている。

ショルダーハーネスは肉厚で人間工学に基づいたカーブを描いているが、カーブ頂点部分がI氏のようにたくましい大胸筋の持ち主には少し食い込んだり刺さるような感覚があるようだ。女性研究会会員も長時間担いでいるとお胸が少し痛いと訴えていた。

チェストストラップには樹脂製のD環があるくらいで、何かを装着したりといった拡張性は乏しい。

チェストストラップの紐部分は、グラブハンドル同様にシートベルト素材でできており、上下や締め具合の調整幅も大きいので使いやすい。


ショルダーハーネスの調整に関してだが、肩側で調整ができるショルダースタビライザーが無く、末端側でしか調整はできないタイプだ。

ノートパソコンを含めた仕事道具に加え、各種充電器具やケーブル類、靴やボトル等を入れるとけっこうな重量になる。シンプルな外観にしたかったのだろうが、できればショルダースタビライザーは付けてほしいところだ。前述した胸への食い込みもこれで緩和等できるのに。

 

 


持ち主のI氏は体育会系イケメンであり、適度に鍛え上げられた肉体を保持。身長も184cmあるため、十分な人権も担保されている。そんなI氏にぜひモデルをしてもらいたかったのだが、残念ながら却下された。仕方ない、身長165cmのホビット族の黒頭巾にお任せするしかない。

今回のカラーはオリーブだが、他にもグレーやブラックがある。



デザインをある程度優先しているため、大きさを圧縮・縮小できる機構がない関係上、20リットル前後のバックパックにしては少し後ろに出っ張りがちな大きさだが、それさえ問題なければ、やはりシンプルでクールなデザインに目を惹かれる。

もう少し小さなサイズがいい場合は、同じようなシステムな同社Fit Pack 3もいいだろう。

ストンとした背面の割には体へのフィット感は意外と良く、特に背面にノートPCやタブレット端末のような板状の物を入れたほうがより向上する。

メインコンパートメントにあまり重量物を入れると、負担が増大する印象がある。そこはやはりショルダースタビライザーでの調整次第で緩和するので惜しいところだ。


バックパックを背負った状態からくるっと前方に回し、メインコンパートメントにアクセスするには、内容物によっては少し開けにくい。物によっては側面のポケット等によく使うものを分散させたほうがいいだろう。

バック前面にメインコンパートメントのジッパーが縦断しているため、もし前回状態でジッパーが破損して閉じなくなった時は面倒だ。

ちなみに破損等した場合は永久保証によりサポートが受けられる。


サブマシンガンだけじゃなく、ハンドガンを含めた銃器を素早く取り出したい場合は、背面コンパートメントにしまい込むのが一番良い。

写真のようにP90サブマシンガンを取り出し、構えるまでの時間は数回練習して3.5秒前後だった。

また、背面コンパートメントに防弾プレート等、平たくて硬いものをを仕込み、上部グラブハンドルを持てば簡易的な盾としても使用できなくはない。(言っておくが自己責任だぞ?これ、そういう製品じゃないから。)

Conclusion │ 総評


機内持ち込み荷物の制限が厳しい小型機やLCCを除くと、だいたい持ち込めることから、I氏は海外の出張や旅行にもよくこのバックパックを使用しているとのことだ。質の高い作りなので、毎日使ってて大きな不具合や劣化は出ていない。

いっぱい入りそうでそこまで入らないメインコンパートメントに加え、背面コンパートメントにはあまり嵩張ったものは入れられない。その関係上、宿泊等で物を多く入れる場合は、少しパッキング術が求められる。

もう一つ懸念点があるとすれば、価格だろう。Aerの製品はここ数年で何度も値上げが行われ、現在(2023年6月)は日本公式サイトで3万8500円、その他国内価格でも3万円を下回ることはあまりない。このサイズのバックパックとしては高価な部類だ。

一つ確かなのは、このバックパックを使いこなすには仕事も私事も両立できる、クールで器用な人間である必要性があるということだろう。そういう人ならば、目を惹くアイテムとしてより自分の価値を高めてくれそうな相棒になるだろう。