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ジャンル:懐中電灯、タクティカルライト

ストリームライトの最新小型L型ライト。

執筆時期:2019年9月

※追記1:2024年2月、カラーフィルター等について追記

SPECS │ 性能諸元

メーカー名(メーカー国・製造国) STREAMLIGHT(アメリカ合衆国・中華人民共和国)
全長 9.6cm
重量(電池除く) 79.3グラム
使用LED C4 LED
光量(点灯時間) CR123A High:300ルーメン(1.75時間)
  Strobe:300ルーメン(2.5時間)
  Low:40ルーメン(14時間)
単3アルカリ電池 High:125ルーメン(2.75時間)
  Strobe:125ルーメン(3.5時間)
  Low:40ルーメン(8.25時間)
使用電池 CR123Aリチウム電池1個 or 単3型リチウム or アルカリ電池1個
最大照射距離 147メートル
防水性能 IPX-7(水深1メートルに30分)
耐衝撃性能 2m
購入価格 43ドル

Pros & Cons | 一長一短

※ここはあくまで、KUSEMONO TACTICALが想定する使い方、視点から見た一長一短です。

※一長一短をわかりやすく表記しているだけであり、項目の数や内容、順番による採点評価ではありません。

優れている点 高い信頼性とコストパフォーマンス
  近接戦闘で素早く狙いやすいレティクル
  CR123Aだけでなく、単3電池等の多種多様な電池がそのまま使える
  様々なニーズに対応した点灯プラグラム変更が可能
  太めのクリップで広がる活用方法
改善を要する点 Loモードをもう少し暗く、長時間点灯にしてほしい

ハイコストパフォーマンスなL型ライト


ストリームライト社の小型L型ライトと言えば、ポリタック 90が挙げられるだろう。樹脂製L型ライトで、軽量コンパクトがウリだった。そして、近年ストリームライト社のEDCライトとして素晴らしい製品だったものと言えば、私がレビューをした1L-1AAが記憶に新しい。この2つのライトを合わせた…と言うより、1L-1AAを折り曲げたようなライトが、今回紹介するProtac 90だ。


こちらがプロタック 90だ。樹脂製のポリタック 90と違い、アルミニウム製の小型L型ライトだ。手触りはProtac 1CL-1AAと同じく少しザラつきのある感じ。

ミリポリ系のギアっぽいデザインがクールだ。価格はProtac 1CL-1AA同様、40ドル前半で購入できるリーズナブルなライトでもある。


全長は9.6cmほどの手に収まるサイズなので、常に持ち歩くEDC目的としてはピッタリの大きさである。


Protac 1L-1AAにも付いていた上下どちらからでも挿せる取り外し可能クリップは、幅が1.25cmと太くなっている。70年代前後のミリタリーギアを彷彿とさせるようなレトロな留め金も良いデザインだ。


クリップのテンションはあまり変わらないが、幅が広くなったことで、MOLLEシステム等への取り付けもぐらつきが少なく付いてくれる。夜間のハンズフリー作業もやりやすくなるだろう。


そして、素晴らしい点がこのボタン配置だ。

従来の小型L型ライトは、点灯ボタンがヘッドの真上に付けられていることが多かったが、Protac 90は45度斜めの角度にボタン配置がされている。

ボタンのテンションは、1L-1AAで少し不満だった柔らかさが改善され、硬めに設定されている。まぁボタン配置とボディ形状から考えると誤点灯を防ぐためにも適切な判断だ。

全押しである常時点灯時のボタンの音は、クチッとカチッの間のようなほんの少しこもった音が聞こえる。

ボタンはこれ一つで、ONとOFF、モード切替を行うタイプ。モード切り替えは、素早いスイッチ操作で行うタイプで、デフォルトではワンクリックでHiモード、2クリックでストロボ、3クリックでLoモードとなる。半押しでも全押しでもこの操作は可能だ。

ストロボの点滅間隔は概ね20~25Hz前後だと思われる。これくらいの早めの点滅間隔の方が幻惑効果は高い。

1L-1AA同様にTEN-TAPプログラミング機能があり、9回素早く半押しを行い10回目でカチッとクリックさせるとプログラムを切り替えることができる。これにより、デフォルトのHigh→ストロボ→Low以外にも、HighオンリーやLow→Highのプログラムを選択可能だ。こういう、ニーズに合わせて様々なプログラムを用意してくれている点は評価したい。


このボタンの絶妙な角度により、拳銃とライトの組み合わせが非常に行いやすくなっている。ライトを持つ手の親指を伸ばして使用できるため、より自然なグリップでライトも拳銃も保持することが可能なのだ。

ハリスロジャーステクニック(L型ライトの場合ちと違うが)等のフラッシュライトテクニックが行いやすくなっているので、ただの小型EDCライトの範疇だけに留まらない万能ライトに近くなっている。


電池蓋に関しては、個体によってあまり潤滑がよくないものがあるので、グリスアップすることをおすすめする。

こちらも1CL-1AA同様赤いOリングがあり、蓋を少し緩ませることのよって、誤点灯防止のロックアウトすることも可能だ。


また、1CL-1AAの最大のウリである多種多様な電池を使用できる点もしっかりと受け継いでくれている。

長さや太さが違う、単3形電池(アルカリ及びリチウム電池推奨)とCR123Aリチウム電池が、ボディ内部の伸縮構造により、パーツの組み換え無しで使用できる。

非公式ではあり、安定性に欠けるが、単4型電池等も点灯可能なので、災害時等の補給が見込めない時にも非常に役立つだろう。


ベゼルに関しては、突起が3つあるタイプだ。ヘッドそのものはボディから1.5cmほどしか出っ張ってないので、ストライクベゼルとしての利用はあまりできないだろう。

ヘッドの直径も2.64cmと小さめ。


ヘッドパーツはベゼル、TIRレンズ、あまり研磨されてないスムースリフレクターと一体になっているLEDユニットに分解することができる。さらに、ベゼル部の強化ガラスレンズもOリングではめ込まれているだけなので分離可能。

保証の観点上、ここまで分解することは推奨しない。

ポリタック90や1CL-1AAは、スムースリフレクターだけだったが、Protac 90は同社ウェポンライトであるTLR-1 HLProtac Rail Mountシリーズのように、中央部がすりガラス状になっているTIR(Total Internal Reflection)レンズが搭載されている。これは配光パターンが楽しみだ。

搭載されているLEDに関しては、相変わらずC4 LEDと銘打ち、詳細はボヤかしているが、形状から考えるとCree XP-G2だろう。


※追記1

このヘッドには、1インチ用の適合した各種フィルターやキャップをはめ込むことができる。そのため、私は青や赤等のカラーフィルターを装着し、幕府陸軍の夜間訓練で使用している。

写真はSUREFIREのF05レッドフィルター(旧モデル)を装着した様子。


付属品は、説明書、ポーチと単3アルカリ電池及びCR123Aリチウム電池がついてくる。


※画像クリックで拡大可


中心部拡大画像

公園にて、100メートル先の反射板付きの自転車に向けて照射。奥の森までは150メートル。

Protac 90の最大光量(ハイモード)は、CR123Aを使用した際で300ルーメンと、Protac 1L-1AAと比べて50ルーメン減っている。

今回は1L-1AAのレビューをした時と違い、曇り空で月も出ていない真っ暗闇。それ故に、数値以上に暗く写ってしまっているのでわかりにくいが、50ルーメン減ったとは言え、1L-1AAと比べても遠距離照射にそこまで大きな差は無い。

Protac 90は、1L-1AAと比べて、中心光と周辺光の区別はハッキリとついている配光なので、目視では1L-1AAよりも遠く飛ぶように見える。実際は、レンズ径と300ルーメンという数値なので、150メートル先の森は薄っすら見えるかなと言った程度。実用最大距離は100メートル前後だろう。

単3電池(AA)にした場合、光量は125ルーメンまでガクッと落ちる。こちらも1L-1AAと比べると25ルーメンほど低下している。


※画像クリックで拡大可(写真右の120ルーメンはCR123AではなくAA単三電池の表記ミスです)

FBIテクニックや、ネックインデックスでの使用を想定して、170センチの高さから15メートル先のベンチに向けて照射。

だがここからがTIRレンズを搭載したProtac 90の見せ所だ。TIRを搭載することにより、スポットで遠距離まで飛ばしてくれる中心光を確保しつつも、170度以上の範囲を持つ周辺光を叩き出している。この件に関しては下の写真を見てもらいたい。


あまりにも周囲が暗いので、画像編集ソフトでブライトネスを上げてわかりやすくしてみた。

このように、Protac 90はスポットな中心光と守備範囲の大変広い周辺光とのメリハリがしっかりとついている配光パターンだ。同じTIRを使用した、同社ウェポンライトのTLR-1 HL(改良型の800ルーメン版)と似たような配光だ。

かと言って、中心光のスポットはそこまでタイトと言うわけでもないので非常に使いやすい。

周辺光の広さは素晴らしいもので、同じくTIRを使用したSUREFIRE EDCL1-Tの周辺光よりも範囲は広い。範囲が広大な分、明るさは控えめなので、周囲の視界を確保しつつも、暗順応を阻害しにくいので、実にバランスが取れていると言えるだろう。

周辺光より外側の外縁光に関しては、周辺光との境界があいまいで、そこまで大きなものではない。



こちらは40ルーメンのLowモード。CR123Aを使用しても、単3電池を使用しても照射時間が違う以外同じ光量。

Lowモードの光量と照射時間に関しては、1L-1AAと変更点は無し。

明るさとしては十分で、これでも80メートル前後まではバッチリ光を届けることができ、広大な周辺光のおかげで、安心して夜道を歩くことができる。この前方も、側面も照射範囲が広いことに関しての安心感は格別だ。

ただ、1CL-1AAでも言ったことだが、好みによっては、このLowモードを20~15ルーメン程に落として照射時間を上げて欲しいという要望もあるだろう。おそらく、このLowモードに関しては、ある程度の明るさを保ちながら、万人が安心して夜道を歩けるための40ルーメンと言った設定では無いだろうか。

この40ルーメンはCR123Aで14時間、単3形アルカリ電池で7.5時間のランタイムとなる。

単3形電池で運用する場合は、使い捨てで値段は高いが、ぜひリチウム電池を使用して欲しい。そうすると、Hiモードは4時間15分、Loモードは14時間の点灯が可能になる。しかも、Hiモードの150ルーメンはアルカリ電池同様に10分程度で100ルーメン前後まで落ちるものの、そのまま明るさを保ったままで4時間以上点灯可能なのだ。

また、公式に保証されていないという点も留意してほしいし、若干暗くなるが、エネループのようなニッケル水素電池を使用しても、ランタイムを伸ばすことができるし経済的だ。

RCR123Aのような3.6V充電池に関しては、非常に明るくなるものの、HighモードとLowモードの区別があまりつかなくなり、発熱もあるのであまりオススメしない。

Conclusion | 総評


最大光量は低下させたものの、最大光量のランタイムが伸び、質が高くメリハリのある配光パターンを出してくれるTIRや、利便性の高いデザインにより、Protac 90は、前任者のポリタック 90はおろか、1L-1AAよりも、日常的に使いやすいライトである。

暗闇を歩く際の安心感は高く、様々な電池を使用できる点を考えても、ミリタリーちっくな外観とは裏腹に、万人受けしやすいコンパクトで常に持ち歩きたいパートナーだ。

最大光量を上げ、より暗めのLowモード、Hi・Mid・Loと3モード化したモデルも欲しい気はするが、それでバランスが崩れるようであれば今のままの方がいい。1L-1AAも大変コストパフォーマンスに優れた機種だったが、こちらはより向上させたものだと言える。こんなものが40ドル前後で購入できるのはすごいことだ。

様々な電池が使用できる観点から、その利便性や緊急時の備えに強い。1L-1AA同様に、我が研究会ではこのProTac 90をいくつか購入し、簡易的な小型ワークライトや、サードパーティ製のヘッドライトバンドに装着等して幅広く活用している。

より明るいHiモード、長時間のLoモードが使用したい場合は形状はそのままで、少し大きくしたProtac 90 Xも良い。ただしこちらは18650やCR123A×2個仕様となり、単3電池等が使用できなくなっている点に注意してほしい。