REVIEW >> ELECTRONICS & OPTICS| 電子・光学機器 >> FLASHLIGHT | 懐中電灯

ジャンル:懐中電灯

親指サイズながら1000ルーメンもの光量を誇るEDCライト

執筆時期:2020年3月

※本製品を提供してくださったOLIGHT様に感謝いたします。本製品は下記OLIGHT JAPAN公式通販サイトにて購入可能です。

https://www.olightstore.jp/

SPECS │ 性能諸元

メーカー名(メーカー国・製造国) OLIGHT(中華人民共和国)
全長×直径 6.3×2.1cm
重量(電池除く) 52グラム(34グラム)
カラー ブラック、タン
使用電池 IMR16340
使用LED Cree XM-L2 CW (6500K CRI70)
最大照射距離 145メートル
光量(点灯時間) IMR16340使用 モード1:1000ルーメン(1.5分、その後300ルーメンまで低下して37分)
モード2:600ルーメン(1.5分、その後300ルーメンまで低下して45分)
モード3:60ルーメン(3時間40分)
モード4:12ルーメン(20時間)
モード5:0.5ルーメン(8日)
Low:40ルーメン(8.25時間)
使用電池 CR123Aリチウム電池1個 or 単3型リチウム or アルカリ電池1個
最大照射距離 147メートル
防水性能 IPX-8(水深2メートル)
耐衝撃性能 1.5メートル
国内価格(購入価格) 7295円(5200円)

扱いやすいコンパクトライト


ここ10年以上の間、LEDとバッテリーの高効率化や柔軟性の向上は目まぐるしいものがあり、コンパクトなライトでもそこらのタクティカルライトに負けないくらいの大光量や、長時間の点灯が可能となった。

私は職業柄、日常使いも視野に入れたタクティカルライトを愛用するため、基本的には日常使いを主眼としたコンパクトなライトは買わない。だが、ガジェット好きとしては常に気にはなっている。今回、アウトドア好きな友人が、これまたアウトドア好きな人とめでたく結婚することとなった。そこで、彼らへのお祝いにライトをプレゼントするという名目で、オーライト社のS1R Baton2といういいタイミングで提供されたライトをレビューしてみた。


S1R BATON IIは、一部限定品を除き、ブラックとタンカラーの二種類のカラーラインナップを揃える。

本体色以外の違いとして、ブラックはクリップが同色だが、タンはクリップがオーライトのアクセントカラーであるブルーになっている。

近年オーライトがところどころに散りばめているアクセントカラーであるブルーだが、KAWAII!!という意見がある一方で、ダサくて安っぽい…という意見もある。

個人的にはどちらかと言えば後者寄りの意見だ。今回の製品を見てみると、ヘッド部分のブルーは今までと違って黒くくすんだような色合いとなっている。この色合いは派手な青より好きなので、特にタンカラーのクリップの青もこちらと統一してくれれば非常によかった。

タンカラーのクリップの青さも部分的に見ればヘッド部分の青とほぼ同じような色合いだが、折返し部分とかは従来のピカピカした処理になっている。


全長は6.3cm、直径は2.1cmと親指ほどのサイズだ。

クリップは、いま流行りの前後どちらからでも差せるタイプ。テンションはまぁまぁ。

台形のローレットがずらりと並んでおり、滑り止めに一役買っている。

スイッチ部分に親指を、クリップ先端に人差し指をかけるような持ち方をすると、操作も持ちやすさも良い。だが、全体的に長さが短いので、全ての指でグリップするのは難しい。落下防止用にもランヤードを付けておいた方がいいだろう。


スイッチ操作は直径8mmのサイドスイッチ一つのみで操作を行う。形状は同社M2Rにも付いていたようなサイドスイッチと同じだが、M2Rはゴムらしい粘っこい感触だったが、こちらはざらついた感触となっている。個人的にはこちらのほうが汚れも付きにくくて好みだ。

スイッチをポンと一回押すと、最高出力のモード1とストロボ(共に1000ルーメン)以外の最後に選択したモードで点灯する。スイッチを素早く2回押すと最高出力であるモード1(1000ルーメン)で点灯する。

モード1を最後に点灯し、次に点灯した場合は出力を一つ落としたモード2(600ルーメンで点灯する)

スイッチを3回素早く押した場合は、ストロボモード(1000ルーメン)となり、護身目的としても使えないことはない。

ライトが点灯している際にスイッチを長押しすると、モード切り替えとなり、モード2(600ルーメン) / モード3(60ルーメン) / モード4(12ルーメン)の中でコロコロと切り替わる。

ライトが消灯している際にスイッチを長押しすると、非常に暗いモード5(0.5ルーメン)で点灯する。

普段は自分がよく使うモードでメモリーさせておきながらも、最高出力やストロボ、暗闇での手元確認に便利なモード5(0.5ルーメン)を煩わしい操作をせずにスパッと使えるのが魅力的だ。M2Rの時も評価したことだが、オーライトの懐中電灯は非常に使いやすく、覚えやすいUIが魅力的だ

スイッチは、充電時のインジケーターランプ以外にも、モード5を除き、電池残量60%以上で緑、60%~10%でオレンジ、10%以下で赤色に光る。


特に中国製懐中電灯に言えることだが、どうしても数値をよく見せるため、最高出力を爆光!瞬間芸に設定する傾向にある。目立ちやすい数値であり、明るければ明るいほど良いという声が大きいのも事実だ。できれば、このような日常使いに主眼を置いたライトは、明るさと点灯時間のバランスが取れた最高出力を設定し、より他のモードの効率を高めた設定をしてくれると良いのだが、それもなかなか難しいのだろう。

最高出力であるモード1は、放熱と電池を考えて、1000ルーメンを維持できるのは1.5分で、その後300ルーメンまで低下して37分点灯する。次点のモード2に関しても、600ルーメンの維持は1.5分間で、同じく300ルーメンまで低下して45分間の点灯となる。

その他のモードに関しては、ぶらぶらと夜のお散歩等に適した60ルーメンと12ルーメンでそれぞれ3時間40分と20時間のランタイムで、0.5ルーメンのモード5に関しては8日間も持続してくれる。これらのモードに関しては、このサイズとしては明るさと点灯時間のバランスがよく使いやすいだろう。

写真は0.5ルーメンであるモード5で点灯している。


リフレクターはTIR(Total Internal Reflection)を採用している。TIRと言っても、SUREFIREやSTREAMLIGHTのタクティカルライトのような、遠距離はズバッと明るく遠くまで照らし、近距離は暗く広範囲に照らすような味付けではなく、近距離を広範囲に明るく照らすように設計されている。

搭載されているLEDはCree XM-L2で、6500ケルビンのクールホワイトだ(CRIは70とのこと)。タクティカルではないので、個人的には眩惑効果よりも視認性の良い暖色寄りのLEDを搭載してほしかった。


使用する電池は、付属するIMR16340(3.7V / 550mAh / 2.0Wh)充電池を使うことが推奨されている。プラス端子周囲が黒の樹脂で覆われているのが特徴的だ。

IMRは安全性・大出力・大容量のバランスが取れたリチウムマンガン電池だ。16340は電池のサイズを表し、直径16mm、全長34mmの意味。

CR123AやRCR123Aでも点灯はできるが、10C放電が可能な付属IMR16340と違い、モード1(1000ルーメン)での点灯ができない、もしくははすぐモード2以下にダウンしてしまう。低い光量であれば緊急用に使えないことはないと思うが、使用に関して推奨はされていないので自己責任で。

ヘッドとボディを回して分割し、電池はプラス端子側からボディに挿入する。テール側にマグネットが装着されているので、電池を抜く際は少し振らないと抜けない。


パッケージは白くシンプルでミニマルデザインな紙箱。ここ最近のオーライトのパッケージはどれもこのタイプだ。


付属品は多言語ペラ紙説明書と、ランヤードに加え、マグネット式のUSB充電ケーブル、付属電池等のCR123Aサイズの電池が二つ入る電池ケースに、スェード調の巾着ポーチが付属する。

パッケージや付属品のちょこっとした意識の高さを見るに、近年オーライトは、中華圏ライトメーカーの中でも、プレミアム寄りの立ち位置を目指している節が伺える。


ライトのテール側はマグネットが装着されており、付属のマグネット式USB充電ケーブルの接続だけでなく、金属のものにくっつけられるようになっている。

ただ、このタイプは地面に落とすと砂鉄等が付いたり、電子機器の周りに置きにくいということもあるのであまり好きではない。


TIRが搭載されていることから、一番外側の外縁光はほとんど180度に近い範囲の照射をしているのがわかる。その他周辺光に関しても二段階くらいに範囲が別れているのが見て取れる。さて、これを外で照射するとどうだろうか。


※画像クリックで拡大可

まずは100メートル先の自転車と150メートル先の森林に向けて照射。中心光の半分は目標、もう半分は地面に向けて照射している。

公式での最大照射距離は145メートルであり、自転車や奥の森まではなんとか届いており、1000ルーメンという大光量での力押しで到達させている感じはする。

私個人としては、このライトの実用最大距離は80~50メートルあたりが対象も見やすくて良いと思う。


だが、遠距離照射なぞそこまで気にしなくて良い。このライトは、近距離を明るく広く照射することが強みだ。

近距離における照射範囲の広さは良い。ボワっと大きく照らし出す中心光がしっかりと大きく目標を捉え、明るく広範囲に照らす周辺光や外縁光のおかげで、安心して夜道を歩くことができる。

1000ルーメンのモード1と600ルーメンのモード2のONとOFFをした際は、急に点いたり消えたりするのではなく、フィラメント電球のように徐々にホワッと点いて消える演出がなされている。これにより、いきなり目をやられることも抑えられ、何より親切心を感じる。このような配慮は、タクティカルではなく、日常使いをメインとした懐中電灯として大変評価できる


60ルーメンに関しては、明るすぎず暗すぎずといった感じなので、万人受けしやすい散策用の明るさとして良い。

12ルーメンは、写真が明るい部屋だとわかりにくいが、街灯が少ない田舎道や、大して険しくない山道を歩く際に、暗順応を阻害しにくく、なおかつある程度の明るさと、20時間のランタイムを確保できるので便利だ。私ならこのモードをメモリーさせておいて多様するだろう。

写真が暗くてわかりにくいと思うかもしれないが、極力肉眼で見た際と同じ明るさに近づけているため、ご了承願いたい。

Conclusion | 総評

オーライト製品の信頼性に関しては、中国製ライトメーカーの中では可もなく不可もなく並、もしくは中の上といった感じだ。SUREFIRE等の故障知らずな高い信頼性を求めるものではない。

本製品を含め、大抵の製品には5年保証が設けられており、日本支部のアフターサポートもある。

このS1R BatonⅡに関しては、そこらの同クラスの中国製ライトと比べて断トツに明るいわけでも、断トツに信頼性が高いわけでもない。

しかし、操作性、配光パターンやその他細々とした部分を見てみると、ユーザーに寄り添った配慮がされており、使っていて気持ちが良い製品であった。

レビューの最中にも少し触れたが、オーライトは近年似たりよったりが多い中国製ライトメーカーから少し脱却し、ちょっとプレミアムなメーカーとして目指しているのではないかと言う感じがする。この方向性がうまくいくかどうかは、より信頼性とデザイン性を高めていくことが鍵となるのではないかと思う。