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ジャンル:フォアグリップ

まるでFN P90のような特異な形状のフォアグリップ

執筆時期:2019年8月

※本製品を提供してくれたA・Y氏に感謝いたします。

※グリップに関するインプレッションは、使用する銃器や使用者の体格、戦闘スタイルによって大きく左右されることがございます。このレビューは特に参考程度に留めておくことを推奨します。

SPECS | 性能諸元

メーカー名(メーカー国・製造国) HERA ARMS(ドイツ連邦共和国)
全長 約19.5cm
重量 約167.2グラム
材質 高強度ポリマー樹脂
カラー ブラック(本製品)、TAN、OD
価格 39ユーロ

ドイツから来たSFグリップ


東京マルイからFN P90の電動ガンが世に出回った時、私はカルチャーショックを受けた。その奇抜なデザインは、SF好きだった私の心に深々と刺さった。あんなSF映画から飛び出したようなデタラメなデザインがこの世に具現化しているのだ。丸みを帯びた官能的とも言えるデザインは素晴らしく、当時未成年だった私は何とかしてP90を手に入れることはできないかと夜も眠れなかったくらいだ。そして月日が経過し、東京マルイ製P90を手にれてからと言うもの、まるで自分の身体の一部の如く使い倒していた。さらに月日が経過し、私は実銃のFN P90に触れることができた。しかし、時の流れは無情なものだ。仕事や趣味嗜好から、どうしても実用性も考えてしまう性分になってしまっていた。故障排除はやりにくいし、トリガーフィーリングは悪いしでアラが目立った。ただ、このデザインだけは今でも好きな官能的なデザインであると思う。

と、そんな見た者の心に残る特異なデザインを踏んだかのようなフォアグリップが、ドイツからやってきた。


これがHERA ARMSCQR FRONT GRIPである。

HERA ARMS(ヘラアームズ)はドイツのAR15系のパーツメーカーで、今回のフォアグリップのようにSFムービーから出てきたような先進的なデザインのパーツが多い。

CQRはClose Quarter Rifleの略で、別売りのCQR Stockと合わせて近接戦闘向けのライフルに仕上がるようなシステムと謳っている。

特に今回のCQRシリーズは、銃規制が特段厳しいカリフォルニア州の規制にクリアしたパーツも展開しているので人気だ。扱いにくいことこの上ないが…。

見ての通り、形状はFN P90のフォアグリップを彷彿とさせるデザインとなっている。


全体的な質感と素材は、少しだけザラつきがある高強度ポリマー樹脂でできている。

通常通りテニスグリップで握って、手のひらが当たる部分だけ、幾何学模様の滑り止め加工がされている。ここの部位もポリマー樹脂であり、ラバーやシリコンの類ではない。


本製品は20mmピカティニーレールに対応している。レールに後付けタイプのフォアグリップとしては長く、全長は20cm近くあるので、装着する銃器によっては物を選ぶかもしれない。

このグリップ、全体の形状をよく見ると、バーティカルフォアグリップ、アングルグリップ、ハンドストップ等の様々な種類のフォアグリップの要素を全部詰め込んだ形状でもある。果たして、このデザインはグリップにどうのような影響を及ぼすのか?


まずは近年少し肩身の狭い思いをしている、テニスグリップスタイルでグリップしてみた。

ご覧の通り、CQRグリップのグリップ位置は、銃器のアンダーレールよりも少し下になる。それ故、テニスグリップ方式で握った場合、重心が高くなりがちで、CQBを想定して銃を振り回したり、駆け回っていると、銃に振られてる感や、銃とグリップが分離しているような違和感が拭えない。

かと言って、Cクランプスタイルで握った場合も、前述したライフルとフォアグリップの位置が若干離れている点から、握る部位が太くなり、非常に持ちにくい。手の大きな人ならまだしも私では扱えない。


そういうことで、間を取ってサムブレイクスタイルで握ってみた。

こちらの方が、ライフルのハンドガード側面に親指をかけれるので、上記の二つのスタイルと比べると幾分か銃のコントロールがしやすい。

だが、やはりハンドガードとフォアグリップの間が離れている点が足を引っ張り、通常のバーティカルグリップアングルグリップのようにハンドガード側面を手のひらで支えることができず、唯一ハンドガードにかかっている親指も、ハンドガード側面下部を圧している程度に過ぎない。

故に、マルチターゲットへのアプローチをするように、銃を左右に振った場合、遠心力等で手のひら下部に若干空間が空いてしまいそうな不安感や違和感がある。この点は、グリップの角や角度を変えれば少し改善すると思う。

Conclusion | 総評


当初これらのインプレッションを、CQRグリップを提供してくれたA・Y氏に話したところ、腑に落ちない反応であった。後日、彼と海外へ射撃を行う機会があったので、本グリップを持参し、AR15ライフルで射撃してみた。エアソフトガンと違い、銃器にしっかりとしたリコイル(反動)がつくと、指摘した内容に納得せざるを得なかった。

シングルターゲットの場合や、スタンディングであまり動きの無い射撃の場合はテニスグリップがやりやすく、CQBやマルチターゲットの場合はサムブレイクスタイルがやりやすかった。とは言え、あくまで他の持ち方と比べてやりやすいというだけの話であり、どれも褒め讃えれるような再評価にはならなかった。5点満点中だと2~3点辺りだ。

また、CQBに多用されることがある、銃を斜めに構えるような各種射撃スタイルだと、グリップ後部が干渉しがちだ。どっちにしろ言えることは、このグリップはもう少しロープロファイルを軸に設計し直すべきという結論に落ち着いた。特にCQB戦闘を考慮するのであれば尚更のことだ。

 

※グリップに関するインプレッションは、使用する銃器や使用者の体格、戦闘スタイルによって大きく左右されることがございます。このレビューは特に参考程度に留めておくことを推奨します。