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フォアグリップ 有名所各種レビューの前編はこちら ↓ ↓
さぁ、後編はアングルドフォアグリップやハンドストップを紹介していこう。
Magpul – AFG
検証人数:4人
検証銃器(いずれも実銃):Type89、AR15系、H&K G3系
●昨今、バーティカルフォアグリップと並び、星の数ほどあるアングルドフォアグリップを語る上で、草分け的存在であるマグプル社の「AFG(Angled Fore Grip)」を抜きにはできないだろう。
●この約25度の角度のついた奇妙なパーツを付けることにより、特にサムブレイクポジションによるハンドリングと反動抑制能力を向上させるとのことだ。
→マグプル曰く、この角度やグリップ形状により、遠位橈尺関節(手首側にある、手のひらをクルクル回す動き等に使用する関節)をガチッと固める効果を高め、より解剖学的に適したグリップになる。
●パーツの差し替えにより、傾斜部分にフィンガーチャンネルを設けることができる。私は装着していたほうが滑り止めにもなりしっくりとくる。
●前方平らな部分の上部は、羽のように両側面とも盛り上がっており、銃器のハンドガードを少し包むような形状になる。私のように反対方向に回し込んだ指等をかけるのに便利だったりするが、ハンドガード形状や好みによっては邪魔だと思う人もいるようだ。
→H&K G3に装着した際、レール付きハンドガードの細さもあったのか、羽の部分に違和感を感じた。
●長めの銃器だとスタイリッシュさに磨きがかかるクールなパーツでもあるが、銃を左右に振り回した際のコントロールは宣伝の通り悪くない。ただ、左右へのターゲットの切替で、コンバットレディのように銃口を少し下にして半円を描くように行うスタイルの場合は、手のひらに少し隙間が空く瞬間を感じる。手のひらがタコの吸盤のように吸い付ければそうはならないのかもしれないが。
●ちなみにこのグリップでCクランプグリップを行う場合は、大きめの手でないと自然に握りにくい。
●このAFGが登場した当初、私を含めた4人がわざわざ取り寄せて検証を行った。当初のインパクトは、当時奇抜だったその形状から大きかったが、結局のところ完全な採用には至らなかった。狭い車内でも引っかかりにくいグリップであったこともあり、最後まで使用していたのは私だったが、最終的に疲労が溜まった際に通常のバーティカルフォアグリップのように、グリップ方法を変えて逃げることができなくなったことが大きな弱点だと感じた。体力や筋力に余裕のある人や、射撃場で1時間ばかし気軽に撃つ程度ならよいかもしれないが、このグリップで長時間の行軍や戦闘行動にはあまり向かないと感じた次第だ。前編でも言ったが、軍や警察では、銃は射撃している時よりも、ただ持って歩いている時間の方が圧倒的に長いのだ。
●ハンドリングに違和感や不安定感を感じる人は、写真のように前方部にある凸部に人差し指をかける方法をお勧めする。人差し指をかけることで後方、肩へのフィット感とグリップ力が高まる。
→ただし、人差し指に力をかけすぎると、弾着がそちらに引っ張られてしまうので注意を。
●全長が約14cmあるAFGのみならず、アングルドフォアグリップ系は、どうしても10cm以上の長さになり、レールやハンドガードの短い銃器によっては向き不向きが出やすい傾向にもある。
Magpul – AFG2
※写真はレプリカモデルです。
検証人数:3人
検証銃器:Type89、M4系、M1014、M870、HK416D(エアソフトガン)、M16系(エアソフトガン)
●AFGが登場し、話題を呼んだ数年後、AFGの不満点を考慮した2世代目が登場した。AFGと比べて前方部の羽を取り除き、全体的にダイエットをさせ、全長も少し短縮させた。(約14cm→約12cm)
●また、もう少し傾斜部の角度を付けてくれ!との要望もあり、約25度から約30度程度に変更されている。
●全体をスリム化することで、装着できる銃器が増え、様々なカスタムパーツとの組み合わせもやりやすくなっている。
●そして傾斜部の角度を変更したことで、よりグリップ力とコントロール性能が増す…とのことだが、私を含めた検証した3人の所見を統合すると、傾斜部の角度が増し、全体的に小さくなったことで、グリップする手の面積が余り、装着する銃器によっては違和感がより増えてしまうというのが第一印象であった。
●銃を左右に振り回した際のグリップと手の間に生じる一瞬の隙間も増している。
●もちろん、このようなパーツはその人の銃器や使用用途、体格等によって大きく意見が別れるものではあるが、個人的には初代AFGの方が人間工学的には完成度の高さを感じる。
●ちなみに、今現在(2021年9月)でもAFGとAFG2は併売されている。やはり好みによってどちらの需要もあるのだろう。
→また、AFGの第3世代とも言える「M-LOK AFG」も登場している。こちらは、よりロープロファイルにオプションを装着できるM-LOKに対応しただけでなく、全長もさらに短縮され(グリップできる表面積はAFG2とほぼ同じとのこと)、傾斜部がより滑らかな曲線を描くような形状になっている。なにげにお値段もAFGとAFG2の34.95ドルから26.95ドルと安価に。
FAB DEFENSE – PTK (VTS Combo)
※写真はレプリカモデルです。
検証人数:1人
検証銃器:Type89、M4系、HK416D(エアソフトガン)
●FAB DEFENSEはイスラエルのタクティカルアクセサリーのメーカーであり、同国軍や警察組織、セキュリティー業界向けの商品を多数展開している。
→イスラエルらしく、欧米のメーカーとは少し違う独自のビジョンに基づいた機能やデザインの製品が多く、本製品PTKもそのうちの一つと言えよう。
●ベースデザインは流行のアングルドフォアグリップではあるものの、より角を取った丸みを帯びたデザインにしており、前方には人差し指をかけるフィンガーチャンネルを増設している。
→ちなみに傾斜部の底面には小物入れが備わっている。
●また、オプションパーツとしてVTSという小さなグリップパーツも同時販売している。これは、ハンドガード両側面のサイドレールに装着し、VTSとの組み合わせで、サムブレイクポジション時の親指のグリップ性能をより高めるものだ。
→VTSはVersatile Tactical Support(多目的タクティカルサポート)の略で、PTKは何の略か不明。
●肝心のグリップ感は、マグプル AFGと比べると両サイドの羽が無いので持ち手両側面の隙間を少し感じるものの、人間工学的に良いフィンガーチャンネルがあるおかげで、ストックを肩に密着させやすい。
●左右へのガンハンドリングも、側面の隙間を感じるが、その分ストックへの密着とフィンガーチャンネルのフィット感で補えるイメージだ。ただ、それに頼りすぎてしまうと、弾着に影響が出やすくもなる。
●VTKをサイドレールに装着すれば、よりフィット感も高まり、持ちて側面の隙間もあまり気にならなくなるが、私の手にはあまり合っておらず、弾着も不安定になりつつあったので却下となった。
→この点は、後述するラルーのハンドストップを用いたほうが、よりよかった。
Strike Industries – Cobra Tactical Ergonomic Fore Grip
※写真はレプリカモデルです。
検証人数:1人
検証銃器:M4系、HK416D(エアソフトガン)
●近未来的なデザインが多いのが特徴のアメリカの銃器パーツメーカー「ストライクインダストリーズ」のアングルドフォアグリップ。これも、他のメーカーに埋もれないよう、特徴的なデザインや用途のグリップだ。
●前方上部にはマグプル AFGのような羽が両サイドにあるが、これはグリップ性を高めるというよりも、銃身からの熱から手を守る目的とのこと。
●全長は約10cm程と、小さくスリムになったAFG2よりもさらに一回り小さなアングルドフォアグリップだ。
●サムブレイクポジションで、自然にグリップしてみる。全体的に小ぶりなので、私のような小さな手でもグリップパーツそのものが小さく感じ、銃器との親和性もグリップに違和感があり、あまり良くない。
●左右へのガンハンドリングに関しても、案の定手の様々な箇所に空間が空くのを感じて、グリップ力の低下は否めない。
●このグリップの特徴としては、一つのグリップ方法が気に入らなかったとしても、他に様々な持ち方が可能だという点だ。通常の持ち方に加え、公式が一例として出しているだけでも上記4パターンもある。
●個人的に一番しっくりと来たのは1番の持ち方だが、結局これはストックの密着力を高めて誤魔化しているように思える。やはりパーツ単体もそうだが、銃器と組み合わせた際のバランスはあまり良くない。
→2番の持ち方に関しては、もはや不安定感極まりなく、ライフルのリコイルを殺すことも受け流すことも難しい。試しにM4系5.56mm小銃で2~3発の指切り連射を行ったが、ブレまくりで役に立たない。
●ちなみに、ギザギザと突起が目立つ前方部に関しては、写真のようにバリケード等を利用した依託射撃に利用することを想定されている。
●商品のコンセプトとしては面白いが、形状やサイズをもう少し煮詰め直してほしい製品だ。
Magpul – XTM Hand Stop Kit
※写真はレプリカモデルです。
検証人数:1人
検証銃器:M4系、HK416D(エアソフトガン)
さて、ここからはハンドストップというジャンルになる。バーティカルグリップやアングルドグリップのような大きな突起物を装着するのは嫌で、普通の真っ平らなハンドガードに少しの突起や引っ掛かりを設けて、グリップ力や反動抑制・ハンドリング性能の向上を図りたい人が好むパーツだ。銃の外観を大きく崩しにくく、装備や物に引っかかりにくいという利点があるだろう。
●マグプル社のXTM ハンドストップキットは、これまた多数のメーカーが出しているハンドストップの一つで、4つのパーツを組み合わせる。2箇所の突起で、手のグリップ力と、肩への密着性の両面を高めることができる。
●このようなパネルとハンドストップをセットで使用する場合、どうしてもピカティニーレール等のレールに装着すると、私のような手の小さな人間はハンドガード全体の厚みが増してしまい、大きく感じて逆にグリップ力が低下してしまう場合もある。この製品もそれだった。
●そのような理由で、もっとロープロファイルに装着したい場合は、同社のM-LOK Hand Stop Kitを装着するのが良いだろう。(もちろん銃器のハンドガードもM-LOK仕様にする必要性があるが)
●商品としては悪くない作りだ。手の大きさや好みに合わせて、パネルの量を増やしたり減らしたりして調整してもいいだろう。
LaRue – Tactical HandStop and IndexClip
検証人数:3人
検証銃器:M4系、Type89、AR15系、HK416D(エアソフトガン)
●光学照準器のマウントや狙撃関連の製品で有名な米国ラルー社のハンドストップ。
●ハンドストップのパーツ2個の他に、レールの溝を埋めるインデックスクリップが72個付属する。これにより、レールハンドガードの左右だけでなく、上下もレールのギザギザを無くして持ち手に優しくなる。
→72個のインデックスクリップの内12個は、突起や穴が側面に設けられているものがある。これは、ライトやレーザー等のリモートスイッチのケーブルをはめ込んだりハンドガードに沿ってきれいに敷くためのものだ。
●全体的に丸みを帯びたデザインなので、マグプル社のXTMハンドストップよりも、私はこちらのほうが違和感が少なく扱えることができる。
●一つ弱点としては、インデックスクリップがレール1スロットに引っかかっているだけなので、気づいたら無くなっていることが多い。レールを埋めるパネルは他社のパネルを利用する等の組み合わせが良いかもしれない。
●このハンドストップは2つセットで付属している点から、もう一つの使い道がある。先程紹介したFAB DEFENSEのVTSのように、ハンドガードのサイドレールに装着し、親指と人差し指の間を埋めるようなグリップパーツとして使用できる点だ。
●様々なフォアグリップと併用することにより、グリップ力やハンドリングを向上させることもできる。私も写真のように、一時期マグプル AFGやRVGで3年ほどこのスタイルで射撃や訓練を行っていたことがある。
→意外な利点として、銃器が横倒しになった際に、この両側面の突起が銃器等を守ってくれることもある(ただし、重量バランスによっては代わりに光学照準器が傷つきやすくなることも)。
●現時点では、使用する銃器によっては違和感を感じたり、伏せ撃ちをする際にちょっと邪魔だと感じたりすることもあったため、私は使用していないが、メンバーのうち一人はこれとバーティカルフォアグリップとの組み合わせで、トイガンと実銃両方に使用し続けている。
→様々なフォアグリップを持っている人等は一度お試しあれ。意外な相性等の発見があるかも。