Ver.1.4:最終更新日 2020/04/25
このコロナ禍に立ち向かい、「危機」を「機会」と捉えるためのマインドセット
現在(2020年)、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とそれがもたらす感染症(COVID-19)は、政治・経済・医療等、国や世界を形成するありとあらゆるシステムに歴史的なダメージを与えている。人々は日々増えていく感染者と死者の数字や情報に怯え、ウイルスと人間によってもたらされた「新たなる日常」に、苛立ちや閉塞感をドンドン膨らませている。
日本は、世界は、人類はこれで終わりなのか?我々は過ぎ去りし豊かな日常にもう戻ることはできないのか?
断じて言うがそんなことはありえないし、あってはならない。ちょっと思い出してほしい・・・偉人達の写真や肖像画に落書きをしていた歴史の授業のことを。さすればわかるはずだ、今まで人類が経験し、現代へとつながる苦難の道のりを思えば、こんなことは屁でもないはずだ。こんなことで絶望したりとち狂っていると、あの世のご先祖様達に「最近の若者ときたら」と失笑されることだろう。
我々はこれからより広大で、より未知なる世界へと歩んで行かなくてはならない。この程度で歩みを止めている場合ではない。むしろこの危機をチャンスと捉え、さらなる進化や成長のために大いに利用すべきだ。
今まで様々な戦争・紛争地や、凶悪犯罪地帯等の修羅場をくぐり抜けてきた我々、現代戦技研究会 KUSEMONO TACTICALがコロナ禍に立ち向かう「マインドセット」を提供しよう。
→そもそも新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とは何ぞや?そんなウイルス相手に一般人ができる対処法はあるの?と言った対コロナウイルスに関しては、前回紹介した「コロナ禍と闘うマインドセット ~準備編~」を参考にしていただきたい。
真の敵は人間が作り、蔓延させている「ウイルス」
さて、ちょっと考えて欲しい。今回のコロナ騒動以来、あなたの頭の中をグルグルと回り、居座り続けている負の感情はないだろうか?
準備編で、私は第一の敵は「新型コロナウイルス」であると言った。だが、このコロナウイルス以上に警戒し、対処すべきものがある。それは、我々人間自身が作り出している「ウイルス」だ。
このウイルスは常日頃から我々の中に浸透している。そして、争い事や災害等の危機が起きた際に、牙を向いて襲いかかってくる恐ろしい「ウイルス」である。本章では、己自身と、人間たちが作り出す「ウイルス」について考えていこう。
病は気から? ~ 貞子はなぜ怖い?~
「病は気から」という言葉、これは医学的に見ても馬鹿にできない言葉だ。けして根性論を言っているのではない。人間は気の持ち用やモノの見方次第で、免疫力やパフォーマンスを上下させたり、目的意識や計画が根底から覆されることがままある。
危機的状況下、頭の中でどっぷりとふんぞり返るようにあなたを支配する「恐怖・不安」と言った負の感情・・・まずはこれらを対処していこうじゃないか。
突然だが、貞子やプレデター、T-1000型はなぜ怖いのだろうか?
●そりゃそうだろうよ、ビデオを見た7日後にいきなりテレビから恐ろしい女が這い出て呪い殺しにくる。姿の見えないヤツがビームを乱射したり接近戦を仕掛けてくる。銃で撃ったり液体窒素で凍らせてバラバラにしてもすぐ復元して迫ってくる…どいつもこいつもやりたい放題だ。怖くないという方がどうかしてる。
●でもよく考えてくれ。T-1000型はダメージそのものは蓄積し続け徐々に機能不全を起こし、溶鉱炉や酸の雨に溶かされてご臨終。プレデターは見えないからと言って存在そのものが消えるわけじゃないし、血だって出る。だいたい奴らはテクノロジーを過信して、脳筋でオツムがあまり良いとは言えない。貞子だって、正体はコンピュータープログラムの一部(原作小説「ループ」)でしかないし、ピーター・ヴェンクマン博士やウィンチェスター兄弟が来れば、きっと泣いて逃げ惑うはずだ。
●こう考えれば奴らは…まぁ…怖いことに変わりないかもしれないが、少なくとも逃げたり戦ったり、お付き合いすることへの算段は立てれるようになる。
●つまり恐怖や不安とは、よくわかっていない正体不明なものに対して、自分が立ち向かう準備ができていないことから生じる感情に過ぎないのだ。
あなたは、貞子やコロナウイルスを、実物以上の恐ろしいバケモノへと変えていってはいないだろうか?
●これこそが私が言いたかった「病は気から」である。考え方や気の持ちようで、世の中あらゆるモノを変えることができる。
●恐怖や不安と言った大きな負の感情は、時としてたった一人の人間から集団感染を引き起こすことがある。
●本来恐怖や不安は、動物に備わった素晴らしい防衛システムである。
●恐怖に支配されると、我が身を滅ぼす恐ろしいモンスターへと変貌してしまうが、適度にうまく利用することにより、危機を察知する早期警戒システムにも、修羅場を乗り切る燃焼促進剤にもなりうる。
恐怖や不安という猛獣に支配されるか、それともうまく手なづけ、危機を乗り越える強力なパートナーとするか?それはあなた次第だ。
その怒りは今必要? ~正義の皮を被った悪魔と踊っていないか?~
さて、上の画像を見ていただきたい。これは某格闘家の家の壁ではない。昨今、メディアやインターネット上で頻繁に飛び交っているとある言葉の数々を散りばめたものだ。
国際機関、政府機関、政党や他国、メディア、SNSの動静等々・・・様々な目立つ対象に対して、日々怒りや失望、憤りを燃え上がらせ、それらが常に頭の中でくすぶっている。関連する噂話や書き込み、報道を時間を見つけては収集し、喰らう。挙句の果てには、周りの人間やネット上で、それらに対して感情的な毒を垂れ流している人はいないだろうか?
このような危機的状況下では、往々にしてそれらの燃えたぎる負の感情から生じる鬱憤や言動が膨れ上がり、まるで「ウイルス」の如く蔓延することがある。そうなれば、事態の拡大や混乱を招き、時に別の大きな事態を引き起こしてしまうことも。
今まで、国内外の様々な「修羅場」で私はそれを見てきて、巻き込まれたことすらある。そんな、人々の燃え盛る感情が合わさって生じた「災害」の恐ろしさを知っているKUSEMONO TACTICALだからこそ、注意喚起を行いたい。
こんな歪で熱い負の感情が起きる原因の多くが、自分の中でいつの間にか産まれて育て上げてしまった、「正義の皮を被った悪魔」だ。
その悪魔は、自分自身、もしくは自分が属する組織の中にある「○○はこうでなくてはならない、こうあるべきだ、●●はしてはいけない、ダメなことだ」という決めつけやルールから生じた正義から産み落とされることが多い。そこに、そのルールに反する人間が表れた時、怒りや失望、憤り等の感情が湧き上がる。
「自分はこんなにも○○してるのに、どうしてアイツは●●するんだ!?」他者に自分勝手な「役割」を着せ、その「役割」を演じてくれなかった時、人は裏切られたとこれまた勝手に思い込み、「被害者」という役を演じ始める。
「アイツは☓☓だから、●●してるに違いない」 「アイツは人間じゃない!あんな奴は**以下だ!」その「被害者」は思いを煮詰めていくにつれ、ルールを破った他者に対して、明確な根拠や証拠の無い憶測や疑念を調合し、いつしか人間扱いをしなくなる。
「アイツは叩かれて当然だ!制裁を与えるべきだ、地獄に落ちればいい!」そしてついには、何らかの攻撃を行う「加害者」となってしまう。しかし本人は「被害者」のつもり、もしくは「被害者」サイドにいるつもりだ。
このような行為を繰り返し行い始めたら、正義の皮を被った悪魔と踊っていることに他ならず、いつしか「正義の行使」という目的すらも、「加虐心の解消」というより歪んだものにすり替わってしまう。自分の中の悪魔はスクスクと育っていき、いつしか破滅へのきっかけになるかもしれない。
●自分では正しいことを行い、悪を戒めているつもりであれ、これはドーパミン等の脳内麻薬から生じた正義の代行という快楽に溺れているだけだ。
●よく目にする炎上、デモ、暴動、私刑の多くには、そんな正義の皮を被った悪魔と踊り狂っている人達を多く見かける。彼らは実に生き生きとした様子で「正義」を実行している。
官・民の様々な組織、そして誰かを傷つけることを日々の楽しみとしている人が、様々な思惑の元で人の中の悪魔を呼び覚まし、扇動させる・・・残念ながら、今も昔もこのようなことが大小・国内外問わず、常に起きている。
自分の中の悪魔に踊らされるだけでなく、そんな人達の思惑にも踊らされないために、我々は負の感情が湧き上がった時にはよく注意する必要がある。内なる悪魔を呼び覚まし、加害者にならないためには、次のことを心がけると良いだろう。
●自分が今どんなことに、誰に怒りや憤り等のストレスを感じいてるか書き出す。
→頭の中身を視覚化することにより、ハッキリとした形で認識することができる。
→認識することで、それに対する対処に踏み出しやすくなる。
→自分の思考や感情に、色を付けたり形を作る手法も良い。
●自分の「居場所」がエコーチェンバーになっていないか考えてみる。
→自分が不平不満や文句を言う「居場所」が、同調や賛同を得やすく、反対意見の少ない偏った考えに浸っていないか?
●他人や組織相手に自分勝手な期待や信用をしない。
→他者は自分とは違う経験値と工程で形作られたものである。他人が自分の意図しないことを行ったからと言って裏切られたと思うのは筋違いだ。
→無意識のうちに、「自分は○○だから、相手も●●だろう」という自分勝手なモノサシで他者を測ってはいないだろうか?
→他者にイラッとした時、このモノサシを懐から出していないか考えてみる。
●SNSやネット掲示板等に何か書き込む前に一呼吸置いて考える。
→内容に余計な負の感情が含まれていないか?誰かを攻撃していないか?そもそも証拠や根拠があるのか?
→主観的な思想や感情を、「正義」という言葉を持ち出して代弁させていないか?
→世に出す前に、一呼吸置いて内容を見直す習慣づけを。
●ストレスを増やすくらいなら、そもそも余計なメディアやSNS等を見ない。
→精神に悪影響を及ぼすくらいなら、最低限の情報収集は政府機関のホームページ等(準備編参照)で良い。
→精神に悪影響を及ぼすくらいなら、Youtubeで猫や犬の動画を見ていた方が良い。
●一見して多くの人が一方向に熱くなっているときには、注意して客観的な視点で物事を見る。
→このような時は、他人の思惑や、自分の中の悪魔に誘導されやすい。
→特にイデオロギーや政治的な内容が含まれている情報媒体に関しては、偏った考えになることが多く、注意して取り込む必要がある。
と、言ったところで、人間生きていれば様々なものに対する不平不満の一つや二つあるものだ。少々のガス抜きで誰かに愚痴るのは良いことだと思うが、見えない悪魔を大きくしないよう常に管理はしておくべきだ。そして、その不満を解消できる建設的な方法を模索するほうが、自分のためにも良いだろう。
さて、ここまで来たあなたは、準備編で新型コロナウイルスそのものに対する対処を構築し、本章では自分自身が産み出し、内に潜み、社会へと蔓延させてしまうもうひとつの「ウイルス」について認識を得たことだろう。
これから先、このコロナ禍がどのような状況に展開していくかは神様仏様でもわからない。もっともっと感染者が増えて人が死ぬかもしれない、想像よりも早く収束し、溜まった問題を片付けなければならないかもしれない、社会に混乱をきたす別の事件や要因が増えるかもしれない…何が起きても自分の目的や立ち位置を見失わず、戦術的な行動が取れるように、次回は「コロナ禍と闘うマインドセット ~本編・戦術の章~」をお贈りしよう!