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ジャンル:懐中電灯

ルミントップの安価で充電池まで付いている小さな懐中電灯

執筆時期:2022年3月

SPECS │ 性能諸元

メーカー名(メーカー国・製造国) LUMINTOP(中華人民共和国)
サイズ(全長×ヘッド径) 8.9×1.85cm
重量(14500充電池有り) 約23グラム(約46グラム)
使用LED Cree XPL-HD
光量(点灯時間):14500 Li-ion Turbo : 650ルーメン(33分)
High  : 360ルーメン (79分)
Med : 85ルーメン (6時間9分)
Low : 16ルーメン (37時間)
光量(点灯時間):AA Ni-MH Turbo : 270ルーメン (43分)
High : 140ルーメン (2時間33分)
Med : 28ルーメン (12時間30分)
Low : 3.7ルーメン (60時間)
使用電池 14500 Li-ion充電池、単3型ニッケル水素充電池、単3型アルカリ電池
最大照射距離 127メートル
防水性能 IP68
耐衝撃性能 1.5m
購入価格 1500円

オマケも機能もいろいろアリ

20年以上前、中華製品と言えば安かろう悪かろうと言ったものがほとんどだった。それから、徐々に安くてそこそこ使えるレベルに向上していき、今ではジャンルによっては欧米や日本製品より良いモノもあるくらいだ。もちろん、品質や性能の向上に合わせて価格も上がっている。これは仕方のないことだ。中国製品は安く買えて当然だという時代や考え方は終わろうとしているのかもしれない。


今回紹介する懐中電灯、LUMINTOP ( ルミントップ ) – Tool AA 2.0には、そんな古き良き時代の「安くて美味しい中華製品」の味わいが広がってきそうな製品だ。

まずはこの素っ気ない紙箱パッケージを見て欲しい。他製品と共通パッケージであり、実用品のパッケージに華やかさなんていらないという強固な意思すら感じる。


蓋を開けてみると、この小さなパッケージからいろいろな物がゴロゴロと出てくる。様々な付属品が入っているのは、昔ながらの中華製品の醍醐味でもある。(使えるか使えないかは別として)

このゴロゴロ出てきた付属品に関しては、ロット等によって違うようだ。今回はルミントップ・ジャパン直営店より購入。

取扱い説明書は日米独3カ国語に対応している。


ライト本体は15年ほど前からタイムスリップしてきたかのような無骨なデザインだ。

このようなデザインだと、ルミントップのウサちゃんロゴが異様に際立つ。


全長はテールスイッチ仕様ながら、8.9cmと小さい。ほとんど外見が変わらない旧型(Tool AA 1.0)と比べて2mmほど小さくなっている。

同じくテールスイッチ&14500充電池仕様のOlight – i5R EOSが9.54cm、Fenix – LD12は10.2cm、Acebeam – Rider RXが9.57cm、Klarus – XT1A は10.7cmと考えると、そのコンパクトさがよくわかるだろう。

旧型とのその他違いはより明るいターボモードが加わり、モード記憶ができ、LEDのフリッカーが無くなった程度。マイナーチェンジと考えるのが妥当だろう。


ローレット加工がほぼボディ全面に刻まれていることもあり、大きさの割には握りやすい。

手の大きな人には少し小さく感じ、格闘戦も難しいかもしれないがこれはそういう用途の懐中電灯ではない。


プッシュ式のテールスイッチは、押すと確かなテンションと共にカチンと少し大きめの音が鳴る。少し残念なのは、半押しによる間欠点灯ができないことだ。

スイッチ周辺には2つ出っ張りが設けられており、スイッチ保護と同時にストラップをかけられる穴もある。


面白いギミックとして、14500充電池を挿入している時のみ、電源オフ時にテールスイッチが写真のように青く光る。暗闇で見つけやすいようにとの配慮で、消費電力も少ないのだろうが、個人的にはあまり精神衛生上良くない。この状態でどれくらいの期間光り続けるのかは不明。

テールキャップを少し緩めると通電されなくなる。

通常使用するであろう4つのモード(Turbo、High、Med、Low)切替は全てスイッチを押す毎に切り替える(点灯していれば半押しでも可)。点灯中にスイッチを6回素早く半押しすると半分隠しモードとしてストロボ照射ができるが、何のために使用するのだろうかと疑問に思う。護身の目くらましとしては使用し難いので、ゆっくりと点滅するビーコンの類のほうがいい。

ストロボ以外の全てのモードは最後に使用した状態で記憶される。


搭載されているLEDはCree XPL-HD、リフレクターはスムースリフレクターとなっている。

Tool AA 2.0はその他白やチタン仕様、搭載LEDの違い等数種類のバリエーションがあるようだ。

レンズと縁の間が若干緑色に光っているのがわかるだろうか?蓄光リングが入っており、点灯後にぼんやりと光る。こういう機能もなんだか懐かしさを感じる。


Tool AAという名の通り、AA(単3型)タイプの電池ならほとんど何でも使用可能だ。少なくとも公式では、写真のように14500リチウムイオン充電池、単3アルカリ電池、単3ニッケル水素充電池が使用できる。

当然だが、それぞれ電池によって明るさや点灯時間は変わってくる。詳しくは後述で。

14500に関しては、ライト本体プラス側の接点の構造上、電池のプラス端子が出っ張っているタイプ(ボタントップ)でないと使用できない。


付属品として、14500リチウムイオン充電池がついてくる2000円前後の価格ながら、充電池まで付属するとは実にハイコストパフォーマンスだ。

付属14500は、充電池そのものにUSB Type-C端子を備えており、充電ケーブルは付属していないものの、スマホ等で使用している充電ケーブルをそのまま挿して充電が可能。

わざわざ充電器を別途用意しなくていいのは良いが、充電状況等もわからないので、個人的にはこの機能は使わない。

同じくType-C端子を備え、価格が倍以上のOlight – i5R EOS付属の14500(1420mAh)と比べると、容量は920mAhと見劣る。


付属品としては珍しく、プッシュスイッチを廃したテールキャップが付属する。点灯操作はキャップを締めたり緩めたりして行なう。これにより、テールスイッチが壊れてしまった際も懐中電灯としての尊厳を失うことなく余生を全うできる。

このテールキャップには磁石があり、鉄製の物に固定可能だ。


個人的に地味に好きな付属品が、このシリコン製のディフューザーだ。簡易的なランタンにもでき、蓄光機能まである。


さて、ここからは実際に様々なシチュエーションで点灯してみよう。

浅目のリフレクターなので、どちらかと言えば拡散寄りの配光ではあるが、そこまで広範囲に広がる光ではない。

175度ほどの角度に一番外側の外縁光が広がってはいるが、これはかなり暗くてあまり遠くまで伸びないので、TIRレンズ系のような外縁光による暗順応を阻害しない周辺視野の確保には期待できない。

周辺光はスムースリフレクターらしく、何層かのムラや層を成しながら形成されている。レンズのコーティングからか、薄紫色の配光も見られる。


※画像クリックで拡大可

いつもの公園にて、100m先の自転車と地面に中心光が半々の割合で当たるように照射。奥の森までは150m。

やはり、拡散寄りではあるが、最大光量であってもそこまで広範囲を照らしてるわけではない。

公式の最大照射距離は127m。肉眼では100先の自転車には辛うじて届いているかな?という具合だ。実用とするには50~70mくらいを上限距離と考えるのがいいだろう。

写真は付属の14500充電池を使用して最大出力のTurbo(650ルーメン)とHigh(360ルーメン)で照射している。Turboモードはみるみるうちにヘッド部が加熱され、オーバーヒートを防止するために、最大光量は瞬間芸に終わる。

配光パターンや使用用途から見ても、Highモードの360ルーメンで十分であり、Turboモードは隠しモードに入れても良いのではと思わなくもない。

単3型仕様の懐中電灯で650ルーメンも出せる時代になったんだなぁと思うと同時に、目立ちやすい大きな数値をセールスポイントにしがちな中華懐中電灯業界の事情も伺える。


FBIテクニックや、ネックインデックスでの使用を想定して、170センチの高さから15メートル先のベンチと自転車に向けて照射。

やはりこれくらいの距離だと非常に使いやすいライトとなる。中心光も強烈なビームというわけではないので、最大光量であっても照り返しはあまり気にならない。

LEDの色温度はクールホワイトの白色光であり、用途から考えるともう少し低めの色温度のほうが良いと思う。


Medモードの85ルーメンは、適度な明るさと点灯時間(6時間9分)のバランスが取れており、屋外での常用に適している明るさだ。

Lowモードの16ルーメンは屋内での手元確認用としては少し明るいが、都市部以外での屋外では暗順応も阻害されにくく、点灯時間も37時間と余裕だ。


ニッケル水素電池とアルカリ電池で点灯させた場合の各モードの点灯時間と光量は以下のようになる。

○ニッケル水素電池(Ni-MH)&アルカリ電池(Alk)

・Turbo:270ルーメン(アルカリ電池の場合は220ルーメン)・・・43分(Ni-MH)、21分(Alk)

・High:140ルーメン・・・2時間33分(Ni-MH)、49分(Alk)

・Med:28ルーメン・・・12時間30分(Ni-MH)、11時間50分(Alk)

・Low:3.7ルーメン・・・60時間(Ni-MH&Alk)

→ニッケル水素電池はパナソニックのエネループ プロの使用を想定されている。

ニッケル水素電池やアルカリ電池に変更すると、光量はTurboで270ルーメン、Highだと140ルーメンに低下するが、配光パターンや使用用途から考えるとこの明るさでもさほど問題はない。

Medの28ルーメンは点灯時間や明るさから考えても常用として非常に使いやすく、Lowの3.7ルーメンは手元確認用や野営や災害時の常夜灯としても余裕の60時間点灯だ。

Conclusion | 総評


モードは4モードの切り替えができるが、正直Turboを無くして3モードに絞ってくれてもいい。

同じく14500充電池が付属し、テールスイッチ仕様、価格は倍以上の4495円のOlight – i5R EOSが350ルーメンと15ルーメンの2モードに限定したシンプル仕様となっている。私はどちらかと言えばこちらのほうが使い勝手が良くて好きだ。

ただこっちはオマケがいくつか付属して2000円前後、安い時で1500円前後で購入できる格安ライトである。はっきり言ってそこらのホームセンターに売っている単3仕様ライトを買うよりも優れているし、楽しい。価格と中身を考えると、これでごちゃごちゃと文句を付けるのは少しナンセンスかもしれない。安くておいしく品数が多い、古き良き中華ライトがここにある。