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ジャンル:スリングバッグ

マグフォース社の大型スリングバッグであるアーチャーシリーズ。同社の製品らしく、デイユースとタクティカルユースが両立しており、コンパートメントもたくさんだ。今回はそのシリーズから、標準タイプと、一時期売られていた、限定版の大型タイプを紹介しよう。

※執筆時期:2017年3月

SPECS | 性能諸元

メーカー名(メーカー国・製造国) MAGFORCE またはMAXPEDITION (台湾)
サイズ(縦×横×奥行き) ○0431(ノーマル):45cm×23.5×17

○0432(ビッグ):50.8cm×34.29×19.5

容量 ○0431(ノーマル):15リットル

○0432(ビッグ):22.6リットル

材質 1000デニールハードナイロン
コーティング デュポン社テフロンコーティング×2回、ポリウレタンコーティング×3回
カラー(※印はMAXPEDITION版のみ) ○0431(ノーマル):ブラック、カーキフォレッジ、オレンジフォレッジ、ダークブラウン、※OD、※ウルフグレイ

○0432(ビッグ):ブラック、※カーキ、※フォレッジグリーン、※カーキフォレッジ、※ACU迷彩、※ウルフグレイ

価格(購入価格) ○0431(ノーマル):19980円(2012年、国内通販で18000円)

○0432(ビッグ):MAGFORCE版は2017年現在絶版(2013年国内通販で19800円))

Quick whip out ! | コンパクトSMGの携行バッグに最適

弓兵・射手の名を持つ本製品は、MAGFORCE(マグフォース)社の大型スリングバッグだ。ご存知の方も多いかもしれないが、MAGFORCEは台湾と日本での名前で、欧米諸国ではMAXPEDITIO(マックスペディション)というメーカー名で商品展開されている。本製品も、マグフォース版ではArcher(アーチャー)という独立した製品だが、MAXPEDITION版では「Gearslinger(ギアスリンガー)」という多数展開されているスリングバッグシリーズの一員でしか無い。今回紹介する製品は、マグフォースのArcherシリーズの中から、通常版であるMF-0431と、ビッグサイズのMF-0432だ。2017年現在、マグフォースからは元々通販限定販売であったビッグサイズは絶版となり、ノーマルサイズのMF-0431とミニサイズのMF-0433(Mini Archer:ミニアーチャー)が販売されている。ちなみに、MAXPEDITION版では、ビッグサイズはGearslinger 「Kodiak」、ノーマルサイズはGearslinger 「Sitka」、ミニサイズはGearslinger 「Noatak」(何れもアラスカ州の市の名前から)という名前で現在も販売されている。カラーリングも多く、日本国内での通販でも売られているので、気になった方はチェックしていただきたい。


全体的な外観から見ていこう。モデルの身長は165センチで、ノーマル版のMF-0431(以降ノーマル版と呼称)はコンパクトでまとまりが良い。一回り大きいMF-0432(以降ビッグ版と呼称)は私のような小柄な人間からすると少し大きめだ。身体へのフィット感もノーマル版の方が良い。


バッグ上部にはクッション性の良い手提げが付いており、提げて持ち運ぶことも可能だ。コーティングは性能諸元を見ての通り各種されているし、1000デニールのナイロンは少々のことでは破れないが、撥水性は使っているとすぐに無くなってしまう。定期的に撥水スプレーをかけておこう。


各コンパートメントやポケットには、後ろに背負った状態でも専用の取っ手で、素早く身体前面へ持ってくることができ、中身をサッと取り出すことができる。全長がノーマル版は45cmでストックを折りたたんだ状態のKriss Vectorが、ビッグサイズは50.8cmで、P90をスッポリと入れることができる大きさだ。容量はノーマル版が15リットル、ビッグ版は22.6リットルだ。マグフォース全製品に言えることだが、モノが見かけよりも入るようで入らない。

Detail | 各種コンパートメント


前面のコンパートメント部分にはMOLLEシステムが付いており、装備品を拡張できるようになっている。また、ベルトにより、荷物の量に合わせた調節も可能だ。

こちらのコンパートメント部分は内部とは別にフラップ(蓋)もファスナー付きのコンパートメントになっており、ノーマル版は新書版の漫画本が、ビック版には8インチサイズのタブレット端末が入る。


スリング部。こちらにも、MOLLEシステムやカラビナがあり、小さなポーチや鍵等をぶら下げておくことができる。ストラップ部分には、私はよく使うものや、すぐ取り出したいものをよく収納したいので、このような構造は便利だ。安定性を向上するための、サイドベルトもあり、走ったり、激しい行動や長距離移動をする際のバッグのグラつきを防止してくれる。このサイドベルトのバックルには笛(灰色のパーツ)が付いているが、カスレた音しか出ず、あまり役には立たないのが残念だ。肝心なスリング部だが、身体への負担を軽減するために少しクッション材が入っているが、重量物を入れていると、バックパックとは違い、どうしても紐一本なぶん身体への負担は大きくなる。クッション材も、使っていると潰れてくる。ノーマル版は、身体への密着をさせると、背面部分の構造が良いのでフィットして負担も少ないが、ビック版だと、私のような小柄な身体だと、フィット感が悪くなる。ビック版でもスリングの形状や大きさもほとんど同じだ。もう一つ注意していただきたいのが、1000デニールの頑丈なスリングなので、長期間や激しい使用では素材によっては服を痛めてしまう。この点も注意されたし。


スリングのサイド面にはバックルと、スタビライザーがある。ここにもMOLLEシステムが付いており、私はここに同社MF-0307 Waistpackを付けて財布や鍵を入れていた。ストラップの長さは調節可能で、余ったものは付属のゴムバンドで止められるが、元が欧米人向けに作られた製品なので、私のような細身の人間ではずいぶんと余ってしまう。くくりつけたり、どこかに挟む等の端末処置をしないと邪魔だ。


基本的にノーマル版とビッグ版も構造はほとんど同じだが、相違点もある。こちらはサイド部分だが、MOLLEシステムのスロット数が違う。ビック版の上にある小型のMOLLEスロットのようなものは、ここに全てのコンパートメントのジッパーストラップを集約してまとめ、簡易的な防犯用のロックが出来るようになっている。ノーマル版の場合はこれが前面にある。ちなみに、縦向きの取っ手が付いているが、これはバックを背面から、前面へと素早く移行させるための取っ手だ。バックを肩から降ろさずに中身を取り出したい時に大変便利だ。


もう一方のサイドは1リットルのナロゲンボトルが入るポケットがある。私はここにペットボトルや折りたたみ傘を収納していた。


前面下部のコンパートメント内部。ビック版は10インチのタブレット端末が、ノーマル版は8インチのタブレット端末が入る容量はある。ビッグ版はフラップ部分が半透明のメッシュポケットになっている。また、コンパートメントにもポケットが一つ多く付いている。鍵等を付けておくためのストラップもある。


こちらは前面上部のコンパートメントだ。ベルクロが付けてあり、各種パッチ等をペタりと貼れる。内部容量は、ノーマル版がサングラスケースや大きめのデジカメ、ビック版は薄めのレンズのミラーレス一眼レフが入るだろう。


内部は、ゴムバンドで小物を区切ることができる。各コンパートメント毎にさらに細分化されたコンパートメントがあるのが、マグフォース製品の魅力だ。細々としたものを多く持ち歩く人には嬉しい。


こちらは背面部分。通気性のあるメッシュ&クッション性のある素材で背中を支えてくれる。また、メインコンパートメントとは独立したコンパートメントがあり、バッグのサイズと縦横ほぼ同じサイズの面積がある。上部には穴も開いているので、ハイドレーションパックを入れるのに適しているだろう。また、内部にはベルクをも装着されているので、中にホルスターを装着して、拳銃をコンシールメントキャリー(隠し持つ)している人も欧米では多い。


メインコンパートメント部分だ。内部もコンパートメントがたくさんある。ノーマル版の上部には中型拳銃が入り、下部には8インチのタブレット端末が入る。フラップ部分にはメッシュ構造で、新書版の漫画本や、B3サイズの本が入る。ビック版は更に一回り大きくなり、P90サブマシンガンまで入る。


とは言え前述した通り、入りそうで入らないのがマグフォース製品の共通点だ。各コンパートメントに仕切られている分、厚みのあるものがなかなか入りにくい。食材等、かさばるものを買って入れる際にはけっこう往生する。細々としたものを入れるには便利なバッグではある。また、どこまでいっても1本のストラップのみで身体に吊るすスリングバッグなので、重量物を入れた際の身体への負担は大きくなる。細々としたものを素早くモノを取り出すことができ、機動力に富んだバックパックが欲しい場合は良い選択肢だろう。