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ジャンル:マグポーチ

諸君らの「武器庫」にはいろんな種類の銃器があれど、わざわざそれに合わせてマグポーチまでコロコロ変えたくない!素早く取り出せれて、銃器を選ばないマグポーチはあるのか?ハイスピードギアからの提案がコレだ。

執筆時期:2017年8月

SPECS | 性能諸元

メーカー名・国(メーカー国・生産国) High Speed Gear  (アメリカ合衆国)
サイズ 76.2mm×55.8×127
カラー ブラック(本製品)、コヨーテブラウン、マルチカム、OD、Kryptek Highlander、ウルフグレイ、ウッドランド
保証 生涯保証
価格相場 (購入価格) 44ドル (2015年 44ドルで購入)

装備するタコス

マグポーチというものは、大きくわけてソフトタイプのものとハードタイプのものがある。前者はナイロン等で作られており、柔軟性があり、耐久性に優れている反面、即応性に欠ける。後者は樹脂製のもので、ブレずにしっかりと固定され、スパッと抜けて戻せるが、耐久性や使用する銃器を選んでしまう。これは拳銃のホルスターにも同じことが言える。
そんな両者の特徴を併せ持ったようなユニークなマグポーチが、HSGIHigh Speed Gear Incorpratedハイスピードギア社)が販売しているTACOシリーズだ。この「TACO」と言うのが何の略かはわからなかった。タクティカル…アドバンスド…??とありがちな単語を無理やり並べて考えたが、今回紹介するDouble Deckerダブルデッカー)を購入してガッテンがいった。アメリカにタコス業界のマクドナルドであるタコベルというファストフード店がある。そこのメニューに、具材とトルティーヤを二重にしたダブルデッカーという商品がある。これだ。単純なことである。これはマガジンを挟み込んだタコスなのだ。(タコスは本国ではスペイン語単数形でTacoと呼ばれている。)
このタコスは様々な種類が展開されており、ライフル弾倉用、拳銃弾倉用、懐中電灯や手錠といった多種多様なギアに対応している。今回紹介するものは、ライフル弾倉用と拳銃弾倉用のマグポーチを2つ連ねた、Double Decker:ダブルデッカーである。(ダブルデッカーは本来、2階建てのバスや鉄道車両のことを指す)


内側がライフル弾倉用のポケット、外側が拳銃弾装用のポケットになっている。構造は、前後をコーデュラナイロン製の布でタコスのように弾倉を挟むようになっており、側面を樹脂製のインサートにより、形状維持と弾倉を素早く抜けて戻せるようにしている。それらの周囲をゴム紐でグルグルと巻き、そのゴム紐を調節することでテンションのかかり具合をコントロールできる。ポケットの深さはライフル弾倉用が約11cm、拳銃弾装用が約9cm程度。


裏側。MOLLEシステムやベルトに取付ける際のループには、タクティカルテイラー社のMALICE CLIP(マリスクリップ)が付属する。こちらを挿入して使用するのだが、この挿入が恐ろしくキツい。定規等を入れたりして、慎重に入れれば入る。マリスクリップには2種類の長さ調節ができ、外す際にはTABと書かれている底部のつまみをマイナスドライバーか何かで引き上げて行う。入れにくく、外しにくいこの構造には当然不満が続出し、現行型ではマリスクリップは廃止され、独自規格のHSG CLIPというものに変更されている。(2017年現在)これにより、多少改善されたとのこと。


側面。ご覧の通り、樹脂製・ナイロン製の素材をお互いU字型に挟み込んでいる構造になっている。これにより、ナイロン製の柔軟性と、樹脂製の素早く抜けて戻せる構造維持性の利点を併せ持つ。樹脂製のインサートは、開口部で外側に開くようになっているので、弾倉を戻す際の利便性を高めている。戻す際は、ポーチそのものがゴム紐のテンションで若干縮むので、弾倉を使って押し広げるようにして戻す感じだ。慣れるとポーチを見なくても簡単にできる。ただ、構造上どうしても塵やホコリ等、異物がポーチ内に入りやすい点は留意してほしい。写真では角度の問題でわかりづらいかもしれないが、マルイM4・AR15系弾倉にマルイHK45弾倉を挿入しているが、拳銃用弾倉をタンデムさせても、ライフル弾倉には指2本分の高低差があり、どちらも取り出すのに支障は無い。両者とも半分前後ポーチからせり出す感じだ。


底部にあるコードストッパーでゴム紐の調節をする。これにより、テンションの強弱が変更でき、幅広い種類の銃器の弾倉をひとつのマグポーチに挿入することが可能だ。


M14、P90の弾倉、マルチツール(Leatherman Wingman)、懐中電灯(Ultrafire WF-501B)を入れてみた。急な武器変更でも、装備品まで変えなくてよくなるのは便利だ。


ただ、弾倉の保持力そのものはそこまで高く無い。このポーチを使用して幾度か訓練に参加したが、マグプル社のPMAGのような凹凸のある弾倉ならまだしも、通常のM4やAR15系の平らな弾倉に30発フルロードしたモノを挿すと、動きや振動によって徐々に上にせり上がってくる。特に、外部に付いている拳銃弾倉用のポケットはより遠心力の影響を受け、拳銃の弾倉そのものがツルツルとしたまっ平らなものが多いということもあり、より脱落の危険性は多い。前回り受身をした際は、ほぼ確実に脱落してしまう。あまり激しい訓練で使用するのは避けた方がいいだろう。かといってゴム紐のテンションをキツめにした場合、今度はマガジンを戻す際が面倒になり、保持力も劇的に向上するわけではない。ちなみに、ライフル弾倉用のポケット内部には、ベルクロテープ(メス)が縫い付けてあるので、工夫次第で保持力を高める加工はやりやすい。脱落を気にする場合は、利便性は悪くなるが、同社よりフラップが付いたCOVEREDタイプのものがある。ライフル弾倉用のポケットには、上部にバンジーコードを通すようなベロがあるので、これを拳銃弾装用ポケットにも付けてくれれば、自前でバンジーコードを通して簡単な脱落防止にできたのだが…残念だ。

エアソフトガンで使用する際は、電動ガンのような比較的軽量な弾倉なら問題ないが、ガスガン等の重い弾倉を使用する際は注意してもらいたい。