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ジャンル:マグポーチ

多数のタクティカルギアを展開している、業界大手の5.11社のちょっと変わったマグポーチ。拳銃使い達の様々なニーズを考えた面白い製品だ。

執筆時期:2017年9月

SPECS | 性能諸元

メーカー名(メーカー国・製造国) 5.11 Tactical (アメリカ合衆国・ベトナム社会主義共和国)
サイズ(縦×横×奥行き) 13.3×8.5×5.5cm
カラー ブラック、Tac OD(本製品)、Sandstone、Storm
コーティング 防水コーティング
素材 500デニール コーデュラナイロン、デュラフレックス製素材使用
価格(購入価格) 3599円(3510円)

フタかヒモか

拳銃のマグポーチ選びはいつも悩みのタネである。人によっては、マガジンさえ入ればいいのだから何を悩んでいるのだ?という人もいるが、そうはいかない。

戦闘スタイルにもよるが、ライフルマンにとって拳銃というものは最後の命綱であり、その予備弾倉が入るマグポーチには即応性が求められる。だが、普段は使用しないので脱落防止のためにもちゃんと固定していて欲しいものだ。多くの場合ここに矛盾が生じる。早く取り出せて、ちゃんと固定されているというのはなかなか難しいものだ。大抵はどちらかを妥協しないといけない。当初は、樹脂製のITW社のFastmagの導入を考えたが、とある訓練で、転倒時にあれを盛大に割ってしまった人を見たことがあるのでどうにも躊躇してしまう。(当時割れたFastmagは、第1世代のものだったと思うので今はもっと頑丈で柔軟性のあるものかもしれないが)


また、私の場合は拳銃を装備しない時の拳銃用マグポーチは必然的に小物入れになる。そういう意味でも、樹脂製よりはより幅広い方向に使えるナイロン製のギアが求められる。かと言って、多くのナイロン製マグポーチは、取り出すのはまだしも、マガジンをポーチに戻す際にフニャフニャなので手間取ることが多く困る。なんというワガママか。

そこで考えたのが、Esstacのマガジンインサートをナイロン製マグポーチに挿入し、その問題を解決しようという策であった。これだとマグポーチが潰れたりヘニャることは無くなる。万が一強い衝撃等でインサートが割れても、側のポーチは大丈夫だ。とは言え、激しい動きや長距離を行軍する場合は、ただマガジンを挿しておくだけではいつの間にか迷子になっていないかと不安になる。ここらでいい加減にしろとイライラしてきた読者も出てくることだろう。同感だ、私もイライラしてきた。

だが、それらの要求を満たす製品がこの世にはあった。それが今回紹介する製品である、5.11社の「ダブルピストルマグポーチ バンジー/カバー」である。色はTac ODをチョイス。

この製品シリーズの特徴は、マガジンの脱落防止用にご丁寧にもフタとヒモの両方を備えていることにある。商品ラインナップも豊富で、ライフルマガジン用から、MP5のような細長いSMGのマガジン用、シングル・ダブル等多数を揃える。今回はその中でも拳銃用のマグポーチを2個連結させたものをチョイスした。タクティカルトレーニングや、多数のギアを販売しているVIKING TACTICSの協力のもとでフィールドテストをしたという泊まで付けている。さて、どんなものか。

フタとヒモの両方を付けると、どうしてもゴチャゴチャして邪魔になると思ってしまうが、そこら辺をこの製品はよく考えてクリアしている。


まずマグポーチではよく見かける、ベルクロで留めるタイプの「フタ」だが、これは、通常の手前に持ち上げてフタを開けるタイプと違い、フタの上部にあるベロ(フラップ)を前に押し出すようにしてフタを開ける。これが実に理にかなっており、片手での操作をする際に実にやりやすい。あたふたして、マガジンを取り出す前にベルクロのフタがまた閉まっちゃった!というミスもまず起きない。しかも、ベルクロ面積も少ないので、開閉時のバリバリ音も少なく、やめて!という非難の声も少なくなる。そして、このフタを使用しない時は、前に折りたたんでベルクロで固定でき、邪魔にならない。

「ヒモ」のバンジーコードも、使用しない場合は取り外すことが可能だ。バンジーコードや、フタの上部に付いているフラップには滑り止め加工がされており、よく確実な操作が可能だ。細かいところにもちゃんと気を配っている。


底面には水抜き用の穴が刺繍されている。


裏面。この特徴的なベルトループは、5.11 SlickStickというループで、MOLLEシステム等に素早く付け外しが可能だ。ループが、上下にスライドするようなシステムになっており、あの煩わしい装備の付替えがちゃちゃっとできるようにしている。


実際に装着してみた。タスマニアタイガー製のマグポーチの前方に装着し、両者ともEsstacのインサートを挿入して使っている。ポーチの深さは約10cmで、標準的なフルサイズピストルの弾倉だと、ちょうど摘んで取り出せる。(私の場合は、戦術上の理由からもっと上にせり上がって欲しいので、ポーチの内部に固形物を入れて嵩上げしている。)

あまり話題にのぼらない本製品だが、実に様々なニーズに合わせた使い勝手を両立しているユニークな製品だ。ひとまずはコレでハンドガンライフを楽しみたいと思う。