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ジャンル:懐中電灯

ウサちゃんマークでお馴染みのルミントップ社のデュアルテールスイッチを備えたタクティカルライト

執筆時期:2018年12月

SPECS │ 性能諸元

メーカー名(メーカー国・製造国) LUMINTOP(中華人民共和国)
サイズ(全長×ヘッド径×ボディ径) 12.3×2.7×2.54cm
重量(電池除く) 約78グラム
使用LED Cree社 XM-L2 U2
光量(点灯時間) High:750ルーメン(2時間)
Mid:160ルーメン(10時間)
Low:20ルーメン(60時間)
ストロボ:750ルーメン(4時間)
使用電池 CR123Aリチウム電池2個 or 18650リチウムイオン電池
最大照射距離 230メートル
防水性能 IPX-8(2m)
耐衝撃性能 1.5m
購入価格 6500円

EDCと格闘戦の両立を図れるサイズ

ひと昔前、中国の懐中電灯メーカーで有名だったのはFenix社くらいなものだった。それが十数年の間に、数えきれないほどの中国ライトメーカーが生まれた。ノーブランド品やOEM等の有象無象に近いものまで数えると、本当に星の数くらいあるのかもしれない。いまだジャンクをかき集めて、小学校の図工の時間にでも作らせたかのような粗悪品も多々あるが、ジェントス等の日本国内メーカーはおろか、下手をすればシュアファイヤーのような一流メーカーに迫るような品質や性能のライトも多く存在する。数だけは多い安かろう悪かろうの製品作りから、コストパフォーマンスに優れた大量生産品となり、一級品の分野にまで中国製品は手を伸ばしつつある。これはライトメーカーに限った話ではく、中国企業の台頭が見えない業界はもはや存在しないと言っても過言ではない。非常に恐ろしく、そして蠱惑的な力だ。昨今、様々な分野でリードし、同時に問題視もされている中国だが、私は中国のそういった行く末に大変興味を持ち、ぜひ見届けたいと思っている。


Lumintop
ルミントップ)も、そんなコストパフォーマンスに優れた懐中電灯を製造・販売している中国メーカーの一つだ。いろんなメーカーをパクったような製品(現在はOlightやiTPやThrunightによく似た製品が多い)をよく出してはいるが、中国ライトメーカーとしては珍しく、日本国内でもサポート体制にある程度力を入れている部類だ。ルミンちゃんとか言う、なんだかLINEのコニーと混同させているかのようなオリジナルキャラも作っている。


ED20-Tは、ルミントップ社のED20のテールキャップをデュアルスイッチにして明るさだけでなく、タクティカル性能を向上させたモデルだ。

ED20-Tは2年前と少し前に発売された懐中電灯だが、全体的なデザインは5年以上前の中国製タクティカルライトを思わせるシンプルなデザインだ。ウサギちゃんのロゴマークがかわいい。

一番の特徴は、タクティカルライトらしくゴム製のコンバットグリップリングが装着されている点だ。これにより、グリップ力が高まるだけでなく、注射器持ち等の銃器と組み合わせたより戦術的な運用ができる。


全長は、18650リチウムイオン電池とCR123A×2個を使用する懐中電灯としては若干小さめの12.3センチだ。

手の大きさによりこの感想は異なるが、私のような小さめの身体や手だと、格闘戦も視野に入れたEDC(Every Day Carry)タクティカルライトの許容サイズは9.5cm~13.5cmの間で、総合的なベストサイズは11cm~12cm前後だ。故に、このED20-Tは格闘能力を低下させにくい範囲で、携行もそこまで不便が無いサイズであると言える。


着脱式のクリップ付き。クリップがある側は、コンバットリングが邪魔にならないように、クリップの厚みでカットされている。クリップの硬さは少し硬め。


本来この手のライトはクリップがある部分が手に食い込んでグリップ感が損なわれることが多いが、コンバットリングが装着されていることで少し緩和されている。12センチという絶妙な長さで、操作や格闘動作がやりやすい。

コンバットリングはラバー製なので、落下させてしまった際にも衝撃を和らげてくれる効果もある。


スイッチはメカニカルではなく、電子スイッチとなっている。デュアルスイッチで、電源マークのスイッチはONとOFFを主に行い、もう片方の滑り止め付きのボタンがモード切り替えスイッチだ。手探りでスイッチを触ってもわかるように、モードスイッチの方が少し高い。テールキャップは両側面の一部だけ盛り上がり、スイッチ保護に役立っている。

スイッチを少し反時計回りにひねると誤点灯防止のロックアウトが可能。

電源ボタンを長押しすると、スイッチを押している間だけの間欠点灯、クリックで常時点灯となる。間欠点灯の際は常にHighモードの750ルーメンで照らされ、常時点灯はストロボ以外の最後に点灯したモードで点灯する。

モードスイッチに関しては、点灯中にボタンを押すことでHigh(750ルーメン:2時間)→Mid(160ルーメン:10時間)→Lo(20ルーメン:60時間)と調光できる。

Loモードのみ、800HzほどのPWMを使用しているみたいだが、目がちらつくような不快感は感じない。

ストロボモードに関しては、消灯・点灯中を問わずモードスイッチを0.5秒以上の長押しで発動できる。ストロボ発動までの0.5秒に関しては、即応性が求められる戦闘時に足を引っ張る可能性が出てくる辛うじて許容範囲なシステムだ。

点灯中にこの動作をし、ストロボを発動させた後に再度モードスイッチを押すとSOSモールス信号モードになる。

だが、このライトのストロボモードに関してはもっと大きな問題がある。このストロボモードは、スイッチを押している間だけの間欠点灯ができず、常に常時点灯となってしまう。消灯させるには再度スイッチを押し、またストロボモードにするには0.5秒間モードスイッチを押す動作を繰り返さなくてはならない。非常に煩わしいシステムだ。室内戦等でこれを使用するにはかなり無理があり、せいぜい護身用止まりのストロボモードだ。

さらに私が購入したものは初期不良なのか、スイッチが作動しなかったりLoモードでしか点かなかったりと動作の不安定さが目立った。このライトは、耐衝撃性能は1mや1.2mが多い中国製ライトとしては少し高めの1.5mであり、防水性能もIPX-8を確保している。過酷な状況下での仕様が想定されるタクティカルライトで、この挙動は困る。

挙動が不安定になると、ヘッドを緩めてまた締め直すと改善される。とは言え、これが頻繁に繰り返されてはたまらない。電池の交換等も行ったがダメだった。


LEDはCree社のXM-L2 U2で、リフレクターは緩めのオレンジピールリフレクターだ。

ガラスレンズに関しては、写真ではわかりにくいが赤紫色のARコーティングが施されている。

控えめなストライクベゼルは爪が5つのタイプ。


テールスイッチが1インチ径なので、SUREFIRE社のコンバットリングThyrm社のSwitchBackが装着可能。長さから見たバランスも良くて気に入っている。

SwitchBackを装着する場合は、通常通りにスイッチとボディネジの間に噛ませるのは難しいので、デフォルトのコンバットリングとクリップを外し、そこにできた溝にSwitchBackをはめ込むのが良い。


付属品その1、蛍光オレンジが眩しいストラップ。どうやらロットによって色やデザインが違うらしい。


付属品その2、携行ポーチ。しっかりとした作りで、ゴムバンドの適度なテンションがある。ベルトループはベルクロテープにより調節可能。


付属品その3、説明書。英語のみのペラ紙一枚のシンプルなもの。


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※T-MAXのMAXモード(700ルーメン)は、間欠点灯しかできず、今回スイッチを押さえる器具を忘れたので私が手動で押さえている故、ご了承を。


中央部拡大画像

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☆100m先に設置した自転車に向かって照射。奥の森林までは150m。(LUMINTOPがRUMINTOPになっているが気のせいなので気にしないように)

公称値750ルーメンのルミントップ ED20-Tと比較させるのは、現在私のEDCライトである公称値700ルーメンのFirst Light USA社のT-MAXだ。どちらもCR123A×2個で駆動。

ED20-Tは公式ではアナウンスされていないが、充電式のRCR123Aリチウムイオン電池(3.6V)2個でも駆動できるとのことでそちらも掲載。T-MAXもRCR123Aで駆動可能だが今回は割愛。

海外のレビュアーによると、CR123Aや18650電池で駆動させた公称値750ルーメンは、実際には780ルーメン近くまで出ているとのこと。

3.6VのRCR123A×2個だと、より明るくなる。850ルーメン以上は出ているっぽい。

ED20-Tの公称値230メートルの遠距離照射能力に関しては、おおむね表記通りだ。少し深めのリフレクターがすぅーっと光を届けてくれる。実用可能な照射距離は200メートル前後と言ったところ。

ルーメン数値は低いが、遠距離照射距離に関してはスムースリフレクターで口径の大きいT-MAXの方がより遠くに飛んでいる。

ED20-TのLED色温度に関しては、クールホワイトとニュートラルホワイトから選択可能。今回私はクールホワイト版を選んだ。リフレクターの性能が良いので、クールホワイトだとしても見えにくさは少なく、全体的に均一なバランスの取れた配光パターンだ。



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FBIテクニックや、ネックインデックスでの使用を想定して、170センチの高さから15メートル先のベンチに向けて照射。

ED20-Tは、中心光のみならず周辺光も明るく設定されている。近距離においても、広い範囲を明るく照らしてユーザーに安心感を与えてくれる。

その外側の外縁光に関してはより広めではあるが、かなり暗くてあまり視界確保の役には立たない。

広範囲を均一に照らして足元の安全を確保しつつも、遠距離照射も可能な万能タイプの配光パターンだ。護身用途も視野に入れたお散歩用ライトとして役立つだろう。

Conclusion | 総評

私としては、Midモード(160ルーメン)とLoモード(20ルーメン)を、各々80ルーメン・15ルーメン程に落としてよりランタイムを伸ばしてほしい。が、護身も視野に入れた一般用途のEDCライトと考えるとこれでいいのかもしれない。

配光、サイズ、明るさに関しては実にバランスの取れた良いライトだ。最高出力も750ルーメンに抑えることで、ランタイムを伸ばして温度管理上にも良い。下手な瞬間芸メガ粒子懐中電灯に比べればこちらの方が良い。

ただ、スイッチシステムの不具合やモーメンタリー(間欠点灯)のできないストロボモードに関してはやはり不満がある。このライトは現在EDCライトにしているT-MAXの後継機にしようと考えていたが、あえなく採用は見送られた。