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ジャンル:懐中電灯
現代L型ライトの決定版とも言うべきであるFIRST LIGHT USA社のT-MAXシリーズ。その照射のみに特化した最もシンプルなT-MAX。ハンズフリーや戦術性にこだわった機能が随所に散りばめられたライトである。
※1:2016/12/28 : レビュー&使用動画を掲載。
※2:2018/06/12:オプションパーツ「Tomahawk Task Light(TTL)」のレビューを掲載。
SPECS | 性能諸元
メーカー名(メーカー国・製造国) | FIRST LIGHT USA(アメリカ合衆国) |
サイズ | 8.6(高さ)×6(前後)×3.8(幅)cm |
重量 | 130グラム(バッテリー除く) |
本体素材 | 航空機アルミボディ HA-3 |
使用LED | Cree XM-L2 U2 |
光量(点灯時間) | MAX:700ルーメン(2時間) HIGH:200ルーメン(4時間) MID:80ルーメン(16時間) LOW:5ルーメン(60時間) |
使用電池 | CR123A×2 または RCR123A×2 |
各種耐久性能 (FL1 STANDARD) | 防水性能:1m 耐衝撃性能:3m |
価格(購入価格) | 199.99ドル(2015年国内ショップで27000円) |
日常と戦闘の両立を兼ねた使い勝手
日常使いと、訓練やイザ!という時の戦闘使いを両立したライトはなかなかないものである。いざ鎌倉という時に最優先で使いたいモードが瞬時に使えなかったり、普段使いでいきなり高出力で目潰しを受けたり、ゴツゴツとした外観で衣服を傷つけるというものと帯に短し襷に長しである。
しかし、このFIRST LIGHT社のT-MAXは実に素晴らしい製品である。このメーカーは、以前からLED時代のL型ライトメーカーとしていろいろと商品を出して来ている。以前の製品はかゆいところに手が届かない惜しいものばかりだったが、今回の製品は様々な面で改良が加えられており、完成度は高い。
●パッケージはプラスチック製の保護ケースを兼ねている。
→とは言え、防水性能や耐衝撃性は無いので、ペリカンケースのような扱いはダメだ。個人的には懐中電灯は常に装備をするかしておくものなので、コストが高くなるくらいならこのようなケースはいらない。
●付属品は、Duracell製のCR123A×2、クリップ、大きめのフィンガーリング、取説といった感じだ。
●バラした感じはこんな具合だ。クリップの着脱や、フィンガーリングの交換、また後述するホルスターアタッチメント等はこんな具合で行う。メンテナンスもしやすい。ボディのカバーはラバー状ですべり止めとなっている。
●電池は電圧が最大8ボルトまでカバーされているので、CR123Aの他にも充電池のRCR123Aも使用することができる。
●付属のクリップ。握りこむ際に極力干渉しないような形がとられている。先端には滑り止めと装備品を傷つけないように樹脂製のコーティングをしている。深めのクリップで、装備の奥にまで引っ掛けることができるが、テンションはそこまで高くない。クリップ全般に言えることだが、過度の信用は禁物。落下や紛失で泣きを見ることのないように(経験者は語る)。
●フィンガーリングは大小2つの大きさがあるので、手の大きな人やグローブをハメた状態でも使える。リングは下の方は接合されていないので、SUREFIRE社のコンバットリングのような安定感はないが、簡易的なクリップのような使い方で、ポーチに入れる際にリングが邪魔になることは少ない。また、樹脂製なので、ゴムのような劣化も無い。クリップもそうだが、フィンガーリングはボディ筒に沿って360度動かせるので、スタイルや装備によって融通が効く。
●ベゼルの突起はこの手の製品によくある誤点灯防止という名の滑らかストライクベゼル。電池蓋のテールにも同じような施しがあるが、個人的には邪魔なので必要ない。この大きさ・形状で格闘をするのは少し無理がある。
●LED素子はCree XM-L2 U2ランクを使用。リフレクターはツルツルのスムースリフレクターだ。至近距離での照射は少し汚いが、気にするレベルではない。照射範囲もある程度確保しつつも、遠方まで飛んでくれる。詳しくは後述の照射比較をご覧いただきたい。
●レンズはUCL(Ultra Clear Lens)ガラスレンズを採用。透明度はHDS社のライトに使われてるUCLほどではない。あれはレンズが無いのかと錯覚するほどだ。
●ベゼル径は37mmで、SUREFIRE 6Pより一回り大きいM2クラスである。
さて、操作方法の紹介に入ろう。この操作体系が実に良く出来ている。まさしく戦闘と日常使いの両立が出来ている。
●例えばパトロールのシチュエーションを想像してもらいたい。普段は常時点灯の低出力で散策を行い、不審なものや遠方を照らしたい場合は即座に700ルーメンのMAXの間欠点灯ができる。異常がなければ「C」ボタンから指を離して、また散策に戻れる。
●次は、暗所や閉所での襲撃を想定してみよう。要所要所では「C」ボタンを押してパッと安全確認をして練り歩き、イザ攻撃を仕掛けたり、相手が飛び出して来た際には「B」ボタンを押してストロボで即応できる。
●常時点灯中にストロボができない点が場合によっては泣き所だが、そこは操作体系を複雑にするだけだし、MAXモードで代用といった感じか。
●また、カバンの中やポーチ等で不意にスイッチに鑑賞しての誤点灯を防ぐためのロックアウト機能もあるのは良い。このライトはテールが下に向く装備方法が多いため、SUREFIRE等でよく見るお尻のフタを緩めてのロックアウトだと、フタを落としかねないので、スイッチ同時押しにしたのだろう。ロックアウト中にボタンを押すと、中央の南京錠のマークが一瞬赤く光って教えてくれる。解除するとグリーンに点灯する。このライトはボタン操作でストロボや最大出力が瞬時に出せるので、公衆の場や隠密行動時の不意の点灯は大変な迷惑になりかねない。この機能は必須だ。
●握った感じだが、コレに関してはそこまで良いわけではない。全長を抑えるためボディは短めなので、小指がかけれないのが原因だろう。また、クリップや後述するホルスターアタッチメントを付けるとよりフィット感は悪くなる。ただ、リングに指をかけているので、落下の不安は無い。
●銃器や他の道具との併用も、最初は慣れが必要で、場合によっては普通のチューブタイプのライトの方が良いという人もいるだろう。私は嫌いではないが、この点はより使いやすく改良して欲しくもある。
●まぁなんと言ってもこのライトの一番の利点はこのリングを用いてのフリーハンド化できることだろう。このように、弾倉交換から、弾詰まりでも一層面倒なダブルフィード(二重装填)の排除まで何でもライトを持ったまま行える。用事がすんだらクルっと回転させて素早く任務に復帰できる。
ホルスターとの併用でより便利に素早く!
このライトの便利さは別売りのホルスターとの併用でより発揮される。
●ホルスターは、ベルトマウントタイプ、MOLLEシステムにマウントするタイプ、車体等の金属に磁石でくっ付けるマグネットマウント等の多種多様なマウントがある。何れのマウントも、同社のTOMAHAWKやTORQと言った他のL型ライトも装着可能で、30ドル~40ドル前後だ。
●今回はベルトマウントを購入した。ブレードテック社のテックロックベルトマウント付きのホルスターで、アジャスターが2つと、本製品を付ける際に必要なアタッチメントと、単3電池使用のL型ライトであるTORQのアタッチメントが付属している。ベルト幅は6センチまでなら装着可能で、標準的な弾帯やガンベルトなら付けることが可能だ。それより細いベルトには付属しているアジャスターで調整してやればよい。
●このブレードテック社のテックロックは実に優秀な装着器具で、銃器やナイフのホルスター、ポーチ等で他社の多様な製品に利用されている。二重にロックできるので、外れることはまず無い。
●ホルスターとの装着は、まずライトのラバー製のグリップ部分を付属のホルスターアタッチメントに入れ替える。この時、本体に付いている防水用のOリングを取り外してからでないと装着できないので注意されたし。言うまでもないが、装着後にOリングを戻すのも忘れないように。こうして、アタッチメントとホルスターとの溝を合わせて装着する。抜くときはホルスター上部のボタンを押し込みながらロックを解除して抜く。
●普通のホルスターのように、ライトを穴に入れるタイプでなく、むき出しなので落下の不安はあるかもしれないが、柔軟性のある樹脂でかっちりと作られているので、その心配は無用だ。ただ、この状態にすると、前述した通りライトのフィット感は減少する。
●ホルスターの装着例をいくつか挙げてみた。画像中央は、私が愛用のメッセンジャーバッグ(MISSIONWORKSHOP Rummy)の肩紐に装着。画像左は、別のメッセンジャーバッグ(MAGFORCE MF-0652)のMOLLEウェビングに装着している。そう、このベルトマウントで別にMOLLE用マウントを購入しなくても、MOLLE製品に装着可能なのだ。若干プラプラするが、アジャスターで調整してやれいい。
●ホルスターからの着脱は最初は慣れが必要だが、慣れればスチャっと取り出すには問題ない。また、ホルスターを軸にライトが回転できるので、ホルスターに装着したままでライトを点灯してボディライトとしても使用できる。程よくテンションがかかっているので、クルクルと回り続けることは無い。
照射比較
それでは照射比較と行こう。いつもの公園で、約80メートル先のACU迷彩の上着に向けて照射。奥の森までは約150メートルである。今回の選定機種はルーメン数値の低い順に、
○SUREFIRE X300U-A(500ルーメン)
○STREAMLIGHT TLR-1 HL(旧:650ルーメン)
○本製品であるFIRST LIGHT USA T-MAX(700ルーメン)
○WolfEyes Sniper-2 U2 1C(920ルーメン)
↑画像クリックで拡大表示↓
●T-MAXは近距離の範囲も、遠距離の照射も実にバランス良く照射していることがわかる。人によっては、近距離での照射範囲がもっと欲しかったり、暗順応が阻害される等の意見があるかもしれないが、贅沢さえ言わなければ、実用十分な性能だ。
●LEDの色温度もニュートラルホワイト(白とオレンジの中間)寄りで良いと思う。写真では充電池であるRCR123Aを使用した。使い捨てであるCR123Aだと若干出力は落ちる。
●ちなみに一つ問題というか特徴なのだが、このライトのLowモードが、公式では5ルーメンだが、実際照らして見ると、どう考えても15~30ルーメン近く出ている感じである。日常的な使い方ではこれで必要十分で、真っ暗闇で照らす時や、周りに配慮したい時はまぶし過ぎるくらいである。
どこに価値を見出し活用できるか
このライトの値段は高額な部類に入る。SUREFIREの上位モデルが安いとこなら買えてしまう値段だ。持ち心地はそこまで良いわけではない。だが、手と行動に自由を与えてくれるフィンガーリング、日常と戦闘を両立させてくれているシステム等、他のライトには無いかゆいところに手を届かせてくれる「確かな機能」がある。
ちなみに、このT-MAXシリーズは本製品である基本型の他に
○T-MAX LE:白色メインLEDの他に様々な色(赤・青・グリーン等)のサブLEDを備えた犯罪抑止・捜査用途の法執行機関向けモデル
○T-MAX PRO:上記T-MAX LEと同じシステムで、Oリングを蛍光オレンジにした救急救命モデル。
○T-MAX NV:白色メインLEDのの他に赤と緑 or 赤と青のサブLEDを備え、他にも暗視装置用のIR LEDを搭載した夜間作戦用モデル。
といった感じのラインナップを構えている。お好みに合わせてどうぞ。
Tomahawk Task Light(TTL)
※2
同社のトマホークシリーズとT-MAXシリーズに装着可能なTomahawk Task Lightを入手したのでレビューしたい。テールキャップに装着して使用する作業用の小さなライトだ。
SPECS │ 性能諸元
メーカー名(メーカー国・製造国) | FIRST LIGHT USA(アメリカ合衆国) |
サイズ | 2.8(高さ)×2.46(幅)cm |
重量 | 22.6グラム(バッテリー除く) |
本体素材 | 航空機アルミボディ HA-3 ハードアノダイズド |
使用LED | 5mm砲弾型LED |
ラインナップ | 青色LED(本製品)、UV |
光量(点灯時間) | 不明(24時間以上) |
使用電池 | CR1616×3個 |
各種耐久性能 | 防水性能(詳細不明) |
価格 | 49.99ドル |
小さなライトが付属し、持ちやすさも向上
T-MAXの欠点は、小型がゆえの持ちにくさにある。その弱点を克服してくれそうなオプションパーツを発見した。それが、同社の「トマホーク タスクライト(Tomahawk Task Light:TTL)」だ。海外の取扱店や通信販売の他、First Light USA公式ホームページでも入手可能だ。今回は公式から注文した。
●届いた小さな箱を開けると、メーカーロゴステッカーまで付属していた。Tomahawk Task Lightは49.99ドルだったが、それに送料がさらに40ドルほど加算され、最終的には100ドル近い値段になってしまった…。商品そのものは北米から5日程度で届いたが、もう少し遅くても良いので安い送料サービスも欲しかった。
→ちなみにこの高い送料は公式通販が一番安価であった。
●これがトマホーク タスクライトだ。テール側には5mm砲弾型LEDが見える。
●このLEDはブルーとUV(紫外線)の2種類がラインナップにある。私は日常的にも青色の方が良いのでそちらを購入。
→ブルーの光は、血液を黒く浮き上がらせたり、物の輪郭を際立たせる特性があるので、犯罪捜査や医療関係者でよく使われている。
→UV(紫外線)照射も、犯罪捜査等で使われている代表的な光の波長。薬剤等の組み合わせたりして、血液や精液等の体液や、指紋等に反応して光らせることができる。その他の用途としては、身分証明書や紙幣に印刷されている透かしやホログラムの確認・検査にも照射される。
●キャップを開けると、リチウムコイン電池「CR1616」が3枚入っている。この電池3枚で概ね24時間以上のランタイムとなる。電池のON・OFFは、キャップの締め具合で調節する。
●どの程度まで耐えれるのかわからないが、Oリングもあり防水性能は付与されている。
●装着は、テールキャップを交換するだけ。従来のT-MAXのテールキャップにあったストライク(突起)はなくなったが、元から格闘用に使えそうな全長ではなかったので問題ない。
●このTomahawk Task Lightは、同社のトマホークシリーズに装着する前提で作られているので、色はグレーだ。
●タスクライトを付けることにより、T-MAXそのものの全長を2cm近く延長することができ、小指をしっかりとかけることができるように。これにより、欠点であったグリップの悪さはかなり改善された。
●下半分のキャップをひねると点灯する。私はCSIの職員ではないので、ブルーのLEDで犯罪捜査をする気はないが、T-MAXのもう一つの欠点であった明るすぎるLowモードへの対応策ができた。暗所であまり明かりを出さずに何か物を探したり見たりする時に重宝している。光量の表記は公開されていないし、計測機械も無いが、概ね10ルーメン前後だろう。タクティカルライトとは言え、日常使用や作業での使用も考慮に入れるのであれば、この程度の明るさも欲しいところだ。
●持ち手のグリップは、このTTLを装着することで、10.6cm程度の長さになった。この長さはSUREFIREの電池1個シリーズであるE1DやEB1と同等の長さだ。手の小さな日本人とは言え、ある程度グリップ感が必要ならば、この長さが必要だ。