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ジャンル:ライフルスコープ

手頃な価格で、品質の高い光学照準器を販売するBURRIS(バリス)社のショートスコープ。近~中距離で素早いサイティングを助けてくれる機能が随所にある。

SPECS | 性能諸元

メーカー(国:製造国) :BURRIS(アメリカ合衆国:フィリピン共和国)
全長 :28.7cm
重量 :401グラム
イルミネーター :赤色10段階(CR2032コイン電池使用)
レティクルパターン :Ballistic CQ(本製品)、Ballistic AR
(両者共にRFP)
レンズ径 :対物レンズ:30mm、接眼レンズ:42mm
視野(FOV) :100(1倍)~32(4倍):ft.@100yds
アイリリーフ :8.9cm~10.1cm(3.5インチ~4インチ)
保証 :永久保証
価格(購入価格) 479ドル(2015年通販にて355ドルで購入)

外観レビュー

IMG_2540質感はマットに仕上がっており、特に安っぽい感じはしない。スラっとしたスタイルだ。チューブ径は30mmとなる。本体には窒素の充填や、防水加工、耐衝撃機構等、アクティブな使用に求められる機能は備えられている。(どの程度まで耐えられるかの明記はない。)
ちなみに、使用しているマウントは同社のAR-P.E.P.R.マウント。少々重いが、非常に堅牢で取り外しが容易、上部に20mmレール付きのアタッチメントも付属している評価が高いのマウントだ。

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対物レンズ部分。赤紫色のコーティングをしている。


 

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接眼レンズ部分。こちらは赤色のコーティングが見える。縁のアイピースはゴムで覆われており、万が一に反動等でスコープが目と接触しても、ダメージを抑えてくれる。これらレンズには曇り止め加工がされている。アイピース部分を回すと視度調整ができる。アイリリーフは9cm~10cm前後と、この倍率のショートスコープなら標準的。


 

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倍率を変更するパワーダイアル。好みに分かれるかもしれないが、余計な突起がない仕様となっている。ダイアルの回転はそんなに固くはない。1~4倍まで、0.5倍ごとに表記されている。こちらのロゴマークは、旧型仕様。

このMTACシリーズは、本製品の1-4×24mmの他に、1.5-6×40mmのより中距離射撃向きのラインナップがある。


 

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イルミネーターやエレベーション等調整のダイアル部分。左右のイルミネーターとウィンテージノブは若干斜め上にオフセットされており、スタンディングスタイルやラフな姿勢での調製がやりやすくなっている。

イルミネーターは10段階の調整が可能だ。クリック感は少し硬め。一応暗視装置にも対応とある。
エレベーションとウィンテージノブはカバーに覆われており、そのカバーを外すと目盛りのあるスコープお馴染みのノブが出てくる。近~中距離でラフに扱うことを考えられたスコープなので、ちょっとした拍子に調整がズレてしまわないようにする配慮だろう。


 

IMG_2551底面。モデルと製造番号。また、フィリピン共和国での製造を表記したシールが貼られている。余談だが、BURRIS社は拳銃や散弾銃でお馴染みのベレッタグループの子会社である。

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スコープ左下におできのようにポコッと出ている突起物。「取り外すべからず」と書かれているが、そんなこと言われると余計に気になる形状だ。どうやら、耐衝撃性能を高めるためのバネ等の機構が入っているらしい。


 

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全長は28.7cm。右のスコープは愛用のLeupold社の「VX-R PATROL 1.25-4×20」(全長24cm)。


 

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重量は401グラム。スペックは変わってないはずだが、ロゴが変わった現行版は410グラムと若干重くなっている模様。重さもこの手の倍率のショートスコープでは標準的。


 

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箱とその他付属品。MTACシリーズ共通の説明書に、カタログ、補償説明書が付属する。

本製品は永久保証で、修理の際には余計な質問、保証書の提示、修理代金の請求は一切求めず、製品そのまま送ってくれたら直しましょうと明記されている。低~中価格帯のスコープとは言え、こういうサービスがちゃんと付いているのは嬉しい。


見たままを映しだしてくれる1倍率モード

本製品の最低倍率は1倍率だ。普通、スコープで1倍率となると、実際には1.2倍~1.5倍の倍率じゃないのか?という拡大気味の製品が構造上多い。しかし、本製品は、若干拡大しているかな?っといった1.1倍率くらいで、ほぼ裸眼で見たままを映しだしてくれる。近距離で素早く狙いやすい、ホロサイトのようなCQレティクルと相まって、ドットサイト感覚でサッと近場のターゲットにアクセスできる。

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散らかっている部屋から失礼。無反動砲で破壊工作を働こうとしているゴリラがいたので狙ってみた。イルミネーターをONにして、左画像が本製品、右がLeupold社のVX-R PATROLの1.25倍。

近距離での照準に特化しつつも、ある程度中距離にも対応したレティクル

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さて、本製品のレティクルはBurris社独特の「Ballistic CQ」というレティクルだ。

大きなサークルの内周が7ミルで、100メートルで約70cm、サークル内のクロスヘアの幅が5ミルで、100メートルで約50cmという大きさになり、ここらからターゲットまでの大まかな距離を割り出せれるレンジファインダー機能を備えている。
また、距離による銃弾の落下レベルを表記したBDC(Bullet Drop Compensator)機能もある。西側諸国では標準的な5.56×45mmと、7.62×51mm(前者がM4等のAR15系の弾丸で、後者がM14やM40狙撃銃や機関銃でよく用いられる弾丸)の弾丸に100~600ヤード(約90m~550m)の距離に対応しているとある。
とは言え、中央にゴチャっと固まったレティクル形状に加え、倍率を上げてもレティクルの大きさが変わらないRFPなので、実際問題BDCとしての機能は中~遠距離ではあまり使えない。あくまでオマケとして考えるのが良いと個人的には思う。


 

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その他、Trijicon社のACOGに横のクロスヘアが加わったような「Ballistic AR」というレティクルもラインナップに存在する。


 

サッと狙ってサッと撃つ

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※画像クリックで拡大可
実際に1倍率と4倍率で屋外に持ちだして狙ってみよう。目標は、約80m先の木に吊るしたACU迷彩の上着。
周辺部分の歪みはどうしても出てくるが、各倍率とも明るく、大変狙いやすいレンズだ。
レティクルは、中央のセンタードット(0.75ミル)が1倍率で80mの距離だと、ちょうど人間の頭程度の大きさとなっている。

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※画像クリックで拡大可
ある程度距離が出てくると、少々レティクルの形状が邪魔くさく感じる。ミリミリと狙うようなスコープではなく、サッと狙ってサッと撃ってサッと次に移動。そんな、3GUNのような競技や、市街地戦、サバイバルゲームでの使用が適しているだろう。
イルミネーターは、写真では明るく写っているように見えるが、直射日光の下だと、最大光量でもまぁまぁ赤く灯っているかな?と思える程度だ。炎天下だと、Leupold社のVX-Rのようにダットサイトとしてイルミネーターを使用するのは少々難しい。暗所での照準補助+αといった具合である。

アクティブに動いて撃つが、たまにちょこっと腰を下ろして狙いたい&スコープにそこまでお金はかけれないが、かと言って安かろう悪かろうはイヤだ!って人には良いショートスコープだ。

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