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45口径オートマチックピストルとして、最も有名で起源とも言っていいと言えばこのM1911であろう。今回は、このM1911のWINCHESTER版を紹介したい。実は、私が初めて撃った実銃でもある。
※この銃、ほとんどデータも無く、レビューと言うよりも酔っ払いの思い出話みたいな内容になってしまったのは申し訳ない。

SPECS | 性能諸元 (メーカー以外はコルト M1911 A1から)

 メーカー名(生産国) WINCHESTER(アメリカ合衆国)
口径 45口径(45ACP)
全長 216mm
銃身長 127mm
重量 1100グラム
装弾数 7発+薬室内1発

今は無き拳銃(とメーカー)

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 大学時代、米国のとあるガンショップと屋内射撃場があるところに行き、初めて実銃を撃つぞ!ということで、とりあえずM1911は撃っておくかと「コルト M1911」かと思って手に取ったのがこのウィンチェスター版M1911であった。トレーに選んだ銃器と購入した弾を持って、射撃場へ行ってる最中にスライドに小さく「WINCHESTER」と書かれているのを見て?と思ったものだ。

 
誰もが知っている、コルトガバメントこと、コルトM1911はその人気ぶりと戦争需要から、多数のメーカーが製造をしていた。人気ぶりは現代に至っても米国では熱く続いており、毎年各社からまだまだM1911が発表されている。このウィンチェスターもそのうちの一つであったのだろう。しかし、戦争需要なぞいつまでも続くわけでもなく、時代の流れや移り変わりにうまく乗れなかったウィンチェスター社は、USリピーティングアームズ社へ買収され、そのUSリピーティングアームズ社も一部がFNエルスタル社に買収されてと食物連鎖のように買収や吸収が続いた。現在ではウィンチェスターはほぼ商標であり、ウィンチェスターブランドとしては弾薬や一部ライフルや散弾銃の製造までに留まり、このような拳銃は作ってはいない。となると私がコルトと勘違いから手に取ったこのM1911、一体何十年前のものだったんだろうか…?

ちなみに、初代M1911とM1911 A1の違いは、A1はフロントサイトが高くなり(それでも私は低くて狙いにくいと思うが)、トリガー位置が少し下がり、グリップが少し丸みを帯びて、グリップの木製チェッカリングが改良されたこと等が改良されている。

手の中で暴れるへそ曲がりな老兵

 まぁ何はともあれ、初めての実銃。まずは実射である。店員兼インストラクターに連れられ屋内射撃場へ。まずは銃の扱いの基礎の確認のため10メートルの距離にターゲットを吊るしての射撃だ。弾を入れずにあらかた教えてもらった後、ようやく実射である。それまでに、日本国内でエアーガンとyoutubeで練習と知識を入れておいたおかげで、スムーズにここまでこれた。インストラクターにも「お前本当に初めてなのか?教えることないじゃん。」と言われ少し得意になっていた。まぁそのドヤ顔も、数分後には 涙 目 に変わっていくのだが。
 
さて、弾丸を込めて実射である。ドングリのような45ACP弾をマガジンに込めている時から、だんだんと緊張してきた。スライドを引いて薬室にいろんな意味での第一発目を装填した頃には、手に嫌な汗が出ていた。そう、この銃は今や自分次第で人を殺せる道具へと変貌しているのだ。その現実を今ごろ自分の中で理解した、いや、しやがったのである。格闘術や刃物と違い、特殊部隊員が持とうと、幼稚園児が持とうと等しい威力を保証してくれる恐ろしい「銃」をこの私が持っているのだ。いかに普段自分が、エアーソフトガン等の「オモチャの鉄砲」をスナック感覚で取り扱っていたかが思い知らされた。まだ撃ってもいないのに。

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いいからそろそろ撃ってくれとこれを根気強く読んでいる方からの怒号が聞こえて来そうなので、ようやく実射と行こう。銃を撃ちたい好奇心と、コロシの道具を持っている緊張感が混じったあまりよろしく無い感情の中、まぁ普段通り行こうと深呼吸をし、手を伸ばしグリップセイフティの握りを確認して、マニュアルセイフティを解除。狙いを付けて、、、ズドン。いや、実際には私の心のフィルターも介して表現するとベシャッッ!!!といった感じであった。何かがおかしい。最初はこんなもんかと大きな音と反動に驚きながらも、納得させていたが、3発に1回の頻度くらいでジャム(ほぼ排莢不良)が起きる。構えが悪く反動をうまく逃してないのだろうと頑張ったが、どうもジャムる。インストラクターも、構えが悪く反動をうまく逃していないのだろうとこの銃を撃ってお手本を見せようとするが、それでも必ず一回はジャムる。その後何発か難儀しながら撃ってると、インストラクターは、お前できるっぽいからあとは頑張ってね~と店へと帰って行ってしまった。自由すぎるでしょうアメリカ…と思いながらも好き勝手できると内心嬉しかった。今考えると実に危険なインストラクターと私である。
 
インストラクターもいなくなったことだと気を取り直して続けるが、やはりジャムりやすい。後日、別のM1911を触って気づいたのだが、この銃、スライドがガタガタである。変な遊びができているのだ。しかも、通常分解してみると、あからさまにろくにメンテされてなかったであろうカーボン汚れや傷が目立つ。とんだへそ曲がりな老兵を選んでしまったものだ。とりあえず早く選ばなきゃとたくさんある銃の中から、なんでこんなのを選んだのか理解に苦しんだと同時に自分を呪った。M1911は他にもあったのに…。と、泣き言を言っても始まらない。50発撃ちつくそう。だがどう頑張ってもジャムり、変に心身ともに疲れてきた。全弾撃ち切る頃には、私の中でM1911への憧れは無くなり、45口径がアメリカ以外ではあまり選ばれない理由がよくわかった。(半分はこの銃と下手な私が悪いのだが)
 
とは言え、スマートなボディから出る高威力の弾丸ということで、ポケット工兵というアダ名でも親しまれている理由もわかる。シングルカラムなのも手伝い、かさばらず気軽に携行できる拳銃だ。個人的には拳銃にマニュアルセイフティはいらない派なのだが、それは好みの問題かと。と、まぁこんな感じで私の実銃初体験は老兵に振り回されるスタートとなった。その後に撃った、お試し9ミリ用として選んだシグ P226が無ければ、銃に対しての思いは変わっていたかもしれない。

 ちなみに自慢ではないが、初体験で距離10メートルの割には意外と当たった。正直、私の射撃技術はお世辞にもウマいとは言えないが、オモチャの銃とは言え日々のエアーソフトガンを使っての鍛錬はバカにならないものである。