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ジャンル:マチェット・山刀

マチェットはその使用目的から、刃があまりついていないものが多い。しかし、このカーショーのキャンプシリーズは工場出荷時からスパスパと良い切れ味の刃が付いている。価格も手頃で、使用者に合わせた多数のサイズ展開がされている点も良い。

執筆時期:2017年3月

※2017/03/20:動画を挿入。

SPECS | 性能諸元

メーカー名(メーカー国・製造国) Kershaw Knives (アメリカ合衆国・中華人民共和国)
全長 50.8cm
刃渡り(刃の厚み) 35.6cm(5mm)
重量 851グラム
ハンドル仕様 フルタング、ラバーモールド加工
ブレード材質 65Mnカーボンスプリングスチール、ブラックパウダーコート
価格(購入価格) 74.99ドル(2016年、国内通販にて4800円)

山のお供として重宝するマチェット(山刀)だが、市場で売られているマチェットの大半は刃の代わりにスクレイパーか、申し訳程度の刃しか付いていない。ともかく開封当初はキレないのだ。これはマチェットが、叩き切ったり、薙ぎ払うと言ったラフでタフな扱いをするための道具だからである。故に、耐久性を犠牲にしてまで鋭い切れ味の刃を付け、ティッシュペーパーを切断して悦に浸るようなことはしない。形は作ってやったんだから、お前の好みの切れ味に研いでくれということだ。勘弁して欲しい、私のような不器用で面倒くさがり屋の人間がそんなものを買うわけがない。開封後すぐに草や木をなぎ払いたいのだ。


そんなめんどくさがり屋の現代っ子達のために、Kershaw(カーショー)というナイフメーカーが良いマチェットシリーズを作ってくれた。カーショーは、オレゴン州で使い勝手の良いポケットナイフを製造するメーカーで、今はカミソリや包丁でお馴染みである貝印社の子会社である。デザイン性とコストパフォーマンスに優れた良いナイフを作ってくれるメーカーで、法執行機関向けに質の高いナイフを製造しているZero Toleranceという部門も持っている。このカーショーが販売しているマチェットがキャンプシリーズだ。用途や好みに合わせて、キャンプ10(刃渡り25.4cm)、12(30.5cm)、14(35.6cm・本製品)、18(45.7cm)と異なる長さのマチェットを揃える。私が愛用しているのは、ちょうど中間の大きさであるキャンプ14だ。山狩りに行く際や、アウトドア、庭仕事でマチェットの必要性を感じたので購入した。キャンプ10だとマチェットにしては短く、これだとボウイナイフと変わらないので却下、かと言ってキャンプ18は大きすぎ、今度は中東のブレードみたいなので却下。という事で、キャンプ14を購入した。これくらいの大きさが、片手でブンブンと扱え、尚且つ仕事の効率も犠牲にしない大きさだ。現在では、キャンプ10とキャンプ14の間を埋めるキャンプ12という製品もラインナップに加わっている。こちらは、今までのキャンプシリーズから全体的に大きくデザインを変え、まるでショーテルのような形だ。こちらは、ソングホール(柄の部分のストラップホール)がブレード材質むき出しの金属なので、固いものを割ると言ったよりアウトドア的な用途もできる。こっちもオススメだ。ただ、キャンプ12だけは、後述する鞘が、全体を覆うタイプではなく、刃の部分だけをカバーするタイプになっているので注意だ。


話をキャンプ14に戻そう。パッケージは真っ赤で商品が丸見えだ。こんなのがホームセンターに置いているとテンションがアガるだろう。だが、相変わらず刃物を買いにいったのに、開封に刃物が必要なブリスターパックである。簡易的な説明書も付属しており、後述するシース(鞘)の使い方やメンテナンスの方法が記載されている。説明書が付属しないナイフも多い中、このようなサービスは、私のような不器用者やビギナーには助かる。


全体像はこんなかんじだ。片手でガシガシと扱うにはこの程度がちょうど良い。全長は50センチ程度とコンパクトなサブマシンガンであるP90とほぼ同じ長さで、重量も850グラムなので、携行する際もあまり重荷にななったり、邪魔にならない。


ハンドル部はプラスチック製で、持ち手の部分はラバーを貼って、持ち心地と滑り止め効果を上げている。どうしても色合いも相まってオモチャ感が出てしまっているが、軽量化とメンテナンス性の向上にはなっている。握り心地は最高というわけではないが、悪くはないし手の小さな人間でも持ちやすい。ソングホール(柄の部分のストラップホール)の部分は、形状こそ何かを打ったり叩き割ったりという用途に使えそうだが、こちらもプラスチック製なのでそんな用途には使えない。樹脂製とは言え、しっかりとした作りで、ガタツキや不安定性は無い。キャンプ12以外は全部このグリップである。


ストラップホールはグリップの上下に一つずつあり、このように紐を上下に通したりと、他のナイフとは違うバリエーション豊かなストラップや脱落防止が可能だ。


刃はドロップポイントのような形状で、切って薙ぎ払ってといった動作だけでなく、刺すことも可能だ。なので、軽量化も兼ねて、動物を刺した際に抜きやすいように血溝もある。この刃が、工場出荷時からマチェットにしては鋭い切れ味で、紙もスパーっと切れる。余計な刃付けをしなくてもよく、しかも刃は柔らかめなので、研ぐのも簡単だ。一度、不注意でアスファルトに落とした際に刃が欠けてしまい、ハンパな研ぎのままで太い木を切ったので、刃の欠けた箇所が波打つようにグニャグニャになってこれはもうダメかとも思ったが、丹念に研ぐとほぼ元通りに戻った。普通の使い方であれば、使用後に洗った後、サビ防止にオイルを塗って保管しておくだけで良い。切れ味が落ちたらちょこっと研げばOKだ。よりわかりやすくするため、切れ味や使用感覚を動画にあげてみたのでどうぞ。


刃の厚みは5mmあり、マチェットとしてはこんなものだ。


マチェットとしては珍しく、樹脂製の大型シース(鞘)が付属する。着脱可能で、縦やら横やらに様々な方向へ付けれるベルトループ付きのベルクロベルトが付いており、シースそのものにも多数のストラップホールが開いているので、アイデア次第で様々なモノに様々な方法でマチェットを携帯することができる。


このように、横向き、背負い、縦向きに。また、バックパックやポーチにくくりつけることもできるだろう。ただ、このシースは、グリップ部分をナイロンベルトでボタン留めしているだけなので、特に縦向きに携行した場合、刃の部分がシースにカタカタと触れて耳障りだ。この点はマイナスか。

まさに、現代っ子向けのマチェットと言える。買ってすぐに使うことができ、気兼ねなくガシガシと使い、ブンブンと振り回すことが可能だ。