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ジャンル:サバイバル&キャンプナイフ
英国が誇る変態冒険家、ベア・グリルス氏プロデュースのサバイバルナイフ。知恵と工夫が詰まったナイフで窮地を切り抜けよう。
執筆時期:2017年1月
※このナイフを提供してくれたY氏に感謝します。
SPECS | 性能諸元
メーカー名・国(メーカー国・生産国) | Gerber(アメリカ合衆国・中華人民共和国) |
全長 | 25.4cm |
刃渡り(刃厚) | 12.2cm(4.8mm) |
重量 | 317.6グラム |
ブレード素材 | 7Cr17MOV ハイカーボンステンレススチール |
ブレードバリエーション | 直刃、直刃+波刃(本製品) |
価格相場 (国内価格) | 49.98ドル (2017年現在、5000円~7000円前後で販売) |
MAN vs WILD
ベア・グリルス(Bear Grylls、本名:Edward Michael Grylls)というイギリス人がいる。アウトドア・サバイバル業界でこの名前を知らぬ者はいない。元SAS(英国陸軍特殊空挺部隊)隊員で、世界中を旅する冒険家だ。そのアグレッシブな行動力と、幅広いサバイバル知識のおかげで、様々なアウトドアやドキュメンタリー番組に出演している。特に、虫や動物の臓器だろうと排泄物だろうが、とりあえず食べてみるその探究心とサバイバル精神あふれる姿勢は、世界中のお茶の間に笑いと畏怖を拡散させている。そんな偉大でユニークな冒険家のプロデュースの元で作られたのが、Gerber社(ガーバー)のベア・グリルスシリーズだ。ガーバー社は、低価格で質の高いナイフ・アウトドア小物を製造しているアメリカのメーカーで、私が初めて購入したナイフのメーカーでもある。この話はまたどこかで。
そのベア・グリルスシリーズの中でも、特に人気が高く、サバイバルナイフのスタンダードと位置づけているのが今回紹介する「Ultimate」である。
固定刀タイプのナイフで、ブレードのバリエーションは直刃と写真のような直刃+波刃のコンボブレードがある。ブレード素材は、7Cr17MOVステンレス(中国製)で、耐久性や耐候性はそこまで高くないが、コストパフォーマンスと研ぎやすさに優れる。刃の切れ味はそれなりと言った感じだが、不便さはあまり感じない。ハンドルは基本的にプラスチックで、持ち手はラバー素材を貼り付けており、ゴミは付きやすいが滑りにくくて良いハンドルだ。また、上位機種に「Ultimate Pro」という製品があり、こちらはより頑丈なフルタング構造(ブレード素材がハンドルまで伸び、ハンドルと同じ形状のものを言う)になっており、ブレード素材が9Cr19MoVとなり、より堅牢な作りとなっている。
柄尻は、金属製になっており、ここはハンマーとして機能する。これで木の実を砕いたり、テントのペグ(杭)を設置する時に使える。とは言え、この部分は空洞のプラ製のハンドルにはめ込まれているだけなので、あまりラフな扱いをすると、ハンドル後部ごとモゲてしまうことがあるので注意を。また、ハンマーになっているのと、ハンドルが軽い樹脂製ということもあり、少々リアヘビーに感じるナイフだ。
ストラップにはホイッスルが装着されている。ピィー!っと高い音が鳴るが、このサイズなので音量はそこまで大きくない。
こちらはシース(鞘)ナイロン製のベルトループ付きの土台に、樹脂製のシースが付いている。抜き差しはしやすく、上部にあるナイロン製のハンドル固定ループをしなくても、「GERBER」というロゴがある部分で、ナイフのヒルトを挟んで、ある程度クリップしてくれる。
シース先端の取っ手を引っ張ると、ファイヤースターター(火打ち石)が現れる。アウトドア・サバイバル好きには楽しい装備だが、常に下向きにセットされているので、強い衝撃で取れたり、Oリングが脆くなってしまうこともある。この点は特に改良して欲しい。
着火方法は2種類ある。ナイフ上部の銀色が鮮やかな色が変わっている部分を素早く接触させるか、シースのプラ部分を裏返すと出て来るナイフシャープナー(砥石)にこすり付けるかだ。切って刺すだけで無く、ハンマー、着火、ナイフメンテナンスまでできるスグレモノだ。
また、ナイロン製のベルトループ付きの土台裏側には、緊急時における航空機に対する手信号表が縫い付けてある。助けてくれ!、問題ない!、医療関係者をよこせ!、メカニックをよこせ!等の必要最低限のハンドシグナルがシンプルにわかりやすく描かれている。
頑丈!屈強!最強の究極サバイバルナイフ!というクオリティではないが、目立つ外観も相まって、入門用サバイバルナイフとしては良いだろう。