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ジャンル:ミリタリーナイフ、ボウイナイフ

特殊作戦部隊が使用していたナイフと言えば、「SOGナイフ」は伝説的なものだろう。そのナイフを、リーズナブルにモダナイズドされたものが、かつてコールドスチール社から販売されていた。

執筆時期:2017年7月

※このナイフを提供してくれたY氏に感謝します。

SPECS | 性能諸元

メーカー名(メーカー国・製造国) COLD STEEL(アメリカ合衆国)
全長 28.7cm
刃渡り 16.3cm(刃厚5mm)
重量 220グラム
ナイフ素材 Carbon V(スチール)
価格 100~200ドルの間で販売されていた模様

モダンSOGナイフ

軍用ナイフ好きにとって、「SOGナイフ」を知らぬ者はいない。SOGとは、ベトナム戦争時代に、表向きにはStudies and Observation Group:研究&観察部隊という当たり障りない名前だが、実際にはアメリカCIAの極秘任務に就き、越境偵察、暗殺、情報戦等の特殊作戦を行っていた部隊である。そういう意味では本来の略称はSpecial Operation Groupであろう。興味のある方は、小林源文著書の「キャットシットワン」を読むことをオススメする。愛らしいキャラクターが、ベトナム戦争時代の特殊作戦とは何なのかをサクッと教えてくれるはずだ。

そんな軍の秘密部隊が所持していたと言われたナイフがSOGナイフだ。生産は日本のメーカーが行っていたとされ、刃渡り20センチ以上ある大型のナイフで、ボウイナイフのような形状をしていたと言う。その作戦内容上、余計な所属等を表す刻印等は一切なく、そう言った秘密のナイフと言った意味合いからも、SOGナイフのオリジナルはマニアの間で高値で売買されている。

ちなみに、現在ではSOGナイフと言うと、その名前のナイフではなく、メーカー名の方が有名だろう。このメーカーは、SOGナイフに敬意を込めて設立されたアメリカのナイフメーカーで、その名に劣ることなく、軍や法執行機関から採用されるほどの高品質な戦闘向けナイフを多く販売しているメーカーである。

こんなメーカーが生まれるほど、「SOGナイフ」の人気は高く、一昔前まで様々なナイフメーカー各社がSOGナイフの類似品を製造・販売していた。当然ながら、戦闘用ナイフや白兵戦武器を多く手がける「COLD STEEL(コールドスチール社)」がこのSOGナイフを作らないわけがない。このCOLD STEEL社がSOGナイフを現代風に改良して作ったのが今回のUWK Carbon Vである。オリジナルの高価なSOGナイフよりも、求めやすい価格で、小型化したものだ。


全体はオリジナルのSOGナイフよりも小さくなっており、刃渡りは16センチほどだ。


ハンドル(持ち手)は革製のオリジナルと違い、滑りにくくて扱いやすいクラトンラバーを採用。フィンガーチャンネル(指を置く溝)が設けられてることもあり、全体的に大きさを絞っているので小柄なアジア人でも握りやすい。刃渡りを短くしたこともあり、重量バランスも改善されており、フロントヘビーと言った感じはしない。フィンガーチャンネルは浅めなので、順手と逆手持ちの切り替えもスムーズに行える。


ちなみに、商品名であるUWKは「Under Water Knife」の略であり川や海と言った水中での使用も想定して作られている。刃は鋭い切れ味と頑丈さを併せ持ったCarbon Vスチールを使用し、そこにエキシボブラックパウダーコーティングをして、錆を寄せ付けない工夫がされている。切れ味は産毛も剃れ、コインを突き刺せるほどで、耐久性に関してもこのナイフを壁に刺して懸垂ができると謳っていた。実にコールドスチールらしい。


鞘はカイデックス製のものが付属。裏側はベルトループ付き。このUWKはCarbon Vスチールを製造していたメーカーが無くなり、4116ステンレス鋼に素材変更等され、現在コールドスチール社は製造していない。川や海での使用は、より軽くて耐候性の高いチタン製のナイフが良いし、SOGナイフをウリにできた時代が終わったこともあるだろう。