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ジャンル:ホルスター
一流ホルスターメーカーとして名高いブレードテック社のシンプルで使いやすいホルスター
※写真のホルスターはSIG SAUER P226 & P220モデルを使用。
執筆時期:2017年6月
SPECS | 性能諸元
メーカー名(メーカー国・製造国) | BLADETECH(アメリカ合衆国) |
対応拳銃 | M1911、Glock17&22、Glock19&23、S&W M&P(9/40/45)、SIG SAUER P226&P220) |
材質 | カイデックス |
価格(購入価格) | 34.99ドル(2008年 40ドル前後で購入) |
スタイリッシュでシンプルなホルスター
武器全般にとって、使用者とその周囲の安全を守る「安全装置」は大事なものだ。かれこれ半世紀以上チャンピオンベルトを死守し続けている核兵器は、何重もの鍵やらパスワードやらのデバイスやソフトウェア等で守られている。数千年以上前の刀にも鞘がある。男子諸君も、「訓練時」には自分の「飛び道具」にラテックス製のカバーをつけるはずだ。言うまでもないが、銃器にもそれは言える。特に携行することを前提に作られている拳銃には必須アイテムだ。米国の警察によると、銃器を使用した犯罪者がホルスターを装備している確率は0.3%程度らしい。しかもそのほとんどは、ズボンの中に銃を入れていたという。まるでハリウッド映画のチンピラだ。登場数秒後にスティーブン・セガールに腕か首を折られるタイプの。まぁ、彼らや「ブラックな仕事」をしている人たちは、使い捨て感覚で銃を持っていることもあると思うが、拳銃をホルスター無しで持ち歩くなぞ普通は狂気の沙汰である。
新しい拳銃を新調したなら、予備マガジンと一緒にホルスターも買いたいものだ。私は、カイデックス(熱可塑性の合成樹脂)のホルスターが好きだ。ナイロン製と違って他の拳銃にも流用できると言った柔軟性は無いが、フィット感と、抜く際のスピード性が違う。革製のように汗や汚れに弱いこともない。そのカイデックス製ホルスターで有名所に必ず名が上がると言えば、ブレードテックだろう。
今回はブレードテック社の数あるラインナップの中から、SIGNATURE OWB(Outside the WaistBand)を紹介しよう。
このホルスターを購入したのは、アメリカへ留学して、そこで撃ったSIG SAUER P226の撃ちやすさに感動した時のことだ。当時私は、日々の訓練用の拳銃は、KSC社のHK USPコンパクトを使用していた。が、P226に完全に惚れ込み、シューティングレンジを出る頃にはUSPをドナドナする算段が頭の中で出来上がっていた。そして、併設されているショップでこのホルスターを購入した。カイデックスホルスターの購入はこれが初めてで、今まで安物のナイロンホルスターを使っていたこともあり、抜きやすさとそのスピードに驚いたものだ。
かれこれ十年近く前のモデルなので、現在のシリーズとは形状が違う部分もあるが、基本は変わっていない。外部に見えるプラスネジ二本で、ホルスターの拳銃へのホールドを調節できる。逆さまにするとスルっと落ちてしまうレベルから、少々飛んだり跳ねたり、受身を取った程度でもビクトもしない強度まで変更できる。(P226・P220共に、実銃とマルイ・タナカ製エアーガンで検証済み)
ホルスター内部。外部はマット処理された感じだが、内部はツルツルのプラスチックだ。ポリマー等の樹脂製のフレームや、コーティングによっては銃本体に繰り返しの使用で傷や擦れがついてくるが、これはどのカイデックスタイプのホルスターでは仕方ないこと。下部にはゴムリングがハマっており、上述したネジによりこれが締め付けられて調節できる。
ホルスター下部。サイレンサーバレル程度なら問題なく使用できそうだ。こちらのSIG SAUER P226&P220モデルは、アンダーレールの有無に関係無く装着可能。
拳銃装着時(マルイ製 SIG SAUER P226E2)。今流行りのコンパクトダットサイトを装着していても収納することが可能だ。デコッキングレバーや、マグリリースボタンはホルスター装着時でも操作は可能だ。とは言え、何かに干渉して気づいたら弾倉を落としていたという危険性も多少ある。滅多にないことではあるが、私は一度だけ激しい訓練中にこのホルスターにP226を装着していて弾倉を落としたことがある。
ホルスターは銃の奪われにくさや、ロックレベルでレベル分けされており、こちらのホルスターは1番低いレベル1となる。余計なロック機構等が一切無いので、素早く抜くことができ、故障や不具合の心配も少ないが、セキュリティー面は低い。
ベルトアタッチメント。通常タイプはアジャスターにより1cm~5cmまでのベルト幅に対応している。また、現在は付属していないらしいがパドルタイプのベルトループもあり、こちらは3cm~5cmまでと対応幅は狭くなったものの、より安定した装着が可能。通常タイプのベルトループを見てもらえばわかるが、使用して7年目でポッキリと折れてしまった。その後ビニールテープを巻いて補強したが、使用には何の影響も無かった。ベースが頑丈でよく考えて作られている証拠だ。
ご覧の通り、ビジネス用のベルトから、ミリタリー用のベルトまで幅広いベルトに対応できる。
このホルスターは基本的に腰の位置で装備するように設計されている。余計な出っ張り等がないので、ロープロファイルでスタイリッシュに装着可能だ。そのシンプルさから、私服警官や拳銃を携行する民間人に人気のモデルだ。ホルスター前部は拳銃の薬室までガバッとスリットが口を開けているので、抜きやすさだけでなく、使用後に銃を戻す際は、ガイド役となってくれるので、慣れればホルスターを横目でチラチラと見なくても戻すことが可能だ。あまりヘビーな用途では使用せず、腰の位置に装備するタイプのホルスターには、このような仕組みがあるかないかで、使いやすさが大幅に違ってくる。
グラつきやすい大腿部で装着するレッグホルスターではなく、腰の上で高めにセットされるし、調節すればそう簡単には日常動作で脱落するような事はない。私も激しく動き回る割には、今まで使用していて拳銃そのものを落としたことは意外と無かった。とは言え、どうしてもセキュリティーやセーフティー上の懸念もあるし、精神衛生上もあまりよろしくないので、現在はもっぱらロック機構を一つ設けたレベル2タイプのホルスターを使用している。シンプルで安物のホルスターからワンランク上げたい場合には良い選択肢だろう。